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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第93話 私が冒険者という事です!

 掲載する前の2019年ぐらいから考えてた、学園編でやりたかった4つの事の1つをや~っと、書く所まできました。ちょっとした長い冒険です。いつもよりも気合を入れます。

 最初の予定外の躓きから一転して、とりあえずパーティメンバーが揃った。ちょっと曰く付きの面子ではあるが……


 旅に必要な水や食糧といった物は人数とルートに合わせて学校から支給されるので、その日は、4人中央校舎の職員室に行き支給品を確認して、個人的にどうしても必要な物は各自で用意するとし、翌日の雷の日は身体をしっかりと休めて、7月1日の土の日に出発する事にした。


 俺は特に追加で必要な物が無いと思ったので、雷の日は朝の訓練を長めに行い、夕方まで我儘亭の自室で、これまで習った事の復習や旅の心得の本を読んだり、去年の長期大型訓練で平原ルートを達成したというジンリーさんから話を聞いたりしていた。


 俺が、訓練に向けて準備をしてるのをシェンユは羨ましそうに見てて、時々ちょっかいを出してきた。

 めんどうだな。と思ったが、よく考えると、約1ヶ月半の間ユウツオから俺が居なくなるので寂しかったのかもしれない。


 パーティ表はノアが記載して学校に出してくれた。


 準備はバッチリだ! だかしかし、俺は今、すごーく眠い。


「タツキ大丈夫なの?」

「眠たい……」

「ちょっとタツキの兄貴、大丈夫っすか? 今日から出発って決めたじゃないですか! 何やってたんです?」


 俺は今、集合場所にした学校の中央校舎の入り口前に眠気と闘いながら、なんとか立っている。


「皆様、申し訳ございません! 昨夜はマスターを寝かさずに楽しんでしまいました」

「えっ? タツキ、ついに侍女に手を出したのね」

「兄貴! しばらく会えなくなるからって前日にやらなくても! 一昨日の夜があったじゃないっすか!」

「シェンファは別に良いと思います」

「やめろ。誤解だ! ノアも誤解を招く言い方をするな!」


 昨日は早めに寝ておこうと思っていたのに、突然ノアが「今夜は寝かせませんよ?」などと、ふざけた事を言い出して、本当に寝かさなかった。

 初めは緊張しすぎてるからリラックスの為にエクシィをやろうってなって、白熱して気づけば明朝となり、その後は嫌がらせを受けて寝かせてもらえなかった。


 そして、フラフラしてる俺を1人で行かせるのは危ないとし、学校まで着いて来やがった。


「お前マジで何がしたいんだよ~」

「ふっふっふっ。もちろん、ちゃんと理由はあるのですよ。では行きましょうか」

「行くって何処に?」

「着いて来て下さい」


 何故か仕切っているノアについて行く。中央校舎の北側にある裏門前にある広場に着くと、ダリアさんが歓声をあげた。


 青紫色に白いストライプと大小様々な斑点のある大きな馬獣。額から蛾のような2本の触角が生えていて、うなじの立髪と共に風になびいている。俺が知ってる馬と違っては前脚が4本ある。

 2体が並んで立っており、屋根付きのしっかとした木製荷車に繋がれている。


 その隣で桶の水を飲んでいるのは、馬と同じぐらい大きい、大人が2人乗れそうな犬獣。藍色で黒いストライプがあって、シルエット的には狼だ。きっとお母さんは白くて首だけでも動くようなデカい奴だろう。


「あぁ。なんて可愛いの」


ダリアさんがトリップしかけてる。犬の方か? 馬の方か? どっちにしろ、アレはカワイイの部類なのか?


「触っても良いですか?」

「いいぞー。かなり優秀な犬獣だ。こいつ等と旅が出来るってだけでも楽しいそうだ」

「あれ? フォルスト。こんな所で何やってるんだ?」


 幻覚じゃないよな? 俺は寝ぼけているのか?


