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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第17話 ありませんし、使えません

 おはようございます!


 多分、早い時間に目覚めたと思うが、部屋が真っ暗なので、何時なのか分から無い。朝食は何時から食べられるだろうか?

 とりあえず、手さぐりでベッドから降りて、その場で軽く身体を伸ばしたり、ほぐしたり、ラジオ体操もどきをする。

 そうやってるうち暗闇に目が慣れてきてきた。入口のドアの隙間から少し光が漏れてる事もあり、うっすらと周りが見えてくる。


 そこには、直立不動で目を閉じた女子高生がいた。おそらく昨日と同じ所に立っていると思われる。コレって寝てるのか?

 もしかしたら、一つのベッドに二人で寝る事になるのかと期待した俺がバカみたいじゃねーか。無駄にドキドキさせやがって!


 しばらく見つめていたが、まったく動かないので少し心配になってきた。昨日プログラムがなんとかって言ってたし、パソコンみたいに突然、電源入らなくなったりしないよな? もしかして電源ボタンを押さないと動かないのか?

 ちょっと近づいてみる。そういえば、寝顔? 目を閉じている姿は初めて見る。キス顔もこんな感じなのかと考えたらドキドキしてきた。いかん。そんな事を考えている場合じゃない。


 とりあえず、起動するかどうか電源ボタンを押してみなくては。

 と思い手をあげてみたが、向かう先が無い。何処にボタンはあるんだ?

 観察していたら大きな胸が視界に入ってしまった。少し手を伸ばせば触れてしまう距離にあるのだが……


「って、いかん! 何を考えているんだ俺は!」

「何をしようとしてるんですか?」

「へっ?」


 ノアと目が合った。


「いやいやいや、違う。何もしてない。この手はボタンを探してて」

「えぇぇ~。ボタンを外すつもりだったんですかぁ~」

「違う違う。誤解だ! シャツのボタンじゃない! 電源ボタンを探してたんだ。起きないから、押したほうがいいのかと思って」

「フフフフ。分かってますよ。そんなに焦らなくても大丈夫です」


 顔は笑いつつも、しっかりと両手で胸をガードしている。コイツは隙あらば俺をおちょくろうと、常にチャンスを伺っているようだな。なんて奴!


「お前って奴は。いつもドキドキさせんなよ。いろいろな意味で」

「いいじゃないですかぁ~。これでもマスターが異世界で不安にならないように、楽しませようとしてるんですよ」

「そうかよ。それより今って何時かな? 朝食って何時からかなぁ?」

「ちょっと待って下さいね。今、灯を付けます」


 ノアが壁のレバーを操作すると、上から衝撃音がして天井のシャンデリアっぽいのが光出した。


「ビックリしたなぁ~。何アレ? どういう仕組み?」

「アレは、光を蓄積して裏側に衝撃を与えると光るという魔竜の鱗を使っているそうです。灯鱗って言って、森でシェンユさんが使ってたの同じ物ですよ」

「あぁ、あれか」

「今は朝の6時半ぐらいですね。朝食の正確な時間は聞いてませんが、多分9時とかじゃないですか?」

「それじゃぁ、何するかな? ちょっとジョギングとかしたいけど」

「それよりも着替えたらどうです? まさか、その血がついた穴だらけの服で今日一日過ごすつもりですか? 昨日もそのまま寝てしまうし……」


 うつむいて自分の姿を見てみる。確かにこれで出歩く事は出来ないが、着替えなんて持ってない。ノアに目をやると机を指さしてるので、視線を移すと、そこには見覚えのある服が置いてあった。


 紺色のズボンに、白いTシャツ、黒のジャケット。これって俺がバイトの前に着ていた私服じゃないか! バイト上がりに着替えないで屋上に行って死ぬ事になったが、確か着替えとか私物はリュック入れて持ってきたが、落とさないように地面に置いてたんだっけ。


「ノア。これって」

「まぁまぁ。いろいろ報告と説明があるって、昨日の夜に言ったの忘れてるんですかぁ? とりあえず、着替えてから椅子にでも座って下さい」


 そうだった。神の事もノアの事も聞きたい事がたくさんある。俺は急いで着替えて椅子に座りノアと向き合った。

 アレ? こいつ今、俺の着替え見てたよな?


「では! まずは昨日の報告です! 昨日の短時間の調査では、1つを除き、この街にマスターの脅威となる組織は見つけられませんでした」

「俺、昨日、血まみれになったんだけど?」

「まさか、マスターが自らトラブルに向かっていくとは計算してなかったですよ。これから先は常にトラブルに遭遇する事を計算したほうが良いですか?」

「いえ、すみません。トラブルは回避します」

「それが懸命だと思います。脅威とは向こうから襲ってくる事態を想定したのですが、ギルド連盟、奴隷商会、商業組合、技術組合、ガルーパルフ運営局、ユウツオ兵団、どの組織もしっかりしていて、こちらか仕掛けなけらば良い関係を維持できると思います。個人としてはギルドの冒険者、兵団の者などは、ガラの悪い人もいるそうですが、ハッキリ言ってグループ程度の不良なんて、私とマスターの敵には成り得ません」


 俺はヘッポコと計算して、ノアの戦闘力は相当なものなんだろうな。


「1つを除きってのは?」

「貴族ですね。さすがに貴族区画には入れなかったので、情報を得る事は出来ませんでした。ですが、この街は治安が良いみたいですし、領主の人気は高いみたいですので、おそらく貴族も常識のある方々だと思います」

「にしても、凄いな。あの短時間で、6つの組織については調べたのか」

「いえ、完璧に調べ上げたってワケでは無いですし、表に出てこない地下組織的なのもあるかもしれません。それでもマスターは、その能力もあって、再起不能になる確率はゼロに近いです」

「そっか。俺って死なない能力があるんだっけ? そういや、文字とか言語が分かるのも能力に関係しているの?」

「いえ、それは別の能力です」


 ノアは、頭を指で叩く仕草をとる。まさか…… 何か埋め込まれているのか?!


