第5話 おでん、自分のスキルを考察~ステータスが見れないから詳細が分からない~
おでん『よし、未来を見てみるか。』先日、魔物を倒した場所に来ていた。
おでん『あれ?草むらしか見えなかった。ここには魔物が出ないのか。よし、次、行こう。魔力使わないから回数を気にしなくてもいいのは最高だな。』
魔物を探してあちこち移動してはスキルを使った。
おでん『……………今日は魔物が出ない日なのかな。何か疲れたな。魔力無しスキルなのに。精神的疲労だな。はあ~。』と大きく溜息をついた。
おでんは、紙とペンを取り出し『少し、俺のスキルを整理してみるか。ステータスが見れないのは不便だな。』
紙に書き始めた。
スキル名:未来視みたいだ。
消費魔力:ゼロ
有効範囲:俺が今いる場所を中心に半径5mぐらいかなあ。
視える未来:現在から最大1日だな。それ以上は、壁があるかのように見れないな。
記憶:長時間(1日分)だとあまり記憶に残らない。
もしかしたら、短時間と長時間で早送りスピードが違うのか?どうやって検証しようかな。
備考:どうも見た未来は確定のような感じ?未来を変えることはできないような気がする。
おでん『ざっとこんな感じかな。そういやギルマスがスキルレベルとか言ってたか。レベルが上がればもっと違ってくるのかもしれないな。ってレベルってどうやって上がるんだ?聞いておけばよかった。いやいや、スキルが無いことになってるのに聞くのは変だ。まあ、こういうのはスキルを使っていけばレベルが上がるもんだよ、多分。よし、再開だ。』
追記
Level:多分 1
おでんが再度未来を見ようとした時、視界が真っ暗になって意識が無くなった。
どのくらい意識を失っていたのだろうか。この場所で倒れたにもかかわらず生きていたのは幸いにも魔物がいなかったからだ。運が良かった。
おでん『何が起こったんだ?もう一度未来を………念のために止めておこう。毒消し草を採取して帰ろう。』
この日は、毒消し草を納品して終わった。マリーから小言を言われたが、とりあえず謝って機嫌を取った。
休憩室で寝ながら
おでん『このスキル、何か制限があるのかも。』と思いつつもなんだか疲れて寝てしまった。
翌朝
日課にしている街の城壁の周りをジョギングした。
門番『大分、息が上がらなくなったんじゃないか。』と言われた。
おでん『そうですね。でもまだまだ。もう一周はできるようになりたいかな。』息を整えつつ返事した。
おでん【うん。継続は力なり、だ。】
そして、地下訓練所
おでんは一人で剣を振っていた。これも日課になっていた。
自己流だけに強くなっている実感はない。ただ、あの時もう少しやっておけばと思わないようにしたいと思って剣を振った。
おでん【やはり、後悔先に立たず、だ。】
と自己満に浸っていた。
再び休憩室。
おでん【さて、ここなら意識を失っても大丈夫だ。】
おでん『MAXの未来視でいこう。』
1回目の未来視
2回目の未来視
3回目の未来視
4回目の未来視
5回目の未来視
6回目で意識を失った。
しばらくして気が付いて
おでん『回数か?回数なのか~………。でも短時間未来なら回数が多くなるか?それにどのくらいのインタバールで回数が回復するんだろうか。MAX未来視が1日ならやっぱり1日かな。』
次の日の休憩室。
おでん【今日は、10分未来視で何回できるか】
1回目の未来視
2回目の未来視
3回目の未来視
4回目の未来視
5回目の未来視
6回目で意識を失った。
気が付いて
おでん『ということは回数制限かあ。まあでも1日5回なら十分だ。』
追記
使用回数:5回
おでん『あとは視た未来の記憶だな。というより俺がMAX未来視と10分未来視でどのくらいぼーっとしてるんだろう。調べるには時計が必要だ。この世界の時計は高いのかなあ。』
また、次の日
