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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第49話 ドラグマン・レッド……

言葉にするって難しい……

「ねぇダリウス。あなたの愛鎚で飛ばせないかしら? 宝物級ではないけど、それなりに価値のある武器でしょ?」

「確かに私の愛鎚は、殴った対象物を狙った軌道で飛ばしますが。対象物の大きさと魔力量などに左右されます。宝物級の武器では上手くいくかどうか……」

「それでいいわ。お願い。もう少しだけ、尾鰭の辺りまで近づいてから、サンダイルの頭部に向かって殴り飛ばして。どこかに刺されば、レッドが使えるはず」

「分かりました」


 おいおい逃げようぜ! その剣が仮に3メートルになってもよぉ。見ろよ、あの大きな生物を! どうにもならないって。

 ってか、頭を上げてるぞ? 片目潰れたぐらいじゃ何とも無さそうじゃないか!


「ダリアー! 生きてるかぁー? 私にかまわずに逃げるんだー!」


 アイツ目玉の中から這い出てきたぞ!


「レッドー! 剣を渡すわ!」

「この状況で、こちらを気にかけるとは、あの方は凄い人ですな」

「でしょ? だから、少しでも力になりたいの。さっ、ガオレン走らせて!」

「えっ? いや、凄い奴だから、アイツに任せたほうがいいんじゃないか?」

「もうっ!」

「あっ! ちょっと待てダリア!」


 アイツ、兎獣から飛び降りて走って行きやがった。


「1人で行かないで下さいダイア嬢様!」


 くそっ! ダリウスまで行きやがった! 俺は行かねーぞ!

 だいたい剣なんて、ここに突き刺しておけばいいじゃないかよ。そもそも貸してやるんだから、あのレッドって奴が取りに来るべきなんじゃないか? そしたらダリウスの鎚に頼らなくていいし、確実だ。


「くそっ! ダリアー! 戻ってこーい! 剣はレッドに取りに来てもらおう!」


 アイツ、聞いちゃねー。もうっ! しかたねー俺も行くしかない。剣を失うのは構わないが、ダリアを同時に失うわけにはいかない。


「ダーリア行くぞ。走れ! 強引にでもダリアを連れ戻す!」


 もう、だいぶサンダイルに近づいてるが、まさか、そのまま背中に駆け上がるつもりじゃぁないだろうな? いや、よく見ると尾鰭よりも右よりに向かっては走っていやがる。右目はレッドが潰しているから見られる事はない。逃げるにしてもいい位置だ。


 おっと、ダリアがペルダムの鱗剣をか構えたぞ。って事はダリウスの愛鎚で、打ち飛ばす気だな。

 もう、剣は何処に飛んでいこうが、かまわねぇ。ダリアさえ無事に戻れれば、それでいい。たとえダリウスを囮にしてでもな。


「レッドー! いくわよー!」


 乾いた大きな音と一瞬の閃光が放たれて、ペルダムの鱗剣が流星の如く打ち出されるのが見える。その軌道は大きく左に膨れたが、弧を描いて上手くサンダイルの後頭部に突き刺さっていやがる!

 縄付き木槍と右目との間ぐらいか? あの位置で、あのレッドって奴なら、剣を握る事ができるだろうな。


「やったわ! ダリウス凄いじゃないの!」

「やる事はやりました。さぁ、ダリア嬢様、この場を離れましょう」

「分かってる。レッドー! その剣には特殊な力があってー! 使用者の魔力量によって巨大化するのー!」


 呑気に説明してる場合かよ! ダリウスもさっさと連れて来いよ!

 まったく、もう満足しただろうな? 追いついたら、すぐに捕まえてはなれるからな!


「感謝するー! もう俺に構わず、ここを離れろー!」


 レッド。俺も感謝するぜ! 俺の家宝をくれてやるから、その剣と共に消えてくれよ。頼むぜぇ、そしたら俺とダリアが結ばれるんだ。


 なっ! なんだ? 砂がっ、足が沈んでいく!


「ダーリアっ! 頑張れ! お前の脚力なら走り切れる」


 これは、サンダイルの唯一の特殊能力。粒子液状化か?

 この能力を使って、周囲の砂を液状化させて砂中を泳ぐように移動していると聞いた事がある。


「きゃっ! 何これ? 足が沈んでいくわ」

「ダリア嬢様、私の肩に乗って下さい!」

「ダメっ。足が抜けないわ」

「ダリウスー! ダリアをこっちに投げろー!」


 ダーリアに悪いが、ここから跳べば液状化範囲から出られる。


 今度はなんだ? 辺りが影になったぞ。


「ダリアー! 逃げろー! 上だ! 尾鰭が持ち上がっているぞぉー!」


 レッドの言う通りだ。この野郎、俺らを尾鰭で叩き潰す気だ!

