第47条の2「警察との合同捜査」
キリアキ隊長とダミアノス補佐との話は、具体的にエルピダ商会への接触方法とかの説明を受け、解散となった。
救護室に戻ると、ガラテアは寝ていて、フェービ補佐は添い寝していた。
それをカーラが見守っていた。
「え、フェービ教会補佐も寝たの?」
「はい。気持ちよさそうです。」
「ははは。とりあえず、現状どんな話が聞けたました?」
「ガラテアちゃんは、やっぱり売られた子で間違いないです。
で、エルマーリ工会くそ野郎ですね。
車に乗せたときに私とフェービさんからガラテアちゃんに、別のところに行くよって言うと、『私が働いたお金でお母さんが助かってるから働かないと』って言ってて、エルマーリ工会に戻りたがってました。
話をよくよく聞くと、クリストドゥロス会長から、毎日、今日は何ドラク稼いだよ、お母さんに渡しておくよ、これでお母さんが幸せになるよ、とか言って強制的に働かせられていたようですね。」
「なるほどくそ野郎だ。
てことは、給料もらってないのか。」
「みたいですね。殴られた跡とかは見つかりませんでした。
この話は、カリカさんを通じて教会に伝わっているので、おそらく母親に対する調査は教会からすると思います。」
「それはぜひお願いしたいね。
それで母親には本当はお金を払っていないということが明らかにしたい。」
「代理払いとかあったら面倒ですもんね。
私、これからどうしましょうか。」
「カリカはどうするって言ってた?」
「報告行って戻るって言ってました。」
「そしたら、戻ってくるまで待っててもらっていい?合流したら今日は解散にしましょう。
明日カッサーラ所に来てもらってカリカとの報告も含めて、情報収集しましょう。」
「わかりました。」
と、いう指示をしつつそういえばアレクシスに報告してなかったことを思い出した。
「で、私はアレクシスのところに行ってくるよ。」
「今からですか?お気をつけて。」
「ということで、保護はして明日にでも話を聞こうと思うんだけど、問題はエルマーリ工会をどうするかなんだよね。」
「えぐちは、どうしたい。」
「ん~。聞き取りをして、その話を正直にぶつけて。
そこで正直に全部話そうと話すまいと、今回は罰を与える案件かなと。」
「それが良かろう。身体拘束はするのか。」
「逃げる恐れがあるからね。
正直にぶつける前に拘束した方がいいのか。」
「ふむ。拘束したのちにどの程度話ができるか次第だ。
裁判隊に聞いた方が良かろう。」
「聞くのはいいけどこっちである程度方針を決めておかないと。
特にあの隊長めんどくさそうだし。」
「イウリオス裁判隊長か。そうだな。すまぬ。」
「謝ることではないけど、アレクシスもそんな評価でよかった。」
「それなれば、クリストドゥロス会長に一度聞いてはどうか。
認めないならば拘束する理由もより高まろう。」
「よかった。同じ意見。じゃあその方針で行きます。」
「うむ。
えぐちよ。なにかあったか。」
「え?急になんで。」
「楽しそう、あるいは、充実しておるようだ。」
言われたことに思わずきょとんとしてしまった。
これだけ胸糞悪いことが続いているのに、私この状況を楽しんでいるように見えたとは、何を言っているのだと。
その驚愕に続いて、自分がどういう感情なのか今一度見直してみることにした。
何よりも怒りが間違いなくある。
エルマーリ工会の連中はまともなことをしている奴が誰も居ない。
さらに、虚偽の書類を作っていること、それで騙されると思っていることも、完全にこちらが馬鹿にされているとしか思えず、それに対しても腹立たしさが大きい。
その怒りを原動力に、次に何をしてやろう、クリストドゥロス会長にどのような罰を受けさせ、反省を促し、もう二度と同様のことができないようにしてやろうかと考えている。
そしてそのために必要な証拠を集めないといけないと考えている。
そうして走り回っているので充実しているのは間違いない。
だが、楽しい?楽しいのだろうか。
そう逡巡しながら、アレクシスが優しい表情でこちらを見ていることに気付いた。
「あぁ黙ってしまって申し訳ない。
充実はしている。相手に罪を認めさせ罰を与えるために走り回っているから。
――ある意味楽しいかもね。
今までやったこが無いことに向かって一生懸命考えて走り回って、大変するけど。それが心地いいというか。」
「なるほど。困難は嫌いではないと言うか。」
「それはそう。
仕事については波があった方がいいでしょ。平らな一本道は楽しくないから。
その分、家庭には平穏を求めるけど。」
「うむ。さすがだな。」
「褒められるとは予想外な。」
「貴様のことをかっている。そして今もこちらの認識に違わぬ反応があった。
そこでさすがだと正直に言ったまでだ。
その人間性があるから、労基隊の成立を任せることができた。
今だから話せる話だがな。
キリアキ隊長からは、嘘はついていないが、任せられぬ者であれば投獄のうえ、重要な話をせずに投獄せよという指示が来ていた。
ヴラドのところに行ったときから、実に楽しそうに、しかしてやるべきことをきっちりとやろうとしている男だと思っておって、キリアキ隊長には問題ないという報告を何度も上げさせてもらった。
その認識は今も変わらぬ。」
「え、あ、うん。
おほめいただき光栄です。
なんかむず痒いけど、頑張るよ。」
「まさか、照れる男だったとは。
それはこちらの認識違いだ。」
「うるさいでございます。」




