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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第23話 ノア君は、席には着いてくれないのかな?

 600年以上昔、建国して10年ほど経ったシコウ大帝国は、1000以上前から存在し、巨大な力を持つ隣国の魔法国家エルデ・ミデリオに対して友好関係を築きたいと考えて帝都から一番近いエルデ・ミデリオ国土防衛施設の付近に交渉拠点を造り、人員を送った。


 周囲には獰猛な獣が多く生息し、帝都から遠く離れ補給も月に1度しかなく、過酷な状況での生活に次々と脱落者で出ていく中、ある男は3年もの間耐え愚直に仕事をこなしエルデ・ミデリオと貿易をするまでに至っていた。


 その仕事が評価され、帝国から報酬金と周囲の土地を領地として与えられると、自らの資金を使って拠点防衛の為の人を雇い、貿易の為の商材を増やし、備蓄食料や在庫確保の為に倉庫作った。

 仕事を求めて来た人を拒む事無く受け入れ、いつしか部下が増え、その家族が住むようになり、交渉拠点は村となっていた。


 時は流れ、魔法国家エルデ・ミデリオが無くなり、南から謎の森が広がり、北の山に魔龍が住みつくようになったが、村は町へと変わり、町はシコウ大帝国3番目に大きい都市となった。


 男の名はユウ=ツゥ・オ=アーイラ。このユウツオの領主アリムフ=カル・モ=アーイラの祖先である。


 という、この街の成り立ちを簡単に説明されながら兎車に揺られているのが、俺とノアの現状だ。どういう理由で呼び出されたかは分からないが、断る事など出来るワケなく、昨日見た領主の館へと向かっている。


 兎車の乗りごごちは、なかなか良い。兎だから跳ねながら進むんで、もっと揺れる物だと思っていたが、そんな事は全くない。

 そもそも兎車の兎の見た目が兎なのか? と思う形状をしている。兎のフォルムに脚だけがダチョウのような長い脚がついており、大きさも馬ぐらいある。白いフワフワした毛に、短く丸い尻尾と、長い耳は相変わらずだが、脚には毛が無く長くて筋肉質な見た目をしている。


「これまでもいろいろと大変な事はありましたが、アリムフ様の時代が一番困難が多かったでしょう。しかし素晴らしい心を持つ彼は、ユウツオの人々から大いに信頼され街を1つに団結させ、数々の困難を乗り越えてきました。それから……」


 1時間ぐらい経過しているが、ハオラン氏の領主自慢はネタ切れを起こす事がないようで、永遠と聞かされてる。


 しばらくして、やっと兎車が止まり、外側から扉が開けられた。扉を開けたのは身なりのきちんとした若者だった。


「父上、タツキ様、ノア様、館に到着致しました。」

「アリランご苦労。通常の業務を頼みますよ。では、お二人は私について来て下さい。アリムフ様がお待ちです」


 昨日もシェンユと見に来たんだが、入り口の門から正面玄関までの空間は狭い。金持ちの館だから希少な花や木があったり、噴水があったりをイメージしていたんだが、ほとんど兎車をつけて乗り降りするスペースしかない。


 ハオランが玄関の上から吊り下げられている鐘を鳴らすと、入り口の両引き戸がすぐに開いた。この引き戸は左右それぞれ3枚ずつになっていて全部開ければ、同時に15人ぐらいは出入りできそうな変わった入口になっている。

 ちなみに開けたのは、身なりのきちんとした女性の方で、俺達が通りすぎると戸を閉めて掃除をし始めた。メイドとか侍女的な人だろうか?


「こちらの広間は土足で結構ですが、あちらの廊下に上がる時は履物を脱いで下さい。そこの棚に置いてもらえればいいので」


 変わった様式だ。この広間は室内体育館としてるのだろうか? バスケットコート1面ぐらいの広さはあるが、中央に大きな階段があるので、スポーツするには微妙だと思うのだけども……。


 言われてた通りにして、ハオラン氏の後に黙ってついて行く。廊下には窓が無く例の光る鱗が一定間隔に設置してあり、そんなに豪華ではない廊下の内装を照らしている。これまで見た他の建物と同じく全て木造のようで、赤を基調とした装飾が至る所に施されているが、現代日本から来た俺の感想としては、本当に領主の館なのか? と疑問に思う程度だ。


「私は、ここまでになります」


 ハオラン氏が3つ目の扉の前で止まり、手で扉の方へと案内する。


「御二人の事情はギルドから聞いておりますので、作法などは問いませんし、多少の言葉使いも大目に見ますが、あまり粗相の無いようにお願いします」

「分かりました」


 扉を開けて中へと入る。いったい何の話をするつもりだか分からないが、わざわざ館に招待して飯を食いながら話そうって事は、荒事な話では無いハズだ。


 中は50人ぐらいが入りそうな宴会場のようになっていた。床は赤と黄色の模様が入った絨毯が一面に敷かれており、壁にも赤い柱と扉の部分以外には床と同じ模様が描かれて、目がチカチカする。さらに天井には光る鱗のシャンデリアが4つもついて、眩しくてチカチカする。

