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05 出合5

 双方、若干の違和感を残している所、タロウが切り出す。

 「あ?、うん、画鋲はパスで!」

 「あぁ、はぃ」

 エミリアの返事も、少し重めであった。

 「あ!、アウラの方は、なんとなく?予想出来るんだけど、ケラダの……、”虐殺”だよね?、『……』、あ、ゴメン、それって女子供を残してみたいな感じだよね?、『あぁ、いえ、ちがいます』、あぁぁ、ゴメン、話し辛いならいいよ?、『大丈夫です、お話ししますね』」

 エミリアが続ける、辛そうでは無いものの、感情が抜け落ちた感じだ。

 「存続派が欲しかったのは、領地と資源だったんですが、資源を得るには人でが要りますよね、『あ、うん、マン・パワーね、あ、マンはひと、パワーは力ね、ゴメン続けて』、あ、はい!」

 少しだけ目力が戻ったエミリアが続ける。

 「力仕事が主ですから、働き盛りの男性が残されました、それと、その人達の食事を作る要員として8歳から18歳までの少女たちです、残りは全て……殺されました……、それで……、遺体は全て燃やされたそうです……」

 話を聞きながらタロウは、迷っていた、好感度は保ちつつ、如何にして”ひかせる”かを。


 (「ひかせるだけなら?簡単なんだけどなぁ?、え?、燃やされた?て、そんで?さっきの反応なの?、後回しだなぁ、そこは」)

 「結果だけみりゃ?ケラダは、良かったのかも?、『え!?』、いぁ?”たられば”なんだけどね?、『たられば?』、んとね、結果が出てる事に対して、あ~して”たら”とか、こ~して”れば”みたいに、後から考える事なのね、『あ!、はい』、んまぁ実際は手遅れだし、後悔の言逃れ見たいな感じなんだけど、考え方の幅を広げるには?、いいかも?と『はぁ?』」

 タロウの真意を理解出来てないエミリアを置いておき、話を続けるタロウ。

 「話の流れからの推測なんだけどね、ケラダ戦が始まって、進攻したのは存続派だよね?、『あ、はい』、じゃ存続派として考えるかぁ、まぁ貴族達がいい思いしたいちゅう欲が大きいんだろけどね、実際、何らかの恩恵を期待して、一万人付いて行ったんだよね、『え!、はい』、欲の話は置いといて、トップとしては、あ!、トップてのは、最高指導者?みたいなで、『了!』、で!トップとしては、一万人を食わせる事が最低ラインだよね、あ、ラインは”線”と言う意味ですけど、線引き?みたいに使うのね、『了!』、けど?付いていく人達は、他のトップよりも、いい生活させてくれなきゃ?、『あ!、そうなんだぁ…………、でも?やっぱり……』、うん!、納得できなくっていいから!、『え?』、とりま!他者の位置から考える事も無視できない!てことは?、『なんとなく?ですけど』、オッケオッケ、んじゃ!”たられば”も、置いておこ!、『えぇ』」

 タロウはエミリアに客観的な思考と、多感的になれるよう、話を進めていた、勿論、アウラの歴史から推測される、エミリアの年相応には足りていない経験値の底上げのためだ、そして少し乱暴な進め方でも、エミリアの早い吸収力なら、問題ないとの判断していた。


 「あ!、これも推測なんだけどぉ、エミリアちゃんて、”善と悪”みたいに、分けて考えちゃってるよね?、『えぇ?、はい』、でもぉ、オレの話し聞いちゃったから!、頭の中”グラグラ”!揺れてない?、『えぇ、何が何やら?、見たいな感じです↘』、それって、”はっきりした答えが知りたい!”ちゅう事と、”自分の中の正義が正しから!認めたくない!”見たいな?事が、『はい!、その?、色々な事が、頭の中で混ざりあっちゃってる感じです!』、オッケ!、でもね、初めてそういう事を考えたんだから、混乱しちゃうのは当たり前だから!、もちっと肩の力?抜いとこっか、『は、はぃ』、ほいじゃね、”答え”てとこから?考えるてみよっか!、『はぃ』」