「何って、お前等のおもりだよ。ノアちゃんにお願いされたんだ。ユウツオでナンバーワンC級冒険者のフォルストを、是非、雇いたいってな。俺も普段からノアちゃんには世話になってるから、快く受ける事にしたぜ」

「マジかよ! フォルストさんが一緒に来てくれるのかよ。もう安心だぜ!」


 フォルストはユウツオじゃ、実力者として名が知れてる。双子からしたら嬉しいだろう。ダリアさんは眼中にないらしく犬獣に夢中だ。


「これは、これは、タツキ様。お初にお目にかかります。私、学校から南に少し行った所に貸し騎乗獣の店を構えております。アサド=シャン・グルーム=オウと申します。ノア様には普段からお世話になっておりまして、この度もよろしくお願いします。荷車も準備もしておきました。学校からの支給品も全て載せておきましたので」


 誰だ! この小太りの金持ちそうなチョビ髭のオジサンは! ノアは普段いったい何のバイトをしてるんだ!


「ありがとうございます。アサド様」

「どうもノア様。内容の確認をしたいのですが、この荷車は――」


 お得意様? どうなってるんだ? 頭がついていかない。


「おはようタツキ。凄いな。馬獣に犬獣に荷車もあって、C級冒険者のフォルストか。学校から支給品の荷物も全て載せてあるみたいだし、準備は完璧だな」

「あぁ。サイネ先生、おはようございます」

「お前のコンディションは最悪そうだな。大丈夫か?」

「ちょっと、寝不足で」

「おいおい、リーダーはちゃんと管理してくれなかったのか?」


 な、なんて? リーダーって誰だよ? なんでリーダーが俺の体調管理までしてくれるんだ?

 ちょっと、頭が回らなくなってきた。


「さぁさぁ。挨拶はそのぐらいにして、皆さん話し合いをしてから出発しましょう! パーティメンバーは集まって下さい! 関係ない人は離れて頂くようお願い致します」


 どういうわけかノアが仕切って、パーティを動かす。もう、なんでも良いけど、俺はこのまま旅に出るのか? 頭は回らないし、身体は怠いし、寝不足からかイライラしてきた。ノアめ~、許せん。


 他の皆は準備万端みたいだ。それぞれ各自で持ってきた荷物は荷車に積み終わったようで、ダリアさんは2匹の馬と2匹の犬をチラチラと見て目を輝かせている。双子はフォルストを見て目を輝かせている。フォルストは隣に立つノアの胸元をチラチラ見ながら怠そうに立っている。まぁ、コイツはこんなんだが、やる時はやる男だから平常運転だろう。


「この6人で帝都テンルウまで約日、旅をしますので仲良く行きましょう~。夜間進行も予定していますので、そのつもりで宜しくお願い致します」


 アレ? なんか変じゃないか?


「パーティ表に記載して提出してますが、私がリーダーを務めさせて頂きます。ですが訓練ですので、皆様の自主性を尊重し、何か提案がございましたら遠慮なく申し上げて下さい。それから、有事の際にはC級冒険者であり、経験豊富であられますフォルスト様に指示を出して頂きます」

「おぅ、任せとけ。お前等の安全は俺が保証するぜ!」

「皆様もフォルスト様の従うように、お願い致します。何か質問はありますか?」

 有り有りじゃ、ボケェ!


「おい、ノア!」

「何でしょうか?」

「何でお前が仕切ってるんだよ? 見送りはいいから帰っていいぞ? というか、あと1人の冒険者がいないのに何で話を進めてるんだよ!」

「はぁ~。マスター、今の自分がした3つの質問を察して、分かりませんかねぇ?」

「はっ?」

「私が冒険者という事です!」

「はぁあ?」


 ノアは自分の胸元に手を入れると、ネックレスを取り出した。その先には冒険者証に使われているピンポン玉のような球体が付いていて、D級の証である緑色になっていた。


 いや! おかしくないか?


 だって、2月末にこの世界に来た時、領主様との取引で、4月から学生になってシェンユを見護る代わりに、2年間の生活費と学費のお金を貸してくれる提案にノアは賛同してくれたじゃないか!

 なんで冒険者になってるの? しかもD級。というか、どうやって? 4か月しか経ってないんですけど?


 俺が学校に通って2年もかける必要無いんじゃない? そしたらお金まかからないし、すぐに世界中を冒険者出来たじゃないか!


 アレ? なんで、こんな事になってるんだっけ?


 なんか理由はあった気がする。説明してたよーな。無かったよーな。


 えっと、うーんと。


 考えがまとまらない……


 睡眠不足により情報処理能力が限界に達した俺は、視界がボヤけて、その後ブラックアウトした。




     *




「ーキ、ーツキ」


 ん? キツツキ?


