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過労死魔王は転生したから今度は働かずに生きていきたい  作者: トトノート
第0章 魔王様、過労死です。
2/2

魔王様、過労死する。後編

大量の土煙が立ち上る。辺りには大爆発の影響により、木々がなぎ倒され、岩が砕け、重い空気が漂っている。


「ふぃ〜。なんとか防ぐ事が出来たのであるよ?しかし、やはり聖剣の力は凄いであるな。我輩もあんな武器が欲しいであるよ。」


「………っく!」


土煙が晴れるとそこには…


仁王立ちしている魔王と、地面にひれ伏している勇者の姿があったのだった。


「やれやれ。こんなに自然を破壊してはいけないであるよ?せっかく実った果物が落ちてしまったらどうするのであるか?勇者よ。」


「…!」 キッ


と、勇者から強い眼差しで睨まれる我輩である。

軽く自然の大切さを教えただけなのに何を怒っているのであろうか?


こう見えて我輩魔王なんぞやってはいるものの、悪さをしていない人間には手を出していないのであるよ?ここまで恨まれる理由が解せないのである。


「まぁ、理由なんてどうでも良いであるな。それでは勇者よ、さっさと人間界にでも帰るである。命までは取らないで置いておくである。」


「!?」


おや?なんでこんなにも驚かれているのであるか?我輩そんなに『この世の命全てを根こそぎ奪ってやるぜ。グハハハハハ』とでも良いそうなキャラしてるであるか?


「何を呆けているのであるか?別に我輩殺しがしたい訳では無いのであるよ?ここに居られても邪魔なのでさっさと帰って欲しいのである。自分で帰れないなら転移魔法で送ってあげるのであるよ?」


うむ。我輩チョー優しい。


「1つ聞かせて欲しい」


「何であるか?」


「貴様は私に対して敵意を向けていなかった。何故だ?私は貴様の敵だろう?」


やっと喋ったと思ったらいきなり何を言いだすのであるか?この勇者?


「ハァ〜。何故貴様が敵なのだ?」


「え?」


「え?では無いのであるよ?我輩からすれば魔族と人間の違いなぞ分からんのであるよ?対した違いなんて無いであるし、そもそも我輩、魔王になってから何回他の魔族に襲われたと思っているのであるか?この程度では怒る気にすらなら無いである。これで、答えたであるな?面倒なのでさっさと魔法で帰すであるよ。」


我輩は言いたい事を言った後魔法を発動させる。これでやっと片付くのである。


「全く、先代勇者と良い勇者と言う奴は必ず魔王に喧嘩を売らなければならない病気にでも掛かっているのであるかな?」


「なっ!?」


「それではバイバイ〜。なのである。」


「ちょっ!待って!その話詳しく教え『シュン』…」


ふぅ。やっと帰ったであるな。取り敢えずは今日の分の仕事を終わらせるのであるよ。






……………………………………






「や、やっと今日の分の外での仕事が終わったのである。もう無理である。何故魔王である我輩がここまで頑張らないといけないのであるか〜!!」


我輩が部屋に戻ると、迎えてくれたのは大量の書類である。ハッ、もう笑うしかねぇのである。


「っと、そう言えば今日こそ()()を完成させなければ…うぅ。面倒であるなぁ。」


我輩は最近の日課となっていた()()の作成を進める。作成に3年程かかってしまったけれど、何とか完成したのである。


「フ〜。何とか一仕事片付いたのである。次は書類書類である。」



ドタドタドタドタ…バタン!


「魔王ーーーー!!!!無事かい!?無事なのかい!?!?」

「うおぅ!?いきなり入ってきたらビックリなのであるよ!?」

「そんな事はどうでも良いんだよ!無事なのかい!?」

「無事であるよ…」(苦笑

「そ、そうか〜〜〜。ほんっっっっっっっとうに!心配したんだからね!」

「フフッ。済まないであるな。心配かけてしまって。」

「全く!本当だよ。本当に君は…ブツブツ」


我輩の前でこの勢いでまくし立てているのは我輩の唯一の友であるディアである。こんな我輩の事を友と呼んでくれて心配してくれる。我輩には勿体ない素晴らしき友である。


「まぁ、君の事だから僕が心配するなんて必要無いのかもしれないけれど、やっぱり僕は心配してしまうんだよ?君は無理をしがちなんだからね?たまには僕にも頼っておくれよ?」


………本当に我輩には勿体無い友である。


「フフフ。そうだな、それでは1つ頼んでも良いであるか?」


「!? な、なんだい!何でも言っておくれ!」


「それなら、今回は何とか勇者を追い払えたのであるが、これからもだと守れるか分からないのである。だから魔族全員…とは言わないのであるが、ディアが守っても良いと思った魔族だけで良いから守ってあげて欲しいのである。」


「?…何だいそれは?君がいるんだから僕がそんな事をする必要なんて無いだろう?」


そうであるな。我輩が居ればずっと守っていけるのである。でもそれも、絶対では無いのであるよ?だから………


「フフッ。そう…かも…知れぬな?…それでも、我輩からの頼みである。どうにか受けては貰えないであるか?」


「わ、分かったよ!君からの頼みだ!当然受けるに決まっているじゃあないか(\\\\\)」


クルッ


ディアは恥ずかしいのか少し顔を赤くした後踵をかえした。


「ま、まあ。君が平気そうで良かったよ!それじゃあ僕はもう帰るから、今日くらいはしっかり休むんだよ?」


あぁ、やっぱり我輩は幸せ者であるなぁ。こんな素晴らしい友がいるのである。


………もう体に力が入らなくなって来たのである。意識も薄れて来たのであるが、これだけは言っておかなければ行かないのである。


「あぁ………ありがとう…である。本当に……君が…友で…良かったである。………約束……頼むのであるよ…?」


「も、もう!君は何で今日に限ってそんな事を言うのかな!そんなに念を押さなくても大丈夫だよ!君からの頼みなんだから絶対に果たして見せるとも!」


「フフ…フ…フ。ありが……とう…で………あ………………る……………………」






「も、もう良いってば!そ、そうだ!どうせなら今度の休みの日にでも一緒に……遊………びに…でも?…………魔王?」







そう言ってディアが振り返った先にはついさっきまで居たはずの魔王の姿はどこにも無かったのであった。



取り敢えず転生するまで後1話です。後少しだけお付き合いお願いいたします。

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