 そして中央に10人以上は座れそうな大きな円卓があり、円卓の上に丸いテーブルがある。よく中華料理店で目にする回転するやつだろう。

 中華円卓の対面側に1人の男が座っていて、奥の壁側には左右に2人の男が立っている。


 男は立ち上がると笑顔で両手を広げた。

 身長は小さい。150センチぐらいに見える。白い口髭と顎鬚を持っており、浅黒い肌と全体的に丸いシルエットは、中東の石油王のような印象を受けた。


「やぁやぁ、よく来てくれた。歓迎しよう。ワシがこのユウツオの街を中心に付近の土地の領主であるアリムフ=カル・モ=アーイラだ」


 本当なら貴族流の挨拶の仕方とかあるだろうが知らないので、とりあえず、深く頭を下げてお辞儀をする。作法は問わないって言ってたし、俺が記憶喪失な設定も伝わっているハズなので大丈夫だろう。

 チラリと横目にノアを見ると、よくメイドとかがやるスカートを摘まんで膝を曲げる挨拶をしていた。なんて言うんだっけ? カーテシー?


「えっと、はじめして。サトウ=タツキです」

「マスターのお世話をしています。ノアです」

「ふむ。なるほど。まぁ、よい。かけたまえ」

「失礼します」


 何か、勝手に納得してるが何だろうか。俺とノアの設定を信じているとして、何かを見極めている? とにかくボロを出さないようにしなければ。

 こういう時はノアとアイコンタクト取れるように、少し椅子の傾きを変えて。


「って、いないじゃん!」

「ノア君は、席には着いてくれないのかな?」


 ノアは座っている俺の右斜め後方に待機していた。


「こういう場では、私は侍女の役目がありますので、主人であるマスターと同席して食事をするワケにはいきません。こちらの都合ですので、どうぞ気になさらないで下さい」

「ふーむ。ワシは貴女ともお喋りをしたいのですが、後ろの2人を気にしているのなら大丈夫ですよ。彼らは使用人ではなく念のための護衛としているので」

「では、なおの事です。私はマスターの護衛でもあります」


 感動だ! お昼の空腹時なのに、領主の館の料理が食べられるのに、俺の侍女であり護衛もするからと断るノアさん。ありがとう!

 けどね、残念ながら、食事できない事を隠す為にやってるとしか思えないのです。すみません。


「そうですか。では、そうしますか。ですが遠慮なく会話に参加して頂きたいですね。では料理を用意しましょう。実はワシは、もうお腹すいてて。ロン!」


 呼ばれた左奥の男が近くにある扉をノックすると、中から両手に大皿を持った女性が4人ほど出てきた。


 まず、領主と俺と空席の前にそれぞれ2枚の皿が置かれる。1つは何ものっていないので、おそらく取り皿だと思われ、もう一つには白くて平たい円形のパンのようなのが5枚のっている。

 肉や野菜が山盛りにのった大皿は回転テーブルの上の置かれる。肉っぽい見た目の料理が2種類、野菜っぽい料理が3種類、スープの入った大きな深皿が1つ、全部で6品が用意された。

 最後にスープ用のお椀と飲み物が入ったコップを配って、給仕の4人は入ってきた扉とは別の右奥にある扉から出て行った。


「私の分もありますが、片づけて頂いても良いですよ?」

「いやぁ~、気にしないでくれ。3人分で準備してもらっていたのでね。準備してくれた彼女らに悪いので、そのままにしてもらって構わないかな?」

「そういう事でしたら、どうぞ」

「もちろん、食べたくなったら遠慮なく席についてもワシは構わないから。では食べようか。今日はごちそうだなぁ~、何から食べようか迷うなぁ。タツキ君、好きな物を好きなだけ食べていいからね」


 俺は席を立って回転テーブルに手を伸ばす。無論、好きな物を取る為では無い。


「領主様から、どうぞ。自分が回しますので」


 前の世界で人間関係とか上下関係とかが上手くできず、挫折して逃げ出した俺だが、初対面の方に失礼をする奴では無い。

 というのは建前で、だいたいの予想はつくが、この料理の食べ方が分からない。


「そうかね。それじゃ、全部取るから1つ1つワシの前にくるように回してくれんかね」


 俺は言われたとおりに、全ての料理が取れるように回転テーブルを回してく。


「タツキ君は、このユウツオの街をどう思うかね?」

「えっ? えっと。まだよく分かりません。街の全部を見たわけではないので。ですが、人々は楽しそうですね。なんというか…… 活気があるというか、皆さん常に全力という感じがしました」

「ノア君は、どう思うかね?」

「マスターと同じ意見です」

「ふむ。そうか。ワシの自慢の街だからな。そう思ってもらえると嬉しいぞ」


 なんだろう? なんで呼ばれたか、さっぱり分からん。

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