97話 ロイヤルガード Ⅷ
長かったけどついにこの回は終わりです。
そして、最後ら変はいつもより適当になった気がします。
え?いつも適当だろって?すいませんでした。
司とグレントの狭い廊下での戦闘は熾烈を極めていた。
グレントのパワーを司はテクニックでなんとか押さえ込んでいた。
廊下での戦闘が始まってそろそろ三十分がたとうとしていた。
「流石に出血が多くなってきたな・・・」
アンドロメダの鎖の祝福の魔力で傷口を癒してはいるが、激しい戦闘の中では中々塞がらない。
それどころか確実に傷口が酷くなっていっている。
「何であっちはあんなに元気なんだよ・・・」
「ガルルル・・・」
疲労が溜まってきている司に対して、グレントはまだまだ元気満帆である。
「グァァァァ!!」
「ちぃっ!!またそれか!!」
グレントの攻撃はただ真っ直ぐ突進してくるだけだが、圧倒的なパワーの暴力になっていた。
避けることが可能であれば楽であるが、現状の環境では回避不可能である。
「グルォォォ!!」
「デッドエンドツヴァイ!!」
二本のゲイボルグを迫ってくるグレントの左肩と右足に突き刺す。
そして、バランスを崩したグレントの勢いを利用してカウンターを決める。
「雷光拳、初雷!!」
司は雷の魔力が込められた拳でグレントの顎部分を殴った。
グレントは顎を殴られたのと、痺れにより動きが止まった。
「まだまだ!!雷光拳、疾雷!!」
司の連続攻撃がグレントを襲う。
司は的確に間接や急所を狙って攻撃していた。
「そして雷光拳、激雷!!」
司は最後にグレントの顔面に強烈な一撃を叩き込んだ。
グレントは後ろに倒れている間に司は再び距離をとり、詠唱を始めた。
「我に答えよ雷神よ。今解き放たんとするのは激
震の雷にして紫電と赤雷が混ざり合った唸る
雷・・・その雷は激しく暴れ、敵を確実に終わ
らせるであろう・・・」
そして、詠唱魔術を司は発動させた。
「詠唱魔術、バイレイジボルト!!」
グレントは紫と赤の二つの雷の渦に挟まれた。
二つの雷はやがて一つになりグレントを呑み込んだ。
だが、グレントはその雷をダーインスレイブで薙ぎ払った。
「結構強力な魔術なんだけどな・・・」
「ガルルル・・・」
だが、確実にグレントにダメージは入っていた。
だが、グレントはダメージを感じさせないぐらいにまだまだ戦闘続行可能であった。
「やっぱりな・・・急所にはどうやらダメージが
かなり入るな。そこはやはりまだ人間という事
か・・・」
魔獣の細胞を取り込んだといえども、まだ人間らしい部分は残っている。
司はそこの部分に勝機があると考えている。
「狙うは心臓とかって事か・・・」
頭部にゲイボルグを刺してもグレントは殺せなかった。
となると、人間の最大の急所と言っても過言ではない心臓を狙うしか他にはない。
「とりあえず隙を作るしかないな」
まずは先程刺した二本のゲイボルグを消滅させる。
そしてアンドロメダの鎖でグレントを束縛する。
「デッドリーチェーン」
グレントから再び魔力を吸収し始めた。
だが、グレントはアンドロメダの鎖を学習している。
グレントは鎖から逃れようともがいているが、そう簡単にはやはり逃れられない。
多少はこれで時間が稼げる。
「一人を殺すのに本来はデカイ一撃はいらな
い・・・ただ鋭い一撃があればいい・・・」
司はデッドエンドを越える技を土壇場で開発しようとしていた。
オリジナルのゲイボルグを祝福で強化し、アイギスの盾とグレントから奪った魔力を注ぎ込む。
あとは自分の魔力とゲイボルグの魔力を槍先の先端のみに集中させる。
「デッドエンドを越える技。名付けて・・・」
「グルァァァァ!!」
グレントが鎖をほどき、司に向かってダーインスレイブを構えて突進する。
司はそのダーインスレイブをアイギスの盾を使い受け流し、その突進の勢いをも利用して技を放った。
「デッド・・・カタストロフィー!!」
司の一撃がグレントの心臓を一突きした。
ゲイボルグが刺されたグレントは、そのまま動かなくなった。
心配になった司は動かなくなったグレントの安否を確認してみたが、絶命していることがわかった。
「ふぅ・・・上手くいったか・・・流石に疲れた
な・・・」
そう言いつつも、司はエリナとミカエラを逃がした道を進み始めた。
「流石に辛いな。そうだ、こんな装備を着けてる
からだな」
司は神器を解除した。
三つの神器は人型に早変わり。
「ふぅ。やっと人型になれたか」
「今回も意外と長い戦いでしたね」
「それだけ相手が強敵だったということです」
人型になった途端、神器三人は雑談を始めた。
司的にはさっさと奥まで連れていってもらいたいと思っている。
「そんな話より肩貸してくれ」
「ああ、いいぞ」
司はスカアハに肩を貸してもらい、ゆっくりと再び進み始めた。