 エミリアは翻弄されていた、それでも好奇心が肩を押す、ライターと麻雀牌擬きを握る手に力が入る。


 「答えて、イエス、ノーの二択だと思う?、あ!、イエスが”はい”で、ノーが”いいえ”みたいで!オッケ?、『はい、オッケです』、でね?、よぉく考えると?、イエスとノーの間に、何かある気がしない?、『間ですか?……、あ!、判らない?』、そそ!、でね、もひとつなんだけど、進行形て分かる?、『はい、今こうしてお話ししている流れ、見たいな事ですよね?』、オッケ、んじゃ、オレに会う前のエミリアちゃんが考えていた存続派て”ノー”でしょ、けど?”今は”?、『わ、判らないです↘』、うん!、でも時間と共に、情報が増えると、答えが変化するのは分かったよね?、『あ!、はい!、でも?…………、それって?、答えが出ない?、いえ、無いとも言えますよね?』、うん、でも!そこは考えなくていいから!、『え?』」

 「今はケラダ戦を例にしてるから、解り辛いけど、実際、生きていく上には、”答え”てのは必要なのよ、本人に取って正解でも、間違いでも、そう言う選択を迫られた時に、色んな角度から全体を理解出来ると、本人に取って、より良い答えに近付けるんじゃない?、勿論!保留も含めてね!、解り辛かたっよね?、『はぃ、いえいえ……、物事を捉えるさい、自分の視点、他者の視点も考える事で……、自分に取って良い結果を導き出しやすくなる?』、うん!、やっぱ!、出来るコだねぇ!」

 タロウの思惑通り、エミリアは付いてきている、そしてタロウは止まらない。


 「ほいじゃ次!、正義とか善悪!いこっか?、『えぇ?』、へいき!へいき!、んじゃ!エミリアちゃんに取っての正義とは?、『え?、えっと……、正しいこと?』、正しいこと!とは?、『えぇえ?……、他人に迷惑を掛けない?』、じゃ?身内はいいの?、『えぇえ?』、あ、ゴメン!今のは無しね!、『……』、じゃぁね、他人が迷惑と思っていなかったら?どうなのかな?、『えぇぇ……、分かりません↘』、ん~、あ!、エミリアちゃん!、『はい?』、小さい頃、同世代の男の子に”いじわる”されたことある?、『あ?、はい、あります』、そん時?どう思った?、『あぁ、いやなかん……、ウザイ!と思いました!』、プゥ!、あ、ゴメン!、いあ?いいよ!今の使い方!、『はい↗』、じゃぁね、家族の人達からも、いじわるな事言われたりするよね?、そん時は?、『え?、それって?、からかってたり、かまってくれてたりですよね?、イヤと言うよりも、嬉しいですね?』、ほいじゃ!男の子が、なんで?いじわるしたか、解るかな?、『え?……、あれ?……、何でですか?』」

 翻弄され気味だったエミリアに、少し余裕が出て来た、そしてタロウが続ける。


 「男の子は、エミリアちゃんの事が好きだからだよ!、『え?、でも?、どうして?』、男の子にしてみれば、気を引く為の行動なんだけどぉ、エミリアちゃんの事が好きだ!と言う事が、恥ずかしくって伝えられなかったからなんじゃないかなぁ、『えぇ?、そうなんですか?』、うん、でね、家族の人達が、男の子と違うとこって、エミリアちゃんの事を大切に思ってる、見たいな感じが、エミリアちゃんは認識しているから!、”イヤ”な事には感じないんだよね、『あぁあ!、私が”悪い”と思っていても、他の人は”悪い”と思ってないこともある?、あれ?、それって?……』、うん!、自分が正しいと思う事が、他者には正しくないと思う事もあるんだね、元々”人”てのは、自分の為に行動するから、一人一人の考え方は違うんだよね、似ている事があっても、そして、100人いたら100個以上の正義が有り、同時に100個以上の悪もある!見たいな感じかな、『えぇぇ、あの、わかるんですけど、はぁぁ』」

