第82話 でんぷん、氷の魔女との対決 其の一
アノイ『目を覚ましたのね。』とでんぷんに抱きついた。
でんぷん『ここは?』とハイアーのことを気にしてアノイを引き離して聞いた。
ハイアー『アトランブロートだ。1週間寝てたぞ。』
でんぷん『……そんなに?えーと……。』
ブレホン『デズノスネークの毒のせいだ。』
でんぷん『ミズノスネーク?そうだ。蛇に咬まれて大変だったんですよ。アレ?脚はなんともない。』
ブレホン『ドワーフの神父様とアノイのお陰だ。あと、デズノスネークだ。』
でんぷん『神父様とアノイさんのお陰ですか。……神父様……神父!まさか小便を。』
ブレホン『安心しろ。普通の治癒方法だった。それとオーツーマウスとマッテリー2個だ。』
でんぷんはそれらを受け取り『いよいよですね。』
ハイアー『ああ、いつでもいいぞ。』
マンシュ大臣『今からというのは止めたほうがいいぞ。』と女王とやってきた。
エトラ女王『でんぷん、ご苦労様です。大臣。ソレを。』
マンシュ大臣がでんぷんに剣を渡した。
エトラ女王『気休め程度かもしれませんが、炎鉄鉱石製の剣です。今は採掘できなくなって希少なものですが、勝つ確率を少しでも上げれればと思い、持ってきました。』
でんぷん『ということは炎属性付き?』
マンシュ大臣『そういうことだ。魔力の無いお前では効果は微々たるもんだろうが、ミスリル製よりはマシだろう。』
ブレホン『失くすなよ。お前、すぐ武器を失くすから気を付けろよ。』
でんぷん『ハハハハハ。ワザとではないですよ。でもありがたく使わさせていただきます。じゃあ、あとは何か食べたいです。お腹ペコペコで。』
ブレホン『そうだろ、そうだろ。行こう。』
次の日
エトラ女王『軽装ですね。』
でんぷんは炎鉄鉱石製の剣とオーツーマウスとマッテリー2個のみを持っていた。
でんぷん『他に思いつかないので。でその魔女のところまではハイアーさんが連れて行ってくれるんですか。』
ハイアー『そうだ。一緒に戦うぞ。』
でんぷん『それは……。』とチラッとアノイの方を見た。
アノイは目を逸らした。
でんぷん『はあ~。アノイさん、いいのですか?もしかしたらこれがラストチャンスかもしれませんよ。ハイアーさんもほら。』とハイアーの背中を押した。
アノイ『私は…。』
でんぷん『1時間。1時間待ちますから、二人でよーく話し合ってください。』
マンシュ大臣『でんぷんがここまで言ってるからには、態度で示すべきだろ。後悔先に立たずだ。』
2人は頷いてどこかに行った。
でんぷん『世話が焼けますね。でも1時間で足りるかな。』
エトラ女王『世話好きなのですね。でもありがとう。あの2人には幸せになって欲しいわ。だから勝ってください。』
ブレホン『幸せにって、女王様がそれを…。』
マンシュ大臣『オホン。』
しばらくして
エトラ女王『暇ね。』
マンシュ大臣『仕方がないですね。』
でんぷん『戦いの前に体力を使わせてしまったなあ。』
ブレホン『そうだが、逆にスッキリして技に切れが出ていいかもしれんぞ。』
さらに時間が経って、2人は戻ってきた。
ハイアー『でんぷん、すまない。』
アノイ『ありがとう。』顔が赤かった。
ブレホン『スッキリしたところで行くか!』
でんぷん『えっ?』
ハイアー『なにっ!』
マンシュ大臣『まさか!』
エトラ女王『戦いは苦手なのに?』
ブレホン『ここまででんぷんと共にしたからには行くしかないでしょ。』
マンシュ大臣『ブレホンもやはり海獣族の誇りがあったか。見直したぞ。』
でんぷん『…………誇り………そういえば多数の冒険者たちが返り討ちにあったのですよね。まさかその者たちの武器やアイテム回収が目的とか…はさすがに読み過ぎか。ハハハハハ。』
ブレホン『なっ、なにを言ってるんだ。お前はエスパーか。あっ!』と慌てて口を閉じたが。
マンシュ大臣『前言撤回だ。誇りはないようだ。』
