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92話 ロイヤルガード Ⅲ

あれ?いつもの三人組ってこんなに積極的だったっけ?

まぁ、いっか。

司達一行は司の家にこぞって来ていた。

エリナとミカエラはお城に慣れているせいかわからないが、司の家の大きさに驚いていなかった。

今の家の中には姐二人は居ないが、神器三人と奈波は居る状態だった。

そして、玄関の扉を開けた。


「ただいまー」


「ただいま帰りました」


「「「お邪魔しまーす」」」


「「お邪魔いたします」」


それぞれが違った挨拶を言い家に上がった。

三人組は入り慣れているので軽い挨拶だが、エリナとミカエラはしっかりと丁寧な挨拶だった。

声が聞こえたのか、奥から神器三人が出てきた。


「お帰えり」


「お帰りなさい司、慶夏」


「お帰りなさいませ司、慶夏」


神器三人からもそれぞれ違った挨拶が返ってきた。

どうやら人によって挨拶はかなり違うようだ。


「じゃあ、俺と慶夏は荷物置いてくるからゆ先に

っくりしててくれ」


「「「はーい」」」


「「わかりました」」


司の言ったことにしっかりと返事が返ってきたはずだった。


「・・・おい、途中であえて言わなかったが、何

故付いてくるんだ?」


返事をしたはずの慶夏を除く五人が、二階の司の部屋まで付いてきたのだ。


「さっきの返事はなんだったんだ・・・」


「まぁいいではないですか司。一度一般男性の部

屋を見てみたいと思っていたのですよ」


エリナは目を輝かせてそう言った。

司はエリナには頭が上がらないのだ。


「エリナ様はともかく、他の奴は何で?」


「私は立花さんの部屋にいかがわしい物があった

場合にエリナ様の目に触れないようにせねばな

らないので」


「あ、そう・・・」


これでミカエラの理由はわかった。

だが、他の三人からはすぐに理由が出て来なかった。


「よし、理由が無いなら戻ってな」


「まぁ、いいじゃないですか司」


「エリナ様がそう言うなら・・・」


司はエリナに言われたことは大体こなす。

エリナに司は忠誠を誓っているのだ。


「何故かエリナ様には甘くないですか?」


「はい。でも、エリナ様のお陰で部屋に入れるん

ですから黙っておきましょう」


「はい。楽しみです」


司は自分の部屋の扉を開けた。

司的にはいけない物は置いているつもりはないので、何も気にせず扉を開けたのだ。


「どうですか?何もいけない物は無いでしょ

う?」


司の部屋を見た五人は唖然としていた。

壁にはポスターが貼られており、アニメのフィギュアが棚には大量に置いてあった。


「ん?どうした?入らないのか?」


先程まで興味津々だった五人だったが、その部屋を見た瞬間に四人は入る気が失せていた。

エリナのみが部屋に入ったのだ。


「司の部屋はこうなっているのですね。これはア

ニメというものですか?」


「あ、はい、大まかにはアニメですがアイドルの

物もあります」


未だに興味津々なエリナの質問に丁寧に司は答えていた。

その光景を扉の外から残りの四人は見ていた。


「どうしたのかしら?こんなに集まって?」


その場に現れたのは奈波だった。


「あ、貴方は日本で有名なアイドルにして、今は

失踪中の星空 ナナミじゃないですか!?」


「あら、始めてみる顔ね。司君の友達かしら?」


ミカエラは奈波を見てとても驚愕していたが、奈波の方はいつも通りの喋り方で返した。


「「「司・・・君?」」」


ミカエラに対し、他の三人は奈波の司の呼び方に引っ掛かった。


「何だ、司君の部屋を見てたのね。でも、面白く

も何とも無かったでしょ?」


「ええ・・・まぁ・・・」


ミカエラがそう返すと奈波は笑っていた。


「私も初めて見た時は若干引いたものだわ」


「「「部屋を・・・見た?」」」


再び三人の何かに奈波の発言が引っ掛かっていた。

その何かを知っているのは三人だけだが。


「奥で司君にオタクを教え込まれているのは誰?