 エミリアの翻弄されてた所は消えていた、代りに困惑が覆いかぶさっている、タロウは、それを見て、諭す様に話を続けた。


 「今のエミリアちゃんは、頭の中の”色んな思い”を、今得た感じ方で精査しようとしてるよね?、『あ、はぃ』、あの時こうして”たら”とか、ああして”れば”とかじゃない?、『あ!、はい』、勿論!今すぐにでも解決したい事もあると思うけど、起こってしまった事は”変えられない”からね、『はぃ↘』、でもね、今迄、エミリアちゃんが選択して来た事は、”間違いではない!”と、オレは思っているよ!、『え?』、だって、ほら!、ここに!今!エミリアちゃんがいるでしょ!、『え?…………』、むぅ?、ほいじゃ!エミリア先生!質問でぇす!、『は?はい?』、答えとは?どんなものですか?、『あ、えぇとですね、視点や状況によって変化す……る…………、私が考える事をやめない限り、答えがでない……』、だね、それとね、どんなにガンバッても!避ける事の出来ない事もあるし、いくら考えても”間違い”て事もあるけど、その時は”失敗”と思っちゃおう!、『え?』、勿論!失敗しないに越したことはないんだけど、やっちゃった事は変わらない!、けど?そこに!エミリアちゃんがいるなら?、『結果を受け入れて、先に活かす?』、うン!、直ぐに悩みの解決には至らないけど、色んな感じ方を考えられれば?、この先便利じゃやない?、『え?、あ、はぃ、えぇ↘……』」

 タロウの話に理解はしたものの、納得出来ないエミリア、そこにタロウが、小さく息を吹き問いかけた。


 「ふっ、少し?しんどかったかな?、『しんどかった?、とは?』、あぁ↘、疲れた!て感じ、『あ、はぃ』、ちと?飛ばしすぎだったね?ゴメンね、『あ、大丈夫ですよ』、そう?、オレの方が?バテ気味なのかぁ、『え?』、あ!、もぅ一本!タバコ吸ってもいいかな?、『はい?、構いませんよ』、ありがとね!」

 タロウは、エミリアからライターを受け取り、タバコに火を付け、そのままズボン右ポケットにしまった。

 その間、エミリアの視線はライターから離れない、それを見てタロウが話し出す。

 「材料揃えば?後で作ってあげるよ?、『え!、ほんとですか?』、たぶん?あると思うし、無くても似たような素材見つけるし、『あ、ありがとうございます!』、いぁ、まだ上げてないし?、『あ、はぃ↘』」

 頬を染め恥じらうエミリアを伺いつつも、タロウは画鋲を探しながら、話を続けた。

 「それ、どうしよぅ、麻雀牌擬き!、もうゴミなんだけど?、『え?、あ、はぃ、え?、捨てるんですか?』、もう用済みだし?、『これ?、貰ってもいいですかね?』、ん?、いいよ?、あ、軍手も!どうぞ!、『ありがとうございます!↗』、あ?、うン、なんか?罪悪感を感じちゃうけど、『そうなんですか?』、元々クリオの資源だしね、『このくらは?もんだ……い……、ノープロブレム!です』、あぁうン!ならいいや、『あのぉ、タロウさん、伺いたい事があるんですけど?、いいですか?』、ん?、なんでしょう?」

 この時のエミリアは、考えていた事が多々あった。

 (「難しい事だけだけど、私のためだよね、それに、要らない物とはいえ、知らない国の物だし、なんか?嬉しい!、あぁ、もっと色々聞きたいなぁ……、あ!お友達の事?どうするんだろ?……」)

 それが問い掛けになった。

 

 「この後は、お二人を探しに行くのですよね?、『え?、そっちね』、はぃ?、『たぶん?二人とも大丈夫だと思うけど、”ガキ”じゃないしね、どっちかっていうたら?向こうがオレを心配しているよ』、え?、あ、がきとは?、『子供て意味ね』、了!えぇ?、『あ!、ちと?いいかな?』、え?、はい、『ゴメンね、ちと気になっちゃって?』、なんでしょうか?」

