冒険者ギルド
冒険者ギルドにたどり着いた。人外管理施設とも呼ばれる。この都市に住む冒険者はダンジョンを攻略していく程に人外とも呼ばれる強さになるからだ。大変危険なので管理しなければならない。潜りも存在するが事件に巻き込まれたとき立場が圧倒的に不利になる。
ギルドではダンジョンで得た魔石や素材、アイテムの買取り、オークションから冒険者のサポートまで行なっている。登録しないと利用できない。ここまでできるのは冒険者ギルドしか存在しない。
クソッ、利権塗れになってやがる。
それとやはりこの都市はおかしな部分が色々ある。俺の前世の都市と比べるとだが。説明すると都市整備が完璧にされている。3つのダンジョンが縦に伸びて存在するからだろう。家や施設も縦に綺麗に伸びている。
俺が歩いて来た道は横だ。出入り口は反対側の向こうにもある。そしてアスファルトらしい何かで舗装された道以外は草原だ。それとアーチ状の出入り口付近に監視所がある。
壁のダンジョンの近くの家や施設は半円状になっているが、この都市を上から見ると十字になって広がっているのだ。見事としか言い様がない。
そして冒険者ギルドだ。都市の中心部に見事な円柱の建物がある。儲かってるな・・・
一度はこんな見事な建物を燃やしてみたい。
扉を開けて入る。市役所窓口みたいな受付があるのでそこに行く。カウンターは結構大きめだ。
「ようこそ。冒険者ギルドに本日はどのようなご用件で?」
女性の職員が聞いてくる。
見事なマニュアル対応だ。笑えない。
「登録です」
「ではこちらにご記入を」
髪を差し出されたので書いていく。こっちの世界の文字は書けるし読める。言語も通じていたので今更だ。
「終わりました」
紙とペンを相手の向きに直して返す。
「はい。フェイス・フェアルー様ですね、血を頂戴いたします」
登録には対象の血が必要だ。差し出された針で腕を指し返す。対象の情報を記載した魔法のカードを作る為だ。
「はい、完了しました。当ギルドでいくつか冒険者の支援ができますが受けられますか?」
カードを渡される。失くしても手元に戻ってくる魔法がかけられているから大丈夫だ。犯罪がバレるとカードの情報を元に他の冒険者に狙われる。捕まれば尋問をしてから刑罰が決まる。・・・よくできてる。
「では、ダンジョンの情報と宿を」
「二階に資料と無料配布のパンフレットがあります。ご自由に閲覧できます、当ギルド施設に宿もあります。3階以降です」
「ありがとうございます」
最後まで事務対応だなこの人。なら・・・
「俺はフェイス・フェアルーです。職員さんのお名前は?」
紙から名前を見られたが、自分から名乗って手を差し出す。
「ッ失礼しました。私の名前はエル・フィアナです」
驚いていたが手を差し出してくれた。握手だ。彼女の手は細くて温かった。
「よろしくエルさん」
「よろしくお願いします。フェイス君」
綺麗だ。
何故そんな顔をしているのかは分からないが、白髪ロングで美人な彼女に物憂げな顔は似合わない。
ーーーーー
彼が去っていく。二階で資料を読むのだろう。冒険者は普通資料を読まない。彼等は経験して学ぶからだ。ダンジョンの情報は全ては載ってはいないが、役に立つだろう。冒険者の死亡を減らす為に作られたものだが、多くの者は読んでくれない。
「よかった」
資料は過去のギルド職員と冒険者の協力で遺されてきたものだ。全て載せてないのも冒険者の為でもある。最後は自分の力で到達階層を更新する必要がある。何から何まで支援するのも危険だと判断して来た結果だ。
握手した彼の手を思い出す。男の子と紙にあったが、分からない。目も髪も見たことがなく、容姿は人形のようで、そしてかなり細かった。それでも冒険者は強くなると見た目では判断できないほど強くなる。
だが、
「エル!さっきの子すっごく可愛かったね!」
同僚が聞いてくる。
「うん」
「金銀の目かー羨ましいなー」
そしてあの髪色と可愛い容姿だ。狙われないか心ば・・・
「心配?」
「えっ!?」
「いつもとは違う顔してるよ!図星だね!」
顔が熱い。
「ナズナちゃん?」
「あっ、ヤバっ、からかいすぎた!?」
ちょっとお仕置きだ。
ーーーーー
このギルドだが、階段もあるが、昇降機があった。儲けてる分もあるのだろうが、進んでいる。
3階の宿も取った。個室のホテルのような部屋だ。シャワールームもある。食事は別だ。外で取ることになる。
冒険者支援の一つで値段も安い。一先ずの活動拠点だ。その内家でも買おうか。都市エデンの冒険者が稼ぐ金額は下だと低いが、上は天井知らずと言われる。命を賭けるだけの価値がダンジョンにあるからだ。
金か冒険か力か名声か。ここで冒険者をやる奴はそれらを求めてこの都市に来る。
求めるものがあるやつのエネルギーはすごい。
ここなら飽きなそうだ。
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