まぁ、気の毒ね」


奈波が部屋の中を見てそう言うと、司が奈波の事に気がついた。

ついでに奈波のその発言を聞いてもいた。


「おいおい、気の毒とはどういうことだ?」


「あら?気の毒でなければなんだというの?」


「俺はエリナ様に日本の文化を教えているだけ

だ」


司が平然とそんな事を言ったので、奈波は呆れ返ってしまった。

奈波に比べエリナは日本の文化と聞いて興味津々の様子だった。


「では、こちらのキャラクターは何ですか?」


エリナは棚の上にあるフィギュアを一つ指差して言った。

そのフィギュアはフリフリの服を着ている女の子だった。


「それは魔法少女ユイユイのフィギュアですね」


「魔法少女ユイユイ・・・?」


「ああ、魔法少女ユイユイね」


頭にクエスチョンマークを付けているエリナに対し、奈波は理解している様子だった。


「奈波ちゃん、もしかして知ってるの?」


「ええ、聞いたことはあるわね」


奈波が知ってると聞いた瞬間、今度は司のが輝き始めた。


「おおー!!そんな奈波ちゃんにはDVDセットを

貸してあげよう」


「あら、貸してくれるの?なら借りておこうかし

ら」


どうやら奈波も満更では無い様子だった。


「エリナ様もいかがですか?」


「よろしいのですか?」


「ええ。俺は何周もしましたから」


エリナと奈波は司が出したDVDボックスを受けとると、二人して下に降りていった。

ミカエラはしっかりとエリナに付き添うように同行していた。

どうやら早速下のテレビでDVDを見るようだ。


「さてと、俺達も下に戻るぞ」


「ちょっと待って下さい」


司が下に戻ろうとすると、その場に残っていた三人が道を塞ぎ始めた。


「何だよ。俺も下でアニメが見たいんだよ」


「一つだけ質問させて下さい。ナナミさんとはど

ういう関係なんですか?」


「は?」


司には質問の意図が良くわからなかった。

だが、三人の目がいつになく真剣だったので答えることにした。


「奈波ちゃんとは・・・何だろうな・・・?奈波

ちゃんと俺はどういう関係なんだ?」


答えることにしたのはいいが、自分でも良くわかっていなかった。


「まぁ、友達って所かな?」


その司の返答に、何故か三人は安心していた。

安心していたのは司でもわかったが、何故安心していたのかはわかっていなかった。


「とりあえず下に行こうか」


「「「はーい」」」


司は再び下に降りようと進めたが、今度は元気な返事が返ってきた。

ということで四人が下に降りると、先程下に降りた三人に加え、慶夏と神器三人も一緒になってテレビを見ていた。


「おおー。見てる見てる」


「司君。まだ一話最初の方しか見てないけど面白

いわねこれ」


「ですよねー。そのアニメの良い所は最初から最

後まで面白い所なんですよ」


自慢げにアニメを語る司。

不思議といつもよりイキイキしているような気もした。


「二、三話見たら帰って下さいね。時間も時間で

すし。続きは帰ってからじっくり見てくださ

い」


「わかりました。では、ミカエラ。もう少し見た

ら帰りましょうか」


「はい、エリナ様」


二人はそう言いながらもテレビをずっと見つめていた。

どうやら気に入ってくれたらしい。


ーーーーーーーーーー

そして、帰る時間がやって来た。

司は家の敷地の門まで見送りに来ていた。


「では、これで私達は帰ります。それとこのDVD

ボックスは本当に貸してもらっていいのです

か?」


「はい、まだ家に同じやつがあるんで大丈夫です

よ」


確認をとるとエリナは笑顔でお礼を言った。


「ありがとうございます。では、後日お返ししま

すので」


「はい。楽しんで見てくださいね」


「それではまた明日お会いしましょう」


「では、立花さん。私達はこれで失礼します」


こうしてエリナとミカエラは駅の方へ向かっていった。

家の中で聞いた話によると、駅でSPと待ち合わせをしているらしい。


「さてと、じゃあ準備するかな・・・」


二人が帰ったのを確認すると司は自分の部屋に戻り、特殊戦闘服に着替え始めた。


「スカアハ、アテナ、アンドロメダ。出番だ行く

ぞ」


どうやら神器三人も連れていく様子だった。

その光景を見て残りの五人は不思議に思っていた。


「どうしたんですか?何かの任務ですか?」


「ああ。ちょっとエリナ様とミカエラを救出して

くる。お前ら三人はちゃんと帰るんだぞ」


そんな事を言われても理解できるはずもなかった。


「救出って、どういうことですか?」


「まぁ、詳しい事は後日話す。おっと電話だ」


司は丁度鳴った電話に出た。


「ああ、皇気か。ああ、わかってるエリナ様とミ

カエラだろ?こちらでも怪しい奴等は確認して

いる。迎えを寄越してくれ」


どうやらエリナとミカエラがさらわれたという報告の電話だったらしい。


「さてと、迎えが来たら行くぞ」


「「「了解」」」


万全の準備を整えていると、三人が質問してきた。


「エリナ様とミカエラさんに何かあったんです

か?」


「こちらの話だ。早くお前達は帰れ」


「きちんと明日話してくれますか?」


「わかった。明日話すから」


三人は念入りに確認をすると黙っておとなしく帰っていった。

当然不貞腐れてはいたが。


「やはりあの二人の事を見ていた連中は怪しい奴

等だったのか?」


「ああ、その通りだ」


実を言うと先程見送りに行った際に、二人の周りに怪しい人間が数人いることに司は気がついていた。

その連中はこぞって二人の事を見つめていたのだ。


「慶夏、奈波ちゃん。ご飯はとっといてね」


「あ、はい。わかりました」


今から重大な任務だというのに司はいつも通りだった。


「さてと、そろそろ向かえも来るだろうし、行く

か!!」


「「「了解」」」


こうして司と神器三人は救出作戦のために家を後にした。

敵の基地の場所も掴めている。

目的もわかっている。

司のやることはただ一つ。

エリナとミカエラと貸したDVDボックスを救いだすだけだ。



つづく。



今回の解説。


司の趣味について。


司は二次元から三次元まで様々なジャンルを愛するオタクであり、この事は家族全員が知っている。

時々司が言っていたアニメやメイドなどの話はここから来ているのだ。

部屋はオタクグッズ一色に染まっており、本人は全く気にしていない。

恐らく多くの人が初めて見たときは引くだろう。



今回は以上です。






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