「脳みそに直接、魔法陣が描かれています。これはクエスト報酬とは関係ないプレゼ……」

「ええええええぇぇぇぇ!! 切開したの? パカって、頭開けたの?」


 いまさら遅いが、反射的に両手で頭を押さえる。


「してないです! 魔法ですから。描くというよりも、生えるというか、とにかく! 大丈夫です。何も問題は起きませんから! この世界の言語と文字が分かるようになるだけで、後は維持の為に魔力を消費し続けるぐらいです」

「そ、そうか。大丈夫なんだな! だがしかし、俺の許可なく、いつの間にかやったんだな。あの神マジで信用出来ないぞ!」

「すみません。GМに代わって私が謝ります」


 普通に謝ると思ったら、まさかの土下座をしてきた。悪いのはノアじゃないのに、こんなカワイイ子に謝らせるなんて、あの神許せないな。次に会ったら一発ぐらい殴りたい。それよりも重要なワードを聞いたな。


「ノア、顔を上げてくれ。そこまではしなくていいよ。それより、さっき『魔力を消費し続ける』って言ったよね? って事は俺にも魔力があるのか? 魔法とは使えるの?」

「ありませんし、使えません」

「ええええええぇぇぇぇ!!」


 俺はショックで頭を押さえた。ノアは土下座したままだった。


「頭の中に魔法陣が描かれていて、魔力を吸われているんでしょ? なのに魔力は無い? 何かおかしくないですか?」

「はぁ~」


 大きなため息をついたノアは、ゆらりと立ち上がり、腕組み仁王立ちになった。

「そんなに、奴隷が欲しいですか?」


 絶句。そんなつもりじゃなかったんだが。これは怒ってるよな?


「可愛い私だけでは満足できないんですか?」

「いえ、十分です。ノアがいてくれて幸せです」

「説明が進まないのですが? スタートが好待遇ですが、明後日には自活しないといけないんですよ? 今日で出来る事はやっておかないと」


 椅子からそろりと降りて、土下座した。ちょっとノアが怖い。


「あの、怒ってはないんですよ。ただですね。気がゆるんでるというか、考えが甘いというか、もちろん私がゲームオーバーにならないように尽力しますが、あくまでサポートなので、もっとマスターが引っ張って欲しいですね」

「すみません。気をつけます」

「確かにGМが説明をしてなくて、今、驚く事が多くあるかもしれませんが。言いたい事はぐっとこらえて、とりあえずは話を聞いてから、問題や意見を伝えて欲しいですね。うーん。そうですね…… 寝起きって事もありますからね。頭がまだしっかりと働いてないもかもしれませんね。ただえさえバカなので、朝からじっとして話を聞けってのは、マスターには難しかったワケですね! では、まず朝食を食べにいきましょう。もう8時になりそうなので、いい時間帯かもしれません」

「そ、そうだね。そうしよう」

「さぁ、早く立って。行きますよ」


 途中言いたい事があったが、今は黙っておく。そう決めた。まずは聞く事を聞いてからだ。ノアのいう事は一理ある。


 靴を履いてドアを開けると太陽の光が差し込んできた。廊下にある窓は全て開かれていて、朝の新鮮な空気を吸うと頭が冴えてきたような気する。昨日の昼間ほどではないが、ガヤガヤと騒音がしており街が動き出しているのが分かる。


 宿泊棟から渡り廊下に出ると少しだけ外の風景がみえる。宿泊棟は2階建てだが、ギルド本館は3階まであるみたいだ。

 ギルド本館へと入るドアを開けると、異世界人の友達1号が何故か怒っていた。ギルドの職員2人が静めようとしていたようだ。


「おっそーーーーーい!!!」


 そいつは、ピンクの髪で、いつもと同じ服を身に着け、こちらを睨み指さしている。特に朝食の約束とかしていないんだけど。


「おはよう。シェンユ。なんか待ち合わせの約束してたっけ?」

「あぁ、タツキ! 来たか、助かったよ。ノアもおはようー」


 後ろ姿で気づかなかったが、振り向いた職員の一人はルーファンだった。爽やかな笑顔でノアとは違う元気っ子の可愛さがある。


「お、おはようございます」

「マスター。ぎこちないですよ。おはようございます。ルーファンさん。シェンユさん」

「ノア! こいつムーチェン。私は仕事あるから後はこいつに聞いてね。んじゃムーちゃんヨロシク」

「えぇ? ちょっと先輩! 自分もよく分からないですよー」

「ムーちゃん知らないの? でもオイラはフォルトから、ムーちゃんが対応してくれるって聞いたよ」

「えぇ?」


 可哀そうな奴だ。どこにでも1人はいるイジられキャラかな?

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