99話 事件の真相
ついに今回の事件の真相が明らかに。
相変わらず理事長が関わってます。
そして、一日遅れてすいませんでした。
司が目を覚ますと目の前に最初に見えたのは知っている天井だった。
「ここは・・・俺の部屋か・・・」
司はしっかりとベッドに寝かされていた。
とりあえず上半身を起こすと、目の前には驚きの光景が広がっていた。
「エ、エリナ様にミカエラ!?」
なんと、ベッドの脇で二人が寝ていたのだ。
流石の司もこれには驚きだった。
「んん・・・ああ、司。おはようございます」
司が驚いていると、エリナが先に目覚めた。
「あ、はい。おはようございますエリナ様」
エリナが目覚めてすぐに普通の挨拶を言ってきたので思わず司も普通に挨拶を返してしまった
「じゃなくて!!どうしてエリナ様とミカエラが
ここにいるんですか!?」
「どうしてと言われましても・・・司が心配だっ
たという理由しかありません」
「え・・・?どういうこと?」
この後司はしっかりとエリナから説明を受けた。
どうやら本人の言った通り司が倒れて心配だったので、二人で付き添っていたら寝てしまったらしい。
「なるほど・・・つまり迷惑をかけたという訳で
すね。すいませんでしたエリナ様」
「いえいえ。私のために戦って傷ついたのですか
ら、心配するのは当然です」
司はエリナにとても申し訳なさそうに謝るが、エリナは別に気にしていないようだった。
「うーん・・・朝ですか・・・?」
エリナと司が会話をしているとミカエラが目を覚ました。
「ああ、お前にも心配をかけたらしいな。悪かっ
たな」
「いえ、私達は立花さん達には助けに来てもらっ
ている側な んですから。むしろこちらが謝る
べきです。だから謝らないで下さい」
司は何故かその台詞に違和感を感じた。
理由は司にもわからないが、何か言葉の裏を感じたのだ。
「とりあえず俺はお腹が減ったから何か食べよう
かな・・・」
「食べ物ならば私が持ってきましょう」
エリナが司の代わりに何か食べる物を持ってくると言った瞬間、司の顔色が変わった。
「な、なんだと・・・あ、ありがとうございます
エリナ様」
司は手でミカエラを引き寄せるとミカエラ耳元で言った。
「悪いがミカエラ、お前もエリナ様についていっ
てくれないか?」
「わわわ、わかりましたけど立花さん。ち、近い
です・・・」
「おっと悪い。流石に男に近づかれるのは嫌だっ
たな」
「そ、そういう訳じゃ・・・」
ミカエラは顔を真っ赤にしていたが、司は相変わらずの調子だった。
司に悪気は無いのだが、この場合はそちらの方が悪すぎる。
「じゃ、じゃあ私もエリナ様と食べ物を取ってき
ますね」
「ああ、よろしくミカエラ」
「では、行きますよミカエラ」
エリナとミカエラは食べ物を取りに下の階へ降りていった。
「ふぅ・・・朝からこんなに疲れたのは久し振り
だな・・・」
司がため息をついていると、司の部屋のドアが開いた。
二人が戻ってきたのかと一瞬思ったが、それではあまりにも早すぎるので違うと気が付いた。
その正体はすぐにわかった。
「あら、もう起きていたのね」
「なんだ、奈波ちゃんか・・・」
「なんだとは失礼だわ。様子を見に来てあげたの
に」
どうやら奈波は司の様子を見に来たらしい。
司はその事を意外に思ったのか、キョトンとしていた。
「何、その表情は?」
「いやー。奈波ちゃんも心配してくれたのかなー
って少し思っただけ」
「私が立花君の心配なんてするわけないじゃな
い」
「ですよねー」
司は少し思ったことを率直に聞いてみたが、奈波からはいつも通りの調子で言葉が返ってきた。
司が奈波の顔を見てみると一つ気が付いた事があった。
「奈波ちゃん。アイドルなんだからしっかり寝な
いと駄目だと思うんだが」
「あら?しっかりと私は睡眠をとっているわよ」
「いつもはね。でも今日は隈が出来てるよ」
司が奈波に出来た隈を指摘すると奈波の先ほどまでの表情が一変した。
どうやら自分でも隈に気付いていないようで、奈波は自分の目元を触っていた。
「た、確かに昨日はよく眠れなかったわね」
「何で隈を指摘されたぐらいで動揺してるん
だ?」
「動揺なんてしてないわ」
「あ、はい。そうですね」
