表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
87/223

第86話 ミステリーか?

 最近学校で、あからさまな視線を感じる事がある。そう多くは無いが、そのタイミングはなんとなーく分かる。

 ギルド学の授業の後が多いが、魔闘気訓練学の時もあるし、亜人学の時もあるし、けど、昼休み中は絶対に無い。なぜなら、視線を送る犯人がいないからだ。つまり、俺は視線の主を知ってる。


 ヒルデさんだ!


 不規則と思われるタイミングだが、ちゃんと理由がある。大魔女サヤ様の話をしてる時、もしくは、関連する話が出た時だ。

 俺は、大魔女サヤの大ファンという事になっているし、周りにもそれで認知されつつある。その方が情報を集めやすいし、俺個人としてもサヤ様は、好きだ。

 そうして少し話が盛り上がると、必ずヒルデさんが、話の輪に入りたそうに俺を見てくる。けど、他の皆は関わりたく無さそう~にしている。

 特にユウは顕著で、そもそもヒルデさんが近くにいると、あまり話すらしない。


 正直、こんな事は嫌だけど、よくある事ではある。中学でも高校でも、何故かクラスで浮く奴は存在してて、俺もそうだった。でも大抵は、はぐれ者同士でコミュニティが出来て、それなりにエンジョイしたりするもんだったりするが……


 どうやら、魔女教団ってのは、相当の嫌われ者みたいで、ヒルデさんが誰かと喋ってる所を俺は見た事ない。


 こういう状況に介入した事は無いが、流石にずーっと1人ってはツラいだろうし、俺に視線を送ってくるので、なんとかしてあげたいと思うのだが、どうしたものか……


 とりあえず3日間は観察してみた。ヒルデさんは、基本的に1人で黙々と勉強をしていて、授業の合間の短い休憩時間もノートをまとめていたり、次の授業の準備をしている。

 そして、昼食は必ずどこかへと居なくなる。教室から出て行くけど、一般食堂で見た事は無いし、先生に聞いたら貴族では無いらしいので、貴族用食堂を利用してもいないだろう。シェンユに「たまには外で食べよう」と外に連れ出して探してみたけど、見当たらなかった。

 まさか、トイレで弁当食べてるタイプの人なのだろうか? 人によってはトイレが落ち着くって、人もいるらしいが。


「ターツーキー。今日はいったい何処で弁当食べるのさ?」

「なんだよ。その言い方は」

「だってさ。今まで教室だったのに、3日前は理由もなく食堂に行ってさ、一昨日は突然、外に行こうって言うし、昨日も外で食べたし、どーしたのさ!」

「すまん!」

「まっ。分かっているけど、ヒルデさんでしょ? 何するつもりなのさ?」


 あっ! ヒルデさんが教室を出て行こうとしてる。


「すまんシェンユ! 今日はユウ達と飯食ってきてくれ!」

「えっ? ちょっと、タツキ~」


 申し訳ないが、シェンユを置いて急いでヒルデさんの後を追う。たぶん皆がいると話しにくいだろうから、昼時間を狙って1対1なら話ができないだろうか?

 本当ならシェンユと2人が、いいんだけれど、あの感じからすると気がのらないだろうから、無理には連れて行かない。だがしかし、俺は…… 女性と1対1で話なんて出来るのだろうか……


 ヒルデさんは、良クラスのある3階へと上がって行く。知り合いがいるのだろうか? だとしたら安心なんだけど。

 んっ? 4階に上がって行くぞ? もしかして没クラスに知り合いがいるのか?


 階段を登ってたら、4階から降りてくるカハクとすれ違った。


「あれ? タツキ君。もしかして私に用がある? 今から食堂に行く所なんだけど?」

「いや、大丈夫だ。ちょっと別の用事があるから、またな」


 ちょっと雑談をしてたら、ヒルデさんが見えなくなってしまった。没クラスがある4階に来たが、廊下には誰もいなかった。

 こっそりと没クラスの教室を覗いてみる。


 没クラスは貴族では無い一般人が多いと聞いた事がある。実はウチの食堂は、かなり金額が安いらしくて、その理由は未来の冒険者達の為に、今、活躍してる冒険者達が獲物を差し入れしてたり、センギョクさんのような引退して店をやってる人が、協力してたりする。なので、苦学生の多い没クラスの生徒達は、ほとんど食堂に行くらしい。

 というわけで、教室には誰もいなかった。


 廊下にも教室にも誰一人として、いない。だがしかし、ヒルデさんは4階まで上がってきたのは間違いない。


「ミステリーか?」


 目についた窓から外を眺める。

無いとは思うが、なんとなーく顔を出して外を見てみた。流石に校舎の外壁の梁とかには居なかった。

 安定しないし、危ないからな。世界にはクレーンの上で弁当食べる人もいるらしいけど。


 どこにいったのだろう? あと、弁当を食べれそうな所は……

 やはりトイレか?


 各階の教室の隣には、トイレがある。なので優クラスがある2階にもトイレはあるんだが、わざわざ4階のトイレを使うのは、何故だ? 教室と廊下に誰もいないので静かだからか?


