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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第84話 お、おねえさんみたいな獣人はいますか?

 上手くいかない魔闘気訓練学やレベルの上がった座学、そしてゼルトワのせいでやる事になった補習を頑張りながら、やっと週末がやってきた。

 今週の雷の日は、どっか何も無い所で、空でも眺めてのんびり昼寝でもしようかと思ってた。前の世界で友人は2人しかいなかった俺は、よく休みの日に何もしないで、都会の高い所で空を眺めていたもんだ。


 だがしかし、以前にコウにお願いしてた事が叶ってしまって、予定が出来てしまった。こういうのって、忘れた頃に予定が合うのよね~。


 という訳で、俺とノアは商業区画の1番北側、ユウツオの最北端になる場所にあるトラッド奴隷商会のユウツオ支部に来ている。


「やぁ! 久しぶりだねタツキ。あの砂漠に落ちた時以来かな?」

「そうだな。あの時は、お世話になりました。ありがとうな」

「いやぁ。トラッドも稼がして貰ったし、あの犬共が我儘言ってうるさかったのが静かになったんで、俺としては問題なかったよ」


 そうなのだ。実はあの砂漠に落ちた時に、シェンユが依頼した捜索隊募集に1番最初に志願してくれたのは、コウと同僚の2人と彼等が使役する奴隷獣人の6人、ロナウ達だったのだ。

 ちゃんと依頼料は払ったのだが、個人的にお礼がしたかった俺は、いつか時間が作れないかお願いしてた。


「それよりも、今日は本当に任せても大丈夫なのか? 大砂漠を単独で捜索に出た侍女さんの実力を疑う訳では無いけど、もしも何かあったら俺らの責任になるからさ」

「お任せ下さい。犬っコロなんて、100匹いようが、調教してさしあげあげます」

「それは、頼もしいね。まぁ、アイツ等も何故かタツキに、すっごく懐いてるし、もしも何かしたら後でどうなるか分かっているから、問題は起こさないと思うけど」

「むしろ、コウはいいのか?」

「いいよ、いいよ! すっごく助かる。他の2人も喜んでるから!」


 俺がお礼がしたいと伝えたら、コウは奴隷獣人を監視しておけないか? とお願いしてきた。

 ロナウ達を連れ出したかった俺としては、嬉しい提案だったので了承したんだけど。


「俺達、奴隷使いは、常に奴隷獣人を監視しないといけないからさ。常に気を張ってるし、生活も一緒にしてるし、寝る時はアイツ等を檻に閉じ込めなきゃ眠れないんだよ。昼寝なんて出来ないし、酒飲む事もあまり出来ない」

「大変だな。そんな事しないと、いけないものなのか?」

「そりゃあそうだよ。奴隷使いは、この奴隷紋と恐怖と力で獣人を使役してるからな。裏切られて襲われるなんて話は、よくある事なんだぜ? だから今日みたいに気兼ねなく自由に出来るのは嬉しい事なんだよ。タツキありがとうな!」


 片腕につき獣人1匹と魔力で結ばれている両腕の奴隷紋を見せながらコウは嬉しそうに笑った。


「それでコウ様、その獣人達は何処にいるのですか?」

「あぁ。今は本館の後にある訓練場の檻の中で、おとなしくしている。監視の奴と受付には話してあるから、行ったら出してくれる手筈だよ」

「分かった。それじゃぁ楽しんできてくれ。ロナウ達は俺とノアが責任を持って連れてくから」

「おう。本当にありがとう! 俺等は夜までには帰ってくるけど、先に戻ってきたら、同じように檻に入れておいてくれ。じぁ!」


 コウは、同僚のあと2人と一緒に、中央広場の方角へと歩いて行った。


 俺とノアは冒険者ギルドの建物よりも大きい奴隷商会の中に入った。おそらく大型の獣人も通る事を想定したであろう、大きな入り口を抜けると、広いロビーにいくつもの椅子があって座って待ってる人が数人いる。

