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08 神技3

 エミリア達が”レモン・スカッシュ(レスカ)を飲み終えた後、二人は、コレットのもとへ向かう前に、準備をしていた。

 タロウが、長さ約25cm程のステンレス製”S(エス)”字型フックを作り、それをリュックの左右仲程に引っ掛けて、フックの先に其々レモンを入れたバケツを吊るしてた。

 エミリアは、取ってが自由に使える様になった残りのバケツを、右手に持っている、そして左手にコップを握っていた。

 コレットのもとに着くまでの約2kmの道々の間に、色々な情報交換が行われていた。

 その内容は、タロウ製木製品から始まった。


 タロウがイメージした木製品は、全て繊維から始まっている、その前に木材の知識をエミリアに理解して貰う事が重要と、ストローを用意していたが、植物が繊維質であることと、水分を吸い上げる事を知っていた為に無駄になっていた。

 それ以外の、木と木綿には同じ成分がある事、それが糸を作り、布地になることで、様々な形を作り上げた事や、糸の紡ぎ方を緩く紡げば柔らかく、着つく紡げば固くなる事、そして編み方によっての変化、加えて樹液が乾燥するともたらす効果などは、エミリアの想像力を底上げしていた。

 カチューシャから始まった固めの製品は、日本でのプラスチック製品に似ているなどの、他の情報も提示されていた。

 文化面では、日本の司法、教育、移動手段など、そして科学をタロウなりに”頑張って”少しだけ伝えていた、当然、追加であやしい日本語も。

 一方、エミリアの方は、アウラ国内で取れる物や、生産される物、移動手段などであったが、余りの”カルチャーショック”の為、丁寧さに掛けていた。

 それでも、タロウへの想いは、保ち続けていた。



 エミリアによると、綿畑には四ヶ所の物置小屋が有り、其々に荷車をはじめ各種道具が収納されていて、今日は、それの点検と修理をしているとの事だった。

 コレット達に凡そ100mまで近付くと、バケツの中にコップを入れたエミリアが、先に行って”事情を説明する”と言い、駆け出した、それを見てタロウが思考した。

 (「はや!はや!、ちっこいのにゲンキだなぁ、それにしても?、なんか変?、この体?、このぐらいの歳のオレて?こんなに体力無かったけ?……、神技のせいか?、実年齢のせいか?、てか?、あと?何キロ歩くんかな?、あ?、また?メンコイのが一杯いるなぁ……」)

 タロウが思考を終えるころ、エミリアはコレット達のもとへ着いていた、コレットの他に二人の男性がいる、三人とも白色で袖なしのTシャツに見える上着、首には白色のタオルらしき物、ズボンは砂色、エミリアと同じタイプと思われるハーフブーツ、髪型は皆短めで、髪色はブロンドが一人、ブラウンが二人、目は三人ともブルーアイ、背丈はエミリアからの比較で180cm前後、白人であることは分かるが、露出した裸は少し焼けてるようだ。

 一方、タロウが目にした者は、5~8歳位の三人の少女であった、小さい子二人は幼女の方が正しい、こちらは三人とも白色で袖なしTシャツに見える上着、首には白いタオル、薄い水色で膝までのスカート、白色の短いソックス、ライトブラウンで簡単な作りの革靴、三人とも長めのショウトヘアーだが前髪が長い、髪色は大きい子がブロンド、小さい子二人はブラウン、目は三人ともブルーアイ、背丈は大きい子でもエミリアより低め、大人達同様、少し日焼けしている。


 エミリアの後を、マイペースで追うタロウの前に、三人の少女が近付いた、エミリアが連れて来た見知らぬ”おにいさん”に興味津々で挨拶する。

 「「「こんにちは!」」」

 三人ともキレイに”ハモ”ってた、とても元気が良いが、二人の幼女は、少女を盾に左右から顔を覗かせている、そしてタロウが前屈みになり挨拶する。

 「ほい!、こんにちは!」

 挨拶も早々に、少女がタロウへ急ぎ早に質問する。

 「ねぇねぇ?おにいさん?どこから来たの?『あっち!』」

 「コブイから?『ちがうよ!?』、えぇ!じゃぁどこ?、『にほん!』、しらなぁぃ!」

 「あ!エミーねぇちゃんのカレシ?『ともだち?かな?』、えぇ!つまんなぃ!、『ねぇねぇ?前髪!ウザくない?』、”うざ”?、『かからしくない?』、あ、うん、そろそろ?切ってもらうよ?、『そだ!』」

