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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第48話 私が一生をかけても必ず返す

「何の冗談だ? 何がしたいんだよ?」

「冗談でも嘘でも無いわ! ほら見て! あのサンダイルは足を止めているでしょ? あれはこの商業団を守る為に足止めしてる人がいるの!」

「たしかにサンダイルが大勢の人間を目の前にして、止まっているのは不自然ですが…… ダリア嬢様そんな事ができるのはA級冒険者以上の実力者ですよ?」


 こんな所にA級冒険者だと? いるわけねぇ。あいつらはギルドに飼いならされている奴だ。人類繁栄の為とかで未知の領域の探索しかしねぇ。本当に困っている一般人の事は考ちゃいない!


「ガオレン様! お待たせしました」

「おぉ、来たか」

「本当にダリア様がおられるとは……」

「これは、誰の兎獣なの?」

「俺のだ。あっ」


 もっと、くっついてればいいのに。騎乗獣が好きなのは相変わらずだな。


「よーし、よし。いいこねぇ」


 騎乗獣を愛でる姿が1番カワイイぜ。

 って! おいおい!


「乗るなよ!」

「ちょっと借りるわ」

「ダメだ! どこに行くつもりだよ」

「そうですよダリア嬢様。ガオレン前に乗れ! そのままバオ様の所に連れいいくぞ」

「嫌よ! 私は彼に命を救われた恩があるの!」


 強情な所も相変わらずだ。昔から芯が強くて、少々ワガママお嬢様なんだよなぁ。こうなったら言う事を聞いてくれねーぞ。


「ガオレン! 剣を貸してくれないかしら? そしたら私は戦わないわ。剣を突き刺してくるだけにする」

「待て待て! 剣を突き刺すってどういう事だ? 返ってこねーじゃないか」

「大丈夫。必ず同じ剣を返すわ」


 ダリアのヤツ何をする気なんだよ!

 よく分からんが、コイツはサンダイルを足止めする奴を助けたい。その為に武器が必要で、俺が宝物級の武器があるぜ! なんて言ってしまったぁー!


 貸すしかないのか?

 たぶん、返ってこないぞ?


 これは、俺がダリアと結婚する為に親父が託してくれた物だ。その為に犠牲になるのは、致し方ないが。よく分からん奴を助けるのに失うのは許されない~。


 いや待てよ。これはチャンスか?


「どうなの? 貸してくれないのなら、もう行くわ!」

「ダリア嬢様! なりません!」

「貸すよ! 貸してやるよ!」

「ホント? 見直したわガオレン」

「ガオレン様! それは家宝ですよ? いいんですか?」

「ダリアの為になら貸すさ。だが条件はある。ダリアはこの剣の価値を分かってるんだろ?」

「大商人の娘よ。宝物級の武器の価値は分かっているわ」

「なら、返せなかった場合はどうする?」


 これは絶対に明確してなければならない。


「必ず返すわ」

「俺は返せなかった時の事を聞いているんだ」


 騎乗していて見下ろすダリアの目を強い気持ちで見つめ返す。コイツの事はよく知っている。譲れない時は譲らない意志を見せつけないといけない。


「私が一生をかけても必ず返す」

「そうか。ならいいだろう」


 よし。これでいい。剣を腰から抜いてダリアに投げ渡す。


「貸したぞ。剣はお前が持て、兎獣は俺が操る」

「ガオレン様! ちょっと! あの剣は大切な物ですよ?」

「いい。ダリアは一生かけても返すと言った。つまりは剣が返ってこない時は、剣の代わりに一生尽くしてくれるという事だ」

「えっ?」


 おっと、頬を赤らめたな? 俺も自分で言ってて心臓が飛び出しそうになっているんだ。頑張って耐えてくれダリア!


