第84話 でんぷん、氷の魔女との対決 其の三
ブレンダ『折角の来訪だが、今日は気分が優れない。ゆっくりと弄ぶ気はない。』
ハイアー『それはこっちも同じだ。』
ホクザン『………。』無言で今にも飛び掛かろうとしていた。
ブレホン『やっぱ、来なければよかった。』と震えていた。
でんぷん『もしかしてあの日か。』
ブレンダのこめかみがピクリとした。『真っ先に死にたいみたいね。』
でんぷん【どうせ死ぬんだし】『死にたくないけど…えーとその耳は、エルフか?』
ホクザン『おそらくダークエルフだ。禁断魔法に手を出したな。』
ブレンダ『エルフ。そのような軟弱な種はもう捨てた。我は最強の氷魔法使い。我に凍らせれないものは無いわ。』
でんぷん『確かに肌色からダークエルフっぽいな。それに結構色っぽい。』
ハイアー&ホクザン『はあ?』
ブレホン『何言ってる!』
ブレンダ『さっきからお前は侮辱ばかり。色っぽい…色っぽいって、そんなこと言われたことがな…い。』少し赤面した。
ホクザン『エルフは魔力量が高く様々な魔法に特化しているが、禁断魔法で魔力総量の底上げをしたな。それでダークエルフになったのだな。』
赤面したブレンダの顔に怒りが見えた。『お前に何が分かる!』
でんぷん【くそっ。ダメ元で口説いているのに、邪魔しやがって。】とホクザンを睨んだ。【でも何度視ても未来は変わらない。ダメなのか。】
ブレホン『他に敵はいなさそうだな。1人なのか。』
ブレンダ『1人?ククククク。』笑ったと思ったら四方に氷の兵士たちが現れ囲まれた。
ハイアー『くそっ!』
ホクザン『多いな。それにこの分だといくらでも作れるようだ。』
ブレホン『ひ~………。』
と3人は驚いていた。
でんぷんは驚かなかった。未来視でこうなることもそれ以降も知っているからだ。
ブレンダ『その通り。いくらでも作れるわ。でも。』と兵士たちが崩れた。
ブレンダ『不要よ。私の手で葬ることこそ意義があるのよ。分かるかしら?4人も増えるとこの部屋の温度が上がってしまうわ。特に…。』
突然、ブレホンが『あわわわわ。うわあああああ。』と言ったと思ったら氷漬けになった。
ハイアー『ブレホン!』
ブレンダ『デブは暑苦しいから嫌いよ。一番部屋の温度を上げるからね。』
でんぷん『凄い偏見。』と呟いた。
ハイアーはホクザンを見てから『水龍螺旋術・殺』と言ってスキルを使った。
でんぷんと戦ったとき同様に水が龍のようにブレンダに襲い掛かる。その数は、大きく太い水流が5本と細く鋭い水流が5本の計10本。それらがうねりながら襲い掛かった。
しかしブレンダに当たる前に全ての水流が凍結した。
ブレンダ『無駄よ。』と言った瞬間、後方に飛んだ。そして頬に触れた。触れた手は赤く、頬も赤くなっていた。ブレンダの頬が切れていた。
ホクザン『しくじった。』剣を握った手は凍っていた。
ブレンダ『よくも、よくも私の顔に傷を!!!!』
ハイアーのスキルに隠れて放ったホクザンのスキル攻撃だった。首を斬るはずだったが寸でで凍結され致命傷にならなかった。
ホクザンのスキルは、亜空間スキルだった。ブレンダの近くに小さいゲートを開けて本人は移動せずに自らの腕をそこから出して直接攻撃することができるのだ。そもそもホクザン自身の魔力量では自身の移動はできない。
ハイアーはもう一度スキルを使おうとしたが発動しなかった。いや、それどころか下半身が動かなかった。胸の付近まで凍り付いていたのだ。ホクザンもでんぷんも。
ブレンダ『魔力回路を凍らせて動かないからスキルはもう使えないわ。フフフ。というよりもう動けないでしょ。』と臍のあたりを指しながらゆっくりと近づいてきた。
ブレンダはホクザンの凍り付いた手を見て『お前ね。私の顔に傷を付けたのは。』
ホクザン『少しはマシな顔になっ…。』頭まで凍り付いた。
ブレンダ『フ~。いけないわ。苦しめるつもりが一気に凍らせてしまったわ。仕方ないわ。私の顔を傷つけたんですもの。どう?これでもまだ色っぽいかしら?』とでんぷんに聞いた。
