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第81話「王都への奇襲」

新章スタートしました。

第5章は戦闘シーンとシリアスなシーンが多めですのでご注意ください。

以前よりもハイペースになっているのでサクサク読めると思います。

 王都の南側に位置する港町、リージェント。


 そこは海の青さと地面の白さが特徴的な王都を代表する港であり、王国海軍の戦艦の多くがここを拠点としている。


 だが今は僅かな船しかなく、王国軍はその戦力の大半を王都から離れた東海岸へと向けていた。ジルコニア軍は二手に分かれてアモルファス本土へと侵攻していたのだ。


 アモルファスとジルコニアは世界中で起きた食糧危機のため、つい最近停戦協定を結んだばかりであったが、そんな事はお構いなしに大軍で押し寄せていた。


「ルビアンっ! ジルコニア軍が王都に攻めてきたぞっ!」


 サーファが異変に気づいたルビアンに声をかけた。


「王都部隊の出番だな」

「ルビアン、あたしも協力するぞ」

「ああ、頼んだぜ」


 ルビアンたちはすぐに王都部隊を集め応戦する。


 だがジルコニア軍の数は予想を上回っており、リージェントを守っていた総督部隊が応戦するもすぐに押され始めた。


 ルビアンは高い場所から敵の動きを観察し、王都部隊の集合を待った。


「何故ジルコニア軍が直接王都に? 東海岸から攻めてきたはずじゃないのか?」

「これは罠だ。あいつらは総督部隊が相手じゃまず勝てないと踏んで東海岸に餌を撒いた。総督部隊は見事に誘導されて王国軍の大半を東海岸に差し向けた。するとどうなる?」

「――王都ががら空きになる」

「そうだ。あいつらは最初っから王都を狙っていやがったんだ」

「ルビアンっ!」


 武装した綺羅が慌てた様子でルビアンに声をかけた。彼は王都部隊の兵士を集め、ルビアンの元へと真っ先に駆けつけたのだ。


「集まった兵は?」

「合計で2000人ってとこだ」

「まだ少ないな。敵は1万人ってとこか。サーファ、まずは王都民の避難を優先する。協力者を集めて王都民たちを安全な場所まで誘導してくれ」

「分かった。行ってくる」

「綺羅、ジルコニア軍の足を止めるぞ。1000人を引き連れて王都の建物を魔法で要塞化しろ。それが終わったらあいつらを魔法攻撃で遠距離から攻撃するんだ」

「分かった」


 サーファと綺羅はルビアンの指示通りに動き、王都民たちの避難を確認したところでルビアンが残りの1000人を引き連れ、リージェントの守備を固めた。


「いいかっ! 王都が陥落すれば全てが終わる。1人も中に入れるなっ!」

「「「「「おお~っ!」」」」」


 ルビアンが兵士たちを鼓舞すると、彼はジルコニア軍の進軍を待つ中、魔法による遠距離攻撃でジルコニア軍を挑発した。


「将軍っ! アモルファス軍が魔法で攻撃してきますっ!」

「何やとっ! 敵の総督部隊はこれで全員とちゃうんか?」

「情報によれば、敵総督部隊はこれで全てかと」

「せやったら何であんなとこにも敵がおるんや?」

「分かりません」


 加里が連絡係を問い詰めていると、そこに無表情で戦場を見つめる翡翠が現れた。


「もういいわ、行きなさい」

「はっ!」


 連絡係が再び戦場へと飛び立っていく。


「加里、落ち着いて。敵はたったの1000人よ。その後ろにいる敵も大した数ではないわ」

「そんなんなんで分かるんや?」

「偵察によると、総督部隊は10万人、その内9万9000人は東海岸へ向かったわ。私たちは今まで王都を直接攻めた事はなかったから、それで油断していたんでしょうね。何度も東海岸を執拗に襲う事で、彼らの意識をそこに釘付けにする事ができたわ」

「さすがはジルコニアの頭脳やな」

「玄武と蓮華は東海岸でなるべく時間を稼ぐように言っているわ。もし王都が陥落する前に残りの9万9000人が王都に戻ってくれば、私たちの負けよ」

「じゃっ、そうなる前に片づけに行ったるわ」


 翡翠は無表情のまま目を半開きにさせ、ジルコニア軍の大将として采配を振るっているが、加里は後ろの方で待っているのが苦痛なのか、船と船の間を身軽にピョンピョンと飛び越えていく。


 翡翠はその様子を少し大きめの戦艦から静かに見守っていた。


「全く、将軍が前に出るなんて……」


 加里と翡翠率いるジルコニア軍総勢1万人が王都の港から上陸をし始め、それを残った総督部隊が必死に阻止しようとするが、徐々に数の差で押されて行き、加里が船からジャンプしてリージェントの地を踏んだ。


「よっしゃー、1番乗りやー。死にたい奴はかかってきいやー」

「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉっ!」」」」」


 これにびっくりした総督部隊の兵士たちが加里に襲いかかるが、加里は総督部隊の兵士を次々と長槍で倒していく。


「そんなに死にたいんやったら全員まとめてぶっ飛ばしたるわ。どりゃあああああっ!」

「「「「「うわああああああっ!」」」」」


 加里の必殺技である一点突きが決まり、しばらくしてリージェントの守備を任されていた総督部隊が全滅した。これによりジルコニア軍がフリーパスで次々と上陸していく。


「なんや、案外呆気ないもんやな」

「加里、油断は禁物よ。まだ敵がいる」

「でも数は少ないんやろ。なら突撃あるのみやっ! 行くでー」

「加里、駄目っ!」


 加里は翡翠の制止を無視して上陸した兵士たちを率い王都に突撃を仕掛けた。


 そこで王都部隊とジルコニア軍が初めて衝突する事となった。


「まさかお前らが王都を攻めてくるとは思わなかったぜ」

「あんたは確か――ルビアン」

「わりいけどここは通さねえぜ。食堂を守らねえと生活ができないんでね」

「ふーん、どうやらただの食堂の雑用係じゃないみたいやな。んじゃ遠慮なくいくでっ!」

「!」


 加里が長槍を構えるとその姿が消えた。ルビアンめがけて一直線に長槍が飛び、再び一点突きが決まったかと思われたが、周囲には岩がボロボロと転がっており、ルビアンの前には岩の盾を持ったカーネリアが立ちふさがっていた。


「ほう、うちの一点突きを防ぎきるとはさすがやな」

「ルビアンに手出しはさせない。あたしが相手だ」


 突然大量の小刀が降ってくるが、カーネリアは冷静にそれを岩の盾ではじき返した。


「あなたの相手は私よ」

「「!」」


 加里の後ろに翡翠が降り立つ。手には死神の鎌を持ち、その周囲には小刀が浮いており既に戦闘態勢だ。


「遅いで翡翠、もう戦いは始まってるんやで」

「あなたがせっかちすぎるのよ。この女は私が、加里はあの可愛い男の子を殺りなさい」

「ええでー。ちょうどうちもルビアンと決着をつけたかったんや」


 両者が戦闘を開始する中、ジルコニア軍の侵攻は続く。


 ルビアンたちは王都を守るべく、強大な敵に立ち向かうのだった。

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