「そういう事だろ? なぁダリア。ペルダムの鱗剣の価値を分かっているもんな」

「えっと」

「ガオレン! 貴様ぁ何を言っている? ダリア嬢様、今すぐ剣を返して、その兎獣から降りて下さい」


 やはり、ダリウスは反対するか。バカめっ! 俺とダリアはずっと愛し合っていたんだ。お前らに引き離されただけであって、今も心は繋がっている!

 お前等の目がある内は、お互いに本心を表に出せないが、いつか2人は結ばれる運命なのだ!


 不意に、ダリアが手を伸ばしてきた。

 お互いに少しだけ目を合わせて、アイコンタクトを取る。やっぱりダリアと俺は理解し合っている。


「剣を返せばいいだけの事だわ。時間が惜しい乗って」

「おうよ!」


 ダリアに手を引いてもらい兎獣の前側に乗る。すぐ後ろからダリアが手を回して抱きしめてくる。幸せだ!


「シャパイル! 俺の部隊を任せる! 俺はダリアの護衛をする」

「分かりました!」

「ダリアしっかりと捕まれよ。とばすぜ!」

「大丈夫よ。騎乗獣の扱いは、もう私の方が上手いハズよ!」


 このブリル=ワン家の俺にそう言えるとは。

 だが、そういう事じゃない。俺の背中にその胸を堪能させてくれ。


「なんて事だ! 今はついて行くしかない。ガオレン! ダリア嬢様を落とすなよ! 2人乗りでスピードを出してはいけないぞ!」

「ダリウスー。大丈夫よー。あなたこそ、ついて来れてる?」

「心配ありませんよ! 牛獣人は直線なら早く走れますから」


 ダリウスもついてくるのか。まぁ当然だろう。むしろいてくれた方がいいかもしれん。なんたってサンダイルに近づこうってんだからな。

 宝物級の剣1本でどうにかなるとは思えない。


「その宝剣、ペルダムの鱗剣の能力は知っているのか?」

「使用者が柄から魔力を送る事で大きさが変わるんでしょ?」

「そうだ。今は60センチ程度の片手で振れる剣だが、魔力を込めると120センチぐらいにはなる。かつてギルドマスター級の人が3メートル程にしたと云われている」

「すごいわね」

「だが、その大きさでは扱えないし、結局サンダイル相手では3メートルの剣でも倒せないと思うぞ?」

「そうね。でもいいの。少しでも彼の助けになれば、命をかけて命を救ってくれた相手に、ただ何もしない自分は許せないの。できる事をしてあげたいの」


 昔よりも。ずっと強くなってないか? こんなに志の高い女だったっけ?


「ガオレン! もう、だいぶ近いぞ!」

「どっかに戦っている人がいるはず! まわってくれない?」

「わかった。頭の方に周るぞ」


 この距離まで来ると、その大きさと脅威が分かる。前足は人間なんて簡単に踏みつぶせるだろうし、平たく大きな尻尾で叩きつけられても、ペチャンコになってしまうだろう。

 そして何よりも大きな全長の3割をしめる口は、1口で3、4人の人間を食べると聞いた事かある。


 危険だ。せめて視界に入らないようにしないきゃいけねぇ。あの大きくて変な形の赤い目が、こっちを向きませんように~。


 んっ? アレは目か?


「いたわ! レッドよ!」

「レッドだって?」


 レッドって言えば戦闘特化特殊部隊の1人じゃねーか! そんな奴がいるわけねぇ。仮に戦隊のレッドならサンダイルなんて100匹いても蒸発させるハズだ。

 世界に9人しかいないMA級冒険者の1人だからな。


「レッドー!」

「ダリアかぁー? なぜ戻って来たぁー?」


 なっ! 変態だ!!


「商業団は、移動準備をしてるわ! もう間もなく移動開始すると思うから大丈夫よー! あなたも逃げて!」


 なんて、ふざけた格好をしているんだ?! アレが命の恩人だと?

