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90話 ロイヤルガード Ⅰ

ギリシャの懐かしのメンバー再び。

忘れたかたは思い出してくださいな。

説教で締めくくった休日も終わり、今日も学校のある月曜日。

立花 司十七才は今日も高校一年生として生活を送る。

高校でテロ事件の日から司を見る目は変わると思ったが、逆に司によい意味で注目が集まってしまった。

今もその注目の中、生活をしている。


「今日が不定期に行われる留学生の引き込みだっ

たとはな」


司達は教室で本日行われる行事について話をしていた。

どうやら注目のことは一切気にしていない様子だった。


「はい。前回、留学生が来たのは司先輩が入学す

る前ですね。その時はイギリスの小さな王族の

王子だったそうです」


「おいおい・・・じゃあ、今回は誰が来るん

だ?」


「それはまだわかりません。来てからのお楽しみ

ということにしておきましょう」


由井から行事について情報を聞いた司は楽しみな反面、面倒くさがっていた。

だが、その留学生が女性なら歓迎だ。


「女の子なら歓迎なんだけどなー」


その無意識に放った一言は当然四人に聞かれていた。


「師匠・・・また女の子の話ですか?」


「ま、まぁいいじゃねえか。俺も男なんだから

よ」


話を進めていく度に、香菜美の目の光が消えていくのがわかった。



「そう言って沢山の女性を落として来たんです

ね」


「落としたって・・・そんなことした覚えは一度

もないね」


司にはそんな事をしたつもりは一切無かった。


「師匠に自覚がないのが救いなのか罪なの

か・・・もうわかりませんね」


香菜美のこの台詞に由井とステラは思い当たる節があるのかは司にはわからないが、とても頷いていた。


「慶夏は知らないと思いますが、師匠は女を落と

すのが大得意なんです。しかもそれを無意識に

やってのけてしまうんですよ」


「わ、私も見たことありますけど、あれは凄まじ

いテクニックでした・・・」


「ス、ステラさんにそこまでいわせるとは・・・

お兄ちゃん恐るべしですね・・・」


三人的には見た事をそのまま言ったつもりだったのだが、司からしたらただの捏造にしか感じられなかった。


「おっと、そろそろ時間だ。皆、席に着こうぜ」


「「「はーい」」」


朝のホームルームの時間になったので、クラス中の生徒が席に着く。

そして、教室に担任の先生が入ってきた。


「号令よろしく」


「起立、気をつけ、礼」


「「「おはようございまーす」」」


「はい、おはよう」


いつもの一連の流れで挨拶をする。

問題はこの後だった。


「えー、今日は皆も知っての通り留学生が来る日

だ。そして、留学生の希望でこのクラスに入る

ことになった。皆、よろしく頼むぞ」


留学生の希望でこのクラスに来たという話を聞いたクラスメイトは、ざわざわしていた。

当然である、こんな普通のクラスに希望する理由など無いのだから。


「じゃあ、入ってきてくれ」


「「はい。わかりました」」


この時司は疑問に思った。

留学生と思われる声が二つしたのだ。

そして、入ってきた留学生に司は驚愕した。


「皆さんおはようございます。私は本日より留学

生としてギリシャから参りました。名前はエリ

ナ・アスカレートともうします。どうぞ、気軽

によろしくお願いします」


そう、留学生とはギリシャの王族であるエリナだったのだ。

エリナにも驚いたが、もう一人の留学生にも驚いた。


「エリナ様の護衛として参りました、ミカエラ・

キャスティーです。どうぞよろしくお願いしま

す」


ギリシャで傭兵をした際に、協力してもらったエリナが一緒にいたのだ。

司が驚愕しながらエリナの方を見ていると、エリナは笑顔で司に返した。

ミカエラは司を見つけると、司と同じぐらい驚愕していた。


「しばらくの間だが、皆仲良くしてやってくれ」


何も知らないクラスメイトは返事をしていたが、事情を知っている司と三人組は返事をすることなくただ驚愕していた。


ーーーーーーーーーー

朝のホームルームが終わると、エリナとミカエラの席に大勢の人がが集まった。

中にはクラスメイトではない人間混じっていた。


「ねぇねぇ、何でこのクラスにしたの?」


「何で留学しに来たの?」


「ギリシャのどこに住んでんの?」


二人に多くの質問が寄せられたが、二人は平然と全ての質問に応じた。


「気軽に接しろとは言ったけど、気軽すぎだ

ろ・・・」


二人の立場を知っている司からしたら、流石に気軽すぎると思っていた。

そんな事を考えながら二人の方を見ていると、エリナが司の方に近づいて来た。


「司から私には質問は無いのですか?」


「質問したい事はありますが、他の皆の質問が多

すぎて俺の質問をする暇が無いんですよ」


「ならば、今その質問をしてどうぞ・・・」


その発言と共に司に全員の視線が集まる。

エリナが司と知り合いだった事に驚いているようだった。


「じゃあ、ミカエラはわかりますけど、何でエリ

ナ様も一年生何ですか?」


「それを申し上げたら貴方もそうでしょう?」


「それはそうですけど・・・」


司は自分が十七才であることをすっかりと忘れていた。


「理由は簡単です。ここの学校の留学生は必ず一

年生のクラスに入る決まりがあるらしいんで

す」


「それは初耳ですね・・・」


司の場合は事件での被害者を出さないために学校に再び入ったが、理事長の意見で一年生に入れられてしまったのだ。


「でも、一年生に司がいたので良かったです」


「は、はぁ・・・」


いつもの司ならこの台詞に跳び跳ねるように喜ぶのだが、今は大勢の生徒が回りにいるのでそんな事は出来ない。


「それでは私はこれで・・・」


「は、はい。」


そう言ってエリナは自分の席に戻っていった。

こんな光景を見せられたら当然質問の内容が変わる。


「司君とはどんな関係!?」


「このクラスに来た理由って立花君目当て!?」


「ミカエラさんはどうなの!?」


ついにはミカエラにも司についての質問が来るようになった。

だが、その状況を悪化させる発言をエリナがした。


「司は・・・私の騎士ですね」


「あ、その発言は・・・不味い・・・」


エリナのその発言とともにに回りの女子達が騒ぎだした。

そして、次の対象はミカエラだった。


「私にとって立花さんは・・・憧れの人・・・で

すかね・・・」


ミカエラは頬を赤く染めながらそう言った。

そして、女子達がヒートアップしていた。


「きっと他意は無いんだろうな・・・」


エリナは天然な部分があるので、あの発言は恐らく素であると司は思っていた。

ミカエラは生真面目な性格なので、憧れと言うだけでも恥ずかしかっただけだと思っていた。


「問題は・・・こっちなんだよな・・・」


司は香菜美、由井、ステラの方を順々に見てみると、それぞれが司の方を睨んでいた。

次に慶夏の方を見てみると、慶夏は司の方を見ていたが、何も知らないような顔をしていた。


「慶夏だけが俺の安心できる女性だよ・・・」


この後はすぐに一時間目が始まったので、質問タイムはそこで終わった。


「朝からこの調子とは。どうなるんだ俺の生

活・・・?」


司の心の中には色々な不安がよぎっていた。

はたして、司の生活は守られるのか。


つづく。










今回の解説。


ウィザードの専属護衛について。


ウィザードの中にはある特定の人物を護衛する役職もある。

ミカエラの場合は現在はエリナの専属護衛、または側近として活動している。

この役職は王族が多い西洋に大勢いる。

普通には護衛に着くことができず、護衛対象の厚い信頼が重要である。


今回は以上です。







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