 その先には、商談用のスペースが6箇所ほどあり、カウンターの内側で2人の奴隷商人がいて、1人が書類を書き込んだり資料を出したりして、もう1人が客と話をしているみたいだった。

 証券会社みたいだ。行った事ないけど。


「どのような御用でしょうか?」


 受付嬢のような人が声をかけてきた。冒険者ギルドの受付嬢と似たようなチャイナドレスを着ているが、布面積が胸元までしかないので、大きな胸の上半分と肩と首と、いわゆるデコルテが露わになっている。

 そして、その首には鎖を連想させる幾何学模様の黒い奴隷紋が刻まれている。おそらく、コレを見せるための服装なんだろう。

 ほぼ人間と変わらない見た目をしているが、肘から先には薄黄色の体毛で覆われていて、頭の上からは途中で垂れ曲がっている長い耳が見ある。


 女性の兎獣人だ。


「奴隷獣人をお求めでの相談でしたら、大変申し訳ありませんが、しばらくお待ち頂く事となります。2階に見本の獣人を数体展示しておりますので、ご覧なられては、いかがでしょうか?」

「お、おねえさんみたいな獣人はいますか?」

「マスタ~? 何しにきたんですか?」


 おっと、いかん。心の声が出てしまった。


「すみません。コウの友達で、ロナウ達に会いに来たのですが」

「あら、コウ様の。ではタツキ様とノア様ですね。伺っております。ウルシュちゃんからも人族としては、優しく素晴らしいお方と、伺ってますので、貴方になら是非私も飼われたいものです」


 な、なんと! 飼います!


「マスタ~?」

「すみません。その話は、また今度」


 可愛い兎獣人に案内されて、奥にある関係者専用の扉から隣の部屋に移動する。色々な道具が置かれてるが、鞭や口輪といった調教用の物ばかりだ。あまり見たくない。

 その部屋の奥にある扉から外に出ると、野球場ぐらいの敷地が木の柵で覆われていて、数台ある木製の訓練装置を使っている獣人と奴隷使いがいる。1塁側と3塁側に長屋があって、その1塁側に案内された。


「あの人族の方が把握していると思いますので。私は本来の仕事に戻りますので、これで失礼致します。私をお求めは、いつでもいらして下さい」

「はい。そうします」


 可愛い兎獣人さんは、お尻に生えた薄黄色の丸い尻尾を揺らしながら去って行った。俺もいつか可愛いケモ耳の獣人を仲間にしたい。


「マスターは女子高生制服と獣女の子のどっちが好みなんですか?」

「ケモ耳の獣人が女子高生制服を着てたら、最高じゃないっすかね?」

「その手がありましたか。変態でですね。軽蔑します」

「男児たるもの誰もが夢見るんだよ! 別に変態では無い!」


 いつか見た、八百屋のオッサンみたいな素晴らしい二の腕に主人用の奴隷紋を刻んだ男が長屋の檻の前に立っていた。長屋は屋根と柱だけで、下には大きな鉄製の檻が6つ程あり、その中には1つに10匹ぐらいの獣人が入っていた。


「すみません。コウの友達で来ました。タツキと言います」

「あぁ? お前がタツキか。コウから話は聞いてるが、本当に獣人を6匹も任せて大丈夫なのか?」

「大丈夫です。こちらの侍女のノアはB級冒険者に匹敵する実力を持ってますから」

「本当か?」


 髭面の大男が、ジロジロとノアを眺めはじめたが、どうみても視線が胸に釘付けになっている。このスケベめっ!


「私の実力をお見せしましょうか? その腕の模様は飾りでは無いのでしょう?」「ノアやめろって」

「ほぅ。自信があるようだな。だが、俺の牛獣人は犬っコロとは違って荒々しいぞ? 侍女のくせに、あまり舐めた口をきかぬ方がいいぞ。お嬢さん」

「いいでしょう。その牛獣人とやらで私を裸にできるのなら、その先は好きにしても構いませんよ? ね? マスター?」


 えっ? なんでそうなるの?


