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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第54話 えっ? 主人を見送らない侍女なんているの?

 なぜだ? たった1日で嫌になったのか?


「やぁ、おはよう。タツキ氏もシェンユもどうしたの? すごく眠そうな顔をしているけど?」

「おはよう。そんな事より、なぜジョノ君が我儘亭に兎車で来ているんだい?」

「そりゃあ。二人を迎えにきたからさ!」


 昨日とは違う兎車が来たと思ったら、俺等を迎えに来ただと?


 もしかして、ダリアさん怒らせてしまったのか? しばらく監視をしてくれるんじゃなかったのか?

 確かに俺は話かけなかったからなぁ。けど女性と気軽に会話なんて、どうしたらいいんだよ! 気使うし、地雷踏んだら怒らせちゃうじゃないか! あんまり会話してないけど怒らせてしまったが。


 そんで嫌になって、ユウに監視役を代わってもらったのかな? たしかユウとダリアさんは親戚だったハズ、話を通しやすかったのかな? ジョノもユウと親戚だったと思うけど、立場としては少し低い貴族でいちおうユウの世話役なんだっけ?

 だがしかし。御者の人もいるのに、なぜ君は御者台の方に座っているんだい?


「ちょっと! いつまで突っ立てんのよ! 遅刻するわよ?」


 兎車から大声が聞こえて、キャビンの内側からドアが開いた。なんと中に向かい合わせで座っていたのはダリアさんとユウだった。


「早く乗ってよ。こいつカードの話ばっかりなんだから、2人でいるのは不快なのよ」

「おいおい。朝からイライラするなよ。まずは学友に挨拶だろ? おはようタツキ氏、シェンユ。それで、噂のノアさんにも挨拶したいのですが……」


 なるほど、わかったぞ。

 ユウの奴、ノアを見たくて、わざわざ俺等を迎えに我儘亭まで来たな? けれどダリアさんは監視役をゆずらないから乗せてきたのか。


 良かったぁ~。怒らせていなかった。


「ノアちゃんなら、オイラ達よりも早く出て行ったよ」

「えっ? 主人を見送らない侍女なんているの?」

「そだね。ノアちゃんとタツキは普通じゃないから。ノアちゃんには、もっと敬意をもって接しないとダメだよ! そんなんじゃ会わせられないね!」


 いや、お前も敬意をもっては無いだろ。それにノアと会う権限をなぜに君が持っているんですかい?


「よっこらせ。とりあえず兎車に乗れて助かったよ。ふぁ~。ユウ、ありがとう。それから、おはよう」

「あら、兎車を出さなければ挨拶してくれないの?」

「いえ、いえ、そんな事はありません。あの、ダリアさん、おはようございます」


 ユウ。笑うんじゃねぇ。

 しかたないのだよ。どうしても女性と喋るのは緊張してしまうのだよ。これでも例の件があって、話せるようになったんだぞ!


「ダリアが怒ってるから、タツキ氏がビビッて、挨拶出来ないだけじゃないか」

「うるさいわね」

「それとシェンユは、ジョノに後で一言感謝してな。4人しか乗れないから、御者台の方に乗ってくれたんだ」

「そっかぁ。後でありがとうって伝えとくよ!」

「おはようタツキ、シェンユ。それで2人で夜更かしでもしてたの?」

「いえ。自分は、ギルド学の復習をしようと思ってたんですけど」

「先輩達にからまれちゃってね~。今、話題のドラグマン・レッドについてね。彼は何者なのか? どのぐらい強いのか? とか語り合っていたのさぁ~」


 そう! ユウツオに立ち寄った商業団の人々によって、彼の話題はすでにユウツオ中に広まってしまったのだ。

 そして昨日は地獄の夜だった。俺はレッドと会話した数少ない人として、ものすごーく絡まれるし。ってか本人なんですよ!

 本当は俺もヒーローについて熱く語りたかったけど、俺が喋り出すとバレちゃいそうだし、ノアからも余計な事は言わないよう厳命されているし。


 本当は戦隊について、ノアに聞きたかった。夜遅くまで騒ぐし、寝落ちしてしまったし、朝は遅刻しそうになるし。時間がなかった。


「それは、楽しそうね。私も話を聞いてみたかったわ」

「おっ、めずらしいな。お前が他人と酒を飲みたいなんて。しかし、それは俺も聞きたかったな。センギョクさんと飲めるだけでも楽しそうだ」

「そういえば、ダリアちゃんもドラグマン・レッドと喋ったんだよね?」

「えぇ。命を助けて貰いましたわ」

「そうだよ! ねぇねぇ! どんな人だった? サンダイルを1人で倒したって本当なの?」


 やめろっ! その話題をするんじゃない! 恥ずかしいだろうが!

 怖い。ダリアさんが、どう思ってるのか聞くのが怖い!


「すまん。俺は学校に着くまで寝るから。着いたら起こしてくれ」


 どうせ、途中で俺の意見も求めてくるに違いない。今は関わりたくないし、授業で居眠りしたくないから、少しでも寝ておこう。


 最近、寝ると変な夢みるんだよな~。


 今日の1コマ目は亜人学だったな。4亜人のどれも異世界っぽくて一番楽しい授業なんだよなぁ~。


 2コマ目の生物学は今日から砂漠の生物を中心になるだっけ? 俺の事件が関係してるのかねぇ?


 3コマ目は植物学かぁ~。ちょっと覚えられないんだよな。そんなに異世界要素が少ないからモチベーションが上がらないので、おじさんが暗記するには大変なんだよぉ~。


「タツキ。タツキってば! 起きて!」

「んっ? 学校着いたのか?」

「あの、シェンユさん。タツキの兄貴は、まだ遭難の疲れが残っているんじゃないですかね?」

「大丈夫。これは昨日、夜更かししてただけだから」


 あれ? ここ、俺の机か?


