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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第58話 カイチュウデントウと言うらしい

「どうも、初めまして。クラスメイトのサトウ=タツキです」


 握手に応えてると、ダリアの父さんは、そのまま両手で握って程よい感じにシェイクしながら喋ってきた。


「どうしても君に会いたくてね。ダリアは甘い所も多いが、芯が強い強情な所もあってね。たとえ私であろうと譲ってくれない時もあるんだ」

「ちょっと、父様! その話は今しないで下さい」

「あぁ、そうだね。ではここに座ってくれたまえ」


 このシン大帝国で有名な大商人の長か。誰にでも距離を詰めてくるが、相手の事をないがしろにはしない。適正距離を瞬時に見抜ける人なんだろうなぁ。

 明るくて話しやすい男性は、結構好きなタイプだ。その性格からなのか、若く見えるな。ダリアさんが12番目の子供って…… いったい、あなた何歳なの?


 それにしても、ここに座ってって、隣じゃないですか? 普通は対面側になるんだろうけど、ダリアの父さんが廊下側の席に座っているから対面側は上座になるんだよなぁ。この世界の人って上座の概念とか無いのかな?


「はぁ~。父様? タツキは商談相手では無いのですよ? それに今日は、お礼として御馳走する為に来てもらったんですから。タツキを困らせないでよ」

「困らすつもりは無いのだよ」

「いいわ。父様の隣には私が座るわ」


 おぉ、助かります。さすがに初対面の人の隣に座るのは、気がひける。


「マスター。マスター」


 なんだよ。小声で話かけるなんて、らしくないな。


「私の事、そろそろ紹介してもらいたいのですが」

「自分で名乗れよ。いつもそうしているじゃん」

「タツキ。こういう場では主人が紹介するべきよ。それほどでもないなら、そのまま名のらずに侍女に徹しさせるべきだわ」


 そうなのか。ノアとの関係がラフすぎて気づかなかった。そもそも侍女では無いのだから、しょうがないよ。


「えっと。アナガリスさん。彼女はノアで、俺の侍女をしてもらっています。時には主の俺に対して、強く叱咤したり、手を出したり、罵ったりと、普通の主と使用人の関係では無いのですが、絶対の信頼と最高の能力を持った、とても大切な人です」

「君が噂のノアさんか。あの大砂漠を単独で横断した話は聞いているよ。主人の為にそこまで出来る使用人は、なかなかいない。うちに欲しいぐらいだ。今日は君も席につくといい」

「ありがとうございます。ですが侍女でありますので、この場ではマスターの為に仕えさせていただきます。マスターここの席にどうぞ」


 ノアが椅子を下げて侍女っぽい事をしてくれるのだが、そこはダリアさんの隣の席じゃねーか! 座れないよ! さっき兎車の中で会話出来なかったの、アナタのメモリーには記録してないのですか?

 かといって、いまさら別に席に座りにくいし。席を1つ空けて座っても何か思われそうだし。

 残念ながら、やむなし。


「おっ。御馳走もやってきたぞー」

「帝都にはあるのですけど、ユウツオない料理を選んだから、きっと美味しいわよ。ノアさんは、どうすの? 一緒に食事して欲しいけど?」

「お気遣いありがとうございます。どうぞおかまいなく。たまには侍女らしくしないと、マスターに捨てられてしまうかもしれませんので」


 大丈夫だ。絶対にそんな事はしない。まぁ分かっているよ。ノアは食事できないもんな。侍女設定の理由の半分ぐらいは、その為じゃないのか?


 運ばれてきた料理は1人あたり6皿で、目の前に置かれた大きな深いお椀には、透き通った黄色いスープが入っており、そのまわりに肉、野菜、卵、きのこ、の皿が並べてられた。最後に、うどんのような太めの白い麺が大量に乗った大皿がスープの隣に置かれた。


「タツキはコレ見た事ある?」

「いや、無いですね」

「そうか。これはな、食べたい分だけ麺と具材を味のついたスープに浸して食べるのだよ。美味いぞ~」


 つまりは、うどん麺でやる冷やしそうめん方式のラーメン的な料理か。なんか麺族合体料理なんだが、そのお味は……。


「いただきます」


 めちゃめちゃ美味い! 毎日中華まんばっかり食べてたからってのもあるが、これは普通に美味い。どうしても、この間食べたおにぎりには敵わないのはしょうがないとして、もう麺類とかパン類とかに出会う事は無いと諦めていたから感動して涙が出るぐらいには美味い!


「そんな。泣く程美味しいの? そういえば、この間ワナン国の食べ物を食べて食堂で泣いていたってシェンユが言ってたけど」

「マスターは食べ物に他人よりも執着心がありまして、感動するほど美味しい物を食べると涙がでてしまう体質なんです」

「そうなのね。かわっているわね」

「この料理を私達は初めて見ますが、ユウツオでは何故ないのでしょうか?」

「これはだね。にゃん麺といってね――」


 にゃんだと!? どうしてそうなった? 猫が作っているのか?


「この細く長く加工するのが難しいらしく時間もかかる為、冒険者の街であるユウツオでは売られていないのかもなぁ。帝都では提供してる店はあるが、少し値段がする料理でもある。そういや、アリムフさんも雷の日の昼食はこれにするらしいぞ」


 領主様よ。どうして、あの日の料理をにゃん麺にしてくれなかったのですか!

