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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第21話 なぁ、これってギルドでも同じの食えないか?

「いらっしゃい。今は休憩中だ」

「おじさんどうも~。オイラだよ」

「なんだシェンユか。ほら、奥のテーブル席を空けておいたぞ」

「ありがとう~」


 貴族区画を散歩した後に、シェンユのオススメの店にきているんだが…… まさか、あの歴戦おじさんが飲食店を経営していたなんて思わなかった。


 店主のおじさんに会釈しながら、シェンユの後に続いて奥の4人掛け席に座る。


「はい。いらっしゃーい。シェンユちゃんのお友達が来るって聞いてたんだけど、どっちがお友達?」


 水の入った木製コップを3つ持ってきた女性は、大きな胸がパツパツになっている膝上までの赤いチャイナドレスに、膝下までの白いジーンズみたいなのを着ている。くせ毛のある黒髪ボブヘヤ―の美人ウエイトレスさんだ。


「ミンメイさん、お疲れ様です。どっちも友達だよ。こっちが記憶喪失で森を彷徨ってた可哀そうなタツキで、こっちは何でも出来る凄い侍女のノアちゃん」


 可哀そうって、おい。そして、なんでも出来るって。もうすでにシェンユの中の俺とノアの評価って、そんな事になってるのか。


「なんかゴメンね~。シェンユって凄く変わってるから~。お喋りだし、ちょっと面倒な時もあるけど、基本的にはいい子だから仲良くしてあげてね」

「いえ。こちらも助けてもらってる事もあり、感謝しています。うちのマスターのほうが変わり者ですよ。ほら、マスター。挨拶ぐらいして下さい」

「どうも、タツキです。よろしくお願いします」


 こんな美人と会話するなんて、緊張するじゃないか!


「うん。よろしく! シェンユ、注文は定番のアレでいいのよね?」

「もちろん。3人分よろしく」

「センギョクさーん。定番メニューの3人分でーす!」

「やべぇ。シェンユ、俺とノアは少ししか金持ってないぞ? メニュー見てから決めさせてくれよ」


 そういや、ギルドから貰える札を取ってくるの忘れたな。そもそもあの札がこの店で使えないかもしれないが……


「大丈夫! 2人ともオイラの奢りだから気にしないで」

「えっ! マジかよ。ありがとう」

「ありがとうございます」


 店を見渡してみると、他の客はいなかった。あまり人気ないのかな?

 6人分のL字カウンター席と、4人座れるテーブル席が4つ。入口の向かいに階段があるので2階席もあるのだろうか?

 席と席との空間は広めに取られていて、空間はゆったりとしているがチェーン店のラーメン屋みたいだ。


「どうしたのタツキ?」

「いや、立派な店なのに他の客がいないなと思って」

「あぁ。来るのが少し遅くなっちゃったからね。それにこの店は回転率が凄いんだよ。客の大半が冒険者で、バっと来て食べて、すぐに仕事の行ったりするの。だから12時から1時間ぐらいが、とっても忙しいんだ~」

「その、一番忙しい時間より前に仕事抜ける従業員がいたので、今日は店じまいにしたんだよ。ほい。おまちどうさま」

「センギョクさん。ゴメン」


 シェンユってここで働いているのか。


「気にするな。お前は滅多にワガママ言わねぇからな。俺も休みが欲しかった所だから。それじゃあ、俺とミンメイは裏の畑で仕事してるから、食べ終わったら食器は、そのままにしておけ」

「分かった。ありがとう、センギョクさん」


 歴戦おじさんと美人ウェイトレスさんは厨房の奥へと行ってしまった。多分、裏口があるんだろうな。それよりも、なんか出された料理に見覚えがあるんだが。気のせいだろうか……


「なぁ、これってギルドでも同じの食えないか?」

「むご? もももご!」

「何言ってるか分かんねーよ」


 何故かシェンユは食べるのをやめずに、口ではなく身振り手振りでメッセージを送ってくる。全然分からないので、とりあえず食べてみる。


 うん。美味しい。見た目はギルドの食事処で出てきた中華まんと同じだが、肉がとても柔らかく、味も旨い。スープも旨い。

 だがしかし、同じ食べ物だ。朝はソーセージピザを食べて、昼は特上カルビのピザを食べてる感じだ。旨いけど飽きる。というか昨日の夜もコレと同じ様なものを食べた気がするぞ。


 もしかして、これが主食なのか。この中華まんの中身が肉だったり、野菜だったり、卵だったり、しか無いのか?

