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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第一章 旅立ちは機械少女と共に
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第12話 兄さん。いい度胸してるね~

「さぁさぁ、しばらくここで見送りますので、行って下さいな」


 ノアの指さす方向には、乗用車4台分ぐらいの幅のある大通りが、ここの広場からかなり遠くまで続いている。この街は結構大きいみたいだ。


「お腹も空いているでしょう? 大通りであれば例の券が使えるお店も多いと思いますし、人目も多いので大きなトラブルは起きないでしょう」

「分かったよ。今日は大人しくご飯食べて散歩してくる」

「暗くなる前に、ちゃんと戻ってきて下さいね」

「大丈夫だよ。トラブルは避けたいからな」


 とりあえず、立ち上がって両手を伸ばす。気持ちを切り替えていかなくては。決めた事を切り替えて集中できるのは俺の良い点だと自負している。


「券はちゃんと、持ってますか?」

「あるよ」

「困った事があったら、誰かに声を掛けるのですよ」

「わかってる。三十過ぎだが、ここでは小学生レベルだからな」

「知らない人に、ついて行っちゃダメですよ」

「……」

「お菓子ばっかり、買わないで下さいね。ちゃんと野菜のある料理を注文するのですよ。挨拶もしっかりして下さいね」


 コイツ、最初からふざけていやがったな。


「もういいよ。わかったから! 行ってくる」

「マスター、お気をつけて」


 少し歩いて振り返ったら、ノアは手を振っていた。

うむ。普通にかわいい。人を小バカにしなければなぁ~。でもまぁ、アレがあるから喋りやすいというのもある。


 ノアと一緒は、楽しく感じる。こらから先も彼女がサポートしてくれれば心強いし、この異世界でもやっていけるだろう。

そして今は一人か。ちょっと不安になってきた。


 大通りは、基本的に端側を歩くのが常識のようだ。中央はデカウサギや、馬っぽいの、牛っぽいのが荷車を引いてる。以外にも、人間が引いてる荷車の方が多いかもしれない。交通渋滞が起きるほど、詰まってはいないので、気をつければ横断できるはするが、荷車を止めてしまったら、むちゃくちゃ怒られる。

ほら、そこで子供が怒鳴りつけられている。まったく危ないなぁ。

 これじゃ、歩行者は不便じゃないかと思ったが、頭上に等間隔で歩道橋の様な物が、ちゃんとある。よく見ると、道の端と端に高い同じ建物があって、それぞれが通路で繋がっている。


「よぉ! そこの変な恰好の人、何か探し物かい?」


 声を掛けられた方を向くと、腕がやたらとムキムキなオッサンだった。


「前見て、歩かねぇと危ないぞ。探し物は食い物か? うちの見ていけよ」

「調理出来ないので、すぐ食べれる物を探しているんです」

「おっ! そうか、なら大丈夫だ。こっちで買ったものは、隣の店で料理にして貰えるから、うちの嫁がやってる店なんだ。どうよ」


 なるほど、日本にもあったスタイルの店か。しかし、どう見ても八百屋さんだ。しかも、置いてる野菜が1種類にしか見えない。ほうれん草だろうな。

 俺は、出来ればマンガ肉が食いたいのだが、他の店が見つからなかった時を考えてキープとしておこう。


「コレって使えますか?」


 手に持ってた、札を見せている。金は持ってないから、こいつが使える店しか入る事が出来ない。確認は大事だ。


「なんだよ、お前。ギルドの保護者か。変な恰好してるから、外国の金持ちかと思ったじゃねーか! うちでは使えねぇよ! どっか行きな」


 店主はムキムキの二の腕で俺を追い払うと、別の人の声を掛け始めた。

 マズイな。ギルドの保護者って嫌われ者じゃねーか。一般的に考えると大通りってのは景観も大事にするだろうから、もしかして大通り沿いにある店は全部ダメなんじゃないか?

 となると路地にある店に行かなきゃならないが、どの道に入れば店があるか分からないし、入って奥まで行ったら戻ってこれるか分からない。


「困ったなぁ」


 お腹がすいて思考力が鈍っているのか、気が付いたら歩道橋の上まで歩いてきてしまった。道を渡るつもりは無かったのだが、どうやら俺は高い所から街を見下ろすのが好きらしい。ヒーロー癖だな。


 しばらく街を観察してたら、一人の獣人が目についた。首から上が完全に犬系の見た目の獣人だ。ご満悦そうな顔で、お腹をさすっている。しかも口には骨のを咥えているではないか。


「運がいい! これは当たりだな」


 そのまま歩道橋を渡って、急いで、さっきの獣人がいたあたりへと向かうが、近くに飲食店らしい建物は見当たらない。

 となると、やはり路地か。隠れた名店ってのはひっそりと店構えしてるのは、どこの世界でも共通なのか。


 路地をいくつか見ていたら、一つの路地からまた犬系の獣人が出てきた。コイツは鋭い目つきで耳飾りと首から肩にかけて入れ墨が目立つ怖そうな獣人だが、しっかりと骨を咥えている点が実に犬らしく、少し可愛く見える。


「ここか」


 路地の入口は大きな建物に挟まれており、頭上にも建物と建物つなぐ構造物があって日差しがあまり入っていない。窓は無く倉庫か蔵か、付近には同じ建物が複数ある。昼過ぎなのに、結構暗い路地である。


 正直お昼時を過ぎてしまって、空腹も通り越してしまった感があり、どうしても昼食を食べたいワケでは無いが、今はマンガ肉には齧りついてみたい。


 人通りはなく、暗く、少し獣臭い路地なので、あまり良い雰囲気ではない。もしかすると獣人専用の店なのだろうか。まぁその時はしかたない。とりあえず行ってみない事には始まらない。


