第80話 でんぷん、まだ材料が必要なんです
ブッケ『おお、綺麗な魔石だ。こいつはいいサハギンを狩ったんだな。』
でんぷん『ハハハハハ。いろいろあって。で明日にはできますか。それとも1週間後とか。まさか1ヶ月後ということはないですよね。』
ブッケ『3分でできるぞ。ちょっと待っとれ。』
でんぷん『へっ?』
ブレホン『時間があったし、あの魔石を丁度いい大きさに加工して嵌め込めば完成なんだろう。』
でんぷん『なるほど。カップラーメンか。』と感心していると
ブッケ『出来たぞ。ほれ、どうだ。』
でんぷん『これがオーツーマウスか。これでどのくらい息が持つんですか?』
ブッケ『半永久的に持つぞ。何と言ってもサハギンの耐水溶性魔石とコカトリスの骨の相性の良さが相乗効果を生んで口に加えつつほんの少しの魔力を流してやればいいんだ。』
でんぷん『ん?今なんて……魔力を流す?どうやって?』
ブッケ『だから自分の魔力をほんの少し流してやると魔石が反応して酸素を供給してくれるんだ。つまり半永久的…何を打ちひしがれてる?』
でんぷんは床に両手と両膝をついてうな垂れていた。
ブレホン『でんぷんは無能者なんだ。魔力が無い。』
ブッケ『ハハハハ。そんな冗談はよしてくれ。コカトリスやサハギンを討伐したんだろ?ブラックワームに食べられても生きてたんだぞ。……マジか!』
でんぷん『ちなみに魔力を供給しなかったらどのくらい持つんですか?』
ブッケ『うーん、正確には分からんが10分ほどかな。』
でんぷん『全然ダメじゃん。ブレホンさんは知らなかったんですか?』
ブレホン『知らんよ。海獣族には不要な魔道具だからな。』
でんぷん『あ~、そうですよね、納得。はあ、どうしよう?』【諦めるか?でもここまでやって?………まてよ。魔石で魔道具が動くよな。魔石はいわば動力源。電源のようなものか。ということは。】
でんぷん『ブッケさん、これに外部から魔力を供給するようなものは作れませんか。例えば外付けで魔力を取り付けて………。』
ブッケ『ん?おまえが言ってるのはマッテリーのことか。』
でんぷん『マッテリー?もしかして魔石のバッテリーだからマッテリーって転生者が考えたんですね。』
ブッケ『そうだ。あれは一躍大金持ちになったな。』
でんぷん『羨ましい。で、できますか?』
ブッケ『可能だ。』
でんぷん『はい、問題解決!』と笑顔でブレホンを見た。
ブレホンは首を横に振った。
ブッケ『効率が悪い。一般に魔石は水に浸すと魔素が漏れてくる。つまり海の中だと魔力があっという間になくなる。』
でんぷん『えーと耐水溶性の魔石は?サハギンのを予備マッテリーには?』
ブッケ『10分伸びるだけだぞ。いくつ必要になるか?』
でんぷん『もっとすごい魔石は?』
ブッケ『うーん、思いつかん。もしかしたらクラーケンの魔石なら?』
でんぷん『クラーケン!異世界魔物知識としてはかなり強いですよね。』
ブレホン『死ぬぞ。』
でんぷん『やっぱり。それにもう海の中は怖いから嫌だし。あーこんなことならあのサメにお願いすればよかった。クラーケンにも勝てそうだし。もう連絡つかんか。』
ブッケ『まあ、耐水溶性は無いが、耐水性の魔石持ちの魔物ならこの近くにいるぞ。それならもしかしたら1時間位持つかもな。まあ2個あればいけるだろ。』
でんぷん『おっ、陸上ならいいですね。で?どこに?』
ブレホン『サンドワームだよ。』
でんぷん『…………はあ。あれかあ。ハイアーさんたちに手伝ってもらえないかなあ。』
ブレホン『相性の問題だ。砂漠では海獣族は水が無いから力が半減する。スキルも使えんし。というわけでお前ひとりで頑張れ。』とでんぷんの肩をたたいた。
でんぷんは、しばらく考えてから『武器がいるな。』
ブレホン『そうだな。よし、隣に行くぞ。』
バッケ『こんどはサンドワーム討伐か。お前の戦闘スタイルは何だ?魔法系か、攻撃系か。』
ブッケ『無能者だってよ。つまり剣のみだな。』
