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第26話 魔人復活!

大臣が衛兵を8人引き連れて戻ってきた。

大臣『下水路は広いです。この衛兵たちを使ってください。』

ムサシ『助かる。』

おでん『俺と衛兵の皆さんで探します。ムサシさんは体調を整えてください。』

ムサシ『おでん、お前……、そうだな。あとはお前の直感に任せる。おれは師匠と時間を稼ごう。』

こうしておでんはムサシと別れたのだった。


そして下水路入り口。

おでん『ここから入るのか。魔物とかいるのかな。』

衛兵A『魔物がいるという報告は受けておりませんが、いないとは言えないです。』

おでん『皆さんがいるから大丈夫でしょう。入ります。』

ここに来たのは衛兵だ。国衛騎士団ではない。強さで言えばC級レベルなのだがおでんはそこまでは知らなかった。

おでん『くさっ……くないですね。』

衛兵A『定期的に浄化魔法を実施して綺麗にしていますから。以前は汚かったですよ。そのせいで伝染病が流行ったりしました。しかし、ある転生者が下水路を綺麗にすればいい、と教えてくれたのでこのように綺麗になったのです。』

おでん『その転生者に座布団をあげたいね。』

衛兵A『座布団????』

おでん『ハハハハハ。スルーしてください。』

おでんは各分岐点で過去視を使った。しかし、魔族が何かを運ぶシーンを視ることはなかった。

おでん『広すぎるな。昔は魔物の巣窟だったんだな。大勢が犠牲になっていたのか。しかし、なんだか体調がいいな。まさか、最後の命の炎が激しく燃え上がってるのか。………恥ずかしいセリフを言ってしまった。』

衛兵A『伏せて!』

おでんは伏せた。その場所を何かが通過した。

衛兵B『バンパイアスネークだ。』

おでん『強い?』

衛兵A『いや、全然。ただ、血を吸われるときに毒を注入するから厄介だ。死にはしないが、幻覚を見る。しかも1匹見かけたら30匹はいると言われてる。』

おでん『Gみたいな謳い文句だけど、前の世界で言えば”ヒル”か。』と言いながら未来視した。過去視と未来視は同時には使えない。過去ばかり見てて襲撃に備えるのを忘れてた。

おでん【スキル使いまくってるけど、大丈夫か、俺。】

おでんは、ミスリルの剣を取り出し、水の中から飛び出してくるバンパイアスネークを次から次へと斬っていった。

おでん『ん~。本当に弱い。簡単に斬れる。蛇だし、食べれるかな?』

衛兵B『食べれますよ。幻覚をみてハイになりたい人が食べるそうです。私は食べません。』

おでん『あ~、そっち系の食べ物か。俺も止めとくわ。』

しばらく、バンパイアスネークとの戦いに明け暮れた。

衛兵A『以外に多かったな。繁殖しすぎだ。栄養源はなんだ?』

衛兵B『行方不明者は多くはありませんが、違法に死体を捨てているのかもしれません。下水路は広いので把握しきれませんので。』

おでん『ふーん。でも結構時間をくった。今、何時かな。』

衛兵B『おそらく夕方近くだと思います。』

おでん『いよいよか。やはり、復活までに見つけることができなかったのか。』

おでんは、何やら考え込んでいるようだった。

おでん『ここではないのか?一旦、出ましょう。』

その時、空気が震えたのが分かった。魔神が復活したようだ。

おでん&衛兵たち『!』

急いで、下水路から出た。そして見た。あれが動いていたのだ。


おでんと別れたムサシは、すぐにロトの別荘に向かった。ギルマスのルークと合流するためだ。

マリー『ムサシさん、おでんさんは?』

ムサシ『城にはなさそうなので、今、下水路に行ってる。衛兵が8人ついてるから大丈夫だ。』

マリー『そう。』少し安心したようだった。

ギルマス『俺に用か。』

ムサシ『日が沈むころに魔神が復活するらしい。おでんの未来視では、俺と師匠が魔神と戦っているのが見えたらしい。というわけでご同行お願いしますね。』

ギルマス『夕方まではまだ時間があるな。やれるだけの準備はしとくか。夕暮れ前に現地集合にしよう。』


ギルマスは、再び城に向かった。

ギルマス『王様、禁書部屋への入室許可をお願いします。』

アーレダール王『いきなり来てそれか。理由は?』

ギルマス『魔神について調べようと。』

アーレダール王『おでんたちが心臓を探しているが、他にも何かあるのか?』

ギルマス『おでんのスキルはご存知ですよね。日暮れ前後に魔神が復活するそうです。つまり、それまでには心臓は見つけれないということです。私とムサシが魔神と戦っている未来が見えたと言ってたらしいので、魔神がどういうスキルを持っていたのか調べようと思っています。』