アンドロメダは司の傷を祝福で塞ぎながら進み、アテナは前方の警戒をしていた。
「意外と長いなこの廊下・・・」
少し歩いた先で司は廊下の長さに嫌気がさしていた。
「大丈夫ですよ司。どうやら階段がこの先にある
ようです」
「マジで?廊下もようやく終わりか・・・」
先にあるという階段に向かって足を進めていた司だったが、足を止めてしまった。
「どうやら奴は俺が思っていた以上にしつこいら
しいな」
「ええ。まさかあれを食らって生きているとは私
も思いませんでした」
司は後ろを振り向き戦闘体制を取ろうとするが、神器三人に制止されてしまった。
「司は大人しくしていて下さい。しつこい敵は私
達がどうにかします」
そう言って神器三人は戦闘体制をとる。
この四人がしつこいと言っている敵はすぐにやって来た。
「グオォォォ!!」
そう、しつこい敵とは先程は心臓が停止したグレントの事であった。
どうやら心臓が止まったにも関わらず、最後の力を振り絞って司を追ってきたのである。
だが、傷は再生しておらず、神器三人には弱っている敵一人を止めることなど簡単すぎた。
「スカアハ、アテナ。よろしくお願いします」
まず、アンドロメダはスカアハとアテナを祝福で強化した。
「わかりましたアンドロメダ。私もしつこい人間
は嫌いですので」
「ああ、そこに関しては私も同意だな関わらず
スカアハはゲイボルグを、アテナは光の魔力で作った薙刀を構えた。
「ホーリーグレイブ!!」
アテナがまずグレントに斬り込んだ。
グレントの足の間接の筋肉の筋を狙って切り裂いた。
「デッドエンドドライ!!」
そして、足を止めたグレントの頭部、腹部、心臓部にゲイボルグをそれぞれ突き刺した。
「グ・・・グルルル・・・」
グレントはそのまま動かなくなった。
戦闘が終わったスカアハとアテナは余裕そうに薙刀と槍の違いについて話し始めた。
「やはり薙ぎ払うなら薙刀ですね」
「ふむ。薙刀?という物は槍と何が違うんだ?」
「そうですね。魔力だから重さはありませんが鉄
製だったら薙刀の方が重いですね」
「ならば槍の方がいいのではないか?」
確かに槍の方な薙刀より軽いが、そもそも戦闘方法が違うのである。
「槍は突くことが基本的ですが、薙刀は斬るのが
基本的ですね。私は長い獲物の方が慣れている
ので剣より薙刀ですね」
その会話に聞いていた司も半分呆れながら参加し始めた。
アンドロメダは話にどうやら付いていけていないようであった。
「薙刀は重い分遠心力があるから力が無くてもパ
ワーが出るんだよ」
「成る程。私は薙刀というものを見たことが無く
てな・・・そういう武器もあるのか」
「そんな事より早く上に上がろうぜ」
「「「了解」」」
司は早くここから脱出したかったので、神器達に急ぎ足で運ばせた。
「お前も不運だったな。まぁ、安らかに眠ってく
れや・・・」
司はグレントを横目で見ながらそう呟いた。
先に進むと、アテナが言った通りに本当に階段があった。
その階段を上るとテレビだらけの部屋に出た。
「何だこの部屋・・・?」
とりあえず部屋中を見渡してみる。
全てがテレビ一色だった。
「成る程・・・もしかしてあれか・・・?まぁ、
その事はどうでもいいや。早く出ようぜ」
司はこの部屋の謎に気が付いたが、言う気力が出なかったと言うか面倒くさかったのでさっさと出ることにした。
出るのに多少時間は掛かったが、帰り道は何事も無かった。
さりげなく帰り際に石化させていた敵は、全て元に戻してついでに気絶させておいた。
「やっと帰れるわ・・・傷は塞がったけど体中が
痛い・・・」
「あれだけ戦っておけばそうもなるだろう」
「帰ってジュース飲もう」
外に出ると五人が待っていた。
司の姿を見つけると、エリナとミカエラは大きな声で呼んだ。
「司!!こちらですよ!!」
「立花さーん!!こっちです!!」
司は二人を見て少し言葉を漏らした。
「二人はやっぱり無事か・・・やっべ眠くなって
きた・・・という事でちょっと寝るわ」
司はエリナとミカエラの姿を見ると、安心したのか司はそこで意識を失っている。
どうやら、内心では随分とエリナとミカエラの事を心配していたらしい。
龍、皇気、涼の事は全く心配していなかったが。
つづく。
今回の解説。
グレントの状態について。
グレントには様々な魔獣の細胞が打ち込まれており、最早人間とは言えない状態であった。
再生能力とパワーが特にすさまじく、どのような傷でもすぐに再生してしまう。
そして、パワーに自信がある司ですら圧倒されてしまうパワーを持っていた。
姿は体中の皮膚が鱗や硬質化しており、体も巨大化していた。
だが、人間の急所(頭部や間接)はダメージがかなり入るようで、そこが唯一の人間らしさであった。
今回は以上です。