 一応、タロウへの気遣いから入るものの、エミリアの質問タイム、強制終了、そしてエミリアが思う。

 (「もぅぅ!、聞きたい事あるのは私もなのに!、強引なの?せっかちなの?、あ!こういう時に相手の視線で考えるのかな?」)

 「金、銀、銅があるって事はさ?、ニッケルも取れるよね?」

 (「金?ニッケル?て硬貨?、お金?は知ってる!……、鉱石!、素材!合金だ!、ん?、素材!、材料!、ライター!!↗、えぇ!、あ?、まって!、催促したとか?思われてないかな?、ん~」)

 エミリアの吸収力は早い、言葉同様に考え方も使いこなす、しかし好奇心や好意の思考が、方向性に”ズレ”を生む、それを気付くには、経験値が少なすぎた。


 「詳しくは分からないんですが、『ウン』、ニッケルと鉄は取れてます、『ウンウン』、他には、スズ、亜鉛、鉛などが、『ウンウンウン』、後、少量ですけど白金と、最近名前がついたクロム?と言うのが『マジ!?』、え?、たぶん?です『クロムあるなら、よさげな合金作れ……て……、あぁ↘、あれかな?』、はい?、『マッチ!……と?、同じかな?』、あぁ、そうかもしれません、『まぁ?ある物わかりゃ!、なんとでもなるかな』、それじゃ!、『あぁ、でも、ありえねぇんだよね』、ぇ?、『金銀銅が同じ所でとれる事事態が、他の金属もね』、そうなんですか?、『あ、地球の話ね!、ほら!オレの認識ね!』、同じじゃないんだぁ、『オレの認識も、こっちに合わせなきゃって事だね、女神(イシイ)さんの使用!荒いから楽そうだけど』、それじゃ!、作れます!?↗、『ん?……、あ!ライター?』、はい!↗、『いま?』、え?、あれ?、『ちと待ってね』、はぃ↘」

 タロウが辺りを”キョロキョロ”と見渡しながら考えてた。

 (「ん!、失敗だ!、どこでミスったかは後にして、なんでライターばかうけ!なの、マッチと変わらんのに?、あ、後ろ池だったね、パンニングしたいかな、やった事ないけど……、あれか!、”オモチャ”扱いか?ライター!、なら?納得、『あのぉ?、”おもちゃ”と言うのは?』、遊ぶ為の道具?かな、『了!、あと、ぱんにんぐ?とは?』、あぁ、それ……は……、ん?」)

 二人が顔を合わせる。

 「え?、あれ?、えぇ!↗、なんでですか!、え?、えぇ!↗」

 タロウの思考が分かる事に気付いたエミリアは、軽いパニック状態に合った、逆にタロウの方は無反応に見える、そして先程同様にタバコの後始末して話し出した。


 「あぁ、とりま!深呼吸してみない?、『え?、はい!』、一杯空気を吸って!お腹も膨らませてね!、『はひぃ』、返事しなくていいよ、目も瞑ろう、一杯になったら?ゆっくり口から吐いて行こう!、カラになったら?また吸ってぇ……、はい!吐いてぇ!……、もっかい!吸ってぇ!……、吐いてぇ……、オッケ!、目ぇ開けていいよ、『はい』、ほいじゃ?分かりそうなとこから?整理してみよ!、『え?、はぃ』」

 タロウが続ける。

 「さっきから似たような事があったけど?、今日が初めてだよね?、『はぃ』、エミリアちゃんの他に、そいう事は?、『ないです!』、だよね、じゃないとあんなに取り乱さないよね、『はぃ』、文字で見えるの?言葉で見えるの?、『いぇ、聞こえる感じ……、耳には聞こえてない……』、頭の中に聞えるかな?、『あ、はい』、ん~……、とりま?放置で!?、『えぇ!↘』」

