表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少し不思議な日常を  作者: 紅葉 咲
       
2/5

1月1日

あけましておめでとうございます

「うらごらぁ!! 神この野郎今年も俺様が来てやったぞボケェ!!」


「やめなよ毎年新年になると同時に神社で奇声上げるの」


「言ってること罰あたりだけどちゃんと道の端をゆっくり歩いてるあたり小心者よね」


1月1日


2018年になってそうそう俺は同居人5人中の3人で神社に来ていた


ゴミクズ野郎の『枯木』


人形趣味の俺こと『桜』


天才少女(笑)の『エメリー』


にしてもさすがは新年入りたてだなぁと思いながら俺は周りを見回す


そこには午前1時だというのに沢山の老若男女が様々な会話をしながら顔に笑みを浮かべ歩いている


というかなんだろ?


なんかカップルや夫婦が多い気がするなぁ


…3、4年前は俺と『枯木』の野郎2人だけでのなんか残念な初詣(はつもうで)も、『エメリー』が参加するようになって少しはマシになったのかなぁ…


なんて思いながら歩いているといつの間にか枯木が手水舎(てみずしゃ)≪あのなんか参道のわきにある水の入ったあれ≫で手水(てみず)をしていた


普段言ってる事とかやってることはクソなのにこういうのはちゃんとやる奴たまにいるよなぁ…


「…なにしてんだよ早くお前らもやれよ」


ボケーっと枯木の手水が終わるのを待っていると枯木が柄杓を置きながら言う


「えぇだって寒いじゃない。絶対水冷たい」


エメリーがいやな顔をして言う


「バカだなぁお前は。これは水じゃなくてお湯だよお湯。神社では最近年々減る参拝者(さんぱいしゃ)を少しでも増やすため細かいところも配慮されだしてるんだ。安心しろ」


「へぇそうなんだ。神社も大変なのね」


エメリーはそう言ってとことこと手水舎のほうに歩いて行く



………


……………


…………………………うーんどう見ても湯気とかでてないよなー


「枯木ふざけんなよ!!」


「バーカバーカ(笑)」


案の定エメリーの怒声と枯木の罵声が俺の耳に響いた


「ほらバカ2人早く行くよー」


「桜にはバカって言われたくない!!」


「えー酷くない?」


そんな感じでくだらない話しをしながら俺たちは参拝者の列に並び神社の賽銭箱の前にたどり着く


俺は5円を投げ、自分の目標を神様に伝える


(小説お気に入り100人突破する!)