 帝都に行けば他の料理もあるのだろうか? 餃子とかチャーハンとかにであると嬉しいんだけどなぁ。


 その後、会話はノアに任せて、一言も喋らずに俺はひたすら食べる事に集中して、替え玉も1回貰ってしまった。


「聞くまでも無いと思うが、満足してくれたかね?」

「はい。ありがとうございました」

「それでは、本題に入ろうか」


 本題? 俺に御馳走してくれるのが目的じゃなかったのか? 美味いものを食わせておいてから、重要な案件を話すって、断りににくいじゃないか。

 そうか。それが狙いなのか。この人って大商人だったな。


「これについてだ」


 ダリアの父さんがテーブルの下から取り出したのは、俺の良く知ってる装置だった。


「カイチュウデントウと言うらしい」


 お前、生きていたのか。サンダイルに飲み込まれてしまったけど、まさか腹の中から回収されていたのか。


「とても、不思議な装置でね。この小ささで指向性のある明るい光を出すんだよ。しかも灯鱗よりもずっと軽い。しかも使えなくなっても、灯鱗と同じように太陽の光を当てれば、また光を出す事ができるようになんだよ。とても素晴らしい」


 いえ、灯鱗の不思議システムと違って、ソーラー式っていう科学技術なんです。


「父様はカイチュウデントウが欲しくてたまらないみたいなんだけど、私は絶対にレッドに返すべきと思っているわ。こんな凄い物、きっと、凄い時間をかけて開発した一品物だと思うの」


 いえ、それは電気屋で売ってる量産品です。


「それで、ダリアはタツキ君の意見を聞いてからって強情なのだよ。話を聞くにレッドという方は、これをダリアに譲ってようで返せとは言ってない。またサンダイルの素材を全てダリアに譲っているので、その中にあったこれも譲り受けたと考えるべきと思うがね」


 なるほど。それで、俺に会いたかったと。そういう事か。

 アレはダリアさんに譲ったつもりじゃなかったけど、口の奥に落ちた時点で回収できないと思ってたし。無い物と諦めてたからなぁ。

 それに、この人に良くしてた方が、また美味しい物を食べさせてもらえそうだな。あげてもいいと思う。


「タツキは、どう思う?」

「えっと、もらっても良いのではないでしょうか」

「ほらね。言ったじゃないか」

「本当に? だってこれはレッドの物よ。返すべきじゃない?」

「い、いやぁ~。でも、ほら。返せそうに無いじゃないですか。レッドってどこにいるか分からないし、会う予定も無いでしょう?」

「私は意外と近くにいるんじゃないかと思っているわ」


 何っ! もしかして! ダリアさんも俺を疑っているのか! 俺の演技力はそんなに下手だったか! まずいなぁ~。


「絶対に、もう会えないですよ。だから、貰いましょう」

「なんでよ! きっと、また会えるわ」

「まぁまぁ。ダリア、タツキ君を困らせるなよ。今日は彼にお礼が言いたかったのだろう?」

「そうですけど。父様。絶対に壊さないでくださいよ! もし、もう一度レッドに会えたらちゃんと確認しますから」

「もちろんさ! 壊すなんて絶対にしない。ちょっと分解して同じ物が作れないか仕組みを調べてみるだけさ。同じでなくとも似たような物が作れれば、儲かるぞ! さてと」


 ダリアの父さんは立ち上げって、懐中電灯を鞄に入れると、すぐ俺の隣、ダリアさんの席の後ろに寄ってきた。


「タツキ君、私は貴族としては異質でね。子供達に好きな道を進ませているのさ。ダリアの歳なら本来は、どこかの有力貴族と結婚してもらうのが普通なのだけどね。君も貴族の血が流れているなら、多少は私に不快感を問うと思ったが、君はそうしなかったね。気に入ったよ」

「えっ。あっ、ありがとうございます」

「子供らはいろんな道に進んでいるからね。故に今回の事故も覚悟はしていた。この世界は残酷で、力無くば生きていけない。すでに3人の子を失った経験がある」


 それは、親としては辛いだろう。それでも好きな事をさせるのは子供の為か。この人は素晴らしい人だ。俺も好きになれそうだ。


「覚悟はしていたが、やはり、ダリアが無事だと知った時は嬉しかった。だから君にはとても感謝している。もちろんレッドという方にも。本当ありがとう」

「いえ。当然の事をしただけです」

「出来まいよ。思っていても行動できる者は少ない。特に力なき者が世界の強者達に立ち向かう事はありえない。君はそれほど成績優秀とは聞いていないが、行動してくれた。将来は良き冒険者になれるだろうな」

「はい。頑張ります」


 もう30歳で、かなり遅咲きなんだがな。


「ダリアも私が与えた2年を無駄にしないよう。頑張るんだぞ」

「もちろん。分かっているわ」

「では、私は帝都に戻る。忙しいのでね。カイチュウデントウも調べないといけない。タツキ君。そうだな夏に帝都に寄ったら、また食事でもしようか。では失礼するよ」

「父様。今日はありがとう」

「アナガリス様。本日はお招き頂きありがとうございました」


 ノアがしっかりと挨拶したので、慌てて俺も頭を下げようかと立ち上がったが、既に食堂を出て行ってしまった。


「カイチュウデントウは、本当に父様に渡してしまって良かったのかしら?」

「良いんじゃないでしょうか? あれが、一般の人にも手に出来る物になったら、助かる命が増えるかもしれないですよ?」

「そうね。そうかもしれないわね」

「私はマスターが回収しておくべきだったかと思いますが」

「えっ!?」


 マジで? そうなの? そうなら早く言って下さいよノアさーん。

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