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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第28話 閑話 来訪者を悟る者達

【とある山脈の中の施設】

 原初の大陸。北西のメリアルア連邦国と南東の獣人帝国との間にある、まだ誰にも見つかっていないアトリエ。俺達がそこを拠点にして100年程になる。


 奴は何処にいるのだろうか?


 確かに死んだ。あの技はその名のとおり相手の魂を砕く。そして奴に直撃する瞬間を俺は間違いなく見た。


 だが、あの白銀の竜は現れた。この俺を無視して、俺の攻撃を受け傷つきながらも奴の死体を回収して飛び去って行った。


 何故だ?


 多くの可能性がある。300年の間考えてみたが、確証を得られない。40年程前に答えを得られそうな人物に会ったが、手に入れたのは、奴の右腕のみだ。


「ジーク。どうだい? その腕は何か分かりそうか?」

「オルドか。毎日毎日同じ質問をしてくるなよ。お前が取ってきたこの金属の腕を再現出来る者は、この世界に存在しない。というぐらいしか分からんな」


 元は肩の部分からあったのだが、耐久力を調べていたら、肘から肩までが消し飛んでしまった。まさか俺の魔法をかなりの威力まで耐えるから、調子にのって最大火力をぶつけてみたら、さすがに無理だったようだ。


「そもそも、なんで右腕だけなんだよ! 本人を捕まえられれば、もっと情報を得られたというのに」

「だから、何度も言ってるだろうが! 自爆したんだよ。ワシの戦闘力の方が上と判断してからの、すぐに消滅を選ぶ覚悟。捕まえられても情報を吐いたとは思えんな。その腕を斬り取ってきただけ凄いと思えよ!」

「俺なら、捕まえれれるかな?」


 このオルドは、今は70を過ぎたジジィだが、40年前は凄腕の魔法剣士だったハズだ。自滅とはいえオルドからそんな隙を得るとは何者だったのだろうか。


「お前は俺よりも強い! もちろん俺の全盛期よりもだ! だがあの女と会えたとしても捕まえるのは難しいだろうな。自爆を止められないからな。魔法なのか、魔闘気なのか、龍の力か、まったく別の方法か。さっはり分からなかった。そもそも、もう1度会えるとは思えないがな」

「そうか。次に託すしかないか。それでリトルの修行はどうなってるんだ?」

「まぁまぁって」

「「!!」」


 かすかに、だが確実に、奴の気配を感じた。300年も昔の事だが、この魂に刻まれた奴の気配を間違うハズはない。


「オルド。感じたか?」

「ジーク。お前は運がいい。2度と無いと思って話してない事がある」

「なんだって! 俺らに情報の共有は絶対だろ? 重大な事だぞ!」

「まぁ、待て。後で説明はする。今は話を聞け」

「説明じゃなくて、言い訳だろ! で、なんだよ」

「この気配は、おそらく奴では無い」

「何!? そんなハズは無い。この魔力の波長はっ」

「その腕の女だ!」


 俺は金属の腕を見た。奴に繋がる鍵を持つ人物。俺達の呪いを解く可能性のある唯一の人物。


「ジーク。3度目は無いかもしれぬ、慎重に作戦を考えようか」



【とある大きな大陸】

 懐かしい気配を感じて目を覚ました。


 彼女では無い。それは判っている。


 今先程に感じた魔力を、もう一度ゆっくりと噛みしめるように確認する。おそらくは50年程前にも感じた魔力と同じであろう。


「神の使いか」


 この島に居座ってから、どれほどの時が流れただろうか。300年前の戦いに敗れ、彼女は死んだ。我自身も大きな傷を負い、少数の同胞と共に逃げ、行きついた大きな島。

 本来ならば、島では無く大陸なのだが、我と同胞と、それから流れる時の内に配下となった多くの同種が住みつき、いつしか人間共から“龍の島”と呼ばれるようになった。


 彼女を失った今、生きる意味など無い。この抜け殻となった顔が見れない彼女の亡骸を抱いて、ただ終わりの時を待つだけ。


 我に使命があるとするなら、可能性に賭けるのみ。


「そういえば…… 終わりの時が近かったな」


 天空の神龍は現れるだろうか。アイツを殺せば、何か起きるだろうか?


 おそらく神の使いは、此処へは来ない。50年前もそうだった。ならば我が動くのは今では無い。


 30年は寝てたか? あと10年は眠りにつこう



【中央大陸のとある洞窟】

 ヒマだ! 死にたい…… かもしれない。


 300年も1人だ! 引きこもりだ!


 もちろん私は不死では無いので、ちゃんと死ぬ事ができるのだが死ぬのが怖くて怖くて、ずっと引きこもっている。


 私の事は誰も知らないが、私の顔は世界中の人が知っているだろう。おそらく外に出たら大変な事になる。いや、間違いなく大事になる!

