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第52条の1「逮捕権限」

「ということで、剣を持ってかなきゃいけなくなったわけだけど、どしようか。」

「はっはっは。ちょうどいい。エウス」

「かしこまりまして御座います。」


 カリカと食事しながら、雑談していたところ、レフテリスさんが話題をさらっていった。


 相変わらずレフテリスさんはカリカのお父さんとして、家長としてしっかりしているし、エウスタキウスさんは優秀な執事で主人に余計な言葉を使わせない。

 退出したエウスタキウスさんはすぐに戻ってきて、一振りの剣をレフテリスさんに渡した。


「御時間戴きましたこと、まこと申し訳御座いません。こちらを。」

「えぐちくん。これをあげよう。」

「えっ!?あ、ありがたいのですが、これはどういったもので?」

「お父様が民族会長として仕事をしていたときに常に身につけてたもの、ですよね?

 私、てっきり……。」

「飾りかと?はっはっは。一応ちゃんとした剣だよ。」

「しかし、それでは頂きにくいですね。」

「あぁ気にしないでくれ。

 今となっては身につける機会もなく手入れされるだけだからね。

 しかも今回使う気はないんだろ?丁度いいじゃあないか。」

「わかり、ました。

 これは貸してください。いつか頂戴するかもしれませんが、今の所は。」

「あぁいいとも。」


 食事が終わり、外で少し振ってみることにした。


 カーラから教わった切り上げの動作をしてみる。

 右手で握った剣を左下に構え、右足を大きく前に出し、剣を下から上へ、身体を伸ばせるだけ伸ばして剣先を相手の首元へ。

 剣の重心がいいからか、軌道はぶれることなく、綺麗な弧を描く。

 これは使いやすい。

 今度は、両手に持って中断に構える。不思議と心が落ち着いた気がした。


 剣の出自は余り教えてもらってないが、良いものなのは間違いない。

 借りているだけだから、できれば使わず返したいと思いながら、少しだけ型を繰り返してその日は寝た。


 翌日、カッサーラ所に護送用の車両を準備した警邏隊が5名集まった。

 こちらの人員を併せて9名での突入体制だ。


「ダミアノス警邏隊補佐。お越しいただきありがとうございます。

 今回はクリストドゥロス会長の身体拘束をすることが目的ですが、併せて明らかに証拠になりそうな物があれば抑えます。」

「はい。うちの者どもにもそのように伝えております。

 ちなみに、オーク2名が立ちふさがったときはどのように?」

「そのときは、強行突破でいいと思います。こちらも」

「はい。問題ないかと。」


 その他細々とした打ち合わせをして、エルマーリ工会に向かった。


 こちらが来ることを予想していたのか、工場の入り口には2名のオークが立ちはだかっていた。


「クリストドゥロス会長の身体を拘束に来ました。

 裁判隊の許可もあります。そこをどいて頂けませんか。」


 用向きを伝えるも応答が無くそこをどこうとしない。


「応答が無いということは中に居るとみなして入らせていただきます。」


 私がそう言った瞬間だった。

 誰かが私の襟首を掴んで後ろに引き倒した。

 その瞬間、私の眼前を大槌のような小手を着けた拳が通り過ぎる。

 問答無用で殴りかかってきたオークの攻撃を避けさせるためにカーラが引っ張ってくれたのだ。


「日本なら公務執行妨害だぞ。」


 私は倒れかかって後ろ脚重心になったのを利用して腰を落とし、剣に手にかけ、殴りかかってきたオークの首元めがけて斬り上げる。

 その切っ先はオークの小手に当たり、金属音が響いた。

 私の攻撃を完全に受けきるのではなく、いなす方法で首元を防ぎながら上体を後ろに逸らした。


 私の踏み込みの悪さと相手が避けたことが相まって傷を負わせることどころか、態勢を崩すことすらできなかった。

 それに対して惜しいという考えを持つ間もなくもう1名のオークが殴りかかってくる。

 今度は避けられないと思い身構えるも、その衝撃はない。

 警邏隊の隊員が私の意識をもぎ取るはずの拳を止め、隊員数名で囲っている。


 同時にカーラが私の影から私が斬りかかったオークに突きをお見舞いする。


「周りへの被害を無くそうと弱い攻撃にしたのが失敗でした。」


 オークの脇腹を目がけたその攻撃は、小手で逸らされ、怪我を負わせることができなかった。

 その横でカリカは魔法陣を準備しだしている。


 かくして、それぞれのオークを監督隊と警邏隊が相手する図式が成り立った。


「ダミアノス警邏隊補佐!

 ここでぐずぐずしていると、クリストドゥロス会長が逃げかねません!

 一気にお願いします!」


 そう叫んだ私に相槌を打っただけで、ダミアノス警邏隊補佐は警邏隊隊員に指示をする。


 私は剣を下段に構え斬り上げの姿勢を整えた。

 その構えを見たオークは次の攻撃に対応するべく姿勢を整える。

 その瞬間、カリカが呪文を唱え、オークの顔を水が覆った。


「これで呼吸ができずに動けなく――。」


 私の安堵を見透かすように、息を止めたままのオークが腕を顔の前で交差してこちらに突進してくる。

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