マリー『時計ですか。ギルマスなら持っていますが、私は持っていません。そのくらい高いですよ。』
おでん『俺の口座残高では買えない?』
マリー『あれからあまり増えてませんよね。それなら全然買えないですね。』
おでん『分かりました。』がっかりだ。
マリー『必要ならギルマスに借りてきましょうか?』
おでん『え~と。』しばらく考えて
おでん『すぐに返しますので、お願いできますか?』
マリー『そう言えば、最近、広場に新しいお店がオープンしたらしいの。そこのえーと、ワン?…ワッフルというのが美味しいらしいのよ。食べてみたいなあ。』
おでん『今度一緒に行きましょう。奢りますよ。』と苦笑しながら言った。
マリー『ウフフフ、催促したみたいね。じゃあ、ちょっと待ってて、借りてくるわ。』
しばらくして、マリーが戻ってきた。その手には腕時計があった。
マリー『はい。使い方は分かりますか。』
おでん『ありがとう。多分、大丈夫。』
マリー『じゃあ、終わったら持ってきてもらえれば私が返しに行くわ。苦手なんでしょ、ギルマスが。』
おでん『ハハハハハ。なんとなく。』
マリー『ギルマスはいい人ですよ。』
おでん『………そうかも。では。』と休憩室に向かった。
おでん『同じ転生者でもあの威圧感が半端ないからなあ。よしやってみよう。おっ、前の世界と同じ機能だ。ストップウォッチ機能もある。』
ちなみにこの世界は、1日=20時間、1時間=100分だ。つまり、前の世界より1日の時間が長い。これがいいのか悪いのは知らんし、その日暮らしの俺にはどうでもいいことだった。
おでん【まずは、10分未来視】スタートとストップ。
おでん【時間は、3秒しか経ってない。10分を3秒で見てるってことかあ。脳が疲れるはずだ。】
おでん【次は、MAX1日未来視】スタートとストップ。
おでん『え~!』と大声を出してしまった。結果は3秒。
おでん『ということは、視る時間の長さ関係なく3秒なのか。そりゃあ、長くなれば視た未来を覚えてないはずだ。スーパー超高速再生で見てるということだな。』
追記
スキル使用時間:3秒固定
おでん『脳トレが必要だ。筋トレに脳トレ。異世界で生きていくって大変だあ。』
おでん【よし、大体把握したぞ。あっ、クールタイムの検証忘れてた。もう面倒だから1日と思っておこう。】
スキル名:未来視
Level :1
消費魔力:0
有効範囲:俺が今いる場所を中心に半径5m
使用回数:5回(クールタイム1日にした)
視る未来:現在から最大1日
使用時間:3秒固定(無防備)
備考 :視た未来は不変
おでん『うーん、書き出すと中々いいんじゃないか。まあ、いつか自分が死ぬ未来を視るかもしれないけど、そのときは不変に抗おう。よし、検証終わり。時計を返しに行こう。』
おでん『マリーさん。腕時計ありがとうございました。とても助かりました。』
マリー『早かったのね。数日借りるのかと思ってました。じゃあ、返しておきますね。』
おでん『今日はあと3回使えるはずからクエストするか。』
もちろん、フロックンウルフ狩りだ。
おでん【今回は遭遇できますように】と念じて未来視した。
おでん【いた。確か5匹だったけど、後半の討伐方法が覚えてないな。】『うーん、ん、ん、ん!もう一回使えばいいんじゃないか?』
もう一回同じ場所で未来視した。2回目なので討伐方法がはっきりした。
おでん『俺って天才じゃん。……でも右腕噛まれてたなあ。未来が分かっても怪我は回避できないのか。俺の戦闘力が低いせいなのか。……まさかスキル2回使用も込みの未来視?そうだと本当に不変なのか。』とぶつくさ言ってると音が聞こえてきた。
おでんは、銅の剣を持ち、目を閉じて真横に振った。まずは1匹。
次に右手に銅の剣、左手に短剣を持った瞬間に、目の前から飛び掛かってきた。剣を咥え押し倒そうとしたので短剣で胸を刺した。2匹目。
