ねぇ、王子に取り巻き令嬢が群がる理由、知ってる?
あくまで主人公の周りの令嬢たちの「理由」です。少々一方的な主張に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、あくまでこの物語の世界では、ということなので悪しからず。
物語なんかでよくあるのが、6~7歳の幼い貴族子女たちが王城でのお茶会に招かれて、王子たちと顔を合わせるっていうエピソード。たいてい王子にはご令嬢たちがギラギラした目で迫ります。で、その輪に入らず王子に興味なさげな令嬢が逆に王子に目をつけられたりしますよね。
でも実は、令嬢が王子に群がるのにも理由があるんですよ!
王子がカッコよくて地位が高くて、見初められれば王妃王子妃だって夢じゃないから?
いいえ、まさか。———いえ、まぁ、本当に妃になりたい子もいるのかもしれませんけど。
あくまで私の周りの一般論ですが、そんな令嬢は滅多にいないんです。
7歳ともなれば、同じ年頃のイケメン王子なんかより、年上の幼馴染のお兄様に憧れるものです。あ、『なんか』ってこれ不敬でしょうか? カットでお願いしますね。
白馬の王子様が迎えに来てくれるなんて世迷言、信じてたのなんて5歳くらいまででしたよ。
だって父を訪ねてくる貴族のおじさま方や、母に招かれてお茶会するご婦人方の会話聞いてたら、夢もへったくれもなくなります。
第一王子派が第二王子派と火花を散らしているからきな臭いだとか、王妃様とご側室方の嫌がらせ・嫌味合戦の戦況がどうだとか、後宮の争いに愛想を尽かした陛下がまたメイドに手を出したとか。
凄いですよね。こんな会話、どうせ子供に分からないからとフツーにお話しになってるんですよ。貴族子女が片手に満たない年の頃から英才教育を施されてるって忘れてるんじゃないでしょうか?
ああちなみにこの前子供同士で集まった時に聞いてみたところ、理解度に差はあれど、噂によると王族ってめんどくさいらしいよね、というのが共通認識でした。ウケますね。
話を戻しますが、みんな揃って王族とはあんまり関わりたくないのに何で王子に群がるかっていうと、ズバリ、好きなものを買ってもらうため、もしくは王子に苦手意識を持ってもらうためです。
お茶会に出席させる親は両極端で、権力欲が強く王族と縁を持ちたいから、飾り立てた娘にアプローチさせるか、権力から遠ざかりたいから、娘に王子が興味を持たないようわざと香水多めの化粧ケバ目で押せ押せするように娘に言いつけるかなのです。娘たちの方は娘たちの方で、「王子にちゃんとアプローチ出来たら○○買ってあげる」とか言われて、ご褒美欲しさに目の色変わるんです。あとはすでに好きな人がいたりして、王子とか関わりたくない! って子も、木を隠すなら森の中、と群衆の後ろの方に混ざって目立たないようにしたりとか。ボッチしてると余計目立つのは、それまでに参加したパーティー・お茶会で大部分の子は経験済みです。
まぁ、そういうわけで。
「「「「きゃ~殿下ぁ~! 素敵ですぅ~」」」」
私も皆さん同様、令嬢集団に混ざって黄色い声をあげるのです。
……え? 心なしか『黄色い声』がわざとらしいように聞こえる、それに令嬢たちの目に熱がこもってないような気がする、ですって?
嫌ですわ、そんなことありませんわ、王子様?
アクの強い独白調の短編が書きたくなり、突発的に書きました。読み返して主人公のリアリズムに自分でドン引きしました。
2019年10月15日14:30 日間異世界恋愛ランキング入りしました!! 皆様拙作を評価してくださりありがとうございます!!
投稿作でランクインしたのは初めてなので嬉しいです!
2019年10月19日11:20 誤字報告に従い、誤字部分を訂正しました。報告してくださった方、ありがとうございます!