第六章 そして真相が
哲也 25才
知美 22才
愛子 20才
あの忌まわしい出来事から10年が経った。
「今日は、皆さんに大事な話があるの。」
交通遺児支援局の一室に呼ばれた3人に向かって、亜弥がいつになく真剣な顔つきで切り出した。
いつもは亜弥一人で対応するのに、今日は局長も顔を出している事からも、事の重要さは察知された。
亜弥がゆっくりと部屋の反対側のドアに近づくと静かにドアが開いた。
そこから現れたのは、何と交通事故で死亡したはずの両親だった。
3人は一様に驚きの表情をあらわにしたが、すぐには言葉が出ないようだった。
「驚いた事だろうと思う。」
局長が立ち上がると、3人を落ち着かせるように、ゆっくりと歩きながら話し始めた。
「交通遺児支援局の役割は、実はまだ半分しか話していない。勿論これまで君達3人のお世話をしてきたのは、局の重要な仕事だ、だが、本当の目的は、君達3人がしっかりした目標を持って、自立した生活をする能力を身に付けることにあった。」
「ご両親からの依頼で、きみ達は交通遺児支援局の10年間プランに預けられた。この事実を知っていたのは、伯父さんだけだ。勿論両親を失った事によって、不幸な道に進みそうになった場合は、支援局がケアーをするし、最悪の場合はプランを途中で打ち切る場合もある。」
「君達は、ご両親を亡くしたにも関わらず、しっかり自分達の将来を見つめ、努力してきてくれた。これまでの10年間プランのなかでも模範的なケースの一つだと思う。」
3人は、複雑な表情をして、局長の話を聞いていた。
どれ位の時間がたっただろうか、
知美が凍ったような表情でゆっくりと立ち上がると、母親の方へ近づいていった。




