第12話 おでん、送別会~マリーと外食?~
おでんは初ダンジョンからギルドに戻った。
マリー『あら!もう?』
おでん『ハハハハハ、試しに潜っただけなのでスライムのいる地下一階だけで戻ったんだ。ダンジョンの魔物から魔石が取れるって言ってたと思うけど、取れなかった。』
マリー『スライムだとかなりの低確率でしか落とさないわ。』
おでん『そうだったのか。そうだ、ダンジョンで魔法系の巻物を買って、スライムに使ったんだけど、魔法っていいもんだなあ。』と手を前に出して魔法攻撃の真似をした。
マリー『えっ、スライムに……。』【損してるわね。貯金が減ってしまうわ。そろそろ無駄遣いはやめてもらわないと。】
おでん『明日に備えて、早めに飲んで食って寝ますか~。』
マリー『あっ!おでんさん、待って。』
おでん『ん?』
マリー『明日からいなくなるわけだし、よかったら、夜は一緒に食事しない?』
おでん『お~!うん、いいよ。』
マリー『じゃあ、私の仕事が終わったら声をかけるので、それまではゆっくりしていてね。』
おでんは、自分の部屋=休憩室でのんびり過ごすことにした。
おでん【一緒に食事かあ。もしかして、もしかするかも。そうだ、コン○ームは、この世界にもあるのかな。念のために用意したいけど…。あるのかないのか、誰に聞けばいいんだ。………話が通じるのはギルマスだけだよなあ。………でも絶対に聞けないわ。】
おでんはスキルを使った。
おでん【なるほど、夜から朝にかけて俺はここで寝ないんだ。もう確定じゃないか。避妊どうしよう。この世界はそういうこと(避妊)はしないのか。】
と悶々と考えてるうちに時間が過ぎていった。
マリー『おでんさん、起きてください。仕事終わりましたから行きましょ。』
おでん『ん………?あっ、いつの間にか寝てた。』
外はもう暗くなっていた。
おでんはマリーと一緒にギルドを出た。
おでん『どこで食べる?』
マリー『手料理とかはどう?』
おでん『えっ!』【キターーーーーー!手料理と来ればマリーの家=泊まることになる。ムフフフフ。】
おでん『いいね。』と親指を立てた。
マリー『決まりね。準備済みだから、断られたらどうしようかと思ったわ。』
おでん『手料理を断る男はそうそういないと思うよ。』【あれっ?待てよ。マリーって一人暮らし?家族と住んでる可能性もあるよな。】と若干テンションが下がった。
そして、他愛もない話をしながら歩いて行くと
おでん【あれっ?この道、この方向って、まさか。】
マリー『ここよ。』と止まったところは新しい家の前だった。
おでんのテンションは思いっきり下がった。底辺まで。
マリーが扉を開けた。中から
フォン『来たか。もう準備はできとるぞ。』
そう、半壊して建て直したフォンばあさんの家だったのだ。
フォン『ほれ、もっと飲まんか。泊まっていけばいいんじゃからな。』
おでん『はいはい。いただきます。』【俺の性欲をどうしてくれる】とチラッとマリーを見た。
マリー『この料理は、私が作ったんですよ。どう?』と笑顔だった。
おでんは、その料理を食べた。『うん、美味い。』
フォン『お前さんが王都に行くとマリーから聞いて。それなら助けてくれたお礼も兼ねて送別会でもしようということになったんじゃ。』
おでん『いつの間にそういう仲に。』
マリー『家の修復はギルドで請け負ったので、それでやり取りしている中でそういう話になったの。』
おでんは、もうアレについては諦めていた。当然、ここに入った時にスキルを使った。そしてマリーとは何もないことが分かってしまったのだ。だから、遠慮せずにお酒を飲むことにした。
おでん『王都まで遠いなあ。もっと早く行き来できるようになればいいのに。』
マリー『貴族以上であれば転移魔法陣が使えるんですけど。あとはS級もね。だからギルマスも使えません。』