奈波がそう簡単に自分の言葉を曲げない事を司は知っているので、ここで引いておくことにした。
「まぁ、無事なら無事でいいわ。それじゃあ、私
はこれで」
そう言って奈波は部屋を出ていった。
そして、奈波と入れ替わるようにエリナとミカエラが戻ってきた。
「ナナミさんと何を話していたんですか?」
「大したことは話してないよ」
司が二人の手元を見ると、バナナを手に持っているのがわかった。
「あ、バナナですか。すみませんこれぐらいしか
見つかりませんでした」
「いや、別に大丈夫だよ。俺バナナ好きだし」
そう言って司はバナナに手を伸ばすが、エリナに止められてしまった。
「バナナを食べる前に大事な話をしましょう」
「大事な話・・・?」
「はい、今回の事件の真相です」
司は何も言わず黙って聞くことにした。
そもそもエリナ様の指示は司の中では絶対なのである。
「まず私達は司に謝らなければならないわ。本当
にごめんなさい」
話を始めて早々謝罪されたので、司は何も言わなかったが驚きを隠せなかった。
続いてミカエラが話を続けた。
「実は今回の事件は仕組まれた事だったんです」
「はぁ!?」
流石の司もこの事実には黙っていられなかった。
「実はアスカレート家には代々しきたりがあるん
です。内容は、次期当主は自分を支持する強い
騎士を見つけなければならないという内容なん
です」
この時司は理解した。
エリナが司の事を騎士と言ったのはこういうことだったということを。
「だが、理事長はエリナ様が狙われていると言っ
ていたぞ。これはどういうことなんだ?」
「私が狙われていたのは本当の事です。その事を
お父様が丁度いいと仰って・・・それで理事長
さんに協力を頼み込んだのです」
「あのクソ理事長・・・やっぱりロクなことが無
いじゃないか!!」
司は理事長に頼まれた理由を思い出して憤怒していた。
確かにギリシャの王族をわざと拐わせるのはおかしいと思ったが、司は理事長をあれでも一応尊敬しているので疑問には思ったが、言わなかったのだ。
「でも、エリナ様が無事なら結果オーケーです」
「ありがとうございます司」
司はエリナが無事なら自分の事は二の次なのである。
何故ならばエリナは司の尊敬する女性の一人なのだから。
「実際俺はエリナ様の騎士になれて光栄ですね」
「司・・・ありがとうございます。私も司が私の
騎士で幸せです」
「幸せは大袈裟ですよ。まぁ、クソ理事長とゴー
ラさんには会ったら雷光拳を叩き込んでやりま
すけどね・・・」
司は右手で握り拳を作りながらそう言っていた。
その拳からは電気が溢れており、司の怒りの具合を表していた。
「まぁゼロが関わっていた以上、俺もこの件には
参加しただろうな」
「立花さんはゼロにどんな因縁があるんです
か?」
「一言では説明できないな・・・まぁ、複雑な因
縁だよ」
司は悲しそうな顔で因縁についてそう言った。
その顔見たエリナとミカエラはそれ以上聞かないことにした。
「そうだ、そんなことよりとりあえずバナナをく
れ」
「あ、そうでしたねはい、どうぞ」
「バナナうめぇ!!」
司は凄い勢いでバナナにかじりついていた。
司がバナナを食べていると、家のチャイムが鳴った。
「誰が来たんだ・・・?宅配便か?」
家の宅配便やお客は大体慶夏が対応してくれる。
今回もそうだった。
「まぁ、宅配便だろう。あ、もしかしたらこの前
ネットで注文した魔法少女ユイユイのフィギュ
アかな?」
この後司の希望も虚しく、いつもの三人組が司が倒れた事を聞いて、龍、皇気、涼と共に押し掛けて来た。
そして、司は三人組の対応に追われ、龍、皇気、涼はエリナから司動揺に真相を聞かされ理事長に怒りを持つのだが、それは別の話。
つづく。
今回の解説。
魔法少女ユイユイについて。
魔法少女ユイユイとは、アニメ界を騒がせている人気魔法少女である。
司によると、かわいい容姿と濃いストーリーがベストマッチしており、ただの魔法少女アニメでは無いらしい。
子供から大人まで楽しむことのできるアニメとして話題である。
必殺の呪文はサイキックを必殺技名の頭につけるらしい。
もちろん司は大ファンである。
今回は以上です。