「起きて、タツキ!」

「!っ」


 目を覚ますと薄暗い中、ダリアさんが俺の顔を見ていた。


 咄嗟にデジャヴが頭をよぎって、下半身に手を伸ばす。

 心配したような事は無く、ちゃんとズボンを履いていた。ウエストポーチスタイルはしなくても良さそうだ。


「えっと、すみません。アレからどうなりましたか?」


 自分が寝落ちした事は、なんとなく分かっている。


「荷車に寝かせて、そのまま出発したわよ」


 くっそー! 出発式に参加したかったぞ! 皆で「さぁ、冒険に出発だ!」とか「エイエイオー!」とかやりたかったぁ。


「外に出ましょう」


 荷車の天幕を退けて外に出ると、沈んでいく綺麗な夕焼けと、やがて来る夜の藍色が合わさって、紫色の幻想的な空になっていた。その下には満月に照らされて光る、黄金色の草原が辺り一面を埋め尽くしている。


これまで、街と森と砂漠しか見た事ない。そもそもユウツオの街を、こんなに離れた事が無い。


 少し胸がドキドキしてきた。


「あの後8時間ほど進んでから、見ての通り今は夕食を済ませて休憩しているわ。騎乗獣達は疲れて無かったけど、1時間ぐらい寝てもらってるから、まだまだ走れるはずよ。後は宜しくね」

「ん? おう」


 俺は騎乗獣を操れませんが?


 焚き火を中心に、鍋を管理しながらフォルストと双子が雑談をしている。

 少し離れた所に、オモシロ動画で出てくるような豪快な寝相をして2匹の犬が寝ていた。とは対照的に猫のように丸くなって寝てるのは馬達だ。

 あの図体でよく縮こまれるな。


「おう、起きたか。ひと口水を飲んでから身体を動かしとけよ。飯を準備するから」

「あぁ、うん。ありがとう」

「タツキの兄貴、今日の飯は美味いっすよ~。この俺がヤッシー・タードから取ってきましたから!」

「はいはい。美味しかったわよ。ありがとうね! その話、何回するつもりよ」

「まだ、兄貴には話してねーんだよ。あのですね~」


 ヤッシータードってのは背中にヤシの木を3本生やした軽自動車ぐらいのデカい亀だ。普段は地面に半分埋まってて、木の実を食べに来た獲物。ツタで捕まえてて逆に食べる。

その木の実が実は自身の肉で出来ていて美味いらしい。


「――という感じでですね。フォルストさんが気を引いてる内にシェンファの支援を受けた俺が素早く木を登って、取って来たわけですよ!」

「へ~、凄いな。それじゃぁ、大事に味わって食べないといけないなぁ」

「ほら、とりあえず水飲むんどけ」

「どうも」


 ずっと寝てた俺に対して皆が優しい。普通は怒らないか? めっちゃ、申し訳ないんだけど。


「そういえばノアは?」

「後ろだよ」


 振り返ると荷車よりも離れた所に、直径5メートルぐらいの大岩を物見台にして、周囲を警戒する女子高生が立っていた。

 あの野郎! お前が変な事したせいで、俺は今、申し訳ない気持ちでいっぱいだぞ?


「ノアって本当に凄いわね。知識も戦闘技術もB級冒険者並みだわ」

「あと、信じられないほどの体力があるっす! それが1番凄いですよ。俺、ノアの姉御が疲れている所見た事無いです」

「しかも、それを命の恩人であるタツキへの忠義だけで、身に着けているかな。美人で実力があって絶対の信頼がある。まったく羨ましいぜ! ほら、肉が焼けたぞ。スープも飲め。コレ片づけるから」

「フォルストさん、私が片づけるわ。荷車を繋ぐのをお願いできます?」

「分かった。じゃぁ、そっち頼むわ。よーし、ガキ共立て。騎乗獣の起こし方を教えてやるぞ」

「了解です!」


 なんか、せわしいな? もう夜になるのに何の準備だ? テントでも張るのか?

「タツキはゆっくり食べてていいから。夜は1人だと思うけど、頑張ってね。期待してるわ」

「あぁ。なるほど! 夜の見張り担当って俺なのか」

「何、言ってるのよ。もう。夜間進行の担当でしょ?」

「えっ?」

「私もしばらくは起きておくから。ちょっと頭が冴えてて、すぐには眠れそうに無いわ」


 えぇ?! 俺1人で騎乗獣を操って進むんすか?


 心臓が早鐘みたいにドキドキしてきた!

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