 エミリアは落胆の表情を浮かべる、そしてタロウが続ける。

 「えっとね、”なんでか?”は、分からないです!、『……』、分かってる事は、エミリアちゃんには害はない事かな?、『はぃ?』、鬱陶しい事はあるかもだけど?、要はオレの頭の中!覗けるだけでしょ?、『え?、えぇ、でも』、いあいあ!たぶん?原因!オレだし?、『……』、ほかに情報ないよね?、『はぃ?』、なら!オレじゃん?、まぁ、分かんないから!放置ね!、『はぁ、はぃ』、気にしなくっても大丈夫だから!、それにさぁ……」

 エミリアは当然の如く納得していない、それを見て、少し間を置き、タロウが続ける。


 「覗かれるの?オレだよ!、別にいいけどね?、でも?やりづらいし!、恥ずかしいし!、『ええ!↗、覗いたりしませんよ!↗』、あん、ゴメン、ちと?いじわるしただけ、『……』、じゃぁ?放置ね!、『はぃ』」

 動揺と落胆にもまれていたエミリアだが、タロウとのやり取りで、顔を真っ赤にしていた。

 (「タロウさんの言うとうりだ、私が困る事はない……、の、の、覗いたりしない!、あぁ?、でも?何でだろう?、タロウさんの話?、言葉?、凄く落ち着けたり……、変に”ドキドキ”したり……、なんか?……、気持ちがいぃ……」)

 タロウとのでやり取りの中で、エミリアは容易に多感性を身に着けていた。

 同時に感情の揺さぶりが、吊り橋効果になり、タロウへの興味、想いが容易に一段階(ギアー・アップ)して加速する、エミリアに取っては、初めての経験の為、止める術はない。

 逆にタロウの方は、落ち着き放っていた。

 (「うん!、後先考えるのは?やめよう!、成り行き任せ(ケイス・バイ・ケイス)でだな!、そすっと?ライターからかぁ、ステンてクロムの他に何だったけかな?……、あかん!年のせいか?、思いだせねぇ!、おっちゃんの頭!、使えねぇ!、あ?、鉄とニッケルじゃね?」)

 「あのぉ、おっちゃん?とは?、『ん?、おじさんね、あ、親戚じゃ無い方?』、了!」

 (「あといるのは?、火打石は有る、ワタとオイル、オイルはオッケ!、ワタ?綿?コットン?」)

 「あのぉ、”めん”て”木綿”ですか?、『あ?、うん』、”こっとん”とも言うのですね?、『うん』、それでしたら、森を出で150m程から畑がありますから!、『そなの?』、はい、私、取って来ましょうか?、『え?、いいの?、あ!、ちょっと待って!、ついでに実験したいから』、あ?はぃ」

 そして、二人が顔を合わせる。


 「え!、ぁあ!、うわぁあ!、ごめんなさい!↗、そのぉ……、のぞく『うん!、いいから!いいから!』」

 無意識に覗いてしまったエミリアが、また顔を真っ赤にしていた。

 タロウは相変わらずだ。

 「ほいじゃ!やってみっか!、半径150ん、いあ、半径200m、オイルライター、ステン、オイル込み、冷たく(ひゃっこく)!」

 右手の平を前に、タロウが神技を使う、両瞳が一瞬光ると同時に、手の平の上にはライターが出来ていた。

 「うし!、”カッチャ、カッチャ、カッチャ、ジィッ、ジィッ、ポポポ、カッチャ”、オッケ!、ほい!」

 ライターの出来を片手で確認したタロウは、そのまま右手をエミリアに差し出した。

 エミリアは満面の笑みで、両手でライターを受け取る、覗いてしまった事は、意識から飛んでいた。

 「あぁ、ありがとうございます!↗、『あ!、ポッケにしまう時?牌擬きと一緒だと?、凹むから気ぃ付けてね』、あ、はい↗」

 エミリアは左のポケットに牌擬きをしまった、そして幼少の頃、母に作って貰った”ウサギの縫いぐるみ”以来の”オモチャ”に、心を奪われていた。

 それを見て、タロウが話し出す。

 「ねぇ?エミリアちゃん?、『はい?』、もちっと砕けて話すのって、難しいよね?、『え?、あぁ』、習慣になってるよねぇ、『はぃ』、じゃぁ、出来ればだけど?、オレ“さん付け”苦手なんだよねぇ、なんか?恥ずいんだよね、で!”タロウ”とか”タロ”見たく?、呼び捨ての方が楽なんだけど?、『あ!、はい、頑張ってみます!、あ!、私の方も”エミー”とか”エミリ”でいいですので』、はい!了解!」

