ダンジョン都市エデン
あれから一月経って俺はダンジョン都市にたどり着いた。ダンジョン都市までの道のりを乗合馬車を乗り継いで来たのだ。
で、今街に入ろうとする列に並んでいる。
この都市の名前はダンジョン都市エデンだとビルさんに教えてもらった。
兵士のビルさんには感謝しよう。色々助けてもらった。常識やら都市までの行き方やら。それなりに暇だからいいんだと言って教えてもらった。それでいいのか。
その一つにステータスが存在する。ダンジョンに入ると手の甲や前腕に紋章が表れるらしい。紋章は人によって様々だ。そしてそれからは何処でも意思や言葉で紋章からステータスが見れる。
左手の甲に紋章が表れたときは驚いた。何故か紋章が表れたので理由を聞きに行ったらビルさんも驚いた。
ステータスの判断をして欲しくてビルさんに見せたら驚いていた。そして怒られた。他人にステータスを見せるのは危険だからだ。やっぱりこの人を頼ってよかった。
そしてステータスを見たビルさんに絶対口外するなと言われた。俺はどうやら異常らしい。ビルさんが恐ろしい顔をしていたので口外しないと約束した。
俺の紋章は陰陽に真ん中が灰色な紋章だった。
中二病ぅ・・・
ステータスはこうだ。
フェイス・フェアルー
種族[辿人]
性別[自由]
能力値
[体力]150
[力]150
[頑丈]120
[器用]200
[敏捷]180
[魔力]100
[精神]???
[抵抗]500
スキル
[破綻せし探求者]
種族が人間ではない。この世界は人間やエルフやドワーフ、他にも多数の種族がいるが、俺の種族は知らないらしい。異世界に来た人間のことでも指してんのか?これ。
性別は意味不明である。宿にいるとき確認した。体つきが分かりにくかったので下も見たが男である。もしかしたらと思い念じてみたら変わった。体つきの変化が少ないが女の体だ。嘘でしょ・・・
能力値は塔のダンジョンの到達階層がステータスの基準の判断になるらしい。人のステータスは成人しているならば大体100前後になる。勿論個人差や種族差、魔力には適正があるので能力値に差ができてしまう。ダンジョン攻略では他の仲間や装備、道具でそれを補うのだ。
生命力や魔力量は存在しない。それらを表すのは不可能だそうだ。ただし、魔力量は体感で存在する。使い続けると目眩が出始め、使い切れば気絶する。
塔のダンジョンを攻略するには1階層毎に能力値を10ずつ伸ばしていくのが理想だそうだ。全部はまず無理だが、10階層到達時で[精神]や[抵抗]以外の能力値のどれかは200超えにするのが理想だ。
能力値の数値は[精神]や[抵抗]以外は、飽くまで発揮できる最大値で、スキルやらで変動するのだが、俺の能力値は色々おかしい。ダンジョンに入っていないのにこの数値だ。
前世はステータスや能力値はないが納得できる部分もある。
今の状態でも上手くやれば10階層まで攻略できてしまう。そして[抵抗]の数字が高すぎる。[精神]に至っては???である。意味が分からん。
能力値の説明は見た通りだが、[頑丈][魔力][精神」[抵抗」は分からないから説明してもらった。
[頑丈]は肉体の頑丈性を表す。鍛錬でも上昇する。傷を負う必要はない。高いとドMだ。
[魔力]は魔法使用時の威力や範囲、効果に影響する。魔法の軽減効果もある。元の世界に魔力はなかったから、なんとも言えない。
[精神]は精神に対する影響を防ぐ。高ければパニックにも精神の状態異常にもなりにくい。煽り耐性もあるのか?これ。
[抵抗]は肉体面の状態異常を防ぐ。普通の人なら致死性の毒も軽症にするそうだ。高ければ無効にもできる。すごいね人体。
何故こんなステータスになっているのか、その理由もいくらか分かった。おそらくスキルのせいだ。スキルの詳細を調べたら出てきた。
[破綻せし探求者]
適正無視、成長能力上昇
技術・魔法の習得、技術の上昇速度が飛躍する
行動操作、模倣、予測能力
精神系の異常無効、肉体にも影響
感情の大きさで能力に大補正が入る
めちゃくちゃである。チートか?チートなのか!?あのドラゴンを殺せとの天啓か?これは。
効果を見たが、発現したスキルが統合された影響だろうか?これを見せたときのビルさんの顔が一番怖かった。一番面白い顔とも思ったが笑えなかった。俺のスキルは異常らしい。
スキルの詳細は絶対に他人に教えるなと改めて言われた。スキル持ちは名のある冒険者は皆持っていると言われるが、こんなのはいないと言われた。口外したら確実に狙われるらしい。
スキルのいくつかは分からないとビルさんが言っていたが能力値に反映されているのは[精神]と[抵抗]は確実だと思う。
スキルは常時発動と能動発動がある。[精神]と[抵抗]の能力値は常時発動だと思う。わからないが精神異常は起きなそうだ。既に破綻しているからか。
町に入ったら中心部を目指すべきだと言われた。冒険者ギルド本部がある。とりあえずそこに向かう。
あまりにも親切に教えてくれたビルさんに盗んだ装備を素直に言ったが、これは俺の物だと言ってくれた。文字通りの物知らずで、装備まで取ったら襲われると言ってくれた。本当にありがたい。・・・こんなに優しくされたのは初めてだ。
気になって聞いてみたが、盗んだ青白い長剣はミスリルのロングソードだ。希少な鉱物から作られ、鉄よりも軽く鋭く頑丈である破格な品だが、持って行っていいそうだ。大事に使おう。
そうしてビルさんと別れて馬車を乗り継いで、俺はダンジョン都市にたどり着いた。一緒に馬車に乗った人は俺をジロジロ見ていた。ビルさんに感謝しよう。服だけなら襲われていたかもしれない。襲われても返り討ちにしてぶっ殺すつもりだが。
最初に遠目から塔と壁を見て、壁を通るときに間近で見たが色々おかしい。真っ白でツルツルの壁だ。ヒビやら装飾やらが一切ない。内側に作った階段があるから登れるそうだ。ダンジョンの入り口も内側に二ヶ所存在する。
壁のダンジョン内は完全に迷路だそうだ。敵が強く、トラップも多いが、その分希少な品がある。そして難易度は一番上だ。上下のある迷路なので攻略が進んでいるか分からないそうだ。
そして塔のダンジョンも見える。かなりの高さだ。雲を超えているかもしれない。壁と同じ色をしている。
塔のダンジョンは冒険者の能力値を図る基準に使われているので難易度は一番下と見られている。それなりの広さの階層を進み、ダンジョン内の階段を登って攻略して行く。魔物の力量も分かりやすくて人気だ。
3つのダンジョンの名前も存在する。上から説明すると、
上の壁のダンジョン『ラビリンスハイ』
塔のダンジョン『ヘヴン』
大穴のダンジョン『ゴッヘル』
下の壁のダンジョン『ラビリンスロー』
となる。以降はこの名前で呼ぼう。
ヘヴンとゴッヘルについてはギルド本部に寄ってから見よう。
今は直線の道を歩いている。舗装されている道以外の左右は草原だ。この道を進んだ先に円柱やら都市が見える。円柱が冒険者ギルドだ。そこで活動登録しなければならない。