でんぷん『顔が色っぽいんじゃなくて、全体の雰囲気が妖艶なんだよ。できれば凍らされる前に抱きたいくらいだ。』
これには返事しなかった。どうでもよかったのだろうか。それとも照れ隠しででんぷんを凍らせたのだろうか。
ハイアー『でんぷ~ん!』救世主のでんぷんが凍ってしまった。すなわち討伐の失敗を意味した。
ブレンダはハイアーに向かって『あとはお前だけだ。お前のスキル、昔見たことがあるぞ。お前の師か。それとも……フフフフフ。思い出したぞ。似ているなあ。あれは親か。確か、王を守って粉々になったが、愚かな弱者だった。』
ハイアー『きさま~。』
ブレンダ『お前たちは私の意見を無視してここに来た。ゆっくりと海を凍らせるつもりだったが、止めにしよう。一気に海を凍らせ、この世界を氷の世としよう。そして私に楯突くものはこうなるのよ。』そしてハイアーも凍り付いた。
ブレンダは玉座に戻ろうとしたが、振り返りホクザンに近づいた。そして
ホクザン『ゲホッ。ハアハア。』
ブレンダ『上半身の凍結を解いた。どんな気分だ。』
ホクザンは周りを見た。ハイアーが凍っていた。そしてでんぷんも凍っていた。
ホクザン『でんぷん………。』【魔神2体を倒したお前でもダメだったか。】
ブレンダ『お前も、あいつ(ハイアー)もそいつ(でんぷん)が気になるようだが、何もできずに……フフフフフ…そうか、私を口説くつもりで連れてきたのかしら。残念だったわね。私の好みではないし、もうそういうのに興味が無いの。私は氷の女王よ。』
ホクザン『氷の魔女だったんじゃないのか。』
ブレンダは再度ホクザンを凍結させて、しばらくして凍結を解いた。
ホクザン『ぶはっ、ハアハアハア………。なぜ?』
ブレンダ『私の顔を傷つけた。何度も苦しむがいい。あとは、魔女という肩書は返上するわ。今から女王。氷の女王よ。世界中が私にひれ伏すのよ。』
そしてホクザンの右胸に人差し指を置いた。その途端
ホクザン『グワーッ。』
ブレンダ『右肺を凍らせたわ。苦しい?次はどこにしようかしら。』
ホクザンの叫び声が何度も響いた。
そして……静かになった。
ブレンダ『もう飽きたわ。』
でんぷんはまだ死んでいなかった。だが凍結による脳の機能が完全停止するまでのタイムリミットは迫っていた。
でんぷんは凍らされた直後に意識を過去に飛ばした。未来は知っている。未来は変わらない。そして過去も視るだけで変えられない。だけど今のでんぷんができるのは……過去視だけだ。
でんぷん【もうできることは過去視だけなのに意識が薄れる。俺が死のうとしているのか。時間が無い。】そう思って一気に時間を遡った。
すると海の中を視た。
でんぷん【あれっ?そういえば突然現れたと言ってたっけ。過去に行きすぎたか。戻らないと。】
でんぷん【おっ。いた。あれ?あの魔女が大きな鳥となにか話してる。あっ、鳥が凍った。…………あいつすごい笑ってるようだな。鳥を凍らせて笑うなんてサイコパスか。…………………………いや……………………………なにか違う。残された時間は少ないけど少しずつ遡るか。】
こうしてブレンダと鳥のシーンを逆回転で見始めた。
そして突然、鳥が燃えた。いや違う。逆なのだ。つまり突然鳥の周りの炎が消えたのだ。それで鳥が驚いていたのだ。
でんぷん【もしかして鳥は、火の鳥。手〇治〇か。不老不死?なんか違う。よく分からん。でもなんか引っ掛かる。】
鳥の炎が消えるシーンを何度も視た。
ブレンダが香炉のようなものを触った途端、鳥の火が消えたのが分かった。
でんぷん【氷の魔女だから火が苦手なんだろう。あれは火を消す魔道具なのか?じゃあ、あの鳥は、……魔女の天敵?………本当にそうなのか。でもあの魔女の氷魔法は強力だからあの魔道具を使わなくても火の鳥1羽ぐらい凍らせれるはずだ。それができないということはあの火の鳥は氷の魔女よりも強い!ということだ。……だからどうしただ。もう凍ってるし。でも粉々になってなかった。粉々にできない存在か、神の鳥か?そうだとしてもそれが何の役に立つのか?もう指一本動かせないのに。】




