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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第83話 今日から私が先生よ

 俺が最も苦手としてる授業は〝魔闘気訓練学〟だ。

 苦手というか何をしていいのか、さっぱり分からん。気分的には、鳥でも無いのに翼を羽ばたかせろ! って言われてる感じだ。


 学校の授業は3ヵ月目に入って、どの授業も1つレベルが上がったように感じる。座学系はなんとかついていけてる。強化訓練学も内容は筋トレと体力向上なので、なんとかなってる。

 だが、魔闘気訓練学だけはどうしようもない。


 4月は魔闘気を練って維持するだけだった。まぁ、それすら俺には出来ない。5月には魔闘気を維持したまま運動をするだった。もちろん俺は4月の課題も達成できていなかった。そして今月からは、魔闘気を維持した状態での簡単な戦闘訓練になっていて、組手っぽい事をする。

 当然! 俺は魔闘気が使えない!


 ついに先生も「誰かタツキの訓練方法について良い案が無いか?」と生徒達に頼る始末だ。サジを投げたのか?


「今日から私が先生よ」

「なんか、すみません。ありがとうございます」

「よろしく」

「よろしくお願いします」


 そんな中、なんと手を上げてくれたのがダリアさんだ。


「私が助けになればいいんだけど」

「何、言ってるんですか。先生が諦めた俺を、見捨てないでくれただけで感謝ですよ」

「そう? 魔闘気って才能の部分が大きいから、上手い人ほど人に教えるのが難しいって聞くわ。もしかしたら先生もそうじゃないかしら?」


 才能なのか…… 俺には皆無だろうな。


「それじゃ、始めるわよ。両手を広げて出して」


 俺は両手を広げて空に向くように差し出した。何をするのかな? 手相でも見て才能があるか無いか、判るのかな?


「そうじゃなくて、こう、私に向けて」

「あっ、すみません」


 軽く肘を曲げて、掌がダリアさんに向くように直す。

 そしたら俺の両手を、なんとダリアさんの両手が握ってきた。しかも、指と指の間に指を絡ませる恋人繋ぎというやつだ!


「だ、だ、だ、ダリアさん?!」

「何?」

「これは、いったい?」

「ちょっと、集中するから黙って目を瞑って」


 眼光が鋭かったので、とりあえず言われた通りにする。何が始まるんだ?


「私はちょっと偏ってるけど、才能があるみたいで、特殊な魔闘気が使えるのよ」


 えっ? 自慢っすか?


「どう? 何か聞こえる?」

「へっ?」

「タツキも自分の内側に集中して」

「分かりました」


 なんだろう? 何かしてるみたいだ。

 自分の内側に集中って、座禅的な感じか? 瞑想する感じで、自分の心を覗きこむイメージ……


『ド――マ―・――ト』


 んっ? トマト?


『ドラグマン・レッド』


 はい。俺です。


「どう? 何か聞こえた?」

「聞こえました。ドラグマン・レッドって」

「そう、そう! 良かったわ。聞こえたのね」

「えっ? どういう事ですか?」

「私の魔闘気はね。(シン)(イン)を使ってるのだけど、触れている相手に意志を伝える事ができるの」

「凄い! (シン)(イン)って使える人が少ないんですよね?」

「そんな事無いわ。触れている相手じゃないと意味が無いし、相手にある程度、魔力が流れる身体を持ってないと使えないわ。身体が出来上がっていない子供とかには使えないの。もっと実用的なローゼズ副ギルドマスターと比べたら、ぜんぜん冒険者向きの魔闘気じゃないわ」


 確かにローゼスさんの能力は便利すぎる。だがしかし、魔闘気が使えない俺からすると、めっちゃカッコイイ能力だぞ! サイコメトリーとかテレパシーって感じの能力じゃないですか!


「それで、今、私が言った事は分かった?」

「ローゼスさんには及びませんが、凄い魔闘気って事ですね!」

「違うわ。バカっ」


 罵倒されてしまった。


「相手にある程度、魔力が流れる身体を持ってないと使えないの! つまりタツキは魔闘気を使う適正のある身体って事よ! 才能が皆無で、全く魔闘気が使えないって事は無いと思うわ」

「そ、そうなんですかぁー!」


 俺は嬉しくて、恋人繋ぎをしてる手をブンブンと上下に振ってしまった。

 数回上下させてから気付いたが、めっちゃ恥ずかしい。


「もう1回やるわよ。目を閉じて集中して」

「分かりました先生!」


『ドラグマン・レッドの正体って誰かしら?』


 なんで、その質問を俺にする?!

 もしかして、疑われているのか?


「聞こえたら、心の中で返事してみて。私の魔闘気は触れている相手の言葉も読み取る事ができるわ」

「えっ?!」


 それって、振れている相手の心の声が聞こえるって事?

 マズイですよ! それは!



 俺が焦った瞬間、腕に衝撃が走ってダリアさんの手を放してしまった。

 目を開けて見ると、隣にはゼルトワが片足を上げて立っている。どうやら、こいつが蹴り飛ばしてくれたみたいだ。

 ちょっとだけ、感謝。


「何やってんだ? シャン・レン=ワン嬢」


 ダリアさんは無言で冷たい視線だけをくれている。


 ゼルトワってダリアさんに好意があるんだっけ? 俺と一緒に訓練してるのは、面白くなかったんだろうなぁ。


「こんな歳になって兎獣にも乗れないオッサンには、もっと厳しい訓練が必要だぞ? そんな、ぬるいやり方じゃ逆にオッサンが可哀そうじゃないか」

「そうね。どういう理由があるにしても、みんなと同じ立ち位置でスタートする事は出来ないでしょうね」


 何っ! ダリアさんも俺をイジメたいのか?

