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第29話 おでん、国を救う?

遠くから魔人を見つめる者たちがいた。

ナザール『封印されたときは困ったが、ようやく欲しいデータは取れた。』

バドッグ『あの魔人は自分の心臓を求めて動いているんだろう。心臓が無いから不死身なのに心臓を見つけたら不死身じゃなくなるんじゃないか。』

ナザール『ああそうだ。心臓が体内に戻ればもう不死身ではない。それにそのあとはどう動くかは分からない。』

バドッグ『中途半端な魔人を作ったわけだ。』

ナザール『あのな、本当に不死身の魔人を作って、こっちに敵意を向けたらどうする?常に弱点は作っておくべきだ。お前が作りだした魔人はどうなんだ。まさか弱点がないのか。』

バドッグ『俺のか。どうだろう。考えたこともなかった。』

ナザール『今からでも組み込んだほうがいいだろう。』

バドッグ『残念だが、もう手遅れだ。おっと、もうすぐで王都に着くぞ。さすがのムサシも諦めたようだな。』

ナザール『お前は……はあ。』と視線を魔人に向けたのだった。


城から魔神を見つめるアーレダール王と大臣。

大臣『今からでも避難されては。』

アーレダール王『私は国王だ。国が滅びるなら私も共にしよう。お前こそ避難しないのか。』

大臣『私はこの国の大臣です。』

アーレダール王『そうか。………!!!!!あれは!』

近づいてきた魔神が倒れたのだ。

アーレダール王『まさか、やったのか。』


ムサシは魔神が倒れるのを見た。『おでん、やったのか。』

ギルマス『A級に推薦しないとな。』とムサシと握手を交わした。


ナザール『ありえない。ムサシはあそこにいる。誰が心臓を破壊したのだ。耐S級用に黒魔功スキルを付与してあるのに。』

そう言って2人はあの教会に向かったのだった。



魔人が倒れる数分前。

おでんは動く気力も無くなった絶望の中で顔を動かして心臓を見た。悔しかった。目の前に魔神の急所があるのに歯が立たない。ここに俺でなくムサシやギルマスがいたらなんとかなっただろうと思った。

おでん『チクショウ。誰か、誰でもいい。あの心臓を破壊してくれ~!』と転生して初めて大声で懇願した。

しかし、王都はほとんどの人々が避難し、衛兵も一緒に避難してしまっていた。おでんの叫びは誰にも届かなかった。

誰にも?そう、誰にもだ。おでんは忘れていたというよりも知らなかった。おでんの叫びに感知するものがいることを。


部屋の壁が壊され、それは飛び出してきた。

おでん『……えっ?タマ?…。グエッ。』瀕死のおでんに体当たりしたのだ。

おでん【HP1にダメージを喰らった気分だ。死にそう。】

おでん『そうだ。タマ!あの心臓をやっつけろ。…って俺の言ってることが分かるのか。そもそもこんなに小さいタマにできるか。』

タマはおでんの言葉を理解したのだろうか。心臓の方を向いた。そのタマに黒い魔気が放たれた。

おでん『タマ!』と叫んだが、タマに変化はなかった。

いや変化した。心臓よりも大きくなった。そして口を開けて


”パクン”