 少女の注意を自身から前髪に移すタロウ、何故か同調(リンク)してる様に、後ろの二人も前髪を気にしてる、その隙を衝いて神技を使うと、左手の平には白銀に光り、根元に小さなヒマワリの花のレリーフが付いた、ヘアピンが六個出来ていた。

 そしてタロウが、少女に話し掛けた。

 「あ、おねぇちゃん!ちと?こっちむいて?、『えぇ?』、じっとしててね!」

 タロウは、ヘアピン二個を使って、少女の前髪を左右に止めて、話を続けた。

 「あと四個あっから!、ちっこい嬢ちゃんには!ねぇちゃんが付けてあげてね!、『え!、いいの?』、どぞどぞ」

 タロウは、少女に残りのヘアピンを渡すと、体を起こし、エミリアの方へと歩き出した、後に”キャッキャッ”とはしゃぐ子供たちを残して。


 タロウが歩き始じめたころ、エミリアも説明を終えていて、コレット達は溜池に向かう準備をしている。

 エミリアは、バケツの取っての中に、左腕を通しながら、タロウを見て思考を始める。

 (「え?え?え?、また?何かやったの?、見たかったぁ↘、それに?あのコ達?!、あの!はしゃぎよう!、何があったのぉ?、気になるぅ……、もぉぉ……」)

 タロウが到着すると、コレット達は出発するところだった、初めにタロウが挨拶をする。

 「初めましてぇ、タロウと言います、どうぞよろしくぅ、『あぁ、コレットだ、よろしく』」

 ブロンドの男性がコレットだった。

 タロウから見たコレットは、二十代後半で白人の体型としては細く見えた、他の二人は、二十代前半でコレット同様に細く見える。

 次に荷車を見る、木製で作りはシンプルだが、要所要所に鉄で補強がされてた。

 最後に、荷台に載った刃物を見て、タロウが問いかけた。

 「あぁ、ちょっと?、刃物を見てもいいかな?、『あ?、構わないが?』、うん、ありがとう」

 そして、エミリアを呼び、問い掛ける。

 「あ!、エミちゃん!、ちと!きて!、『え?、はぃ』」

 「これ?ナイフ?、『はい』、(ナタ)?、『はい』、斧?、『はい』、金槌?、『()()()()です』、オッケ」

 タロウは、刃物の名称確認が終わると、同型で三本ある刃渡り約25cmのナイフから、一本を手にして、角度を変えつつ刃の部分に注目して思考した。


 (「むぅ~、思ってたよりも?酷い!、見た目道理に酷い!、素人のオレでも解る!鍛造が荒すぎる!、8本?線が見えるちゅうことは?、四回しか重ねてないてこと?、線が見えてる時点で”アウト!”だけど……、『それって?良くないのですか』、いあ?こう?叩いて!重ねて!叩いて!重ねて!てのを?回数増やすと!、より良い鋼になるのよ?たぶん?、『あぁぁ、やっちゃうんですね?』」)

 エミリアが一人で話してる様に見えるコレット達に、思考を終えたタロウが問い掛ける。

 「あぁ、コットンさん?、『コレットだ』、このナイフ?いじってもいいかな?、『え?』」

 エミリアが助け舟をだす。

 「大丈夫ですよ、コレットさん、『エミーちゃんが言うのなら?』」

 了承を得たタロウは、手にしてたナイフを一度置き、神技を使うと、三本の内、二本のナイフがあからさまに変化していた。

 タロウは、変化した方の一本を右手にして、辺りを見渡す、そして、物置小屋の脇に置いてある、厚さ約15mm、幅約20cm、長さ約90cmの板を指差して問い掛けた。

 「あの板?使ってもいいかな?、『あ?、いいぞ?』」

 コレットが返事をする前に、タロウは板を取りに歩き出していた、そして板を左手に持ち四人の方へ振り向いた。


 タロウは、板目の方向に合わせて、板の角を”スッ、スッ”と軽く削いだ、続けて板を90度回して年輪側も同じ様に”スッ、スッ”と削いだ、ゴボウを笹掻きにする様に切れ味が以上に軽い、それを見てアウラ勢は沈黙してる。

 次にタロウは、荷車に近寄り荷台の角へ板がはみ出す様に置いた、それを左手で押さえつけ、上からナイフを軽く振り下ろすと、板の角が約3cm×3cmの三角形に”サッ”と切り落とされる、その結果を見届けて一同が硬直(フリーズ)する。

 タロウは、実際にナイフを使ったことはある、今行った試し斬りの様な事も、当然この様な切れ味では無い、その為に多種多様な刃物が存在する事を知っているからこそ、以上な切れ味にフリーズした。

