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過労死魔王は転生したから今度は働かずに生きていきたい  作者: トトノート
第0章 魔王様、過労死です。
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魔王様、過労死する。前編

無理ない程度の更新ですので、過度なご期待には添えられないことをここに宣言しておきます。ご容赦ください。面白かったらブクマ、感想などしていただけると幸いです。

「死ぬ。このままでは確実に我輩は死んでしまうのである、故にお休みが欲しいのであるよ。ベリアル!」


「そうですか。それは大変ですね。あ、こちらの書類にサインをお願いいたします。あ、それと午後からは吸血鬼城への視察と修繕。その後は城下町の修繕や補強。終わり次第書類整理となっておりますのでよろしくお願いします。」


「待って!我輩マジで死んじゃう!本当に死んじゃうよ!ワガハイのカラダはボドボドだー」


「あー、はいはい。分かったんでさっさと仕事して下さい。やらなきゃいけない事が山ほどあるんですから」



バタン


そう言って我輩の参謀ベリアルは部屋を出て行った。




「おかしいのである。絶対におかしいのである。だって我輩魔王であるよ?何でこんなに仕事仕事仕事の毎日なのであるか!」



そう。そうなのである。何を隠そうこの我輩は魔族の王である魔王 ヘビー・ワーカーなのである。

本来ならこの様な雑事など全部配下に任せて偶にやってくる勇者とやらをあしらうのが仕事の筈なのである。



なのにどうしてこんな事になっているのであるか?



「まぁ、文句を言っていても何も変わらないのである。取り敢えず仕事するのである。…最後に寝たのはいつだったであろうかなぁ…?」




最近覚えて来た自分の意識をどこか遠くへ飛ばしながら仕事を続ける我輩であった。




………………………………………



そもそも吾輩が魔王になったのはただ他の魔族の者よりも()()()()()魔力が多かったからだけである。


それなのに自我が芽生えて少しした頃には既に周りからは避けられていて友達なんてほぼ居なかったのである。


家族とやらもどこにいるのかサッパリなのである。気がついた時には既に居なかったであるよ。


仕方ないから生きていく為に色々な者の手伝いなんかをしながら生きて居たら、いきなりあのド畜生(ベリアル)が現れて、


『貴方は魔王です。我ら魔族の為にその力を貸してくれませんか?』


とか言われて、良くわからないまま魔王になったのであるよ。


それでも最初はこんな何なのか良くわからない存在な我輩にも良くしてくれたハロワの町の皆や唯一の友の為にも頑張っていたのである。


けれども次第に様子がおかしくなっていったのである。何の為に必要なのか分からない様な建物を建てさせられたり、1日1度しか飯を食う時間が無かったり、睡眠を数日置きに1度しか取れなかったりと明らかにおかしいのである。


我輩は魔王であるのだからもっと自由にしても良いはずなのである。せめて1日1度の睡眠くらいはしてもおかしくないのである!!



ないのであるが…




もし、もしも我輩が睡眠を取っている時間で出来たもので誰か救える筈の者を救えなかったらと思うと…眠るのが怖いである。魔王になってから出来た知り合いだっているのである。



心底しんどいけれど、我輩に出来ることはやっておかなければ絶対に後悔するのであるよ。だからもうちょっと頑張るのである。



だってやっとここまで来たのである。やっと前魔王と前勇者の勝負でボロボロになった町は治ってきたし、作物も作れるようになった。



町の皆にも笑顔が戻って来たのである。



本当の辛いけどここを乗り切れば安心して眠れる様になるはずなのであるよ。だからもう少しだけ頑張るのである。()()も完成間近であるし…頑張るのである。



……………………………………



「ッ!?」


唐突に何処かへ行っていた意識が帰ってくる。我輩の領地に何者かが侵入したのである。


「この感じ…勇者であるな?しかも相当に強いのであるよ?これは急がねば。」


我輩は転移魔法を発動して勇者の気配のある場所まで瞬時に移動する。


移動した先は我輩の故郷、ハロワの町である。



「ふむ。……貴様が勇者であるな?」


「……」


そこには全身を白銀の鎧で固めた人間がいる。性別や顔は分からないがきっと勇者である。奴の右手の剣からとんでもない力を感じるである。聖剣であるな。


「ふむ。答えないであるか。まぁ、構わないである。どうであるか?このまま帰ってくれるのであれば何もせずに見逃すであるよ?我輩嘘はつかないのである。」


「………」


スゥーーー


と静かに音を立てながら勇者は剣を構えてきた。どうにも引いてはくれない様である。更には莫大な魔力が剣へと流れ込んでいるのである。


「全く。引いてくれれば楽だったのに…」


ふむ。あの力…我輩の全力でも防げるかどうかであるな?最初っから全力とは…不味いであるな。

今の我輩だと厳しかもしれぬが…やらねば町の皆に被害が出るのであるよ。やるしかないのである。


「仕方ないから我輩も全力で相手するのであるよ!」


我輩は両手を合わせて少し開く。その間に()()()()()()()()ありったけの魔力を込める。両手の間には闇そのものとも思えるような球体ができる。


「…ッ!!」


どうやら勇者もこの魔力に感じるものがあるらしく更に剣に魔力を込めてくる。


余りの力の圧縮にお互いの周囲の地面にヒビが入り空気が震え、周りにいた生き物達が逃げ出していく。


「それではいくのである。【虚無(ジ・エンド)】!」


「ッッッッッ!!!!!」


勇者は剣から放出状の光線の様なもの、我輩はおろか町まで消せるほどの大規模なものである。


対して我輩が放ったのはただの魔力の球である。しかしこちらも同様に勇者など簡単に飲み込めるほどの大きさであり、それが勇者の発する光線に対する壁になっている。



「ヌゥゥゥゥゥゥギギィィィィィィィィ!!」


「ッッッッッッアアアアァァァァァァァ!!」


お互いの全力がぶつかり合いそして、



フッと音が消える。


そして次の瞬間




ドグォーーーーーーーン!!!!!!!




大爆発が起きた。


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