第六話「勉学 其の二」
エミールは少し笑って、俺の両肩を掴んだ。
「その通り、ママの魔力は水属性だから植物との相性がとても良いんだ。だから、魔力と融合するときに抵抗なく身を任せてくれる。それに対してパパの魔力は、火属性。植物とは相性が悪いんだよ。そのせいで、魔力との融合を嫌がられてしまう。こうした違いが瘉液の品質に関わってくるんだ。」
なるほど・・。それで・・
「パパ、僕の魔力は何属性なの?」
「エディの魔力はな、聖属性と言うんだよ。」
え・・それって物語でよく聞く、聖女とかが持ってないといけないやつじゃ。
「あまねく命の色は、金色に輝いていると言われているんだ。そして時が経つにつれて、色が変わると言われているんだ。その中で魔力が金色に輝き続けるのは、生きとし生けるものに愛されるものだけと伝えられている。エディ、お前は選ばれたんだ。」
お・・おぉ、よく分からんがこれって、スローライフを脅かす大いなる運命じゃね??
いやだよ!俺は適当な辺境で、薬売りながら美味いもの食べて、女をとっかえひっかえして生きていきたいだけなんだよ??前世で出来なかったことをしたいだけなのに、この世界の問題に巻き込まれるのはごめんだ。
「よくわかんないや。」
「あははは、そう困った顔をするな。いずれわかるさ、エディがどれだけ自然に愛されるかその身を持ってな。」
まぁこんな感じで、俺の魔力が聖属性だってわかって紡人中の噂になった。しかも、祝賀会まで開かれてしまい俺の名は、世界樹に響き渡ってしまった。
と言うわけで、俺がポーションを作ると、最低でも良質な瘉液が出来てしまう。ポーションの品質の限界を知るために、ママのポーションを片っ端からスキルブックに収納してみた。
その調査の結果、ポーションの品質はおそらく次のような物になる。
===最高級===
===高級===
===良質===
===平凡===
===粗悪===
===毒===
おそらくこうだろうと言うのは、ママのポーションは高級以上しか無かった為に平凡以下は、ママに教えてもらっただけだからだ。そして最高級の上をゆく、ポーションはママでさえも作れていなかった。
本を読んでも、最高級より上の品質に関する記載は見当たらなかった。
ママにはアカデミー入学試験を手伝ってもらっている。もちろん作品に手を加えることはできないのだが、品質をチェックしてもらったら、天才のお墨付きをもらってしまった。
「これは非常にまずい事になった。」
ただでさえ俺は聖属性の魔力持ちな上に、このままポーションを評価してもらったら間違いなくアカデミーに入学できる上に、天才というレッテルまで貼られてしまう。そして俺は注目浴びまくりで、将来を期待されて世界樹から離れにくくなってしまう。
「うん、アカデミーは不合格な流れで行こう。」
わざと粗悪品を提出して、不合格になって独学で色々覚えれば良いだろう。だってママお墨付きの、ポーションが作れれのであれば十分田舎で、悠々自適なスローライフを送れるはずだから。
俺も、もう7歳になった。ここから離れて暮らす為に、必要な物を考えておかないといけない。
===エディル独立計画===
{必要なもの}
・地図
・移動手段
・種
・薬草
・仕事道具
・サバイバルキット
=======
とりあえず、必要なものを書き出してみたがこんな物か。地図がなきゃ、森の中で迷子になっちゃうし。
それに、これだけ深い森を移動するんだ。森の通行証はあっても、あれは一度行った森にしか瞬間移動できない。つまりは、拠点を見つけるまで獣がいる森を徒歩で移動しないといけない。
うーん身を守る術が必要だ。かと言って俺には、武術の才能は皆無だ。これは課題だな。
そして、種。これはスローライフ拠点で、すぐに薬草の栽培ができるように今のうちから集めるつもりだ。最近知ったのだが、アイテムBOXの中に入れたアイテムは、時間が止まり保存が効くようだった。これは果物をアイテムボックスに保管して分かった。
薬草。世界樹でしか集めることのできない素材、例えば世界樹の葉だ。世界樹の葉は、死への冒涜を作るときに必要な素材だ。そう言うものを集めようと思う。
仕事道具。文字通り引越し先ですぐ薬を作れるようにってことだ。両親にねだって見ようと思う。
サバイバルキット。森の中でしばらくは、寝泊まりする事になるだろうから、ナイフやら必要だと考えている。
お金やらは、現地で薬を売って稼げば大丈夫だろうと考えている。
「よし、当面の目標は薬術をマスターして必要なものを集めていこう。」