 エミリアを含めてアウラ勢も、毎日ではなくともナイフは使用する、当然タロウの動きから”軽く“使用した事も目に取れてた、その結果からだ。

 「「「すっごぉい!」」」

 いつの間にか、試し斬りの観客(ギャラリー)になってた子供達が”ハモ”りながら声を上げる、タロウだけが再起動(リスタート)した。

 タロウは無言のまま、神技で左手の下の板を使い、ナイフの鞘を二個作って、其々魔改造されたナイフを納め、荷台へと置いて話し出す。

 「あぁ?、それじゃ?解体の方!よろしく!」

 「…………、あ?、ぁぁ」

 コレットが何とか答える、そしてタロウが続けた。

 「あ!、一応?鞘も作ったし!、ああ!利き手じゃない方!きおつけてね!、『ぁぁ』、マジきおつけてね!、それと!誰にも話しちゃダメね!、『ぁぁ』」

 注意勧告してるタロウを尻目に、子供達はエミリアへ駆け寄っていた。


 「ねぇねぇ?、エミーねぇちゃん!見て、コレ!」

 少女の問い掛けで、エミリアも我に返る、そして少女達のヘアピンに気付き話し出す。

 「まぁ、可愛いらしこと、ヒマワリね、『ウン!、エミーねぇちゃんのカレシにもらったの!』、”ブゥ”、『ん?』、あ、何でもないよ、あぁ、ちゃんとお礼を言った?、『あ!、いってなぃ』、お話終わったら?お礼言うのよ、『はぁい!』」

 話が始まると、エミリアは思考していた。

 (「髪留め?、白金使ったのかな?、うわぁあ!ななななんてことを?……、そう見えるのかな?、でも?あの髪留め……、キレイだなぁ……」)

 そしてエミリアは、タロウの下へ向かう子供達を見ながら、少し頬を染めていた。

 タロウは、話を終えようとしていた、子供達が纏わり付いてる、エミリアも近くまで歩み寄ってた。

 「ほいじゃ?、話すのも?見せるのも?ダメで!、『あぁ、わかったから!』、うん!、ほいじゃ!、気ぃ付けてね!、『おう!』、ご安全に!『……』」

 タロウは最後に、右手で敬礼のポーズを取っていた、子供達が真似をする。

 「「「ごあんぜんに!」」」

 「それじゃぁ、お願いします、お気を付けて、『おう、夕方までには届けるから!』」

 エミリアもコレット達を見送る、そして子供たちへ右手を軽く振っていた、タロウは板を自身の左足に立てかけて話し出す。


 「ゴメェン、『え?』、やりすぎちゃったみたぃ、『あぁ、正直フリーズしちゃいました、びっくりですよ』、ゴメェン、『いえいえ』、でも?へんだなぁ?、『はぃ?』」

 「あんなナイフ(もの)?見たこともないのに、『ナイフですか?』、いあ!切れ味の方、『そうなんですか?』、こっちよりは?いいもん出来ると思ってたけどね……、切れ過ぎ!ちと心配、『そうですよねぇ』、それに?さっきのレスカも?うますぎたしぃ……、『ん~……、あ!、材料の良し悪しとかでは?』、やっぱ?そこしか残らないよねぇ、いまっとこ?、あ!、タバコ吸ってもいいですか?、『はい、どうぞ……』」

 「どもども、『日本じゃないんですから、遠慮しないでください』、”スゥ~、ハァ~”人前だと習慣になっちゃてるんだよねぇ」

 タロウは右手でタバコを吸っていた、西寄りに傾いてる太陽に左手をかざしながら、そして話し出す。

 「お!太陽!青白いんだ!、『お、おなじで』いあ?あっちは黄色とかオレンジ色だよ、白ぽく見えるのは似てるねぇ、『そうですかぁ』」

 「てか?ちっさいは、『はぃ?』、とんでもなく遠くにあるんだぁ、『そうなんですか?』、あ、ああ?、アレ?、『どうしました?』、あ?星の話はパス!で、『えぇ』」

 タロウが自身の異変に気が付く、そして続けた。


 「いあね、今ぐらい才のオレって、もっと体力あったはずなんだけど?、勘違いしてたは、『はぃ?』、この体、オレの知ってる若い頃のオレじゃないんだ、『はぃ?』」

 「んとね、余りにも若い頃そっくりの体を貰って、若返ったと思ってた!てこと、『ああ……、なんで?気付いたんですか?』」

 タロウが、左中指の指先仲程を、親指の指先で撫でながら話を続ける。

 「ここにねキズがあったのよ、こう横に1cm位の、『あ!、私も腕にギズがあります!』、え?、『あ、いぇ……、どぞ』、あ?うん、でね?ないのよ今!、六歳の時に付けたから、鎌で”ザックリ”と、『……いたそぅ』、うん、痛かった、四十超えても、たまに”ビリビリ”してたし……、まてよ?、つうことは?、『はい?』」

