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中ランクの魔物

10話きました〜

まだまだ続くよ。44話までのプロットできてるからね。本文1話書く間にプロット2、3話分できてんだもん。仕方ないよね、こればっかりは。


ぜひぜひ感想やレビューも書いてくだせぇ。気になったらコメントで…ってなろうはコメ欄ないんだっけ(笑)

 森に入るのは今日で3日目だ。


 車列は間隔をさらに広げ、低速で進んでいた。

 地面は土を踏み固めただけの道で、ところどころ木の根が露出している。装輪車のタイヤがそれを乗り越えるたび、鈍い振動が車体に伝わった。


「今日も静かすぎるな」

 誰かが言った。

 否定する声はなかった。


 ドローン映像を見つめながら、俺は無線を握り直す。

 索敵範囲、異常なし。

 小型反応も、昨日ほど出てこない。昨日と一昨日で森の入り口付近の魔物を倒しまくったってのもあるだろうが…


(溜めてるな)


 理由は分からない。

 だが、そういう感覚だけは、はっきりあった。


『前方、熱源ひとつ』

 操縦員の声が、少し低くなる。

「ひとつ?」

『はい。単体です。大きい……人型、ではありません』


 俺は即座に手を上げた。

「全車、停止」

 ブレーキ音が森に短く響き、すぐに吸い込まれる。


 隊員たちは無言で下車し、扇状に展開した。

 ドローン映像が拡大される。

 それは──ただ異様に、デカかった。


 四足。

 だが、獣とは言い切れない。胴体が異様に厚く、肩から背中にかけて隆起した筋肉が、まるで鎧のように盛り上がっている。皮膚は黒ずみ、ところどころ岩のように硬化していた。


「……でかいな」

「動き、鈍そうだが……」

 ゼインが息を呑む音が、すぐ後ろで聞こえた。

 彼は何も言わない。ただ、目を逸らさない。


「距離、三百」

「接近してきます」

 魔物は、こちらを見ている。

 走らない。吠えない。

 ただ、真っ直ぐ歩いてくる。


「……名前は?」

 誰かが小声で聞いた。

「まだだ」

 俺は即答した。


「撃ってから考える」


「M2、準備」

 3挺の車載M2ブローニングの照準が合わされる。


「撃て」

 乾いた衝撃音。

 12.7mm弾が、一直線に魔物へ吸い込まれた。

 ──弾いた。


「……は?」

「効いてない!」

 確かに当たっている。

 肩口、胴体、脚部。

 だが、魔物はよろけもしない。皮膚が削れ、火花のようなものが散っただけだ。


「続けろ!」

 連射。

 土が抉れ、木が砕ける。

 それでも、魔物は歩みを止めない。


「……戦車かよ」

 誰かが呟いた。

 距離、二百。


「24式、前へ」

「了解」

 24式装輪装甲戦闘車両の砲塔が旋回する。

 30mm機関砲が火を噴いた。

 衝撃は、明らかに違った。

 魔物の体が揺れ、脚が一瞬止まる。


「効いてる!」

「いや、全部じゃない!」

 弾が当たった部位によって、反応が違う。

 胴体の一部や肩部は弾く。関節部、腹側は抉れる。


「弱点、下だ! 腹と脚、集中!」

 魔物が初めて、吠えた。

 低く、地面を震わせるような音。

 次の瞬間、地響きと共に速度を上げる。


「来るぞ!」

 距離、百五十。

 森の木々をなぎ倒しながら、一直線に迫ってくる。


「30mm、連続射!」

 砲声が重なり、空気が裂ける。

 腹部に集中した弾幕が、ついに内部まで到達した。

 魔物が前のめりに倒れ、地面を削りながら止まる。

 数秒、痙攣。

 そして、動かなくなった。

 沈黙。


「……撃破、確認」

「近づくな。観察のみ」

 誰も歓声を上げない。

 ただ、倒れた巨体を見つめている。


 ゼインが、ゆっくり息を吐いた。

「……これは」

「中ランク、だな」

 俺はそう答えた。

 低ランクとは、明らかに違う。

 数で押す存在ではない。

 単体で、戦線を壊しに来る。


(しかも、偵察じゃない)


 これは、正面からの試し撃ちだ。

「全隊、警戒継続。まだ終わってない」

 俺は無線に向かって言った。

 森は、再び静かだった。

 だが今度は、その静けさが、次を連れてくる前触れにしか思えなかった。

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