表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/81

第9話 vsオーク②

南東の草原

おでん『はあ、はあ。』

おでんは今、魔物に追われていた。オーク3体だ。そのうちの1体は大きさも色も別格だ。

おでん【実物はこえーよ。大きいし、棍棒一振りが当たれば、いやかすっただけでも即死だ。F級の最低レベルの俺には絶対無理だ。オーク1体でも無理。それなのに2体+もっと強そうなオーク1体。未来視で勝敗確定しているが、実際に見ると、怖いの一言だわ。】


突然、おでんは立ち止まり振り返る。右手には銅剣を持っている。

おでん『はあ、はあ。』息を整えながら中指を立てて挑発する。

先行のオーク2体が突進してくる。突然、姿が消えた。

穴に落ちたのだ。穴には当然杭を埋め込んでおいた。オークの悲鳴から無事?に刺さったようだ。

おでん『オーク2体の串刺しの出来上がりだ。あとはお前だけだ。』と色違いのオークを挑発した。

色違いオークは串刺しのオークを見てにやりと笑う。穴の方へ進みだした。

『ギャー。』と断末魔が聞こえた。色違いオークではなくオークの声だった。色違いオークが穴に落ちたオークを踏み台にしてこちらに近づいてきたのだ。回り込めば別の穴に落ちると思ったのだろう。意外に賢いが、どうでもいいことだ。

目の前に色違いオークが迫ってきた。笑っている。おそらく勝利の笑みなのだろう。状況的に串刺しオークは手下だったのだろう。そのオーク2体からは声はもう聞こえない。目の前の色違いオークが棍棒を振り上げた。ゆっくりとしたモーションだ。勝利を確信しているかのような動きだった。

それを見ておでんは一歩下がる。その足がホームセンターで買って設置したロープの輪っかに嵌り、上に跳ね上げられた。

おでん『うひょー!』下を見ると色違いオークが見上げている。

おでん【分かってるって。俺が落ちてくるタイミングで棍棒を振るんだろ。】

おでん『馬鹿が見る~豚のケツ~。』と叫んだ。

おでん【まあ、魔物に言葉が通じるかは分からないし、仮に通じても俺の元の世界の言葉だから意味わからないだろうけどな。】

おでんが跳ね上がると同時に、ある罠が作動するようにしていたのだ。

色違いオークの腹から背中にかけて丸太の杭が刺さった。血を吐きながら倒れる色違いオーク。上を見ていたので前から飛んできた丸太の杭に気付いた時には手遅れというわけだ。

おでんは、その倒れた色違いオークに向かって落下していった。

仰向けに倒れた色違いオークは俺を見ていた。棍棒を持っていた右手が動く。どうしてもおでんを殴りたいらしい。執念深いようだ。

おでん【その行動も織り込み済みだ】『残念!』と言って棍棒が振られる前に反動で再び跳ね上がる。今度は上がりきったところでロープを切り、目の前に設置してあった杭を掴んで落下する。

おでん『うおおおおお~。』

棍棒が当たる前に杭が色違いオークの口に刺さり絶命?した。


おでん『フ~。』と一息ついた。

おでん『全て寸分の狂いもなく予定通りだわ。』

オークと色違いオークの死体?計3体をマジックバッグに入れて

おでん『さて、戻ろう。』


冒険者ギルドの隣の建物の解体屋だ。

おでん『買取頼む。』

解体屋『おっ、ウルフキラー。今日は何匹だ?』

おでん『へへへ、今日は違いま~す。これで~す。』

おでんは、オーク2体と色違いオーク1体の死体をマジックバッグから取り出した。

解体屋『うおおお。おいおい、お前、魔力無しのF級だよな。ありえないぞ。オークだけでも倒すのは大変なのにオークキングを単独で倒すなんてA級レベルだぞ。再生能力があるのに魔法を使わずに倒すのは無理なはず……どうやって。』

