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Episode4:挙動不審と親切

まぁ、なんというか凄い学校だ。やっぱり私立の高校となると俺たち一般ピーポーが通う公立高校とは全然違うもののようだ。とりあえず、俺には場違いだな。


正門と思われる門をくぐり敷地内に一歩踏み入れる。まだ、実感は湧かないがその内、湧くだろう。それより心配すべきは友達が出来るかどうかだ。仕事中は精神的にかなり疲れるので、悩みを話せる親友が1人は欲しいところだ。

そういや、俺の通っていた高校の友人たちはどうしているのだろう。突然の転校に驚いてはいるだろうが、悲しんでくれているのは多くても数人だろう。人見知りで人付き合いが下手だからしょうがない。決して嫌われているわけではない。・・・そう思いたい。


「とりあえず、まずは職員室に行けって言ってた気がするな」


玄関を通りすぐに右に折れて突き当たりの場所に職員室はあった。適当に数回ドアをノックしてから開けて中に入る。何人かの先生がこちらを見たので少し怯んでしまった。何人か睨んでやがるからしょうがない。俺が何をしたというのだろうか。


「君は、常盤 莉人君?」


ただ立っていた俺に20代後半ぐらいと思える女性教師が声をかけてくれた。俺が首を縦に振るとその教師は笑顔になった。


「やっぱり。私は君の担任になる堂本 愛子。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「とりあえず今から始業式だから、それが終わったらもう1度職員室に来てくれる?」

「はい、分かりました」

「体育館の場所は分かるわよね」

「さっき来る時にそれっぽいのが見えましたから大丈夫です」

「君は2年3組だからその列に並んでね。じゃあ、また後でね」


愛子先生はそう言うと自分の席に戻っていった。どうやらミーティングの途中だったようだ。俺が睨まれた理由も分かったところで俺は職員室を後にした。





体育館につくとどうやらほとんどの生徒が集まっているらしく人がいっぱいだった。おそらく、この学校には俗に言うヤンキーなどと言った人間たちはいないのだろう。皆がそれなりに真面目に楽しく過ごしているに違いない。あくまでも予想だが。


「2年3組と言われてもよく分からないな・・・。気をきかしてプラカードとか用意しときゃいいのに」


そんな独り言を呟きながらウロウロする。俺としては2年3組を探しているつもりだが周りの人から見たら挙動不審かもしれない。

そもそも俺は1学年に何クラスあるかすら分からない。それさえ分かっていれば大方自分の並ぶべき場所は想像できるわけだが。せめて学年によって制服に微妙な違いをつければいいんだけど。ネクタイの色を変えるとかさ。


「貴方、どうかしたの?」


困ってる俺を見かねたのか後ろから誰かが声をかけてくれた。俺を安堵してからその人の方を振り向くと知っている顔がそこにあった。


「唯さ・・・じゃない。えっと、2年3組の場所が分からないんですけど」

「2年3組なら私と同じクラスね。私についてきたら分かるわ」

「ありがとうございます」


唯さんの親切さに助けられ俺は無事並ぶ事ができた。自分のクラスに並ぶだけでこんなとは前途多難だと思うしかない。そこはなんとなくだけど唯さんがフォローしてくれるような気がするので他力本願だが何とかなるかもしれない。


それにしても、早く始業式が終わってほしいところだ・・・。


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