 この足場では走れない。どうする? 俺だけでも逃げるか? ダリアを置いて逃げるというのか?


「レッドぉ! 剣を掴めー!」


 さっきみたいに、ダメージを与えられれば怯むはずだ。もしかしたら粒子液状化も止まるかもしれない。

 レッドさすがだ! 俺の一言で察して、すぐに動いてくれるじゃねーか!


 頼むぞー。頼む。頼む。早くしてくれ!


「急げっ! 急いでくれレッドー!」


 やめろクチデカバケモノ! 頭を動かすな! 尾鰭も動かすな!

 レッドぉ~もう少しだ。いや、ヤツの尾鰭が振りかぶっている。ダメだ! 間に合わねぇ!


 そうだ!


「ダリウス! 鎚だ! ダリアを飛ばせ!」


 ダリアが脱出すれば、俺もダーリアを踏み台に逃げれる。

 って! ダリアが尻餅ついてるじゃねーか! 何やってんだよ。ダリウスの槌が届かねぇ。


「ダリア這い上がれー!」

「レッド―! お願い助けて!」


 レッドは?


「掴んだぞぉー!」


 よし! 少しでいいから、俺らが逃げるダメージを与えるんだ!


 突如、周囲の空気を全て震わせて、耳に突き刺さる甲高い音が鳴り響き、あまりの唐突な出来事に耳を塞ぐだけでなく、顔をしかめてうつむいてしまった。

 この感じ、この音は慣れ親しんだ事象だったのに。

 宝物級武器ペルダムの鱗剣の刃、特殊なドラゴンの鱗で出来たその刃が魔力を吸って急成長し、巨大化する時に鳴る音だ。


 だが、こんなにも大音量に鳴るのは、今まで聞いた事がない。俺が使ってる時は1秒程度で俺の隣にいる奴に聞こえるぐらいだ。


 ゆっくりと顔上げて目を開けると、そこには同じように両手で耳を抑えて固まっている2人がいた。俺と違ったのは2人とも口を開けて驚愕な顔をしたまま砂煙の先を見ているって事だ。


 俺もその視線の先に目をやると、砂煙が晴れたそこには、ありえない光景があるじゃねーか!


 何故か、サンダイルの頭が砂漠へと落ちている。


 前足はつっぱり、胸から首にかけては空に向かってのびているが、途中で1枚の巨大な刃によって先が無くなっている。


 10メートル以上か? その巨大な剣先は砂漠へと突き刺さっており全長が見えず、幅は3メートル以上ある首を切り落としたのだから、間違いなくそれ以上はあって、人間が扱うには巨大過ぎる剣がそびえ立っている。

 巨大な剣の先から柄へと視線を変えると、使用者と思われる真っ赤な変態が両腕をぶら下げて切断面ギリギリに立っていた。


「た、助かったわ。さすがレッドね」


 俺達のいる場所よりも少し先にサンダイルの尾鰭が力なく横たわっている。


「なんだよアレ」


 わけがわからない。なんで、あんな巨大になるんだ? おかしいだろ。


 俺が、ずっと家宝の剣を見つめていると、粉をまき散らしながら次第に細く短くなっていき、最後には柄がけを残して、その存在が幻だったかの様に砂漠の砂に混じって消滅してしまった。


「む。剣が無くなってしまいましたな……」

「えっ?! ウソ?」


 あまりの成長率に耐えられなくなったのか? だが、これでダリアは宝剣を返せないし、サンダイルは倒れて危険も無くなって、素晴らしい結果だ。


「なんという事だ。この様な事が起こるとは……」

「あっ。足が抜けるわ。ほらダリウス立って! ガオレンは大丈夫?」

「大丈夫だー! そっちはケガは無いか?」

「無いけど、なんかダリウスが放心気味だわ。ちょっとひっぱたいていいかしら?」


 そりゃ、そうなるか。ギルドマスターを務める人物が3メートル程に大きくしたペルダムの鱗剣を、あんな、想像もしなかった程に巨大にするなんて……。

 魔力保有量はA級冒険者、もしくはAA級冒険者に匹敵すかもしれない。


「ドラグマン・レッド……」


 いったい何者なんだ?

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