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第91話 でんぷんの次の目的は?

ハイアー『大丈夫か?今日はゆっくり休め。』

ハイアーは精気を吸い取られたでんぷんを見て心底心配になった。

でんぷん『腰が痛いし、そうします。』

そして、いつものメンバーで朝食を摂った。



食事が終わるころにエトラ女王がやって来て『でんぷん、宝物庫に案内しましょう。』

でんぷん『そうでした。………うん、顔見知りがみんな集まってるから丁度いいかな。明日のドワーフ国王選抜戦に出たあとそのまま旅に出ようと思います。短い間でしたがとても有意義な時間を過ごせました。ありがとうございます。』

ブレホン『と、突然過ぎるぞ。』

アノイ『そうよ。旅に出るにしてももう少しゆっくりしてからでもいいのでは?』

エトラ女王『そうか。行くのか。この国を、いや、この世界の海域を救ってくれたことは忘れないわ。』

アノイ『そんなあっさりと…。』

ハイアー【このままいると女王の相手をし続けることになるからか。】『アノイ。でんぷんが決めたことだ。それで次はどこに行くつもりだ。』

でんぷん『特に決めてないです。着の身着のままのんびりと旅をしようかと。』

エトラ女王『………それならエルフの国を目指すがよいだろう。』

でんぷん『エルフの国?』

エトラ女王『そう。その国には世界樹があり、その世界樹に宿る精霊神は、どんな願いも叶えてくれると言われておる。』

ハイアー『!』

でんぷん『どんな願いも!』

マンシュ大臣『生涯で一つだけと決まっているらしいし、それにその精霊神に気に入られなければならないらしい。嫌われたら叶えてもらえんそうじゃ。』

ハイアー『でんぷん!もちろん魔力持ち…。』&でんぷん『もちろん、髪の毛を…』

ハイアー&でんぷん『えっ?』

ハイアー『いや、お前は強いが、やっぱり魔力を持ったほうがいいと思うぞ。もっと強くなれるはずだ。』

ブレホン『うんうん。』

でんぷん『いやいやいや、やっぱり髪の毛でしょ。強さはそこそこでいいです。男として髪の毛を。』

アノイ『えーと、精霊神に髪の毛を生やして欲しいってお願いするの?精霊神に?』

でんぷん『そうだけど、何か問題でも?』

アノイ『いえ……たった一度切りの願いが髪の毛って………。』

でんぷん『おんなには分からんよ!よし、決まった。それでエルフの国はどこにあるんですか?』

エトラ女王『知らないわ。』

全員が首を振った。

でんぷん『へっ?………。』

マンシュ大臣『知ってると思うがエルフは閉鎖的な種族だ。入国の許可を持つ者以外は入れん。』

でんぷん『あ~、異世界物語の定番設定だ。それで許可はどうやって入手するんですか?女王様の推薦状とか?』

マンシュ大臣『エルフの信頼を勝ち取り、その者から許可を貰えばいい。』

でんぷん『そういうことですか。分かりました。エルフの依頼を受ければ一発ですね。』

エトラ女王『エルフは閉鎖的な種族なのよ。』

でんぷん『さっき、聞きました。』

ブレホン『エルフは自分たちの国から出たがらん。会えたらラッキーものだ。』

でんぷん『……ん~!……つまり、エルフの国に入るにはエルフの許可が必要で、そのエルフはエルフの国にいると……オーマイガー!』

ブレホン『心配するな。どんな種族にも変わり種はいる。冒険者になっているエルフもいると聞く。旅をしてれば会える…かも。』

でんぷん『なるほど。会えたらラッキー…ということか。そういう気持ちで旅をするのもいいかも。』

ハイアー【ポジティブすぎる。】

でんぷん『さて、女王様、脱線しましたが宝物庫へお願いします。』

マンシュ大臣『私が案内しましょうか?』

エトラ女王『大丈夫。私が連れて行きます。では付いて参れ。』



でんぷん『ここが宝物庫。すごい。ん?』

後ろで扉が閉まった。正確にはエトラ女王が閉めたのだ。

