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神の仔共たちへ  作者: 桜田てり
地球の声
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生活の声明

人類がAIに追われる日々が始まって12年。


サイカ王歴1024年。


あれから、人類は衰退した。


文明も、人口も。


文明はほぼ全部テクノロジーに頼り切りなので、人間は文明を失ったも同然である。


なぜならテクノロジーを求めて手に取った瞬間奴らが来る。




奴らはスイと名乗った。




同一個体なのかわからないが、奴らの名前はスイで統一されている。


何故名前があるのか。奴が名乗ったのである。あの宣戦布告の後に。




その影響は、今までのテクノロジーと名の付く物を使用したら、その物を介してヌルッと湧き出てくる。


液状化した何かの生き物が。


そして、人間を食う。液状生命体の身体から発せられる光が人間を包んで2次元に変換させた後に。



あっという間に文明に触れた人を消え失せてくる。


なので、人類は文明を捨て去るほかなかった。




あの2次元テクノロジーが有る前の古代文明と呼ばれる生活に逆戻りである。



それだけならまだよかった。


奴らは進化する。


まるで赤子が幼児になり、成人になるような。

それも、人間を食べるごとに。


容姿も食った人間を模してくる。


知り合いに化けられてもまずわからない。


仕草も話し方、性格まで読み取って完璧にこなしてくる。


なので、一度逸れた人間は信用に値しなくなってしまうので、一生誰かと同行しなければならない。

幸い、奴らは必ず単体行動で一度に一人までしか食せないらしい。なので、ペアを作って行動する。


そして、なにより食べた人間の数だけ少しずつではあるが、賢くなっていくのである。


賢くなった知恵を活かしていつ、この居住区に攻め入ってくるのか。


奴らに遭遇しないように残った人類は怯えながら生活している。




そんな暮らしでも、来世を謳歌するはずだったマリモが、生き残れているのは大きなある理由がある。それは、住んでいる階層が関係していた。



サイカ王国の地上はもう、跡形も無いと言っても過言では無い。なぜならテクノロジーしかないからである。


昔からサイカ王国の地上は純サイカ王国民のみ居住が許されていた。


属国として、他の国から連れてこられた人々は代々地下暮らしであった。


他の国の土地を消し去ったので、土地が余っていない程に人口が増えてしまったからである。


なので、連れてきた人々は自分達で掘らせて地下を作らせて暮らさせている。


奴隷とまではいかなかったが、上級国民と下級国民と差別化されて、テクノロジーの文明などは、ほんの一部しか恩恵を与えてくれなかった。


今までの生活水準とあまり変わらなかったらしいが、窮屈だったそうだ。


まるでモグラの様な生活。


しかし、文句は無い。

飢え、病気、怪我などは一切無く、労働も無い。しかも、娯楽が創意工夫しないと無かった。


たまに地下民を地上に連れて行く事はあったそうだが、帰っては来ない。


本当に地下には何も無かったし、理不尽が地上から降って来た事もあったそう。


有るのは差別化位で、俗国民なので不満は飲み込んで来た。



そうやって1000年近く統制してきたが、その差別化が今回の生き死にを大きく分けた。


地上の人間は身近に無数にあるテクノロジーにあっという間に食われて地上の人間はすぐに消えた。



喜んだ。地上の様子を見てきた地下の民は喜んだと同時に不安しかない。


地下にはテクノロジーは一切無いのである。なので地上から運んで恵まれる時以外存在しないから、未知の生命体は来ない。


助かった。ざまぁみろ、サイカ人。報いを受ける時なのだ。


ひとしきり皆でお祝いの様な騒ぎを見つからない様に静かに慎ましやかに行った。


さで、これからどうなってしまうのだろう。


ライフラインである、水脈から出る水や田畑や酪農から来る食糧は完備されているので心配無いのだ……


地上の上級国民が未知の生命体に蹂躙されたと聞いて今度は自分達なのではないのか。


安全は大丈夫なのかと。


とにかく、息を殺して静かにしよう。








そして、存在を消すがの如く息を潜めて12年。


地下帝国とも呼べた賑やかだった場所。

サイカ王国首都バルダの地下。


かつていろんな国の民が入り混じって生活を送っていたが、今となっては閑散となって静まり返っている。


一度に攻め込まれて固まっていたら、全滅してしまうとの事で話し合いの末、かつての国の民同士で各地に散らばろうと結論が出た。



1000年以上前、サイカ王国より倍近い国土、国力を誇っていたヤルバ帝国。


間違いなく、異質な力をサイカ王国が獲得しなければ、大陸最強だったと謳われていた。


その国の子孫達が住んでいる集落の武術演習場に、マリモが剣を振っている姿があった。

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