はじめに。
「書き出しって難しいよなぁ。」
ある大学生Aが呟いた。名前はない。まだ決めてないのだ。
「ペンネームすら決まらん、どう生きてたら芥川龍之介なんてペンネーム思いつくんや。」
「いっその事、山田太郎とかでいいんじゃない。」
隣の大学生Bが答えた。おそらく女性である。
「それも考えたんやけど…小説家になろうとかで溢れてそうやん?もうちょいオリジナリティー欲しいんよね。」
「わがままやねぇ、あ、椎名林檎からとって…なんとか林檎!どう?」
「Bが椎名林檎好きなだけやん。それに、最近流行りの女性作家だと思ってたら男性でした!みたいな問題生まれそうで嫌。」
「じゃあ人に聞くなし。自分で考えー。」
「ごめんやん、でもなんかこう、ひらめきが欲しい。」
「アニメやあるまいし、電球でも買ってこよか?病院で受診のススメも貰ってくるわ。」
「要らん要らん、余計頭こんがらがってきたわ。」
「まぁとりあえず書いてみたら?やり始めたらスラスラ進められる、みたいな効果あるやん。」
「確かにそれはあるかも。ちょっとコンビニで栄養買ってくるわ。」
「帰りに雪見だいふくお願いね。」
「へぇ」
寒い。そして今気づいたが、会話文の隙間に色々な情報を差し込むといいかもしれない。