うちのルールで、神様には願うのではなく目標を言うようにしている


これは枯木の提案で、何でも


「もし神に願うなら、お前の達成した目標は全て神のおかげになる。お前の努力ではなく神のおかげになる。『自分が頑張ったから』じゃなく『神様に願ったから』になるぞ?」


とのこと


捻くれてるのか真面目なのかイマイチわからない言葉ではあるが、俺は一理あるなと考え同意している


まぁ他の3人はどうかわからないけど


そうして手早く済ませ列から離れる


後ろに人がいるとついついつい急いじゃうんだよなぁ…


俺が列を離れるとすぐにエメリーも後についてきた


「早いね。ちゃんとやったの?」


「やったわよ。ただ後ろに人がいるからできるだけ早めにやったの。てか桜はわたしより早かったじゃない」


なんだ。おれと同じ感じか


「まぁね。枯木は?」


俺も同じだよっていうと多分エメリーは不機嫌になるから言わずに話題を変える


「枯木はこれなかった2人の代参だいさんもやるって言ってたから多分少しかかるわね」


「そうなんだ。…え、あいつじゃぁ3人分一気にやってるの?」


「そうなんじゃないの?後ろに人が並んでるにもかかわらず長々やってるわよ」


「…知り合いだと思われたくないからいったん離れようか」


「そうね」


俺とエメリーは出来るだけ早くその場から離れる


うーん。なんか座れるとこないかなー


うわ、もうほとんど座られてる。早く帰れよ参拝客なんでこんな寒空のした一息ついてんのさ


「…ねぇ。おみくじしないの?」


「あーそう言えばあったねおみくじ。座れるとこもなさそうだしやるかー」


エメリーの提案によりおみくじ売場へと足を向ける





*****





「……おみくじ自動販売機ってなんかありがたみないよねー」


「巫女さんからの手渡しがよかった…」


おみくじは探してみたら100円をいれると自動で出てくるタイプのしかなかった…


まぁでもせっかく見つけたので文句を言いつつも2人でおみくじを引く


カシュッと小気味のよい音と共におみくじが出て来た


「…末吉ね」


「末吉だね」


そして2人ともして末吉だった


別に面白くもなく普通の事が書かれたおみくじを2人は手に入れた


さて、木に結ぶか……


「おまえらこんなとこにいたのか」


2人で何とも言えない空気に陥っていると空気の読めない枯木があるいて来た


「おー。ちゃんとしてきた?」


「したわ。ちゃんと住所と名前も言ってきたわ」


「あ、住所とか言わなきゃいけないんだ」


「なんだお前らもしかして言ってないのか?」


「まぁ枯木と同じ住所だから大丈夫でしょ」


「おめぇら適当だなぁ…」


枯木はわざとらしく大きくため息をつく


「枯木は何を神に言ってきたの?」


「なんだ聞きたいのか?興味シンシンかよ」


「うざ」


「いつも通り神に宣戦布告してきただけだ。俺に関わるな、すぐに俺も神になるってな」


「やっぱお前狂ってるよ」


「お前以上は狂ってねぇよ…。あぁあと、お前が女なら結婚してやるよっていったな」


枯木がそう言った瞬間、俺とエメリーはどん引きした


「キモッ…」


エメリーのガチトーンのキモッはあとでじわじわときた


「ん?おみくじ自動販売機か。なめてんなおい。よしやっか」


枯木は先程俺とエメリーがやった自動販売機に気づき100円を入れる


カシュッとあの小気味のよい音と共におみくじが排出される


「くははははは! 俺様の力を見せてやるぜ神!! さぁいでよ大凶!!!」


なぜか芝居がかった口調でおみくじを開く





『第1番  大吉  ~心のままに美しく咲く~』





駄目だ、笑ったら負けだ…!!


隣のエメリーも黙って下を向いていた


頑張れ!!


そりゃあんな事言ったあとに大吉てお前…


しかも『美しく咲く』ってお前…


ふざけんなよ…!!


「………これはまさか、俺と結婚していいと言う神からの意思表示?」


近年まれに見る自意識過剰である


とりあえず殴った


そのあと枯木は自慢するためおみくじを写真で撮り友人たちに送り付けた





『大吉の内容


願望:人の助けあり。叶います


仕事:すべて順調


金運:ゆとりがあります。人の為に使いましょう


失物:でてきます。気楽に


旅行:出会いがある


恋愛:相手の気持ちを優先するのが吉


待人:突然来ます


健康:快調


売買:快調


学問:快調              』





後日談


というか友人たちからの返信




枯木:「神に結婚してやると言ったら第1番の大吉出たんだがこれはもう俺様と結婚したいと言うことでは?」




友人1:「とっておきの大吉やるから勘弁しろやってことだろな」


友人2:「日本の主神天照はヒキコモリ女神だし案外日本に女神多いから相当お前からの告白が嫌だったんだな。てかお前のその大吉に告白の答え書いてんじゃん。


『恋愛:相手の気持ちを優先するのが吉』


やんわりとお断りされてんじゃねぇか」


桜:「君らのちっともいい方向に考えない所嫌いじゃないよ」

登場人物



―――――――――――――――――――



『ゴミクズ野郎』・・・・・・・枯木


『人形趣味』・・・・・・・・・桜


『天才少女(笑)』・・・・・・・エメリー



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