 まず、顔がみえねー! なぞの黒い布ですっぽり覆ってるうえに正面は仮面みたいなのついてるし! そして上半身は裸じゃねーか! 下半身もほぼ裸じゃねーかよっ! かろじて腰回りに布があるが……、股間のアレはなんだ? 肩掛け用の鞄じゃないのか? さらに全身真っ赤になってるのはなんだ?!


 サンダイル相手に武器無しどころか防具も無いなんて、ただのバカだぞ?


「ガオレン離れろ! 奴が口を開いたぞ!」

「ダリアいったん、離れるぞ!」


 サンダイルは口を開け鋭い牙を披露したが、地面にいる俺達には見向きもせずに頭を振りながら何度か空中に噛みついている。


「なんだ?」

「レッドを食べようとしているんだわ」

「アイツ、食われたのか?」


 だとすると、少しもどかしい。宝剣を失わずに済むが、ダリアが手にはいらないではないか。


「見てあそこ! 無事よ。上手く縄を使って避けている」

「なんだって?」


 よく見るとレッドの左腕には縄が巻かれていて、それはサンダイルの首の後ろにある木槍に繋がっている。縄の張力を上手く利用してサンダイルの顔を眉間から後頭部まで走り周ってダメージを受けないように動き、さらにスキをついて目玉を踏みつけている。

 なんて奴だ。


「ダイア嬢様、ケガは無いですか?」

「大丈夫よ」

「あの者はいったい何者ですか? 本当に武器も持たずに1人で相手をしている。しかも、なんとも奇怪な恰好をしているのか……」

「確かに、私も初めて見た時は変態だと思ったわ」


 そうだな! アレは間違いなく変態だ!


「けど、レッドは常に私を気にかけてくれて、酷い事を言った私を命がけで助けてくれたわ。そして今も商業団の皆を助けようとしている。凄い人よ」


 まぁ、凄いのは認めるが、あの変態を褒めすぎじゃないか?

 なんか好かねぇなぁ。レッドって名前も気に入らん。わざわざその名前を名乗りたいが為に全身を赤く染めるかね?

 そういやサンダイルの目も赤いな。


 ん? 今、サンダイルと目が合ったか?


「ガオレン!! 後ろから腕がきてるぞー!」

「何っ!」


 背後を振り返ると、目を見開いているダリアの他に3人まとめて突飛ばせそうな大きな手が迫ってきている。


 あの大きさなら、兎獣の脚力でなんとか跳び越えられるか? だが2人乗りだ。


「させるかぁぁぁあああああ!」


 絶叫していたのは、レッドだった。

 サンダイルの瞼の少し上から跳躍すると、両足から凄い勢いで眼球へと突っ込んでいった。

 次の瞬間サンダイルの目から大量の血しぶきが空中に舞い、重低音の鳴き声を大きく空に向かって叫んだ。

 激痛による絶叫だろうか? おかげ間一髪、腕は空を切った。


「オオオオオオォォオオオォオオ!」


 長く低く轟かせながら、向こう側へと倒れていく。


「ガオレン! チャンスよ!」

「おう、分かってる! すぐにこの場を離れるぞ!」


 危ねぇー。ここにいたら死んじまう。


「何言ってるのよ! サンダイルが砂漠側を向いたわ。あの尻尾から背中に駆け上がって剣をレッドに渡すの!」

「何言ってるの? はお前だよ! 危険な砂獣だぞ! 商業団を見ろよ。もう全ての天幕がかたづけられている。もうすぐ移動だ。お前をこんな所で死なせる訳にはいかないんだよ! バオ団長も待っているハズだぞ」

「そうですよ!すぐに戻りましょう!」

「お願い! せめて、この剣をを彼に届けさせて!」


 それが危ないって言ってるのに! どうするか? ダリアは死なせないし、俺だってここで死にたくない。


「ダリウス。お前1人で行けるか?」

「コンロン様の命令なら行くが、さすがにこの状況ではできないな」


 ちっ。行けよ。

 しょうがねぇ。もう強制的にダリアを連れて帰るしかねぇ。

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