「自分の教室に戻るか。女子トイレに突撃は絶対に出来ない」


 階段に向かう途中で、1つだけ開いている廊下の窓を通り過ぎた時、1つの仮定が思い浮かんだ。


「もしかして……」


 俺は、自分の弁当を口に咥えて、窓枠に手と足で踏ん張って身を外へ出す。

 ちょっとだけ下を見た。落ちたら大怪我どころでは無いな。もし、そうなったら最低でも頭部は守ろう。

 上下に体を振り勢いをつけて、上に跳躍して屋根の縁を掴む。それから懸垂の要領で屋根の上へとよじ登った。


 予想が当たり、ヒルデさんがいた。

 四角錐の屋根の傾斜に上手く腰掛けて、ユウツオの景色を見ながら弁当を食べてる途中だったらしく、口から2センチ手前でオカズを挟んでる箸を静止させて、驚いた顔で俺を見ている。


「あっ。えっと…… こんにちは」

「あの~。え~っと、私に何か用でしょうか?」


 どうしよう。なんて切り出したいいんだ? イジメられてます? なんて聞くのは失礼だろうし、でも、何故あんな扱いをされるのかを聞きたいんだけど。

 まずは普通に喋るんだ俺! ダリアさんとは喋れてるじゃないか!


「もしかして、大魔女サヤ様の話をしに来たのですか?」

「あっ、そ、そうです」

「そうなんですね! それは。それは。どうぞ、隣にどうぞ! 何の話をしましょうか? 大魔女サヤ様は偉大な方で、多くの偉業を成してますし、数多の功績もありますし、無数の逸話を残していますから!」


 なんかヤバイスイッチを入れてしまったみたいだ。聞きたいのはソレじゃないんだが、でもまぁ、まずは共通の話題で打ち解けてから、お悩み相談へという流れで行くぞ。


 とりあえず、隣に座って自分の弁当をスタンバイする。


「その~、そうですね。オススメの話があればお願いします」

「オススメですか。悩みますね~。全部オススメに値するので本当に難しいです。そしたら全部話せば良いですね! では導きの教典の第一章からお話しましょう。まず大切なのは魂の在り方です。大魔女サヤ様は、全ての根源は魂にあり、その強さも、魔力も、罪も、存在価値も、運命も深く刻まれている。という言葉を残しています。ですので自らのの魂と対話し、知覚して、その性質を知らなければなりません。つまり――」


 ヤベェよ! めっちゃ宗教勧誘みたいの始まってしまったよ! 導きの教典って何っ? サヤ様って宗教団体作ってたの?


 そして、この子スタートボタンを押されたCDプレイヤーみたいに喋り続けてるけど、これ永遠と喋るのかな? とりあえずは、ちゃんと聞いてるフリして頷きつつ、自分の弁当を食べてしまおう。


「この教えも、考え方も素晴らしいです。身体能力が低くても強い方は多く存在します。また身体能力の高い獣人達ですが、B級冒険者程度の実力しかありません。A級冒険者となれば、龍人と渡り合う者もいます。ですので強さとは、その本質は魂にあるのです! そして――」


 長い。第一章とか言ってたけど、何章まであるんだろう? しかも第一章が終わる気配もしないのだけど。俺は、もう弁当食べ終わってしまったよ。

 これは、本題に切り出すしか無いな。大丈夫だ俺! 普通に、聞けばいいだ。


「生きてきた全ても魂に刻まれますので、良い行いを心がけ」

「すみません! ヒルデさん」

「あっ! あはははは。やってしまいましたね」


 おっ? 自覚があるのか?


「タツキさんの意見を聞いていませんでしたね。やはり大魔女サヤ様は、素晴らしい方ですよね?」

「……」

「どうかしましたか?」

「あ、いや、なんか、もう、凄くて」


 まさか嫌われてる原因ってコレか?


「その、ヒルデさんに聞きたい事があるんだ」

「あぁ、すみません。導きの教典では無く、入団についてでしたか?」


 違う!


「そのぉ~。クラスに馴染めてないような気がして、ちょっと気になって……」

「その事ですか……」

「皆の態度も良くないと思ってるんだけど、何か原因があるのかな?」

「仕方の無い事なんです。タツキさんは知らないかも知れませんが、魔女教団は世界からの嫌われ者なのです。もちろん嫌われるだけの相応の事をしてきてますから」

「でも、俺にはヒルデさんが皆に迷惑をかけているようには見えない」

「ありがとうございます。それでも仕方ない事なのです。私個人でなく魔女教団全体の問題なのです。私達の魂に刻まれた罪の問題なのです」


 顔をうつむいて、自分の弁当を見つめているが、その瞳はきっと、ここに無い何かを見ようとしているんだろう。

 魔女教団。ノアに聞けば何か知ってるだろうけど、それでヒルデさんの立場が改善するとは思えない。


「俺は、困ってる人をほっとけないタチなんだ。何か俺に出来る事はないかな?」

「…… なら、今度の休みに私の住んでる所に来て貰えませんか?」

「えぇ?!」

「私と魔女教団のユウツオにおける立場、世界からどう思われてるか分かると思いますので」

「分かった。そうするよ」


 どういう事だろうか? でも行けば分かるって事なら見に行って改善策を考えよう。シェンユも誘ってみるかな?


 んっ? あそこに見えるのはシェンユじゃないか? ユウもダリアさんもいるし、ヒトラ様にヒョウカさん、シャンウィ君にシェンファちゃんトゥーイ達4ギャルもいるぞ? 昼食時間に皆でグランドに集まって何やるんだ?


「今日の昼休みって、何かあったっけ?」

「もしかしたら、授業が始まるのかもしれませんね。クラス全員いるみたいですし」

「えっ?!」

「あっ。先生もいますね。ここからだと、よく見えます」

「じゃなくて! ヤバイぞ! 遅刻する。次の授業は魔闘気訓練学だ、ダリア先生に怒られしまう! 早く戻らないと」

「あっ!」

「どうした?」

「私、まだ弁当食べてません」

「……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