 タロウが神技を使う、タロウの左手首に、厚さ約3mm、幅約1cm、長さ約4cm板状の物が、太めのチェーンでつながれた、白金のブレスレットが出来ていた、それを見てエミリアが問い掛ける。

 「キレェィ……、白金ですよね?、『うん』、さっきの髪留めも?、『あぁ、あっちは合金、針金てあるかな?』、あります!、高価ですけど、『白金だけだと強度が弱いと思って、ほら針金見たく細かったでしょ?』、あ!はい、『だからニッケルを混ぜといたん、硬貨と同じぽく?』、はぁ……、『……ちと?、カチューシャかして!』、え?なにするんですか?、『いいから!いいから!』、あ?はぃ」

 タロウは銜えタバコで、エミリアからカチューシャを左手に受け取る、それを見て右手の平を上に向けて神技を使う、すると右手の平に、左手のカチューシャと同寸で出来た、白金のカチューシャが出来る。

 出来たカチューシャの上面には、細かいレリーフが施されいた、それをタロウが話しながら、エミリアに手渡す。


 「ちと?重いかも?、はい!どうぞ、『え?、あれ?、漏れてました?』、いあ?なんとなく?、『ああ!、レモンの花と実だ!……、キレェィ……、あ!ありがとうございます!』、いえいえ、それは99,9%の白金だから!、後で重さ計ってみてね?、『ええ!』、ゴメン!ゴメン!、ん!」

 話す途中のタロウが、神技を使うと、右手に取っ手の付いた直径約15cmの円い木製フレームの手鏡が出来ていた。

 それをエミリアに向けて、タロウが続けた。

 「ほい!、着けて見て!、『え?、はい!……』、じゃぁ?、鏡も!どぞ!、『はい』」

 カチューシャを着けて、鏡を右手で受け取ったエミリアは、頭を左右上下と動かしている、ご満悦の状態で思考している。

 (「あぁん、おねだり見たくなっちゃたけど、銀よりも白っぽいのね、彫刻も素敵だ、いいのかな?、こんなにもらって?……、ん?」)

 一方、タロウは、鏡を渡した後、右手の平の火傷を見て思考していた。

 (「ん~……、やっとくべきかな?……、迷うなぁ……、自分の体で試すのは……『まだ?痛みますよね』、ん?、我慢できない程じゃないけど?、『えぇと、何を試すんですか?』、キズを直すん!、ほら?腕にキズあるんでしょ?、『え?、私ので……す……か……、ああ!ごめんなさい↘』」)

 「ん!、いいから!いいから!、『はぃ』、こっちのカチューシャ!バケツ入れさせて、『あ、はい』」

 タロウは、一連の動作でタバコ片づけると、自身の右手の平に神技を使った、火傷は瞬時に回復した。

 そしてタロウは、右手の平を”グッパッグッパッ”と数回動かした後、エミリアに問いかけた。

 「少し、”ポヤ”としたけど?、へいきみたい?、『皮膚を作ったんですか?』、うん!、痛みも飛んだし、どう?……、やってみる?」

 タロウの右手を、真剣な眼差しで見ていたエミリアは、迷う事無く即答で答えた。


 「やります!、お願いします!」

 エミリアは、答え終えると、鏡をバケツに入れ、そのバケツを地面に置き、左手で右の袖口のボタンを外し、袖を肘まで無造作に捲り上げ、白い肌の右腕をタロウの前に突き出した。

 エミリアのキズは、幅が15mm程、長さが15cm程である、表面だけの深い傷跡には見えない、それを見てタロウが問い掛ける。

 「筋肉までやっちゃたか?わかるかな?、『あ、やってないと思います』、そっか、あ?、『……?』」

 タロウの”あ!”に意識がタロウの顔へいくエミリア、タロウは傷跡を見ていたが、両目は光った後だった、同時に傷跡は軽い温かさを感じていた。

 「ん!終わり!、『え?』、いたかった?、『いえ?、えぇ?』、ん?、『一言?なかったんですか?』、あ、ゴメェン!、言ったら緊張すると思って?、『え?、あぁぁ』、で?動かしてみて?、『あ、はい』」

