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演習、装備解説、そして召喚

西暦2031年6月13日 東富士演習場


『状況開始、状況開始。第1・第2中隊、前へ』

 天気は晴朗、青々とした空に霊峰・富士山が映えている。だがその下では絶景と似ても似つかない迷彩の車輌と人間が黙々と進んでいた。


『第1先遣隊先行。ポイントE到達予定時刻はD+190秒』


 作戦は時間に正確であることが重要だ。無線封鎖下で多方面から同時に射撃するためには、1秒のズレもあってはならない。だからこそ毎朝自分の時計は修正し、常に0.5秒以上のズレが発生しないようにしている。

 予定よりもやや遅れを感じ、アクセルを踏み込む。ターボディーゼルエンジンが唸りを上げ、増速。後続車もそれに倣う。


『E到達。目標確認。射撃準備完了』

『第1射、射撃開始』


 105mmライフル砲が火を吐く。反動で砲身が後退するが、直ぐに照準位置に戻る。


『弾着、今!不命中、不命中、不命中。仰角補正、マイナス3』


 観測員からの指示で照準を修正し、射撃。


『1号車、命中。2・3号車、不命中』

『1号車照準データ共有。第3射射撃準備完了』

『射てッ』

『着弾確認。全弾命中、射撃有効。ポイントJへ陣地転換』


 射撃が終わると直ぐに後進をかけ離脱する。次の射撃ポイントでは先行中の迫撃砲分隊と連携訓練だ。


 今行われているのは第17即応機動連隊の混成部隊による敵拠点強襲演習だ。そして俺は昇進後初の演習で先遣隊を率いて目下前進中だ。

 通常、隊指揮官は軽装甲車か指揮通信車に乗って指揮を執るが、生憎と第1先遣隊(ウチ)に指揮通信車はないし、元々機甲畑の人間だから戦闘車の方が性に合っている。というわけで、異例だが自分は小隊を指揮しつつ16式機動戦闘車(ヒトロク)を繰っている。

 ポイントJへの移動にはまだかかるので、今のうちに装備品の紹介をしておこう。

 まず全員共通で持っているのが20式5.56mm小銃。2020年制式化、豊和工業製の自動小銃だ。それに付属する89式多用途銃剣。こちらは前代の89式小銃と同時に配備されたもので、食事や陣地構築ではマルチツールとして使える上、いざという時は小銃の先端に着剣して銃剣として使ったり何ならそのまま白兵戦もできる。そんな訓練はあまりしないが。

 5.56mm機関銃MINIMI。設計はベルギーのFNハースタル社、製造は住友重機械工業。所謂軽機関銃だ。

 12.7mmブローニングM2重機関銃。1933年にアメリカ軍に採用されてから未だに主力重機関銃の座を渡さない老兵だ。ロングセラーの信頼もあるし、頑丈で整備しやすい。三脚で据え置いても使えるし車両に載せても使える。流石に手に持って射撃なんかはできないが。

 他に携行火器だと110mm個人携帯対戦車弾、通称LAMなんてのもある。ドイツのパンツァーファウスト3を持ってきたやつで、普通科員が戦車に対抗する唯一の手段だ。但し数は多くない。あと重い。

 車両だと、高機動車が一番多い。トヨタ自動車が開発した四駆。ピックアップトラックなんかより更にデカいが何といっても扱いやすい。移動の際は大体これを使う。拡大小隊全体で8輌保有しているが、持ってきたのは5輌。

 次に26式装輪装甲車。通称パトリア。普通科の移動用車輌で、設計はフィンランドのパトリア社、製造は日本製鋼だ。低重心の車体で、戦場中枢まで隊員を輸送するのにうってつけの車両だ。これが3輌。

 24式装輪装甲戦闘車。16式をベースとした共通戦術装輪車のひとつで、対歩兵・対軽装甲車両用の普通科支援車両だ。敵が重機関銃なんか持ってたら普通科隊員の盾になるし、その陣地を薙ぎ払うだけの火力、Mk.44 30mm機関砲を搭載している。これは1輌。

 今乗っているのが16式機動戦闘車。三菱重工製。74式戦車と同じ105mmライフル砲を積んでるくせして速い。100km/h出る。これは機甲科から持ってきた。ま、実戦を想定した演習なら戦闘車だけじゃどうにもならないからな。それもあっての混成拡大小隊だ。3輌。

 機甲科から持ってきた車両としては他に軽装甲機動車、通称LAVだ。小松製作所製。指揮車仕様だからおそらくこれで指揮しろということだったようだが、問答無用で16式に載せ替えた。で、余ったからMINIMIを積んで小規模強行輸送車輌…ということにしている。1輌だ。

 他に単独火砲として81mm迫撃砲L16や野戦特科から持ってきた120mm重迫撃砲RTなんかもある。流石に特科大隊ではないのでりゅう弾砲や自走砲はないが、即応部隊としては十分すぎるくらいだ。

 あとは偵察隊がいて、共通戦術装輪車(ヒトロクファミリー)の25式偵察警戒車が1輌、カワサキの偵察オートが2輌、ドローンが2機だ。このドローンが隊唯一の航空戦力(?)となっている。



 ポイントJに到着。ここは台地の入口で、先程射撃した拠点を潰し、この台地を制圧して後続を待つのが我ら第1先遣隊の任務だ。

 先行していた普通科は既に展開を終え、迫撃砲もやや後方で射撃体制ができていた。やはり3射かかったから遅くなったか。


『全隊、前進準備』

 

 前進準備を命じつつ、戦闘車は迫撃砲と共に火力援護するためプチ鶴翼陣の両翼端へ展開する。


(時間は、予定通り。まだ教導隊はこちらを認識していない筈。初勝利なるか)

『全隊、前進』


 そして小隊が前進を始めた瞬間、富士山が消えた。




 湧き上がる歓声。中世ヨーロッパのような風景。どうやら大きな庭のようだが…

 どういうことだ?演習場にこんなところはないし、民間人は立ち入り禁止だ。む、槍のようなものを持った奴らがいる。演習への反対運動か?いや、違う。


『全隊、警戒配置!装甲車両は普通科及び特科を守れ!』


 パトリアと24式、16式で生身の隊員を囲む。普通科員は車両の隙間から外側に小銃を向ける。完璧だ。

 しかしここまできて大きな状況把握ミスな気付いた。


(ここは日本じゃない…?周りの奴らも日本人には見えない。それにしても、この雰囲気。まさか歓迎されているのか?)


「やりましたぞ陛下!まさか勇者パーティーがこんなにも多いとは!」


 そんな声が聞こえてきて耳を疑った。


(陛下?勇者パーティー?何言ってんだ?)

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