心臓は無くなった。

おでん『え~!!!!!。一口!やっぱりパックマン?』

タマは再び元の大きさに戻り

タマ『ゲエップ!』とゲップをしてから嬉しそうに飛び跳ねりながらどこかに行ってしまった。

おでん『……えーと、タマさん? タマ~、おーい。』戻ってこなかった。

こうして魔人は倒されたのだった。



教会から姿を見せたおでんたち。ビリーはまだ気を失っていた。

おでん『ビリーさん。ちょっと耐久力なさすぎでないかい。そろそろ起きて…。』

未来視したのだ。

おでん『一難去ってまた一難。でもまあそうでもないけど。』と上を見た。そこには2人の魔族がいた。

ナザール『また、きさまか、おぼん!』

おでん【名前違うし】『そういうお前は、………誰だっけ。』

ナザール『なにっ。俺の名前を覚えてないだと。きさまっ……。』【名乗ってなかったかも。でも今更訂正するのはかっこ悪いし。】

ナザール『もう一度言おう。俺はナザールだ。名乗ったところで死ね。』

おでん『いや、今日は引き分けだよ。ほら。』

おでんがそう言うとナザールたちに10倍重力が襲った。

ナザールが振り返るとムサシ達がこっちに向かってきていた。

バドッグ『おい、今日は一旦下がるぞ。』何かを地面に投げつけた。するとナザールたちは重力の影響を逃れその場を後にし瞬間移動でいなくなった。

ムサシ『逃げたか。師匠の魔力が残っていれば倒せたのに。』

ギルマス『想定外だ。おでん、大丈夫か。』

おでん『まあまあです。』

ムサシ『お前ならやってくれると信じてたぞ。』

おでん『はあ……まあ…そうですか。』と歯切れが悪かった。止めはタマがしたからだ。

ムサシ『どうした。まあ、疲れたよな。話はあとで聞こう。とりあえず、休めるところに行こうか。』

4人はロトの別荘に向かったのだった。


ロトの別荘に行っても、ビリーはまだ意識を取り戻さなかったのでギルマスが例の教会に連れて行った。

ギルマスが戻ってくる間、軽く食事を取りながら一息ついた。

マリーはおでんの傍を離れなかった。

マリー『おでんさん、なんだか体調がいいように見えるけど…寿命は?』

おでん『分からないけど、体調がいいんだよね。あっ、そう言えばスルーしてたけどあの神父様が違う状態異常になってるようだと言ってたような気がする。そのせいかも。』

ムサシ『ステータスが見れないからなんとも言えないな。まあでも体調がいいならGoodだな。おっ、戻ってきたみたいだ。』

ギルマスが戻ってきた。ビリーはいなかった。

ギルマス『ビリーは置いてきた。意識は戻ったがしばらく治療が必要なようだ。おでん、お前はなんともないのか。』

おでん『? 体調いいですよ。』

ギルマス『ビリーから聞いたが、黒い闘気ような魔気というべきか、それを浴びたんだろ。神父様が言うにはそれが魔力回路に絡みついて体内で魔力異常を起こしているらしい。だからそれを除去しないといけないのだが、かなり強力に浸潤しているらしい。』

おでん『俺、魔力ないから魔力回路もないのかも。だからあの黒い魔気のようなものが体に留まらずに出ていって動けたのか。それでもきつかったけど。』

ロト『さすがおでん様。で、この国を救った話を詳しく聞きたいですね。』

マリー『私も。』

ムサシ『ああ。』

ギルマスも頷いた。

おでんは、どうやって心臓の場所を見つけたのか。そして心臓がいかに強い防御機能を持っていたのか。最後にタマが食べたことを話した。

全員『………。』

ムサシ『あのパックマンが…。』

おでん『タマです。』

ロト『あの卵から孵った魔物が…。』

おでん『タマで~す。』

ギルマス『聞いた感じ、おでんの従魔になっているな。それなら主であるおでんの手柄でいいだろう。魔神の心臓を食べてもその魔物がなんともないのならそう心配することはないな。うーん、新種か。』

ムサシ『なんにせよ、助かったよ。王様には俺と師匠で報告してこよう。きっとその報告を待ってそうだから。』

ギルマス『ああ、おでんは休んでろ。』

ムサシ『………そうだ、ロト。おでんに高級な宿の手配はできるか。今夜。』

ロト『多分、魔神が倒されたから人々が戻ってきているから大丈夫だと思うが。』

おでん『ん、俺はここで十分休めるけど。』

ムサシがおでんの肩を掴んで『今夜はマリーとそこに泊まってゆっくりすればいいだろ。』とウインクして言った。

おでん『!』

マリー『!』赤面した。

おでん『ハハハハハ。そういうことです。ロトさん、お願いできますか。』

ロト『そういうことならこの王都で一番の部屋を借りましょう。任せてください。』

おでんはマリーの手を握って顔を見合わせたのだった。


次回は 12/27 18:00更新(毎週金曜日)

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