「さぁ。お昼食べに行くよ! 今日はセンギョクさんもミンメイさんも寝坊しちゃって、寮生全員弁当無しだったでしょ? 早く食堂行かないと肉とかは売り切れちゃうよ!」

「なっ! 授業はどうなった?」

「何言ってんのさ。ちゃんと受けてたじゃん。半分寝てたみたいだけど」


 そうか。俺は半寝、半起きで午前中の授業をやり過ごしてしまったのか。何を習ったのか全く覚えていない。まずいなぁ~。


「シェンユ殿。サトウ殿と話がしたいのだが、少し良いかな?」

「えっ?」

「なんで?」

「あっ。兄貴、俺は食堂へ行ってます」


 その時教室にいた全員の視線が刺さった。何故そうなったのか? 全員がその行く末を見届けようと思ったに違いない。

 なぜなら……。


 シェンユの後ろには、ヒトラ様が立っていたからだ。


「は、はいっ。どうぞ! 良いです」


 俺はすぐに席を立ち、姿勢を正した。


 艶やかな長い黒髪を、ちょっと変わったポニーテールで纏めて簪のような物を2つ刺した髪型が目立つが、白い肌に整った顔、鋭い眼光が特徴的で細身のスラっとした美人の代名詞のような容姿がさらに目立つ。

 恰好はユウツオの一般的な貴族とほとんど一緒だが、着物の袋帯をしていて、ところどころに和柄があったりと、俺としては親近感があるのだが、決して親しくなる事はないであろう。

 なぜなら、彼女は一年生で成績トップの身体能力を有していて、さらに魔力の扱いも優秀であり、シン大帝国でも5本指に入る有名なユウツオ冒険者育成学校の現在唯一の特待生なのだから。

 不正して成績1位で入学したオッサンとは住む世界が違い過ぎる。


 そんなヒトラ様が何故か、俺に話しかけてきた。大事件だ。


「知っているとは思うが名乗っておこうか。トクトミノオダノ=ヒトラだ。サトウ殿と話がしたいので、(わらわ)の食堂に来てもらえるか?」


 えっ? 俺は何をしたのだ?

 これは、学校の番長から体育館裏に呼ばれてるのと同じじゃないか!


「うむ。急すぎたか」

「あの……。いえ。そんな事は」


 考えろ! そして謝るんだ。だが理由なく謝罪したら、むしろ悪化するぞ。よーく考えるんだ。きっと、どこかで失礼な事をしてしまったんだ。

 いつだ? だが、入学してから1度も会話した事ないぞ? 本当に俺が何かしたのか? そうなると……。


 そうか。ノアだな。アイツめ~。俺の知らない所でいつも何かやらかしてるからな。俺に何も言わずにロナウの所に行ってたりしてたな。


「『腹が減っては戦はできぬ』か。(わらわ)の国の古い言葉で、そういうのがあってな。良いであろう。メシを食ってから訪ねて来い。(わらわ)は先に行って待っておるからな」


 なんか、勝手に話がすすんでしまったぞ。謝るタイミングを逃したか?

 でもこれで考える時間が出来た。今日は寝不足だし、昼飯もまだだし、頭が回っていなかったんだ。頭をしっかりと起こせば、何故こうなったか分かるはず。


 いや、本当にそれでいいのか? のんきに昼飯なんて食って時間が無くなったら、どうしようか……。すぐに追いかけて行くべきではないのか?


「タツキ? どうするの?」

「どうするべきか? すぐに行ったほうが良い気がしてきた……」

「おっさーん! ヒトラ様に何やらかしてんだよー。ウケるー」


 いつも昼休みは、教室の廊下側に陣取っている4ギャルが笑いながらこっちを見ている。まったくめんどうな奴らだよ。


「とりあえず、行ってくるわ。シェンユは食堂で、昼ご飯食ってこいよ」

「オイラも一緒に行くよ」

「えっ? なんで?」

「友達だろ? 大丈夫。オイラって結構強いんだよ! 喧嘩になったら頼りになるんだよー」

「お前、さすがにおかしいだろっ。相手は隣国から留学できた貴族、特待生だぞ? 面倒事は普通は関わりたくないだろ。お前はユウツオ領主様のお気に入りで、お前自身も貴族と問題事なんて嫌なんだろ? それに呼ばれたのは俺だけだし、2人で行ったら不快に思うかもしれないだろ」

「むーっ。タツキも領主様の事言うんだね。そんなの関係ないよ。オイラは困っているタツキを助けたいんだ。タツキの力になれるならワナン国の大名の娘でも相手してやろーじゃないか」


 シェンユは、やっぱり、ちょっとおかしい。

 前にノアが少し警戒したほうがいいって言ってたっけ? いくらなんでも急接近しすぎるって言ってたか?


 2か月前は、自分の事でいっぱいで、助けてくれるシェンユがありがたく、何も疑問には思わなかった。だが、よく考えてみるとこいつは過剰に俺を助けてくれる。

 初めて会った日に、森で迷子のシェンユを街まで連れて行ったが、アレは俺達も迷子だったのでシェンユの言葉があったから森を出れた。

 命の恩人ってほどでは無いと思うのだが、こんなにも慕ってくれるのは、何故だろうか?


 確かにノアの言う事は一理あるあもしれない。


「それに、タツキってワナン国専用の食堂部屋の場所は知ってるの?」

「あ。知らねーわ」

「だと思った。任せて! これでもオイラはユウツオでは特別上級貴族だからね。使った事無いけど。貴族専用の食堂の事は詳しいから」


 うん。しかたない。

 今はシェンユに助けてもらおう。だって相手は、あのヒトラ様だ。ちょっと怖いし1人で行くのは心細いからな。

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