 普通か? 普通なのか? 現代の日本ではコンビニに行けばパンでもラーメンでも米でも食べられるが、中世のヨーロッパでは毎食パンとスープだけって聞いた事がある気がする。日本も江戸時代とかは毎食同じご飯と味噌汁と漬物の3点セットを食べていたんだっけ?


 違うな。米だな。米さえあれば3食ご飯とおかずで満足できそうだ。3食中華まんはキツイ。旨いけど、俺には辛い。


 しかたない。今は食べよう。我慢しよう。けどもし、この街に長く居座る事になるなら絶対に別の主食を開発しよう。できれば米になりそうなものを。

 俺は心に強く決意して、シェンユの奢りメシと食べた。


「ノアちゃん、食べないの?」

「ちょっと、歩き疲れたのかもしれません。水を飲んでから食べますので、すみませんが水をもう1杯もらえますか?」

「いいよー。厨房には従業員じゃない人を入れるワケにはいかないからね。オイラが汲んでくるよ」


 シェンユが持って行ったノアのコップは空になってた。飲み干したハズの俺のコップは、いつの間にかいっぱいになっていた。


「マスター食べます?」

「ゴメン、無理だな。今朝も昨日の夜も同じ物食ってるし、しかも2人分」

「分かりました」


 ノアは両手で自分の分トレイを掴むと、食器も料理もトレイも消えた。


「冷蔵庫に入れておきますので、3日以内なら食べれると思います」


 貴重なエネルギーを変な使い方したが、まぁ、仕方ないのか。というか食器はどうするんだ? 怪しまれるだろ。


 すると、ノアは俺とシェンユの食器を1つのトレイにまとめて立ち上がった。ちょうど、その時にシェンユが戻ってきた。


「ノアちゃん。もう食べたの?」

「眺めてたら、急にお腹がすいてきて、一気に食べてしまいました。お水ありがとうございます。テーブルに置いてて下さい。奥まで入りませんが、食器を厨房の近くに置いてきますね」

「うん。ありがと。にしても凄い早食いね」


 上手くかわしたなぁ。


「ねぇタツキ。この後はどうする?」

「特に何も決めたいけど。そういや、眺めのいい場所とかも知ってるって言ってたよな。もしかして、あの円柱状の山の頂上か?」

「ゴメンよぉ。あそこは、そう簡単には行ける場所じゃないんだ」

「いや、謝るなよ。じゃぁ眺めのいい場所ってのは?」

「行きたい? 壁の上に登れるよ。ユウツオの街は砂漠と隣接してるんだけど、その境目に大きな壁があるんだ。上から砂漠が一望出来て、夕方には砂丘の向こうに日が沈むのが綺麗だよ」

「いいですね。マスター行ってみませんか?」

「ノアがいいなら、俺もいいと思う」

「よし! 決まりだね。ちょっと時間かかるから、すぐに向かおう。今から行けば夕日に間に合うよ」


 シェンユに急かされたので、店を出て通りを西に向かって歩き始めた。本人は、案内したいのか、とにかく喋りたいだけのか分からないが例の壁までの道中、ここはどういう所だとか、アレは何の建物だとか、説明してくれた。


 ギルドの前にあるロータリー交差点を英雄広場と呼ぶらしい。立っている像は、この街を守って亡くなった人だとか。英雄広場から東西南北に向かって4つの大通りがあり東大通りは貴族区画に、北大通りは流通区画に、そしてこの西大通りは低所得層が多く住んでいる住民区画の中を通っている。

