ハムスターと異世界の街に行こう①
書いては消してを繰り返してるうちに、時間が空いてしまったので短めですが出します。
「少年、名前は?俺はライ。こいつと一緒に冒険者をやってるんだ」
ライさんは倒れてる女性の体を起こしながら、僕に視線を向けてくる。
怪しまれているのだろうか。当然だろうね突然やってきた僕は丸腰で、どうみても戦えるようには見えない。
一般人で通すと余計に疑わせてしまうだろう。ここは…
「優って言います。えっとこちらにもダンジョンとかってあったりするのですか?」
「ユウな、よろしく。ダンジョンってぇとあのダンジョンか」
「あのがどれかは分かりませんが、トラップや魔獣が湧いて出て、お宝なんかもあったりする」
「おうおう、そういうのだよ。この辺りにはないから行ったことはないが、でもなんでまたダンジョンの話をした?」
「僕はダンジョンの荷物持ちをしてたんですけど、転移罠にかかって飛ばされたんですよ」
そう、僕はダンジョンの罠にかかって飛ばされた被害者を装う。
別の世界から来ただの、記憶がないってのは相手からするとやましい事情があると思う人もいるだろう。これが無難だと思う。
この世界にダンジョンが無ければどうしようかと思ったけど、こっちにもあるようだ。良かった良かった。
「ですから、近くの街まで連れて行って欲しいなと。お礼になるようなことはできませんが」
「んなもんいらねえよ。俺と、連れのニナの命が助かった。それで十分だ」
「ありがとうございます。では道中よろしくおねがいします」
「おうよろしくな。でも待ってくれニナがまだ目を覚まさねえからよ」
ライさんが助かったって、ばにらちゃんいつのまに戦ってたんだろうね。
あまりにも恐ろしい敵だったから僕記憶ないんだけど。
僕は頷くとポケットに潜りっぱなしのばにらちゃんを可愛がろうと手を入れるが、どこにもいない。
というより、ポケットの底に僕の手がたどり着かない。やはりばにらちゃんが僕のポケットに何かしたのだろう。
頬袋に動物一匹入れられるくらいだ、この程度もう驚きはしない。
もう十分驚いたからね!!
しかし僕はライさんや他の冒険者、ばにらちゃんと比べてどれくらいのステータスを持っているのだろうか。こっちに来てから身体能力が上がったとか、特殊な力に目覚めたとかは無いからきっと貧弱のままだろう。
でもばにらちゃんがいてくれれば僕は死なないだろうから、ばにらちゃんの食事と家どうにかしないとね。
家は僕のポケットに作られてる気がするんだけど、そこは気にしないんだどうしようもないから。
「おい、ニナが起きたからよ。少ししたら出発するから準備しとけよ」
少し離れた場所で腰を落ち着けていたライさんから声がかかった。
僕は準備なんて何もないからいつでも出発できるけどね。
「はい、いつでも大丈夫です」
そういって僕は二人の方へ歩いていくと女性のニナさんから声を掛けられた。
「ライから聞きました。助けて頂いたと。ありがとうございます」
「いえいえ、僕も助けられてますので気にしないでください」
本当にばにらちゃんがいなければ僕は今頃お腹の中だろうね。怖い怖い。ハムスターの転生に巻き込まれた飼い主なんて初めてじゃない?
転生という割に見た目変わってないけど。
「ん?何言ってんだ。俺たちが助けるのは今から街に連れてく事だろ?」
「はい、そうですね。よろしくお願いします」
言葉が怪しかったけど、親切に案内してくれるらしい。
優しい冒険者さんでよかった。