 エミリアは、右腕の感触を確かめながら思考してた。

 (「こんな事も?、簡単にやっちゃうなんて!、タロウさんは謙遜するけど、アウラ(ここ)では、凄すぎる!♡」)

 エミリアと同時に、タロウも思考していた。

 (「ん~、”リン”とした時も感じたけど?、なんだろ?”意志”見たいの感じさせる表情が?……、こわい?、いい?、ん~、まっいっか!」)

 「なんともないです!、ありがとうございます!、『いいから!いいから!』」

 嬉しそうに、喜ぶエミリアに、タロウが釘をさす。

 「それで?長袖でだったの?、『……、ぇ、はぃ』、あぁゴメェン!」

 「ほいじゃ?、いこっか!、『はい!』」

 タロウは板の残りを元の場所へ戻してた、エミリアは袖を戻して、バケツを先程同様に左腕にとうして歩き出していた。

 再び領主宅に向けて、二人が歩き出していた。


 エミリアの3m程後ろを歩く、タロウが話し掛ける。

 「ねぇ?エミちゃんて?、日焼けしないの?」

 エミリアが振り返り、後ろ歩きで答える。

 「え?、はい!しませんよ、『女神の子だから?』、いえ!、えっとですね、血筋……、遺伝です、『へぇぇ、そうなんだぁ』、あ!、これって“スキル”?ですよね?、『うん?、かな?、』、!」

 エミリアが、右手で小さくガッツポーズを取り、話を続ける。

 「それでですね、父方の方は、日焼けしなというか、しづらいみたいです、母様(かあさま)は普通に日焼けしますよ、父様(とうさま)兄様(にいさま)と私は、しづらいみたいです、『しない訳じゃないのね』、はい」

 「あとですねぇ、王族も変わってるんですよ、『どんな風なの?』」

 エミリアが、右手の人差し指を、右目の目尻の傍にあてて答える。

 「瞳が赤色なんですよ!、『ほぅ?、あれかな?瞳が白くって血管で赤く見えるみたいな?』、いえ!普通に赤いんですよ!、『それは!めづらし!』」

 「遺伝で、男の子は必ず赤い瞳で産まれるそうですよ、『へぇぇ』、女の子はレアなんですが、今!二人もいるんです!、『ん?王女子様て?何人いるの?』、二人です、因みに王子様は一人です、『あ?意外と普通な人数?』、あぁ、説明が足りてませんでした」

 エミリアの、アウラの現状説明会が始まる。


 「えっとですね、初めにアウラの行政なんですが、『はぁい!、よろしくお願いしまぁす!』、あ、はぃ、国の代表が”国主”と言います、これは王様が務めます、世襲制です、職務は王都の管理、領交交渉、裁判官、外交交渉です、『え?、兼任おおくね?』」

 「あぁ、アウラの人口少ないですから、王都は約5,000人なんです、それと犯罪件数も少ないですし、外交と言っても、ケラダとコブイの二ヶ国だけなんで、『あ?コブイ?聞いた気が?』、南の隣国ですけど、ケラダよりも?お付き合いがないので、後回しでいいですか?、『オッケオッケ!』」

 「それでですね、国主のお仕事て、交渉事が少ない代わりに、書類に目を通して署名……サインするのが……メインです、処理する量は多いと思いますけど、ほぼ机仕事……デスクワークだけです、『でも?目ぇ通すだけでも大変そう?』」

 「はい、領地からも色々な書類が行きますから、『だよねぇ』、それでですね、他の仕事を手伝って貰う為に、人を雇うのですが、『うん?』、王都で公務をするから”王都公務員”と呼ばれてます、『あ?、うん↘』」

 「そしてですね、国主も王都公務員扱い方なんですが、公務員のお給金が一律できまってるんですよ、『え?』、月払いで30万エンと、『え?、王様も?』、はい、『それって?多いの?少ないの?』、多い方ですけど、領地との大きな違いが、『ん?』」

 「王都でも小麦は作ってるんですが、ほかの物は領地頼みなので、『あぁん、お王様なのに?貧乏になるのね?』、そいう事です」

 「領地の方も似たような感じですけども、呼び方が”領地公務員”となるだけです、『うん↘』」

 「王都と大きく違うのは、人口です、『ん?』、一番少ないとこがイルミ領で400人いません、『え?』、多いところがキクス領で500人を超えてます、『むぅ』、クリオは430人です、来月一人増える予定です!、『ん?、おめでた?』、はい!」

 タロウが問い掛ける。

 「なんか?人手不足が一番深刻な気がすっけど?、『えぇ、そうですよねぇ……』」

 答えを渋るエミリアが、後ろ歩きをやめ、普通に歩き出す。


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