バッケ『無能……マジか。ミスリル製しかないけど討伐できるのか?』
でんぷん『斬れないかなあ。……………うん?大剣が欲しいかな。』
バッケ『大剣って、扱えるのか。』
でんぷん『分かりません。使ったことないので。』
バッケ『なのに大剣?よく分からんが分かった。待っとれ。』
でんぷん【未来視で大剣を担いで出て行ったんだよな。師匠からは大剣使いは教わってないけど。】
バッケ『ほら、これだ。振れるのか。』
でんぷん『大きいなあ。…ん、なんか違う。これでは無くて他に大剣は?えーと多分ミスリル製では無くて。』
バッケ『鋼の大剣はあるが、重いぞ。』そう言って持ってきてくれた。
ブレホン『ミスリル製のほうがいいと思うぞ。』
でんぷん【うん、これだ。】『重っ!でもこれにします。』と両手で持って振ってみた。
ブレホン『剣に振り回されてるぞ。』
でんぷんは大剣を背に背負って『では。』と出て行った。
バッケ『行動早っ。』
でんぷんはバッケの店から出て、未来視した。他に買うものがあるかもしれない。あった。でんぷんは店に戻った。【未来視で戻った理由はこれか。】
バッケ『どうした?やっぱり剣の交換か。』
でんぷん『ブッケさんのところで買いたいものが。』
ブッケ『何だ?』
でんぷん『さあ?何でしょう?』
ブッケ『?』
バッケ&ブレホン『?』
でんぷん『?』【未来視でブッケさんの店に入ってしばらくしてから出て行ったから何かを買ったんだと思うだよね。】
ブッケ『よく分からんが、戻ろう。』
こうしてバッケもブッケの店に行った。
ブッケ『で、何が欲しいんだ?』
でんぷんは無言で店内を見回した。もちろん未来視していた。
でんぷん『そこは?』
ブッケ『工房だ。見たいのか。』
でんぷんはブッケの工房に入った。
バッケ『何をしてる?』
ブレホン『さあ?』
でんぷんは、ある物を指さして『これをください。』と言った。
バッケ『へっ?それは売りもんじゃないぞ。』
でんぷん『じゃあ、タダでください。』
バッケ『熱でもあるのか?訳分らん。』
でんぷん『俺も分かりませんね。ハハハハハ。』
そしてそれからでんぷんは砂漠の手前まで来た。あの3人は付いてこなかった。
でんぷん『さすがにもっと砂漠に入って行かないと出ないか。』未来視したが町近くの砂漠ではサンドワームは出ないようだ。
でんぷん『仕方がない。行くか。』と砂漠地帯の奥に進んでいった。
でんぷんは大剣を背負っており、その大剣の柄の部分に布を巻き付けており、それはでんぷんの右手首にも巻き付けていた。
でんぷんの未来視では、ブッケの工房でブッケが加工時に使用する丈夫な布を貰った。大剣とでんぷんを繋ぐためらしい。なぜかは知らんが。多分、振った時の大剣の重さで手を離してもどこかにいかないためだろう。
あのとき
ブッケ《それでいいのか。》と聞いてきた。
バッケ《俺も使ってるぞ。俺のをやろうか。ハンマーを握る時に手に巻いているんだ。だから俺の血と汗が浸み込んだ一品だ。お前になら特別に譲ってやるぞ。》
と言っていたが、すぐに断った。
多分、未来視でバッケの店で貰わなかった理由はそれが臭いからだろう。
とりあえず、考えるのに疲れたので何も考えずに未来視通りに行動していた。
本当にこれだけでサンドワームを討伐できるのか?
それとも未来視は討伐ではなく他の未来を示しているのか。
でも砂漠を進む姿が視えたので間違いないだろう。
でんぷんは砂漠地帯をかなり進んで立ち止まった。
周りは砂漠しか見えない。
でんぷん【ここか。ここではあのブラックワームは出ないようだ。ここで魔石を2個ゲットできれば終わりなんだけど。未来視ではよく見えなかったなあ。なんでだろう?】
余談だがでんぷんは知らなかった。ブラックワームの脅威がもうないことを。あの日ブラックワームはこの砂漠地帯を去って行ったことを。
でんぷんは大剣を抜き両手で持って、深呼吸をした。
でんぷん『さあ、サンドワームたちよ。今日がお前たちの命日だ。フフフフフ。』