 通りに面した建物は、八百屋、肉屋、雑貨屋など多くの種類があるが、その多くが一般住民向けで品質も金額もそれなりの店が立ち並んでいる。市場って感じだ。


 街と砂漠との境目にあるという、壁の下に着いた。来る途中から見えてはいたが、真下から見上げると大きさをよく理解できる。5階建ての建物ぐらいはあるだろうか、多分12メートルとかあると思う。

 その隣に地面から空へと生えている円柱状の山は、さらに大きい。いったいどうやったら、こんな地形ができるのやら。


 階段を使って壁の上まで上る。昇降機があるらしいが、それは特定の人物にしか使用許可が出ないらいく、シェンユでは無理みたいだった。もちろん階段で上に行くのも普通は出来ないみたいだが、警備の人達にシェンユが何か説明すると、何故か許可が出た。


「だいぶ、日が傾いてきてるね。いい時間に来れたよ」

「すげーな。綺麗な景色じゃないか」


 壁の上からは砂漠が一望出来た。右は北側で例の山がそびえ立つ。左を向けば南側で、街の4分の1を壁が覆っていて最後に大きな門がある。さらに向こう側にはどこまでも続く森があった。後ろを見れば街が一望出来る。


「なぁ、シェンユ。この変な地形はなんだ?」

「やっぱり気になるよね~。住んでると慣れちゃうのだけど、他の街から来た人達はナニコレってなるみたい」

「それで、これは何なのですか? 遠くにも同じ様な物が見えますが」

「さすがノアちゃん! 気づいたんだね」


 俺は急いで砂漠を見渡す。すると北西に塔の様なシルエットが見えるが、同じかどうかは俺には判断できそうにない。ノアの目は双眼鏡になってるのか?


「これはね。魔法国家エルデ・ミデリオの国境警備施設だったらしいよ」

「ま、魔法国家?! すごいな、そんなのがあるのか」

「え!? 知らないの? およそ1000年前に滅んだよ」


 ヤバイ、これは失言だ。この世界の常識中の常識案件だったかもしれない。どうしようかな、こういう時はノアさんとアイコンタクトだ。

 すっごい、ジト目で見てますね。これは、黙っとけって事ですかね……


「砂漠のむこうに見えるのと、森の中にもあって、国土を一周ぐるっと立っていたらしい。つまりこの砂漠の中心は魔法国家エルデ・ミデリオだったんだよ」

「こんな物を何本も。凄い技術ですね。どうして滅んでしまったのでしょう?」

「戦争で負けて滅んだって聞いてるよ」


 こんな超技術の国家を滅ぼすとは、さらに凄い国があるんだろうな。間違いなくユウツオでは無いと思うが、そんな国とは仲よくしておきたいものだ。


「大魔女サヤが、一夜にして砂漠に変えたんだって」

「「えっ!?」」


 なんですと? 大魔女サヤって、俺らが捜してるサヤなのか? 国一つ滅ぼして何やってんですかー! この世界の調査とかしてるんじゃなかったのか?


「二人とも、それよりさ~」


 そりよりだと? これより大事な事があるか?


「これからどうするの? 明日までしかギルドには居られないでしょ?」

「あ。そりゃ大事な事だ。でも、考えてなかった」

「考えてないって、大丈夫なの?」

「私は、マスターについていくまでです。どこであろうと」

「ついていくって、どこもツテも無いし、当ても無いし、明日中で何か考えるよ」

「ユウツオに住むといいよ」

「おっ。なんでだ?」

「この街は治安はいい方だし。楽しい事もたくさんあるよ! 南には不思議な森があって、西は変な生物ばっかりの大砂漠。北にはちょっと遠いけど龍が住む雪山もある。それに頼りになるオイラがいるぜ」


 頼りになるかは分からんが、確かにシェンユはいろいろと顔がきくし味方だと助かる。他の街とか情報が無いし、その行き方も分からないし。この街で情報収集するのはいいかもしれない。

 しかし、どうやって定住するのかなぁ? 異世界に不動産ってあるのだろうか? その前に身分証明とか出来ないんだけど、偽造とかしないといけないのだろうか?

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