おでん『そうなのか。この色違いはオークキングか?どおりで他の奴と雰囲気が違うなあと思ったよ。買い取れるよね?』

男『呆れてものも言えんわ。オークはともかくオークキングは剣で切っても瞬時に治す超再生能力があるんだぞ。だが腹の穴が塞がっていないし、口もひどい状態だ。なるほど、生きてるが動けない状態でマジックバッグに入れたんだな。それでそのままの状態で死んだわけか。なかなかやるな。うん、精査し、いつものように口座に振り込むが、ちょっと物が物だけに時間がかかるぞ。』

おでん『聞いてみるけど、オークって武器や防具になる素材って…。』

解体屋『無い。肉料理に使われるだけだ。魔毒を抜いてな。』

おでん【魔毒?】『残念。』



冒険者ギルド

マリー『おでんさん、今日は薬草採取日和ですよ。』

おでん『ちょっと疲れてて、もう店じまいです。』

マリー『どうしたんですか。体調悪いんですか。』

おでん『大丈夫。』そう言って酒場でビールと唐揚げを頼んだ。

おでん『そう言えば、マスターは”シーカム”というたこ焼きに入ってる魔物を知っていますか。』

マスター『シーカム?知ってるも何もここでも扱ってるぞ。ちょっと待ってろ。』

しばらくして

マスター『これがシーカムだ。』と見せてくれた。

おでん『……これがシーカム……どうみてもナマコだ。あ~うん、分かった。マスター、ありがとう。』【知らないほうが良かったというやつだな。】


ビヨンド『マスターのところに行ってくるわ。』

マリー『分かりました。ん?』

マリー『おでんさん。解体屋から入金がありましたよ。また、フロックンウルフ狩りしたんですか、あれだけ言ったのに…。』

おでん『早っ、さすが!今日は、ウルフ狩りに行ってませんよ。』と意味深な顔で答えた。

マリー『だって、解体屋から………何の狩りをしたんですか?』と険しい顔で聞いてきた。

おでん『いくら入金されたのかな?へへへ。』

マリー『はぐらかさないでください。』

おでん『思ったほどでは無かった。』とマリーを無視した。

マリーの怒りが頂点に達しようとした時

ビヨンドと一緒にギルマスが2階から降りてきた。

ギルマス『おでん、オークキングを倒したそうだな。』

マリー『!』

他の冒険者『!』

おでん『この世界はプライバシーと言う言葉はないのか!』

マリー『プラ…?』

ギルマス『そんなものは無い。鑑定スキルがあれば全て見れるからな。』

おでん『マジかあ。』

ギルマス『安心しろ。魔力無し者のことは見れないから。』

おでん『それなら安心です。』

ギルマス『で、オークキング1体とオーク2体をソロで倒したんだよな。』

おでん『まあ、追いかけられてなんとか倒しました。』

ビヨンド『おでんさん、オーク1体だけでもなんとか倒せる魔物ではありません。』

おでんは、ようやく事態が分かってきた。オークという魔物を倒したことで俺自身の能力が疑われているのだと。

おでん【マズった。オークってそんなレベルの魔物だったのか。なんとか誤魔化さないと。そうだ。】

おでん『よし!今日も生き残った。今日は俺のおごりだ。一人ビール一杯と唐揚げもつけるぞ。』

ギルド内の冒険者たち『うおおおお。いつもごちです。』

おでん【なんとか誤魔化せた。】『フ~。』と思ったが背筋が寒くなった。

ギルマスの眼光が鋭い。そしてマリーも睨んでた。

おでん『ほら、次の依頼で死ぬかもしれないし、そうなったら死人に金は必要ないから。それに奢ればみんな親切にしてくれるし、回り回ってそれが一番助かるんだよ。そう思うでしょ。』

ギルマス『おでん、俺の部屋に来い。』有無も言わさない威圧感で話した。一種の命令だった。

おでん『分かりました。』【もう誤魔化せないな。】


次回は 08/09 18:00更新(毎週金曜日)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