アノイ『いつものブレホンさんで安心したわ。フフフ。』
エトラ女王『分かりました。……ところででんぷん、これがなにか分かりますか。』と真っ黒に焼けたドーナツのような輪っかを取り出した。
でんぷん『?』と首を傾げた。
エトラ女王『お前がここに来た時に身に付けていた物だ。私はこれをある人物に渡した。敬愛を込めて。』
でんぷん『あっ!それは水の腕輪!』
エトラ女王『そう、これはハクレイ姉さんにあげたものよ。……はんぺん。お姉さんはあなたの子を身ごもってるわ。』
でんぷん『俺の子………。』
ハイアー『話が見えないんだが………。』
エトラ女王『ビッグバンの中心人物であり、表向きはあの魔神を引き起こした犯人、実際は、魔神を倒すのにもっとも貢献した者。そうですね。ブラッド様の弟子のはんぺん。』
でんぷん『そうです。よく調べれましたね。まあ、指名手配されているようなのであそこには近づけないですが。』
エトラ女王『一応、死んだことになってるわ。だからお姉さんにはこのことは伝えてないの。』
でんぷん『お姉さんって、本当の?』
エトラ女王は首を振って『違うわ。血は繋がってないの。私が子供のころから遊んでくれたのよ。見た目はお姉さんのほうが若いけど。このことを話したのは、あなたも死ねないのよ、と言いたかったの。無事に帰ってきて、お姉さんに生きていたという報告をしたいの。分かりましたね。』そう言って、腕輪に魔力を注いだ。すると、元通りになった。
エトラ女王『氷の魔女相手では効果はないでしょうがお守り代わりに持っていきなさい。……本当は、火耐性以外の効果もあるらしいのですが、私の魔力では…おそらくもっと大きな水の魔力を注がなければならないのかもしれません。』
でんぷん『でも、ありがとうございます。』と腕輪を嵌めた。
エトラ女王『ホクザン!お前も付いて行きなさい。』
そう言うとホクザンが現れた。
でんぷん『うおっ!びっくりした。ホクザンさん?』
ホクザンが頷く。
アノイ『初めて見る顔…。』
ブレホン『俺もだ。』
でんぷん『えっ、そうなの?』
ハイアー『ああ。』
マンシュ大臣『女王様直属というよりエトラ様がお生まれになった時から付き添っている影の騎士がいると聞いていた。私も初めて見る。』
エトラ女王『でんぷんの手となり足となり命を賭けよ。』
ホクザン『はっ!』
ホクザンはでんぷんの方を向いて『でんぷん、はんぺん、そして、おでん、何と呼べばいい?』
エトラ女王『おでん?』
ホクザン『あれから更に調査したところ、アーレダール王国領ではおでんと名乗っていたようです。』
マンシュ大臣『詐欺師?』
ホクザン『アーレダール王国の魔神を倒したもの彼です。』
エトラ女王『なんと!魔神2体の討伐に関わっていたとは。もはや勝利しか見えない。しかし、なぜ名前を変える必要があったのか。』
ホクザン『王国の闇を知りすぎて指名手配されております。そしてもう一つはご存知の通り、魔族との仲たがいを避けるために犯人にされております。』
アノイ『そんな……。』同情の目で見つめた。
ブレホン『でんぷん、お前って凄い奴だったんだな。』
ハイアー『俺は、ブラッド様の弟子ということが驚いたし納得したぞ。お前の戦闘スタイルがブラッド様のに似てたからな。』
でんぷんは褒められ慣れていないのでむず痒くなった。『えーと、そろそろ行きましょう。』【期待し過ぎだ。】
ハイアー『ああ、お前は俺に掴まってくれ。かなり飛ばすから10分で着くぞ。』
でんぷん『了解。』と言ってオーツーマウスにマッテリーをくっ付けて口にくわえて海に入った。
ハイアー『おい。もう行ってしまったぞ。じゃあ。』とアノイにキスをして海に入った。
アノイ『気を付けて。』と両手を握って祈った。
ブレホンとホクザンも続いて海に入った。
こうして海域の運命を背負って4人が氷の魔女の住む魔宮に向かった。




