第94話 でんぷんの従魔たちの力量(前半)
でんぷんがドワーフ王国をあとにして半日が過ぎた。
でんぷん『みんなに最後の挨拶しなかったけど…まっ、いいか。どうせ飲まされるだろうし。最後に普通の女を抱けたし、満足満足。のはずだけど、旅に出るのにミスリルの剣と金貨1枚じゃあ、困った。食料ないし。今後のことも考えてギルドカード作っとけば良かった。受付嬢と一緒だったのにどうしてスルことしか考えなかったんだ。あ~ハラ減った~。どこかに魔物いないかなあ。』と周囲を未来視した。
でんぷん『おっ。さすが未来視。今日の食糧ゲット。いや、これからゲットするぞ。』
街道から外れて奥の雑木林に入った。そして木に登った。
でんぷん『うん、ここだ。あとは待つだけ。』
ミスリルの剣を握って木の枝に腰を下ろして待つことにした。
しばらくすると
でんぷん【来た。】と思った。
何かがゆっくりと近づいてきた。そしてでんぷんの真下に来た瞬間に
でんぷん『うおー。』と叫んで飛び降りた。
その叫び声に魔物が立ち止まり上を見た。そして
魔物『グッ、ギャー………。』魔物の鼻に剣が刺さり悲鳴を上げて暴れた。
その勢いででんぷんは振り払われ横に飛ばされた。
剣は魔物に刺さったままだった。
でんぷんは起き上がり『フ~。日本だとこれだけ飛ばされたら大怪我しそうなのに少し痛いだけなんて。日々の鍛錬で俺が丈夫になったのかなあ。』と呟きながら魔物を見た。
剣が刺さった魔物は、イノシシのような見た目だが大きさは牛ぐらいはあった。それがゆっくりとでんぷんに近づいてきた。
でんぷんにはもう武器は無い。
だが、でんぷん『うーん、これは美味そうだな。』と慌てる様子は無かった。
未来視で知ってた。1m手前で絶命することを。
でんぷん『さあ、解体して食事にしよう。』
でんぷん『これは脂がのったいいお肉ではないか。』と解体した肉を見て、『よし、カモン!セセリ!』と叫んだ。
しばらくすると火の鳥が飛んできて
セセリ『どうした?』
でんぷん『ミディアムで。』と言った。
セセリ『………。』言われた意味を理解して『我は火の精霊だ。そんな肉を焼くためだけに呼んだのか!』
でんぷん『え~。そのために契約したんだし。』
セセリ『おい!我は強い。魔物退治とかに呼べばいいだろ。』
でんぷん『そんな強いやつとは戦わん。さあ、ミディアムだからな。もしかして火加減ができないのか?消し炭にするだけなのか。がっかりだ。』
セセリ『馬鹿にするな。我は火の精霊だ。絶妙な火加減を見せてやろう。』とうまく言いくるめられて魔物肉を焼いた。
セセリ『どうだ。』
でんぷん『うん、美味い。さすが火の精霊様。そうらはへる?』
セセリ『魔素抜きをしてないのか。我が主は馬鹿なのか。』
でんぷん『ほへがへいんは。』
セセリ『それがいいって変わり者か。あと我は食べる必要がない。精霊だからな。』
でんぷん『もっはいはい。はへろ。』と強引に火の鳥の口に肉を突っ込んだ。
セセリ『なっ。なにを。モグモグ。』
セセリはこのあと魔物肉の3/4は食べたのだろうか。
セセリ『ま、まあまあだな。ま~その、なんだ。また機会があれば焼いてやってもいいぞ。』とくちばしから涎を垂らしながら言った。そして『では、戻るとしよう。』と帰って行った。
でんぷん【よく食べたなあ。まあ、食べきれない量だったからいいんだけど。】
こんな感じで数日セセリを呼び出しては魔物肉を焼いて一緒に食べた。
麻痺が取れたタイミングで
セセリ『ところでなぜタマ殿を呼ばない?』
でんぷん『ん?あいつを呼んだら全部食べてしまうから。で、なんで様付け?』
セセリ『確かに、精神的にはまだまだ赤子だったな。様付けは、従魔としては一応先輩だからだ。他意はない。』
でんぷん『そうか。肉は好きだけど、スープとか料理というものが食べたいなあ。なあ、飛んでくるときに近くに町とかなかったか。』