 しばらく歩くと薄暗がりに、話声が聞こえてきて、そこには建物に寄りかかる一人の獣人がいた。これまた首から上が犬系で装飾品多めの鋭い眼をしていて、おっと、目が合ってしまった。


「おい! てめぇ! 何見てやがる!」


 第一声がケンカ腰。これは嫌な予感しかない。この世界にもヤクザ的な組織があるのだろうか。


「すみません。道に迷ってしまって、食べ物屋があるのかと思って」

「はぁ?! 俺らが何か食ってたらマズイのかよ?」

「いえ、そんな事は言ってないですが……」

「おい。どうした?」


 ヤバい。2人増えた。どうやら少し先はT字路になっていた様で、左右から犬系の獣人が出てきた。どちらも黒い毛をしており首から下の上半身も獣状態で鋭い爪を生やした手をしている。


「あっ。ロナウ、聞いてくれよ。この人間が、俺らが食ってんのが美味しそうだから見に来たって、ふざけた事言ってやがる」


 言ってないし。そんなにふざけた事ではない。


「ほぅ~。いいぜ、兄さん。一緒に食うか? 美味いもんがあるぞ?」

「えっ? ロナウ、いいんですか?」

「奥へ、連れてこい!」

「いや、大丈夫です。ほかの店をさがしますので」

「ロナウが来いって言ってんだよ!」


 断る為に突き出していた俺の手は、チャラ系の犬獣人に捕まれてしまった。もう少し考えればよかったのだが、既にトラブルの予感を感じていたので、反射的に投げ飛ばしてしまった。

先にトラブルにしたのは、俺かもしれない。


 振り返ると2人の獣人の口角が上がっていてる。目が大きく見開かれて、鋭い牙が半開きの口から覗いていた。


「兄さん。いい度胸してるね~」

「てめぇ、覚悟はできてるんだろうなぁ」


 後方に投げたチャラ系獣人もすぐに起き上がっている。自分でやった事だが挟さまれてしまってる。これはピンチかもしれん。

 これでも現実世界ではヒーローを目指し、柔道やら剣道などを少しはかじってきた。最近は、警備員のアルバイト生活が長くて忘れかけているのだが、多分、なんとか出来るハズ。


「少し痛めつけてこい」

「うむ」


 正面からはロナウって奴じゃなく、無口の方が前に出てきた。ロナウは参加しないみたいだ。ありがたい。が、無口の方が明らかに大きい。

 少しだけ後ろのチャラ系の奴に目を配る。ネックレスでジャラジャラと一定のリズムを刻みながら、左右に身体をゆらしている。攻めるタイミングを計っているのだろう。


 正面を見ると、無口が左腕を振りかぶっていた。丸太の様な腕はフックぎみに俺の頭部へと飛んでくる。一撃で仕留めるつもりだったのだろうが、しゃがんで上手く回避出来た。


 ネックレスの音が変わった。

直ぐに後方に振り向きながら、回し蹴りをくりだす。相手の位置は正確には分からないが、低い位置を狙えば足を止められるハズ。

 と、思ったらチャラ系は低い態勢をとっており、運よく顔面を蹴り上げる事が出来た。犬は鼻が弱点だったっけ? かなり痛そうに顔を抑えている。


「ふーっ。ふー」


 落ち着け俺。獣人とケンカは初めてだが、人型だし黒い恐竜よりはマシだ。冷静に相手を良く見れば対処できる。

 どうやら、こいつらはデカい無口がパワータイプで一撃を狙いにきて、チャラ系の奴がスピードで隙に合わせてくるみたいだな。


 振り返ると同時に、無口の右拳の振り下ろしが眼前に迫っていた。

何とか、スウェーバックして胸のあたりで右手で掴むが、既にに無口の左腕が準備されている。

 俺も左腕を伸ばし、パンチがトップスピードに乗る前に勢いを殺して止める。


 無口の右腕を俺の右手で、無口の左拳を俺の左手で、腕をクロスさせる状態で何とか止め、硬直状態になった。

 よし、この、状況なら。


「すまん。俺が悪かった! 昨日この街に来たばかりで、街のルールとか知らなかったんだ」


 とりあえず、謝罪を叫んだ。まずは話をしなければ。


 その瞬間、目の前には大きな口が開かれていた。

 こいつらは、獣人で人間とは違う戦い方を持っていたのだ。


「うわぁぁああ!」


 俺の左腕に激痛が走る。牙が食い込み、大量の血が流れる。


 お互いに踏ん張らないといけない。蹴りは出しずらく、両腕は塞がれている。その状況なら普通は距離とるハズなんだが、奴らには噛みつくという選択があった。 それも苦し紛れなどではなく有効戦術で、むしろ他の選択肢よりも強烈だ。


「ぐっ。話を……」


 犬に噛まれるってこんなに痛かったっけ? 小学生の頃に一度、噛まれた事あるが忘れてしまった。


「!!」


 今度は右足に激痛が走る。目をやると、チャラ系獣人が骨のおもちゃにかぶりつくかの様に、その牙を食い込ませている。

 すぐに足の力が抜け、ガクンっと右膝が落ちる。左腕は開放されたが、無口から頭に強打をもらい、そのまま地面へと叩きつけられた。


 胸を地面に打ち付けて、一瞬息が出来なくなる。噛まれた左腕と右足は血まみれになり、服はボロボロに破けているが、まだ意識はある。


「こいつ、よくも俺の顔を蹴りやがったな!」


 体に力がは入らない。チャラ系の奴は俺の顔にも一発入れたいらしく、執拗に蹴ってくるのを、両腕でガードしてうずくまるしか出来ない。


「もういい。カムロ、そいつを連れてこい」

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