 なんたって、私の見た目は師匠とそっくりなのだから。中身は全然違うのに、美人な顔も、大きな胸も、長い足もそっくり。こんな人間他にいるわけない!


 だから絶対に見間違われる。違うと言っても、絶対に師匠として見られてしまうと思う。唯一違う所といえば眼球が無い事ぐらいか。

 なので、目を閉じて布でぐるぐる巻きに覆っているんだけど、そこ以外は似すぎているので、どうしようもない。


 自分でも何故だか知らないけど、視界は良好である。魔法の力らしいけど、よく分からない。

 そう! それも大変なのだ! 私には魔法が備わっているのだ。師匠が与えてくれたのだけど、何故使えるのか? どうゆう理屈で発動しているのか? とかとかサッパリ分から無い!

 それゆえに! 外に出たら、あちらこちらから引っ張りだこは間違いないであろうと思われるが、何も説明できないのである!


「はぁ~。師匠~。なぜ、私を弟子にしたのでしょうか? もっといい人がいたでしょうに。決断力とか、判断力と、精神力とか、私には無いのですよ~」


 師匠はおそらく死んでいる。あの師匠が私を300年もほっとくワケがない!


 たぶん、私も死ななければならない。私の中にある秘密と共に。与えられた謎の魔法や知識を消滅させる為に。


「でも死ぬの怖いよーーーーー」

「んっ?」


 これは、この感じは、師匠の魔法と同じ波長……

 確か前にもあった。50年ぐらい前にもあった。いろいろ考えたけど、結局何だったのか分からなかった。


 どうしよう。今回は調べるべきだろうか? 私が感知できたという事は、他にも感知できた者はいるだろう。

 となると、調べに行けば絶対見つかる。そしたら絶対殺される。


「師匠~。助けて下さいよ~」



【とある街の南にある森を探索するピンク髪の子】

 この森の奥には何があるのだろう?

 何故、龍支配の空賊は、この森に人を捨てるのだろう?


 ランクAの冒険者でも森の中心までは行けていないらしいし、ユウツオの街も国もギルドも、調査を断念し、森の資源を有効活用しつつも最低限の浸食を防ぐ事になった。


 そんな、前人未到の魔の森に、空賊は出入りしている。


 この6年で見つけた人は4人。助けられた人は1人だけ。今はまだ、浸食域3までしか探索できないけれど、必ず強くなって、浸食域5まで踏み込み、それより先まで探索できるようになって、空賊を捕まえてみせる。


 この森の奥にはきっと何かある。過去には怪人の出現があったし、かつては魔法国家エルデ・ミデリオの実験場だったというウワサもあるし、DerEWNSの研究所が隠されているというウワサもある。なによりも大魔女サヤが初めて歴史に出てきた場所でもある。


 理屈では説明できない何かがある。偶然かもしれないが、いくつもの大きな出来事がこの森で起こっている。もちろん他の場所でも事件はあるけど、何か運命的なものを感じられずにはいられない。


「!!」


 凄い魔力を感じる。よく分からないけれど、この感じはおそらく一族の秘伝の魔法陣に関係する物だと思われる。

 場所はそう遠くないが、上空から、空から感じる。もしかしたら空賊の仕業かもしれない。


 近くの樹によじ登る。途中で背の高い樹に移って、空が見える位置まで急いで登る。この反応が消えないうちに。


 空を確認すると、はるか上空に大きな魔法陣が描かれていた。いくつもの魔法陣が重なり合って1つの大きな魔法陣になっている。


「凄い…… こんなの見た事がない」


 空賊の頭領は魔法陣の研究をしていたハズ。アイツならこれを作り出せるかもしれない。何の為の物だろうか? 何かの実験だろうか?


 中心付近に何かが見える。人影だ。


「人? なんで? もしかして、これは転送魔法なのか? 空賊はこうやって人間をこの森に捨てていたのか! でも何の為に? それよりも、どうしよう…… あの高さから落ちれば、助からない」


 あの位置なら、落下地点は浸食域5よりも先の所になる。オイラ1人で行けば、きっと生きて帰っては来れないだろう。


「ギリギリまで行こう。きっと何かの運命だ」


 前に助けた人は、両足を骨折して地面に倒れていたけど、生きていた。 だから今回も、もしかしたら、生きているかもしれない。そしたら何か話を聞けるかもしれない。

 少しづつだけど、近づいている気がする。オイラは必ずもう一度会うんだ。今もあの集団の中にいるか分からないけど、会って話がしたい。しなければならない。だから、龍支配の空賊団に、アイツ等と対峙しないといけないんだ。

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