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第66話「王都部隊の仇」

 ルビアンには大いなる決意があった。


 それはダイヤモンド島の奪回と共に王都部隊の仇を取る事。


 王都部隊は再編成をするべく再び討伐隊の者を招集し始めていた。


 その中にはアクアンとサーファまでもがいた。


「俺たちも次の王都部隊に組み入れられる事になっちまったよ」

「あの戦いで王都部隊の大半が死んじまったからな」

「それ本当か?」

「ああ、本当だ」


 アクアンもサーファも王都部隊ではあったが、戦力不足のため本土での戦い以外に参加する事はなかった。だが人数が足りなくなった以上、たとえ戦力不足であっても対外戦争に参加せざるを得なくなったのだ。


「アベンはどうなったんだよ?」

「あの敗北の責任を取る形で隊長を辞めたよ。王都部隊にいたコリンティアの面々は全員総督部隊の配下になった。もうあいつらが指揮を執る事はないだろうな」

「じゃあ、今の王都部隊には隊長がいねえんじゃねえのか?」

「そういう事になるな」


 そこにクリソと他2人の面々が現れた。


 クリソは何枚かの紙を両手で持ち歩いており、沈んだ顔で他2人とカウンター席に座る。


「いらっしゃいませー。3名様ですか?」

「ええ。お勧めの定食セットを3人前」

「かしこまりましたー」


 ガーネがグロッシュに注文を伝えると、クリソはルビアンと目が合った。


 そんな彼女の隣座ったのはタンザ・ナイト。青紫色のショートヘアーでワイルドな雰囲気の格好をした男である。コリンティアのメンバーの1人であり、剣にも飛び道具にもなり、貫通能力を持つブーメランソードを背中の鞘へと納めているが特徴である。


 その隣に座ったのはゾイス・チューライト。中性的な顔立ちで赤黒い色のロングヘアーな男である。コリンティアのメンバーの1人であり、クリソの事を慕っている。相手を猛毒にしてから敵が倒れるまでひたすら守備に徹する陰湿な戦法の使い手である。


「クリソ、どうした?」

「ルビアン、あなたの悪い予感が的中したわ」

「だろうな。あいつ突っ込む気満々だったし」

「でもどうして分かったの?」


 クリソはあの会議の時から気になっていた。何故ルビアンが相手の作戦を読めたのかを。


「ダイヤモンド島の周辺にはよく霧が発生するんだよ。一度通ったからな。しかもジルコニア軍には魔力感知バリアがあるっていう報告を聞いた時に、霧の中に入ったらあっという間に包囲殲滅されるところまでが読めた。だからまずは魔法で霧を解除してから戦いを挑むべきだったんだよ。結果論だけどな」

「あたしはもう王都部隊には戻れないわ。アベンを止められなかったあたしたちの責任でもあるから」


 皮肉にもあの敗北によって、ルビアンの軍才をその場にいた誰もが知る事となった。


 この事実はアルカディアばかりかコリンティアのメンバーたちをも驚かせた。


「で? あんたらは?」

「俺たちはクリソの付き添いだ。アベンと一緒に総督部隊の一員になった」

「まっ、僕らとしては願ったりかなったりだけどね」

「ていうかあんたらは無傷なんだな」

「ええ。あたしたちがいた戦艦は敵の作戦に気づいてすぐに引き返したから死傷者が少なかったの。大砲が鳴り止んだかと思えば、今度は大量の小刀を浮かせて飛ばしてくる相手がいて驚いたけど」


 大量の小刀って、おいおい、ジルコニア軍にはまだ恐ろしい奴がいるってのかよ。こりゃ簡単には返してくれそうにないな。


 ルビアンはそんな事を考えながらため息を吐くのだった。


 その頃、ダイヤモンド島ジルコニア軍の軍事拠点近くの屋敷にて――。


 御影の前にはジルコニア軍四天王が彼を見ながらその場に座っており、彼は四天王の面々に東海岸沖の戦いでの勝利に酔いしれていた。


 軍事拠点では勝利を祝う宴が行われており、そこにいる者たちは笑いながら酒に飲まれているところであった。


「よくやった。此度の戦は敵がうまく罠にハマってくれたおかげだ」

「さすがは翡翠やな。守りを固めさせたらあんたの右に出る奴はおらんで」

「彼らの陣形を見た限りだと、彼らは前衛と後衛の二段構えで戦おうとしていた。前衛で相手を疲弊させた後、後衛で弱った敵を叩き潰す戦法。あれは完全に討伐隊の戦い方。相手がモンスターであればうまくいっていただろうけど、人との戦ではそうはいかない。戦っている相手は人であるという認識が彼らから抜け落ちていた。つまらないわ」


 翡翠が無表情のまま冷静に分析した戦況を淡々と説明する。


 彼女は四天王の中でも知略に優れた戦略家であり、御影からはダイヤモンド島の防衛を任されていた。特に砦や城の防衛においては一流の腕前であった。


「オレ、タオセナカッタ」

「俺たちが来た時には加里と翡翠がほとんど片づけてたからな。勝ったのは良いけど、美味しいとこ全部持っていかれちまったぜ」


 玄武と蓮華はジルコニア軍の先鋒の苦戦時に駆けつける増援の担当であった。


 だが戦う前に敵が撤退したため、戦果を挙げられなかった事を悔やんでいる。


「加里と翡翠には褒美を遣わす」

「やったー。じゃあうちは金や。翡翠、あんたも何か頼みや」

「私は――家族に米を送ってほしい」

「謙虚やなー。金貰った方がずっとええのに」

「良かろう。2人と先鋒の部隊には望みの褒美を送っておく。これからも精進するようにな。はっはっはっはっは」


 御影はそう言うと顔を上を向け、笑いながら機嫌良く宴の場から去っていく。


 彼は近くにあった火山を酔いが醒めたように真剣な目つきで眺めている。すると、そこに1人の老人が立っていた。


「石版はあるか?」

「はい丞相、アモルファス島にこれを直せる者がおりました」

「ふむ、よくやってくれた。確かに受け取ったぞ」


 御影が老人から受け取った石版はかつてルビアンが直したものだった。


 それを受け取った御影はほくそ笑みながら歩いていくのだった。

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読んでいただきありがとうございます。

タンザ・ナイト(CV:小野坂昌也)

ゾイス・チューライト(CV:下野紘)

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