セセリ『近くに町はないが、村ならあったぞ。あっちだ。主の脚なら2時間もあるけば着くだろう。』
でんぷん『村か。よし行ってみよう。』
セセリと別れて村に向かった。
その村の入り口に着いた。
でんぷん『フクロロ村?と読むのか。フクロウでも奉ってるのか?』
周りを見て村人に話しかけた。
でんぷん『こんちわ~。』
村人A『………。』こっち見てから無言でどこかに行ってしまった。
でんぷん『あれっ?聞こえなかった?うーん、なんか雰囲気が暗い村だ。スルーするか。それとも念のために貴重な生命力を削って未来視するか?するか?うん、しよう。……あ~、よく分からんけど、あの建物に入るんだな。』
その大きな建物に近づくと
でんぷん『これは、この匂いは食堂か!ラッキー!』と思い、建物の中に入った。
ちなみに看板には、フゼン食堂と書かれていたが、読み書きが苦手なので目に入らなかったようだ。
お店の人『おや、旅の人かね。いらっしゃい。好きなところに座っていいぞ。』
でんぷんはカウンターに座った。食べながらこのあたりの情報を知りたいからだ。
でんぷんはお薦めの料理を食べながら『ここからギルドのある町は遠いですか?』と聞いた。
店主?『ギルド?冒険者か。』
でんぷん『いや、登録したくて。』
店主『登録?その歳で?』
でんぷん『幾つに見えます?』
店主『まさか、老け顔で実際は10代なのか?』
でんぷん『30過ぎだと思います。』
店主『そのまんまじゃないか!思うってなんだ?面白い奴だなあ。ハハハハハ。これは奢りだ。』とジュースを出してくれた。
でんぷん『超ラッキー。ありがとうございます。美味い。』
店主『ギルドならガオノラという獣人の町が一番近いぞ。ここから歩いて丸一日だ。えーと地図はどこに片付けたかなあ。………あった、これだ。』
でんぷんがのぞき込んだが【手書きの地図か。全然分からんぞ。どうしよう。】『このフクロロ村はどこになりますか?』
店主『違うぞ。ここはフクレレ村だ。俺が書いたんだからこの村はこの地図の中心だ。』と自慢げだった。
でんぷん『フクレレ村でしたか。………。』【どうしよう。ミミズが這ったような線しか書いてないから全然分からん。】
店主『ここがガオノラだ。遠いだろ。だがラッキーだぞ。明日そこのギルドに依頼するのに馬車で行くやつがいるから乗せてもらえるぞ。』
でんぷん『本当ですか。助かります。』【迷子にならなくてよかった。】
店主『よし、村長のところに行こう。俺が言えば乗せてもらえるさ。』
でんぷん『何から何までありがとうございます。』
店主『久しぶりに村外の者と話せたから楽しめたしな。』
でんぷん【一方的に話してただけだと思うけど。】
村長宅
店主『いるか!いるな。』
村長?『なんじゃ、フゼノか。どうした?ああ、そうか。ガオノラに行くついでに買ってきて欲しいものがあるのか?何だ?』
店主=フゼノ『こいつを連れて行ってくれ。ギルドに登録したいんだとさ。』
村長『おじさんじゃないか?まあ、薬草集めという依頼もあるし、冒険者という肩書に憧れて諦められんタイプか。』
でんぷん『えーと、これでも強いんですよ。カードを失くしてしまい、どうせなら新規一転で一から頑張ろうと思って…。』
村長『まさか犯罪者じゃないだろうな。』
でんぷん『いや、まさか…ハハハハハ。』【やばい、二つの国で指名手配だったわ。】
フゼノ『いくらなんでもそれは無いだろう。』
でんぷん『そう言えばギルドに依頼を出しに行くと聞きましたけど、どんな依頼なんですか?』
村長『興味があるのか。まあ、教えても構わんよ。この村の近くに花の魔物が出現して村人が3人も犠牲になったんじゃ。それの退治依頼じゃ。』
でんぷん『花…その討伐依頼、ギルドへの依頼料の半分で俺が引き受けましょう。』