エトラ女王『宝物庫故に念のために閉めただけ。閉じ込めるつもりはないし、二人っきりでもここでそういうことはしない。さあ、気になる物を何でも選ぶがよい。』

でんぷんはホッとして、品物を見て回った。【全然、分からん。未来視は役に立たんだろうし、過去視も同様だよな。】

しばらく考えてからでんぷんは、あるものを一つだけ床から拾い上げ、『これでいいです。』と笑顔で言った。

エトラ女王『それだけでいいのか。無能者は無欲でもあるのか。まあ無理強いはしない。では戻ろう。』



マンシュ大臣『どんな宝を渡されたのですか。』

エトラ女王『気になるか。安心しなさい。金貨1枚よ。』

マンシュ大臣『きん!……聞き取れませんでした。』

エトラ女王『でんぷんに渡したのは金貨1枚。』

でんぷんがその金貨を見せた。

マンシュ大臣『本当にそれだけ…。』

でんぷん『俺には価値が分かりませんし、正直言ってお金は依頼で稼げばいいんですけど、一応、成功報酬ということで1枚だけ貰いました。』

ブレホン『勿体ない。』

マンシュ大臣『おほん。でんぷんよ。今日はもう予定はないだろう。それとも何かしたいことはあるか。』

でんぷん『そうですね。旅の必需品というかポーションをいくつか欲しいです。』

ハイアー『それなら、あとでアノイに道具屋に案内させる。好きなだけ持っていけばいい。お金は取らんさ。』

でんぷん『道具屋の場所は知ってますので一人で行けます。』

エトラ女王『私が付いて行こう。』

マンシュ大臣『!』

でんぷん『!』

エトラ女王『脅威が去って平和になった。それを噛みしめたい。ただ歩くだけでなく目的があればまた違ったふうに見えるでしょう。』

でんぷん『そういうことでしたらお願いします。』

ハイアー【なんだか急に女王様らしくなったようだ。】

マンシュ大臣『ふむ。まあ、この王国内なら護衛もいらんだろう。』



そして2人は道具屋にやってきた。

道具屋『これはこれは救世主様。…!!!!女王様も』とびっくりしたようだ。

エトラ女王『気にするな。海水だと思ってくれていいわ。』

でんぷん【そんなわけにいかないだろ。こういうところが高貴な人はズレてるんだよな。】『ポーションが欲しいんですが………。』

道具屋『それならこちらにハイポーションやキュアポーションもありますが…。魔力回復は…不要でしたね。』

でんぷん『ハイかあ。いや、普通のポーションを10本ください。あとは、そこのロープや包帯も。それと………。』

エトラ女王『もっと高級なものでもいいのよ。』

道具屋『そうです。お金は頂きませんから、好きな物を持っていってください。』

でんぷん『…これだけあれば十分です。ありがとうございました。』

でんぷんは欲しい物をマジックバックに入れてホクホクだった。

エトラ女王『嬉しそうですね。では、今度は私に付き合ってもらおう。もっと散策と視察をしたい。』


でんぷんとエトラ女王は、この後、様々な場所を巡って、ちょっとしたものを食べたり飲んだりした。

知らない者が見れば、カップルがデートしていると思っただろう。男の方はハゲているが。

だが、女はこの国の女王で男はこの国では知らない者がいない救世主なのだ。ハゲているが。


この夜もでんぷんはエトラ女王に呼ばれた。

でんぷん【3日連チャンはさすがにきついなあ。】

エトラ女王『でんぷんよ。今夜は優しく接して欲しい。そして回数ではなく深くしてほしい。』

でんぷん『優しく深くですか。分かりました。』【恋人が愛し合うような感じ?】

この夜の女王の顔は、今まで誰も見たことのない顔をしていた。

でんぷん【やばい。好きになってしまいそうだ。】と思ったのだった。

エトラ女王【レイ、ごめんなさい。あなたの好きな人を…………………私も。】


こうしてでんぷんの海底都市アトランブロートでの最後の夜が過ぎていった。


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