 エミリアはライターに釘付けのままだ、そこえ思い出したかの様にタロウが続けた。


 「あ!、エミーちゃん!、『はい?』、”エミ”て呼ぶのは?オッケ?、『え?、そう言う呼び方は初めてですけど?』、あ、ちょっといいかな?」

 タロウは立ち上がり、エミリアの右側へ並んで腰を下ろした、そして近くに落ちていた小枝で地面に文字を書きだした。

 左から右へ”山田 太郎”と書き、その下の段に”ヤマダ タロウ”、そしてその右横に”イシィリア”と書き、エミリアに説明をする。

 「んで!これが”漢字”と言って、日本で使われてる文字の一つです、感じる!見たいなとかとは意味が違いますので、『あぁ、はい』、んで!ヤマダ タロウと読みます、『ラストが前ですね』、うん、日本だけっぽいんだけどね、『そうなんですか?』、うん、で!、下の段が”カタカナ”と言う文字で、読み方は同じです、『どっちも初めて見ますけど、難しそうですね?』、あ?うん、オレも国語!チョウ苦手!、で!、こっちの読み方が”イシィリア”てなります、『はぁ、はい』、んで!女神さん日本人じゃないから!、漢字の書く方が無いのね、『はい?』、んで!愛称とか、あだ名?とか、ほら!エミーちゃんみたいな呼び方と、言葉遊び見たいなので”当て字”てのがあるんでけど、『はぃ?』、それを合わせて、オレがイメージした女神さんを漢字にすると」

 タロウは、イシィリアの文字の上段に”石意”と書き、説明を続けた。


 「こう書いて”イシイ”読むのね、で、左の”石”のほうは、石ころの石と同じです、『はい』、右の方の”意”てやつの意味は、”こころ”とか”こころざし”見たいな意味なのね、『あぁ?、硬い意思?見たいなですか?』、そそそ!、まぁ?オレのイメージだけどね、んで!」

 次にタロウは、イシィリアの文字の隣りに、エミリアと書く。

 「これがぁ、『私ですね!』、そそそ!、んでもって」

 また、続けてエミリアの文字の上段に、文字を書く。

 「こう言う字なんだけど、”(えみ)”と呼びます、実際は送りがなとか?付くけど、めんどいとこはパスで!、『え?』、で!使い方は、微笑む!とか、笑みを浮かべる!とかで、”わらう”見たいな意味なんだけど?、ほら!笑顔が素敵だからね!、あ?オレのイメージだけど、いやかな?、『え?、いぇ、いいです!↗、ノープロあ?ちがうかな?、あの?意味が分かると、嬉しいです!』、お!いいのね?、『はい!↗』」

 更に上機嫌のエミリアに、タロウが話しかけた。

 「あ!、エミちゃん!、『はい?』、ちと!ライター貸してくれる?、『え?、はぃ』、あんがとね」

 少し不満げな表情で、タロウの右手にライターを渡すエミリア。

 (「え?え?……、没収?……」)

 それに気付いたタロウが話す。

 「ん?、あぁ、ちと!細工したいだけだよ!」

 タロウは神技を使い、ライターを新しく作り替えた、それを再びエミリアに渡し、話しかけた。

 「はい!、気に入るかな?」

 ライター本体中心部に、15mm角程の大きさで、”笑”と漢字の彫刻が施されていた、それを手にしたエミリアが、満面の笑みで答える。

 「うわぁあ!↗、ありがとうございます!↗、タロウ()()! 」

 そして、タロウが呟く。

 「うん↘、だよね↘、習慣だもんね↘、分かってた↘」


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