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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第22話 だから、何を根拠に!

「ふわぁ~」


 起きたけど、まだ少し眠い。

 昨日はシェンユのお喋りに付き合っていたら日が沈んでしまった。慌てて帰ってきて、晩飯を食べたり、身体を拭いたり、ノアと少し会議してたら寝るのが遅くなってしまった。


 帰る途中で、シェンユとは歴戦おじさんの店で別れた。どうやら住み込みで働いているみたいだったけど、親とは離れて暮らしてるのかな? 実家は別の所にあるっぽい事を少しだけ言ってたけど。


「よっと。おはようノア。起きてる?」

「おはようございますマスター。常に起きてますよ。省エネのスリープモードにはなっていましたが、そんな彼氏彼女みたいな会話されても」

「いやいや、今のはただの挨拶だろ! 普通でしょ!」


 まったく、こいつは常に平常運転だ。今日がいよいよギルドに保護してもらえる最後の3日目だというのに。


「それじゃ今日は、昨日の話した予定通りに、この街にしばらく定住するつもりで不動産と金貸しの店舗にあたる。それで問題無いな?」

「ありません」

「んで、俺が金貸し、ノアが不動産を探しに行く。これは問題ありと。何故?」

「一昨日の出来事がありましたし、マスター1人には任せられません。どうせ莫大な借金をしてくるに違いありません」

「絶対ならないから! なにを根拠に、そんな事言えるんだよ」

「では、お聞きしますが、この街の物価がどのぐらいかご存じなのですか? 宿の一泊の値段。一食の値段。服の値段。それらの価格を知って、生活するうえで必要なお金がどのぐらいか分かりますか?」

「確かに、それは知らないが、大丈夫だから」

「どうせ、上手い話しに乗せられて、大金を借りてきて返済できなくなる未来が予測できまよ?」

「だから、何を根拠に!」

「借金苦で、飛び降りしようとしたのでは?」

「えっ? なんで借金の事を?」

「マスターは、いちおうGMに選ばれたんですよ。基準は分かりませんが、多くの人の中から選ぶ為にある程度の事は調べられています」


 ぐぬぬぬ。確かに俺はヒーローになりたくて、警察学校や消防学校に通ってた時の借金を抱えて、警備のバイトをずっとしていた。知ってたのか。


「分かった。それを言われたら、反論出来ないな」


 こうして、今日は2人で行動する事になった。

 昨日の朝と同じ中華まんセットを2人分食べて、味が少し違うのを除いたら昨日の朝どころか、昨日の晩と昼も同じ……。 ちょっとした身支度をしてギルドを出ようとしたら後ろから声をかけられた。


「おはよう。タツキ、ノア」


 振り返ると、ルーファン氏が手招きしていた。


「どう? 大丈夫そう?」

「心配してくれてありがとうございます。ルーファンさん」

「ノア。そんなかしこまらなくていいのに。キッチリした時間は決まってないんだけど、明日の昼には部屋の鍵を返して貰わないといけないので」

「分かりました」

「タツキ。あなたは男なんだからノアの事をしっかり見てあげないと! これまでお世話になってきてるんでしょ? 記憶喪失って大変かもしれないけど。主として緊急事態な時こそ、しっかりしてよ」

「あ。あぁ。分かりました」

「ノアの気持ちが少し分かるよ」

「私ですか? 何か変ですか?」

「タツキって、あったい雰囲気してるよ。ダメそうな感じが出てるけど、芯はしっかりしてる感じがする。フォルストと似てるよ」


 なんだ? ちょっとやめてくれ。女性に褒められると勘違いしてしますから。

 しかし、フォルストと同じって褒められているのかな?


「それからコレも、昨日は忘れて行っただろ? それじゃ、がんばれ」

「ありがとうございます。行ってきます」


 ルーファンから食事券の木の札を受け取って俺達はギルドを出た。食料はノアが持ってる非常食のカップ麺と冷蔵してる中華まんがあるが、今日中で明日から住む場所ぐらいを確保しないといけない。コウに貰ったお金が今の唯一の希望だ。


 ギルドから左に曲がって一昨日に通った道を行く。南に向かう大通りだけ英雄通りと呼ぶ。途中で大きな広場がある所からは南大通りになるらしい。

 両方の1本道は、いわゆるメインストリートで通行量が最も多く、ありとあらゆる多くの店が並んでいて、どれも良い物を扱っていて少し値が張ると昨日シェンユが西大通りと比べて説明していた。


「この一食はいくらですか?」

「330ゼンだ。他よりも20ゼンは安いぞ? どうだ?」

「これで、足りますか?」

「3000ゼンあるじゃねーか。9人分はあるけぞ。そんなに連れてくるなら、ちょっと後にして欲しいな。今空いてるのは4席しかねーからな」

「分かりました。では今日はいいです」

「えっ? お嬢さん? ちょってでいい。1時間後なら空けとくから、3000ゼンで10人分でもいいぞ! お嬢さーん」


 ノアは、上手い事持ち金の価値を聞き出していた。そんな感じで服屋に入っては尋ねて何も買わず、道具屋に入っては尋ねては何も買わず。いろんな物の価格を調査しながら中央広場を目指した。


 3時間ほど歩いてやっと、中央広場に着いた。英雄広場とは違って何もなく広さも2倍ぐらい広い。ここも交通ルールはロータリー式になっていて、中央では子供が遊んでいたり、立ち話をしてる人達がいる。


