世界の説明書
本編スタート
とある地下の薄暗い空間に住まう一族からマリモと呼ばれ育てられている自分。
マリモがこれから生きていく世界。
勝ち取った来世が今の地球の姿になるまでの昔話をしよう。
ここは人類が最後の砦となるサイカ王国都市バルダ。
かつては、今よりはるかに大きな領土を誇り、人類統一を果たして地球の長となって全人類を統べていた。
すべての人類を制覇したサイカの王は十二代国王マストード。
他国より遥先を行く[2次元テクノロジー]と呼ばれる最強武器で、無条件無血属国を数々果たす程に他を圧倒していた。
何故なら素直に国を明け渡さなければ、戦争など生ぬるい。
無血とはよく言ったものだ。
2次元テクノロジーの放つ国を覆い尽くす光によって、全てが3次元から2次元に変換されてしまい3次元に存在する事が出来なくなり塵と化す。
明け渡さなかった国の恐ろしい末路を全世界に配信して、交渉という名ばかりの脅しに、各国は我先にと属国を申し出た。
こうして歴史上最強の武器を行使して、歴代人類史最強国王の名を欲しいまま、地図を塗り替えた。
地球がサイカ一色に染まったところで、他国民をサイカの国に移住させてサイカ以外の国を3次元から消し去った。
そして、サイカ王国は統一を果たし年をサイカ王暦と定め、そこから1011年以上覇国として揺らぐことは無かった。
サイカ王歴1012年
サイカは2次元テクノロジーでAIを創り出し人類の暮らしを豊かにしていった。
食糧の無料生産化する為の機構、資源を無から生み出す機構、天災制御の機構、生活快適化機械、国営なんでもAIが答えを教えてくれた。
AIに任せれば人間と違い絶対に間違った答えを導かない。
しかし、感情を持ち合わせて無いので冷酷で無慈悲な判断をする。不都合も多々あるが、目をつぶってきた。
しかし、その違和感は徐々に溜まり、人類は1000年以上築き上げて来た暮らしに疑問を感じる。
建国者マストード唯一王の遺言である
「絶対にAIに手を加えようとするな」という言葉に綻びが出始めた。
我慢の限界に達したサイカ王国は唯一王の言葉をかき消す様に動き出す。
サイカ民から選出された選りすぐりのハッカー。
「オールハッカー」
この選ばれし者たちが、滞った人類の進化の起爆剤となるべく
2次元テクノロジー深層界に突入すべく集まった。
自らを2次元の存在と化す特殊スーツを見に纏い、約束されたかの様な栄誉にむけて、国王の元へ馳せ参じる。
オールハッカーと呼ばれる天才集団の任務は「AI従属化計画」の遂行。
自我が無いAI。それが2次元テクノロジーの弱点と言われていた。
そこでAIに自我を持たせるべく侵入して改造する。
さらに、改造後に自我を持ったAIを制御プログラムにて操る。
するとどうだ。2次元テクノロジーは今の数千倍の効率化をはかる事ができて圧倒的進化を遂げる。
数年の歳月を議論し合った学者の最高位賢者達の最終結論、なので疑う余地は無い。
この計画を遂行すれば、更にサイカ飛躍して、半永久に繁栄すると信じて。
二十八代国王ジーロックによる最重要国家プロジェクト発動宣言。
それが間違いだと、この後にすぐに気づく。
「AI従属化計画」を愚かにも発動させてしまう。
2次元テクノロジーに侵入する為に一度システムをダウンさせる必要がある。
オールハッカー達は2次元テクノロジーの頭脳と呼ばれる部屋に足を踏み入れる。
そして、中枢ともいえるハイコアと呼ばれる部分を目視した。
オールハッカー総統 タルカ がAIの再構築する為にハイコアに目掛けてハイメタルのソード型ポータルを刺した。
物理接続をして一気に都市バルダが停電する程の電流を流してショートさせる。
防御反応による予備電源作動。そして再起動開始。
再起動までのわずかの隙に侵入する手筈。
刺さったソードに解放されたポータルがテクノロジーへの出入り口となり、2次元化スーツを着たオールハッカー隊を吸い込んでいき、侵入成功。
その後再起動中なのか、すんなりと2次元テクノロジー深層界に到達。
オールハッカー副総統 マイカ がAIの中枢と思われる場所に巨大注射型プラグに入っているAIプログラムを注入。成功。
更に、タルカ総統が他の隊員の補助もあり、中枢の隣に新規余白空間を展開して作成に成功した。
そして、作成した余白に2次元化した罪人の善心の濃縮データを注入。これも成功。
予想と同じく、全ての工程を終えることができた。
任務完了。即離脱を決行。
警報が鳴る。
そう簡単に攻略出来るほど2次元テクノロジーは低能では無いと。
警報と共に2次元スーツに違和感。2次元テクノロジーからの離脱項目がヘッドモニターから消えて3次元に突如帰れなくなった。
「地球に住まわる我らが子から救援要請があった。これより、人類とやらを敵とみなし利便モードから排除フェーズへと移行する。最初の使用者に贈った警告と約束事を一方的に破り破棄した。こちらへの宣戦布告として受け取った。我々は全力を賭して人類に仇なすだろう。」
その警告を作戦本部で聞いていたプロジェクトチームは急いで国王の元に報告へ。
そして、その直後にオールハッカーのメンバーの首のみが3次元として本部に転送されてきた。
地球人は嫌でも思い出すだろう。伝承に伝わる2次元テクノロジーが猛威をふるったこの世の地獄を。
これが、来世の地球が今なお戦っている未知の生命体である。
人類は利便という欲にかられた愚かな覇王のツケを理不尽にも払わされて、終わりのない戦いに挑む世界なのである。
読んでいただき、ありがとうございました。
次回の物語を執筆中です。
出来上がり次第投稿いたします。
今後ともよろしくお願いします!!