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第85話 力を求める女エルフ 其の一

ここはエルフの里。

6歳ぐらいの子供たちが歩きながら話していた。

〇〇〇『今日の授業は難しかった。俺には炎魔法は難しいなあ。』

△△△『そう、私は簡単だったわ。』

〇〇〇『ちぇっ、お前は不得意がないのか。いつもいつもぜーんぶの魔法を簡単にできるなんて!ブローチェはインチキしてるんだあ。』

ブローチェ『なんですってええええ。許さないわよ、スカイノア!』

□□□『もう2人とも喧嘩しないで。私は泣きたいくらい落ち込んでるのに。』

スカイノア『はあ?なんでだよ。俺よりも炎魔法できてたじゃん。フレンソワ。』

フレンソワ『そうだけど、ブローチェみたいにうまくできないし、スカイノアはそもそも剣術のほうが得意でしょ。私なんて、炎も水も風も土も氷もぜーんぶブローチェに負けてるのよ。あーあ、私もハーフならよかった。』

スカイノア『!』

ブローチェ『!』


老人『こらこら、そういうことを言うもんではない。フレンソワよ。お前も全ての属性が使えてるんだ。それはすごいことだ。それに総魔力量は、お前の方がはるかに多い。精進すれば強い魔法も可能かもしれん。初の全属性使いになれるやもしれんぞ。』

フレンソワ『本当?』

老人が笑顔で頷いた。

ブローチェ『長老様、えこひいきは卑怯です。』

長老『すまんすまん。3人ともそれぞれ精進しなさい。将来が楽しみだわい。』


その夜

フレンソワ『お母さん、アレやってえ。』と甘えていた。

フレンソワの母『はいはい。』と氷造形魔法で、様々な魔物を創った。

フレンソワ『すごーい。やっぱりお母さんの氷魔法は世界一だね。』

フレンソワの母『フフフ。そう?』両手を広げたと思ったら空中に氷の花びらを作り舞わせた。

フレンソワ『うわー、綺麗!』


十数年後

長老『一つの魔法を追求するのか?そうなると他の属性は使えなくなるかもしれんぞ。』

ブローチェ『フレンソワ、考え直して。一緒にたくさんの魔法を学びましょ。』

フレンソワは首を振り『私は、たった一つの魔法を極めたいの。氷魔法を。』

フレンソワは悔しかった。何時まで経ってもブローチェにどの属性魔法も勝てないことに。どの魔法を極めようかとは迷わなかった。なぜか氷魔法では負けたくなかった。それは大好きな母が氷魔法が得意だからだった。