「本当か! いいぜ。おーい、お前ら来い!」


 髭面ポパイさんが両腕を上げると、その模様がうっすらと赤く光って、檻の向こう側から2匹の大きな獣人がやって来た。首から上は完全に牛の頭をしていて、上半身が裸という恰好も相まってミノタウロス感が凄い。


「この女をひん剥いたら、好きにしていいぞ」

「いいんですか? 主?」

「本人からも許可が出てる。さぁ、行け! 俺を楽しませろ!」


 まさかの2匹同時に襲ってきた。赤黒い1匹は両手を上げて覆いかぶさるように突進してきて、青黒い方は、回り込んで低い姿勢で挟み撃ちにしようとしている。 なるほど。ノアの上半身と下半身を抑え込んで、それぞれの穴を使おうって考えか? ノアがミノタウロスと3Pになってしまう?! という事は当然のごとく、起きないわけで。


 素早く踏み込んで、赤黒い方の下に潜り込んだノアは、鉄の拳を腹部にプレゼントした。熱い1発を決めるつもりだったであろう牛さんは、熱い1撃をもらって4メートル以上も吹き飛んだ。

 その様子を見て驚愕して一瞬止まった青黒い方は、華麗に跳んだノアの後ろ回し蹴りを、しっかりと顎にプレゼントされてしまい、トリプルアクセル並みに回転しながら地面に倒れた。


「どうですかマスター? 獣人なんかよりも私が頼りになりませんか?」


 えっ? 可愛い兎獣人さんと張り合ってんの? だとしたら、張り合い方を間違ってるよ!


「これで、よろしいでしょう? さぁ。ロナウさん達を出してもらいましょうか」「お、おう。待ってろ、すぐに出すから」


 2匹のミノタウロスの奴隷使いは、慌てて駈け出し2つ目の檻の扉を開けた。開ける際に「関係ない奴は出てくるなよ!」と言っていたが、奴隷使いよりもヤバそうなノアがいて、指示に従わない奴はいなかった。


「久しぶりロナウ。元気か?」

「タツキさん、悪いが先に移動しよう。ここじゃ、タツキさんみたいな人は変な目で見られる。俺等も人族と気軽に話をする訳にはいかないんだ」

「そうなのか」

「タツキちゃん。何処に何して遊んでくれるの?」

「おい! ウルシュ、変な呼び方するな!」

「俺ものんびりしたいから、広くて風が気持ちいい所とかあったらいいんだけど」「よし。なら、いつもの狩場の近くの草原に行こう。俺とチャイラで先行するから、ウルシュとイアルフでタツキさんを運んでくれ。カムロとウルテフでノアの姉御を頼む」


 頭部に赤いメッシュが入った子犬顔だがグラマラスな犬獣人(けんじゅーと)と、以前から人なつっこいウルシュって名前の犬獣人(けんじゅーと)がやってきた。


「イアルフです。よろしくお願いします。両手を広げてもらえますか?」

「はい。よろしく」


 俺が両手を上げると、イアルフが背後に回り込み脇の下から腕を通して抱きついてきた。背中にあたる胸の感触に驚いていると、そのまま持ち上げられて今度は両脚を、かがんでいたウルシュの肩に乗せられて、がっちりと掴まれた。


「ほいさ。タツキちゃん楽にしてて、いいからね~。絶対に落とさないから心配ないよ! ロナウちゃん、準備完了でーす」

「それじゃ。行くぞ」


 変則2人騎馬と言うべきか? 妙な恰好で担がれて移動する事になり、不安定そうで心配だったが、意外にも快適で力を抜いて楽になれる。前のウルシュが常に低い姿勢をとっていて、後ろのイアルフが俺の体が伸びすぎないように、絶妙な距離を維持している。なによりも背中のクッションが素晴らしい。


 ちょっと、だらしない顔をしていたのだろう。隣で並走するノアが睨んでいた。変則2人騎馬を断ったみたいで、平然とした顔で人間よりも身体能力の高い獣人達と並んで走っている。


 6人の犬獣人は全員、最初は驚いていたが、しばらくして「ノアの姉御なら当然か」と謎の納得に至ったようだった。

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