おでん【大丈夫。視たままだ。でも痛いのはやだなあ。】噛まれることになっている腕のことである。
次に左右同時に襲い掛かってきた。イナバウアーのようにのけ反りながら銅剣と短剣でそれぞれ刺し殺した。これで4匹目。
そして当然上向きで倒れてしまった。【起き上がりたくない】と思ったが、諦めて起き上がった。その瞬間右腕に咬みつかれた。おそらく長い銅剣を脅威に思ったのだろう。だが、当然、左手の短剣は使える。ラストの5匹目。
全て討伐完了だ。
おでん『毒消し草、毒消し草。』と言って噛まれた右腕に当てた。
しばらくしてから
おでん『初体験~!ポーションタイ~ム。』とハイテンションでバッグからポーションを取り出して傷口にかけた。
おでん『すげ~。治った。地球で売ったら大儲けできるんだろうなあ。』としみじみ思った。ポーションは先輩冒険者から最低1本は持っていた方がいいと言われて購入して持ち歩いていたのだった。
この日は、この2回スキルを使ってフロックンウルフ5匹を仕留めた。
おでん『上出来、上出来。あと1回は念のために残しておこう。』
そしてギルド隣の解体屋に魔物を置いてきてギルドに戻った。
もちろん解体屋から牙を貰ってきた。明日は武器屋だ。
マリー嬢がこっちを睨んでいる。おそらくF級ソロがフロックンウルフ狩りに行ったことを怒ってるのだろう。解体屋から聞いたのだろう。守秘義務はないのか!
おでん【今度、ワッフルで機嫌を取ればいいだろう。今日は毒消し草の納品を諦めて目を合わせないようにしよう。】
おでん『マスター。唐揚げとビールね。』
マスター『おっ、ご機嫌だな。まずはビールだ。唐揚げはちょっと待ってくれ。』
〇〇〇『おっ、おでん。今日はもう終わりか。聞いたぞ、フロックンウルフ5匹持ち帰ったそうだな。ウルフキラーだな。そろそろ進級試験を受けたらどうだ。』
おでん【プライバシーは無いようだ】『ロンドさん。マスター、ビールをもう一杯。』
ロンド『サンキュー。』
おでん『唐揚げはあげないから。』
ロンド『これで十分だ。試験はどうする。まあ、それよりもマリーの機嫌を取ってこい。こっちにとばっちりが来てるわ。見ろ。』
おでんがマリーの方を見ると、他の冒険者になんだか怒ってるように見えた。めったに怒らないマリーが怒っている。
おでん【俺が原因か。でもなあ、別に恋人でもないんだよな。】
おでん『分かったよ。』とロンドに言ってマリーのところに向かった。
おでん『マリーさん。』
マリー『あらっ、おでんさん。いつの間に帰ってきてたんですか。』
おでん【いやいや、俺がここに入ってくるときから見てたでしょ。そうとう怒ってる?】と思った。
おでん『これ、毒消し草です。ところでマリーさん、明日は時間ありますか?よかったら約束のワッフルを食べに行きませんか?』
マリー『ワッフル!………ちょっと時間の都合がつかないかも。』とツンとした態度だった。
おでん【やばいなあ】『そうですか。あの広場のクレープも美味しいって言ってましたよね。残念、明日は一人でクレープとワッフルを食べに行ってきます。』
マリー『!!!まっ、まあ、お昼休み時間なら付き合ってあげるわ。』
おでん『本当?よかった。男一人で食べに行くのはちょっと抵抗があったので助かります。』
マリー『仕方が無いわね。』とようやく笑顔になった。
おでんがマリーの機嫌を取ってからロンドのところに戻った。
おでん『ロンドさーん!どうして唐揚げ食べたんですか!』
ロンド『それは目の前に出来立ての唐揚げがあったからさ。俺に食べて欲しそうにね。』
おでんはマスターを睨んだ。
マスター『もう一度オーダーするかね。』
おでん『………お願いします。』【マスターは商売上手だ】
次回は 07/12 18:00更新(毎週金曜日)