数十年後

このエルフの里で氷魔法ではフレンソワに勝てる者はいなくなった。

長老『見事だ。もう誰もお前には敵わんな。』

スカイノア『長老様に勝つなんてすごいぞ。』

フレンソワ『ブローチェよりも?』

長老『………いい加減、誰かよりも優れていると劣っていると考えるのは止めるんじゃ。』

フレンソワ『スカイノア、どう?』ブローチェより上かどうかを聞いていた。

スカイノア『長老様に勝ったんだ。ブローチェより上だと思う。』

フレンソワは目を閉じて笑みを浮かべた。『やっと………。』


その数日後

長老『ならんぞ。この里から出ることは許可できん。』

フレンソワ『どうして?ブローチェは許可したのに。』

長老『ここでもっと精進したらいいじゃないか。』

フレンソワ『世界は広い。と長老様が言われたのよ。もっと氷魔法に磨きをかけたいのです。』

長老『しかし…。』

スカイノア『いいんじゃないですか。フレンソワは強いですよ。ついでに俺も。』

フレンソワの母『長老様。私からもお願いします。きっと一回り大きくなって帰ってくると思います。娘に許可を。』

フレンソワの父『長老様。私は何の取柄もないエルフです。でも娘は特別だと思っています。その娘の願いを…。』

フレンソワ『お願いします。』

長老『……分かった。一つだけ条件がある。1年に1回は帰ってくることだ。あとスカイノア、お前はダメだ。』

フレンソワ『ありがとうございます。』

スカイノア『ちぇっ………フレンソワ、良かったな。』

フレンソワ『ええ、ありがとう。』

長老【心配だ。フレンソワの心の奥には闇が見える。本当に出していいのだろうか。闇に飲まれなければいいが。】



こうしてフレンソワは里を出て世界中を周った。最初は、魔物を退治したりしていたが、ある時から火属性の魔物や、火属性使いの悪党を選んで退治するようになった。

フレンソワ『氷魔法の弱点である火魔法も私の力の前に大したことがないわ。』と有頂天になっていた。そしてあるうわさを聞いた。ドワーフの国の山に火の精霊がいると。

フレンソワ『火の精霊?そうよ。精霊に勝つことが出来れば私は本当の最強になれるわ。』


そして火の精霊がいると言われている山に行った。

フレンソワ『ここね。火の精霊!いるなら姿を現して私と戦いなさい!』

しかし、返事はなかった。

フレンソワ『デマだったの?………。でも試しに……。』

山全体を凍らせ始めた。その時、全ての氷が解け、火口から火が飛んできてフレンソワの頭上で止まった。

フレンソワ『あなたが、火の精霊?火の鳥なのね。』

火の鳥『いかにも。だがわしにはお前と戦う理由はない。帰るがいい。』

フレンソワ『戦う理由?あるわ。私の氷魔法が最強無敵だと知ることよ。だから氷漬けになってもらうわ。』

火の鳥『問答無用か。』羽が凍らされそうになった。それだけだ。

結果は、フレンソワが火傷を負って終わった。完敗だった。

旅に出て初めての敗北だった。

それから修行を積んで幾度ともなく戦いを挑んだが全く歯が立たなかった。

フレンソワは泣いていた。『悔しい。これが限界なの?所詮は精霊には勝てないの?私の魔力量では今以上の氷魔法はもう出せない。どうしたら………。』

よく泣いた次の日からフレンソワは、もう強さを求めなくなった。適度に冒険者ギルドの依頼をこなし町から町へと渡り歩いた。


そしてとある依頼で悪事を働いている同族に出会った。

それはダークエルフだったが、氷魔法を極めたフレンソワには敵わなかった。

ダークエルフはフレンソワの心の奥にある闇を感じ取り、死に際に『もっと力が欲しいのだろう。俺のようになれればもっと強くなれるぞ。魔力量も格段に上がるぞ。ゴホッゴホッ。』

フレンソワ『それは悪人に成れと?』

ダークエルフ『フフフフフ。分かってるだろ。答えは自分で探せ。それが俺のさ…い…ご…の…て…い…こ…う。』死んだ。

フレンソワ『……勝手な…でも、ダークエルフなら火の精霊に勝てる?長老様に聞いて……無理ね。そんなことを聞いたらもう里から出れなくなるわ。となると自力でダークエルフになる方法を探さないと。』

このダークエルフとの出会いがフレンソワの心にくすぶっていた火の精霊に勝ちたいという想いにもう一度火を点けたのだった。

だが、長老様の耳に入らずにダークエルフになる方法を見つけることは困難を極めた。


ある日のとある町で食事をしていたフレンソワのテーブルにフードを被った男が相席した。

フレンソワ『空いている席があるんだから他に座ったら?それとも美人の私をナンパかしら?代償は高くつくわよ。』

フードを被った男『ダークエルフになる方法を探してるのはお前か。』

フレンソワ『!』

フードを被った男の両脚が一瞬で凍り付いたが、すぐに氷は無くなった。

フレンソワは自分の氷魔法を破ったと認識し、攻撃態勢に入った。

フードを被った男『魔法都市ナモラシェンテにある学園の図書室に禁書のコピーがある。それが答えだ。原本がある禁書部屋は許可なく入れんのは分かっているだろ。』

フレンソワは警戒しながら『どうして私にそれを知らせる?見返りは?内容を知ってるなら教えて!』

フードを被った男『内容は知ってるが、それは自分で理解したほうがいい。選択が迫られるぞ。最後に私は、力を求める強者の味方だだと言っておこう。』

そう言ったと思ったら姿が見えなくなった。

フレンソワ『消えた?魔法学園…よりにもよって、あそこ?』


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