 ゼルトワも以外だ。って顔してるじゃないか。後ろのとりまき2人は意味分かってるのか? とりあえず笑ってる感じだが、相変わらず御付きの人は冷静な顔をしている。


「そんじゃ、俺等が変わってやるよ。4人でオッサンに冒険者の厳しさを教えてやるから任せな!」

「いやよ!」

「何っ?」


 なんですとっ?!


「そのつもりがあるなら、最初から手をあげていれば、良かったじゃない。私がどうにかするって決まったのよ。少なくとも1月ぐらいは黙ってて欲しいわ」

「シャン・レン=ワン家の名が泣くぞ?」

「私はダリアよ。お父様は関係ないわ」


 先生! 見捨てないでくれて、ありがとうございます!


「後悔する事になるぞ?」

「どういう意味かしら? シャン・レン=ワン家と敵対します?」


 そこは家の名前を出すのか。ダリアさんセコいですね。


 16歳の女の子の背中に隠れるオッサンと、権力のイジメっ子4人が睨み合いをしてる中、突如、少し離れた所で歓声があがった。


 クラス全員の視線を集めている、その先を見てみると、シェンユとヒトラ様が

組手をしていた。この授業は魔闘気訓練学なので、おそらく2人とも魔闘気を使っているであろうと思われるが、2人の動きは対照的だった。


 4日前に見た時と同じように怒涛の猛攻をするヒトラ様。その手に木刀は無く、掌底を打ち出しているので秘儀〝朧十字〟は使えないだろうが、相変わらず速くて鋭い、魔闘気で強化しているハズなので当たれば強烈な1撃となるであろう。


 対するシェンユは防戦を強いられているようにみえるが、むしろ防戦を得意としているのだろう。あの猛攻を全て防いでいる。そういえば、先月末にシェンユの故郷でノアと対峙するのを見たが、あの時も攻めが得意ではないノアとはいえ、あの最強アンドロイドの攻撃を全て防いでいたな。


 たしか、ヒトラ様がノアの事を大魔女サヤの弟子の関係者と思ったのは、戦い方が大魔女サヤの弟子の人達と似てるからだっけ?

 よく見ると、シェンユの戦い方ってノアと似てる気がするな。もしかしたらサヤ様も同じ戦い方をしてて、受け継がれているのか? だとするとノアにも同じ戦闘技法がプログラムされているのは、神がそうしたからであって…… サヤ様も神から教わったとするなら、似ているのに納得がいく。


 神由来の戦闘技法なのか! そう考えると、なんかすげぇな。どうして俺には教えてくれなかったんだろう?

 そうか! 俺がいつもノアとのトレーニングで防戦ばっかやらされているのは、この戦闘技法を教えているのか!



「あの2人、凄いわね」

「えっ? あぁ。凄いですね。ヒトラさんもシェンユも」


 きっと近いうちに、シェンユもヒトラ様から勧誘されるだろうな。


「負けてられないわ! さぁ、続きをするわよ」

「はい先生!」

「好きにするが、いいさ。後で絶対に後悔するぞ」


 捨てセリフを吐いて、ゼルトワ達は離れていった。

 俺はいいけど、ダリアさんが心配だなぁ。


「いいんですか?」

「何が?」

「セルトワをあんな風に扱ってしまって」

「いいのよ。前にも言ったでしょ? 父様との繋がりを利用しようとす輩は嫌いなの。アイツは私ではなくてシャン・レン=ワン家との繋がりが欲しいだけよ。そんな奴の相手をするよりもタツキの訓練に時間を使った方がマシだわ!」

「そ、そうなんですか? 俺との訓練にダリアさんにとってのメリットってあるんですか?」

「私の能力はね。何故か普通の人には効果が効きづらいのよ。タツキは普通じゃないわね。1回で言葉を伝えられたのは初めてよ。本当は万人に対して同じように効果を発揮できればいいのだけど、だから訓練が必要なの」


 なんか、この訓練マズくないか? 俺の秘密がバレたりするんじゃないか?


「もしかしてですが、俺の考えている事って全部、ダリアさんに筒抜けになっているんですか?」

「大丈夫よ。そんな便利な能力じゃないから。タツキが伝えたい~って気持ちがこもった言葉じゃないと伝わらないのよ」


 と言いながらダリアさんは、クスリと笑っていた。その言葉を信じていいのか? と考えつつも、その笑顔に、忘れてたけど普通に美人さんだよな~。と思ってしまった。


「さぁ、手を出して」

「えっ。えっと……」

「恥ずかしがらない! 私まで恥ずかしくなるじゃないの!」

「は、はい。えっと、先生」


 1度、意識してしまうと、上手く話せなくなってしまったが、この訓練は喋る必要がないので助かった。その後は授業時間が終わるまで訓練を続けたが、ダリアさんの言葉は聞こえるが、俺の言葉が伝わる事はいっさい無かった。


 これは、ゼルトワ先生に交換になる事も、そう遠くないかもしれない……

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