 途中に人に聞いた話だと、ここは祭りやイベント事に使われる広場らしく、賭け事も起きる為、周りに金貸しの店がいくつかあるらしい。


「さて、どの金貸しの店から行くか」

「1回は全て周る予定ですし、とりあえず何処でも良いのでは?」

「そうだな。じゃあ―。あの看板の小さい店から行ってみるか」

「分かりました」


 俺達は人通りが少ない所にある店にした。建物はわりと大きく立派な柱が何本も立っているて入口に赤い提灯が2つ吊るされている。


「こんにちは~」

「帰れ!」


 いきなり拒否された。なんて店だ。

 中の造りはシンプルで6畳ぐらいの空間の奥にカウンターがあって店主らしき人物が座っている。左右には同じ恰好をした男が2人椅子にに座っていて、それぞれの横に牛頭の獣人と猪頭の獣人が腕組をして立っている。


「まだ、何も言ってないのですが」

「ここに来るのは金を借りにくるか、返しに来る奴だけだ。違うか?」

「その通りです」

「てめぇみたいな奴に金を貸した覚えはねぇ。なら借りに来たってワケだ。そして、てめぇみたいな奴に貸す金はねぇ! さぁ、帰んな!」


 なんとハッキリものを言うじぃさんだ。60過ぎぐらいだろうか? 頭は白髪でシワも多いが眼光は鋭く、背は小さいがどっしりと座ってカウンターの奥から睨みを効かせている。

 俺の勝手なイメージでは、金貸しってのは、相手の弱みにつけこんで、借りたい奴には貸して、利子を含めた取立てを苛烈に行うイメージなんだが。


「すみません。マスターが何か粗相をしましたでしょうか?」

「いや」

「貸して頂けない理由を聞いてもよろしいですか?」

「その腕章は、ギルドに保護されてるもんだろ? そんな奴に貸せるか! 返ってくる見込みがまったくねーじゃねぇか」


 一昨日の事があったから、ギルド出てから腕章をつけたんだった。なるほどなぁ~。確かに、これをつけてる奴は訳ありだからな。


「あの、どこか貸してくれそうな所を知りませんかね」

「バカか? どこだって貸すワケないだろうが! さっさと帰れ!」


 そうか。そうだよな。他の店はこの腕章見ても信頼してくれる。なんて事はあるはずが無い。って事はつまり、お金は借りれない。


「では、私を雇っていただけませんか? こう見えても強いので、そちらの2人よりも役にたちます」

「バカか! お前みたいな小娘が、獣人2体よりも強いワケがあるか! いいかげんにしろっ! 自分の足で出ていかねぇってなら、少し痛い帰り方になるが、しかたねぇよな? おい」


 座っていた、二人の男が立ち上がると、2人の獣人が腕組みを解いて2歩ほど距離を詰めてきた。


「これは私の強さを証明出来そうですね」

「バカ。出るぞ。ここでトラブル起こしてとうすんだよ」

「大丈夫ですマスター。あの2人を倒せば就職が決まりますよ!」

「いやいや、もういいから。あっ。すみません。すぐに出ていきますので~」


 スイッチの入ってしまった。ノアをどうにか説得して店を出た。こいつトラブルを起こすなって自分で言ってたクセに、何故に選択を間違ったんだ? もちろんノアがあの獣人2人は倒せると思うけど、じゃあ採用! ってはならないだろ。


「ノアって、実はポンコツアンドロイドなの?」

「失礼な! 今のは私の未来予測で上手くいく計算でしたよ。マスターに止められてしまっては実行しませんが」

「それって、どういう計算の仕方だよ。あの場は絶対に問題になっていたね」

「マスターのポンコツ頭では、私のハイテク未来予測システムの計算式を理解できないと思いますので、仕方なくあきらめましょう」


 土牢に居た時の全部破壊案もそうだけど、たまに強引な時があるんだよなぁ。おそらく優先順位が俺が1番なんだと思うけど、それは嬉しいんだけど、それによって誰かが傷つくのは嫌だなぁ。


「すみませーん。タツキさーん」


 広場の中央の方から声がしたので見てみると、なんか知らないオッサンが、手を振りながら走ってきた。


「よかった。見つかりました。ここに来てるのは分かってたんですが、その後見失ってしまって。なるほどぉ。金貸し屋ですか。なるほど」


 目の前まで来たオッサンは、どう見ても身なりが良い。白い着物のような服に紺色の袴のような物をはいていて、腰の帯から掛け軸のように綺麗な刺繍が入った布が垂れ下がっている。服の襟や袖にも刺繍が施されており、そこらにいる一般人とは一目で違うのが分かる。


「マスター。知り合いですか?」

「いや、知らない人だ」


 整った口ひげと丸眼鏡がアクセントになってる50代ぐらいの長身の紳士は、会釈した後ニコニコしながら、こちらを見ている。


「失礼。申し遅れました。私はハオラン=ナル=アーイラと申します。どうぞハオランとお呼び下さい。このユウツオの領主。アリムフ=カル・モ=アーイラ様の指示にてお迎えにあがりました」

「えっ? なんだって?」

「アリムフ様が、御二人と話がしたいとの事で、昼食会に招待しております。あちらの兎車(としゃ)にお乗りくださいませ」


 俺とノアは顔を見合わせた。なんで急に領主様から呼び出しをくらうんだ? もしかしてシェンユと仲良くしたのがマズかったのだろうか……


「マスター。いったい何をやらかしたんですか?」

「なんで俺なんだよ!」


 ハオランが2歩め詰寄って俺の肩に手をおいた。少し見上げた位置にあるその顔は笑顔なのだが、少し怖ーい笑顔だった。


「まさか、お断りにならないですよね?」

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