アーレダール王『分かった。だが、その必要は無い。』そう言うと大臣に合図した。

ビス大臣が一旦退室してから何かを持って戻ってきた。

アーレダール王『これが魔神の記録の全てだ。あの魔神はこの王都のみなので全世界共有の部屋に保管する必要がないと判断している。』

ギルマスは、ノートらしきものを受け取った。

アーレダール王『持っていくといい。王都が滅びれば不要になるだろう。』

ギルマスは頷いて、魔神像の近くに向かった。


ギルマス【ムサシはまだ来てないか。】借りてきたノートを読み始めた。そして夕方近くにようやく読み終わった。それからしばらくしてからムサシがやってきたのだった。

ムサシ『気合十分ですか。』先に来ていたルークを見て言った。

ギルマスはノートを振りかざしながら、『魔神の攻撃スキル等について調べてた。』

ムサシ『へえ~。さすが師匠。』

ギルマス『不明だ。どうも単なる物理攻撃のみみたいなんだが、魔神だしな。』

ムサシ『物理攻撃のみ?殴る蹴る踏みつけるとか…。あり得ないかな。』

ギルマス『そろそろ時間だな。覚悟はいいか。』

ムサシ『もちろん。今から重力100倍を課しておく。ん?』

ギルマス『封印のせいでお前のスキルが無効化されてるんだろう。封印が解ければ100倍の効果が現れるだろう。』

重力100倍なら当然、巨大な魔神は自重である程度は地面に沈むはずだった。しかし、1mmも沈んだ様子がなかったのだ。

ムサシ『ある意味、恐ろしい封印魔法だな。』

ギルマス『勇者パーティーが命を懸けた強力な魔法だからな。』

その時がきた。周りの空気が変わった。

ギルマス&ムサシ『!!!』


遠い魔国の地

ナザール『!!! 解けたか。フフフフフ、ハハハハハ。』


封印が解けた途端、魔神が沈んだ。

ムサシ『よし、これで足止めになるだろう。』

ギルマス『このまま様子見するか。それとも攻撃してみるか。………様子見はできそうにないな。』

魔神が動いたのだ。足を沈ませながら王都に向かい始めたのだ。

ムサシ『見たまんまパワフルだ。本当に時間稼ぎぐらいしかできないか。……ん?』

徐々に地面に沈む深さが浅くなってきた。

ムサシ『耐性スキル?俺のは状態異常系ではないのだが。』

ギルマス『常識が通じないな。だが、まだ動きは遅い。効いてはいるんだろう。』

そう言うとギルマスが魔神の横に移動した。そして

ギルマス『………違うな。俺たちのスキルでは倒せないのならこうするしかない。』

その瞬間、魔神が封印された位置に戻った。ギルマスのスキルで魔神が移動した分だけの空間を切り取り移動距離をゼロにしたのだった。

ムサシ『師匠、やるときは一言お願いします。重力範囲が切り取られて不安定になるじゃないですか。』

ギルマス『弟子ならその辺は理解しろ。』

ムサシ『逆ですよね。師匠なら弟子のことが分かるでしょ。』

ギルマス『だが、これもいつまで使えるかな。おでんに早く見つけてもらうしかないが…。』


魔神復活により、王都がパニックに陥った。人々が慌てて逃げ始めたのだ。

おでんは、その様子を見ていた。

おでん『ここはもういいので、避難誘導をお願いします。』

衛兵A『しかし…。』

おでんは首を振り『今、重要なのは人々が迅速に避難できること。魔神の心臓は、下水路にはありません。次の探索場所も決めていませんし。』

衛兵A『分かった。国民の避難誘導に向かうぞ。おでん様、ご武運を。』

おでんは、衛兵たちを見送ってから周りを見回した。

おでん【俺ならどこに隠す?そんな重要な物を?……あれは!】と何かを見つけたようだった。


魔神が立ち止まり、辺りを見回した。ここで初めてムサシ達に気付いたようだった。しかし、視線を再び王都に向けた。そして魔神の両腕が光り、それを斜めに振り下ろした。その攻撃?衝撃波?が地面を抉り、一直線に王都まで届き、一部を破壊した。

ムサシ『……物理攻撃だけじゃなかったのか。』【くそっ、重力で対抗する暇すらなかった。】王都に攻撃が及んだことに対する後悔の念を感じた。

魔神の腕が再び光り始めた。

ギルマス『連続か。そうはさせるか。』光った両腕の空間を切り取り、遠くに投げ捨てた。

魔神が無くなった腕の部分を見つめた。その顔が無くなった。ギルマスが切り取り、今度は近くに放り投げた。

ギルマス『ダメか。』腕が生えてきて、頭も生えてきたのだ。

ギルマス『切り取った頭が消滅している。ということは2体に分裂はしないんだな。』

ムサシ『師匠、時間を稼いでくれ。とっておきのスキルをお見舞いしてやる。』そう言うと、両手を前に出し、なにかを潰すようなしぐさをはじめた。

ギルマスが、再び魔神の頭を切り取り、今度は更に胸、腹部、両手、両脚をバラバラに切り取り四方に投げ捨てた。

ギルマス【どの部分から再生するのか。そこが弱点かもしれない。】と思ったが………。

バラバラになった部分が消滅してしまったのだった。

ギルマス『あれっ?』

そして何もない空間に徐々に再生を始めたのだった。

ギルマス『やばっ、ムサシ、重力範囲外に移動させてしまったわ。』とムサシを見た。

ムサシの両手の間にテニスボールぐらいの黒い球体があった。

ムサシの額から汗が流れ落ちた。相当の意識を集中させているのだろう。

ムサシ『もう少し………。』その願いは叶った。

魔神は、無からの再生に時間がかかっていたのだ。


次回は 12/06 18:00更新(毎週金曜日)

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