おでん『そんなものがあるんだ。スゲー。まだまだ、知らないことが一杯だなあ。あれ?この町では誰が使える?』
マリー『誰も使えませんよ。領主様は準貴族ですし。』
おでん『意味無しな魔法陣だ~。』
マリー『まあ、王都から来られる方専用ですね。』
おでん『どの世界も階級、階級か。』
フォン『おでんよ。王都であまり羽目を外さんようにな。程々に。』
おでん『分かってますよ。食べ過ぎてお腹壊さないようにします。』
フォン&マリー【分かってない。】
フォン『女遊びも程々にな。』
おでん『あ~、お金で買うようなそういう店は好きじゃないんだ。』【前世で嫌になるくらい接待をしたからなあ。あの雰囲気は好きじゃないんだよな。】
フォン『そうか。マリーよ。そういうことらしい。』
マリー『えっ、ええ。』
フォン『泊まっていけば?』
マリー『えっ!でも………。』
おでん【泊まらないことは知ってるよ】
フォン『なんじゃ。年寄りは耳が遠いから、多少の声は聞こえんぞ。』
マリー『きょ、今日は帰ります。』【下着が……おニューにしとけばよかった。】
フォン『振られたの、おでんよ。』
おでん『ばあさん、飲み過ぎだよ。』
そして夜が更けていった。
フォンが寝てしまった。
マリー『おばあさん、ちゃんと寝てください。私はそろそろ帰りますね。おでんさん、明日はロト様の家に直接行かれますか?ギルドに寄りますか。』
おでん『ギルマスからは直接行けばいいと言われたから。』
マリー『じゃあ、明日は会えないですね。』
おでん『ああ。夜も遅いし、送ってくよ。』
おでんとマリーは外に出て歩き出した。
マリー『家はこっちよ。』
フォン『がああああ(いびき音)……キスもせんのか、つまらんのお。本当に寝るか。』狸寝入りだった。
2人は、無言で歩いた。
マリー『あそこが家よ。』と少し離れた家を指さした。
おでん『灯りがついてるね。』
マリー『ええ、両親と暮らしてるの。おでんさん、気をつけて、いってらっしゃい。では、おやすみ、ん。』
おでんがキスをしたのだ。
マリー『あっ。』
そして耳元で何かを囁いた。
たちまち顔が赤くなるマリー。そして小さく頷いた。
マリーは手を振って家に入っていった。
女神『久しぶりの転生者候補ですね。うーん、魂の器も申し分ないわ。あなたは異世界に転生しますか。それとも元の世界で輪廻転生されますか。』と聞いた。
神『その者の手続きはわしがやろう。お前は、ちょっとお使いを頼む。これをいつものところへ。』と手紙のようなものを渡した。
女神『えっ?はい、畏まりました。あの方に?』
神『そうじゃ、頼んだ。』
女神『はい。』と言ってどこかに行ってしまった。
神『さて、お前は異世界転生をしてもらおう。』
〇〇『選択はできないのですか。』
神『うむ。その代わり。このスキルを与えよう。200年ぶりに与える勇者スキルだ。』
〇〇『勇者?』
神『ラージュという世界で魔人が近々復活するだろう。それを阻止して欲しい。200年前は封印することしかできなかったが、今回は確実に倒してほしく、スキルを改良した。これなら倒せるだろう。』
○○『………。』
神『言いたいことは分かる。残念ながら神は直接介入できない。お前の仲間となる人物にすでに交信し伝えてある。その者と協力して倒してほしい。本当は、その魔人の謎を解けば簡単に倒せるんだが、まあ解決できんだろう。私も口にするわけにはいかないのだ。』
○○『………分かりました。自分にできるならやってみます。』
神『承諾してくれたか。ではスキルを授けよう。そして行くのだ。』
〇〇の魂が消えた。
神『改良した勇者スキルはどうかな。楽しみだ。』
そして数十秒後
神『これは!どういうことだ。まさか先を読まれたか。』
与えた勇者スキルが戻ってきたのだった。
次回は 08/30 18:00更新(毎週金曜日)




